不登校の小学生のための、親の6対応〜原因・家での過ごし方・勉強の再開法も紹介〜
不登校になることで勉強が遅れたり、友人関係が希薄になったりなど、お子さんの将来が不安になることでしょう。
令和4年度に不登校の小学生は105,112人いました(出典:文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)
これだけ多くの不登校の小学生がいるということは、対応法もたくさんあるということです。
この記事では、キズキ共育塾の知見に基づいて、小学生の不登校についてお伝えします。
この記事を読んでわかること
- 小学生の不登校の代表的な原因
- お子さんと親御さん、両方のためになる心構えと相談相手
- 親御さんにできる対応
- 不登校の「次の一歩」に進むための方法
- 勉強再開の方法
目次を見ると長いと思うかもしれませんが、一つひとつの項目はポイントを押さえて短めにしていますので、カンタンに読み進めることができます。
お子さんの不登校・登校拒否・学校が苦手なことに対して、どうしてよいかわからないと悩んでいる親御さんの参考になれば幸いです。
共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス
親ができる不登校のお子さんに対する対応は、「無理をさせない」に尽きます。登校や勉強を無理強いするのではなく、思いっきり休んで楽しむことが「復帰」への近道です。
本コラムでは、「昼夜逆転が不登校につながる」と書かれていますが、昼夜逆転も必要な場合があります。
保護者の方の常識とは異なるかもしれませんが、「お子さんに無理をさせないこと」が不登校経験者や当事者、支援者が導き出した答えなのです。
目次
小学生の不登校、代表的な8つの原因
不登校の原因を知ることで、お子さんへの理解につながることは、確かにあります。
ですが、「不登校の原因」にはこだわりすぎないことも大切です(理由は後述します)。
また、それぞれの原因は単独で発生するとは限りません。
お子さん自身でも原因をよくわかっていないこともあります。
あくまで参考としてご覧ください。
原因①親から離れることが不安
親から離れることに不安を感じることが、不登校の要因となる場合があります。
「母子分離不安」とも表現され、特に低学年のお子さんによく見られます。
不安のあらわれ方
- 腹痛や頭痛の身体症状が出る
- 親がいないと泣き出す
こうした状態によって、登校が難しくなるのです。
原因②環境(の変化)
環境の変化に対応できないことも、不登校の原因として考えられます。
合わない環境の例
- 同級生が合わない
- 先生が合わない
- 授業スピード・カリキュラム・方針が合わない
- 前までは合っていたが、クラス替えや授業内容の難化で合わなくなった
特に公立の場合は、同級生は「たまたま同じ地域に住んでいる人」であり、合うかどうかは事前にはわかりづらいでしょう。
私立の場合も、「合っている」と思って入学しても、実際に通ってみて合わないということは少なくありません。
原因③いじめや人間関係の悩み
いじめや人間関係の悩みが不登校につながることは、おわかりいただけると思います。
いじめの補足
- 実際にいじめがあるのか、客観的にはわかりづらい
- 実際にいじめがあっても、親にも相談しづらい
人間関係の補足
- 友達とのささいなトラブルや、周囲や相手は何も思っていないことを、本人だけが悩んでいるケースがある
- 大人であれば気にならないようなことも、小学生には気になることがある
原因④勉強についていけない
勉強についていけないことも、不登校の要因となります。
お子さんが学校にいる時間の大半は授業です。勉強についていけないと、授業だけでなく学校自体がつらい場所になり、不登校につながります。原因⑤学校で苦手なことや嫌なことがある
学校で苦手なことや嫌なことがあることも、不登校の原因になり得ます(前項の勉強もその一つです)。
体育や音楽など特定の教科が嫌な場合もあれば、クラスの雰囲気や特定の先生が苦手といった場合もあるかもしれません。原因⑥がんばりすぎた息切れ
がんばりすぎて息切れしてしまうことによって不登校になるケースもあります。
学校の勉強・人間関係や学校外の習い事など、それまでにすごくがんばっていたことに体力的・精神的に限界がきて、学校に行くことも難しくなるのです。
がんばっていた対象は「嫌なこと」とは限らず、好きなことや得意なことでも起こり得ます。原因⑦生活の乱れ・昼夜逆転
さまざまな理由で生活が乱れていたり昼夜逆転していたりすることも、不登校につながります。
生活の乱れは、不登校という観点に限らず、健康のためにもよくありません。
原因⑧学校に行く意味を感じられない
学校に行く意味を感じられないことによって、不登校になる場合もあります。
パターンの例
- ある日突然、意味を感じられなくなる
- ずっと違和感を感じながら学校に行っていたが、あるとき限界が来る
お子さんのみならず、親御さんのためにもなる3つの心構え
続いて、小学生に限らず、不登校のお子さんについて、お子さんと親御さん自身のためになる、3つの心構えを紹介します。
心構え①不登校の原因にこだわりすぎない
直接的な原因を追究・解決しても、不登校の解決にはつながらないことがあるのです。
逆に、不登校になった原因は解決しないままでも、「次の一歩」に進めることは少なくありません。
例えば、先生の心ない一言がきっかけで不登校になったとします。
この場合、「直接的な原因」の解決として、先生からの謝罪があったとしても、不信感が拭えない、不登校中に生活リズムが乱れたなどの場合は、不登校が続くことがあります。
しかし、謝罪がなくても、その先生が異動になる、進級のタイミングでクラスが変わる、他の場所で自己肯定感を育んで先生のことが気にならなくなる、転校するなどで、登校を再開したり次の一歩に進んだりすることもあるのです。
「不登校になった直接的な原因」と、「不登校が継続している現在の『問題』」は違うこともある、と言い換えることもできるでしょう。
不登校になった原因を追究・解決したいお気持ちはわかります。
ですが、不登校の「次の一歩」に進むためには、絶対に必要なことではありません。
「なぜ不登校になったのか」よりも、現状の把握と今後の対策に目を向けましょう。
ただし、次のようなケースでは、原因の解決とまでは言わなくとも、対応は必要になります。
原因の対応が必要なケース
- うつ病、統合失調症など、精神疾患が関係する
- 発達障害が関係する
- 夫婦の問題、経済的問題など、家庭内に子どもに悪影響を与える問題がある
- いじめが関係する
- 虐待が関係する
このような場合は、未来に向けての対策を考えると同時に、「原因」への対応に努めましょう。
原因については、そもそも追求・解決すべきかどうかということも含めて、次項の専門家を利用してください。
心構え②専門家を利用する
ここで言う専門家とは、次のような人や団体です。
- 小学生の心理・不登校・学校の仕組みなどに詳しい人
- 不登校者の支援を行う団体
そうしたところを利用することで、専門的な知見に基づくアドバイスを受けることができます。
ご本人だけ、親子だけ、ご家族だけで悩まずに、専門家を利用しましょう。
どの相談先も、「まずは自分だけで」「子どもだけで」と思うなら、親だけ・子どもだけの相談にも対応しているところを探してみてください。
最近はインターネットや電話で不登校の相談を受け付けているところも多いので、家の近くに相談機関がなくても利用することができます。
より具体的に言うと、次のような「専門家」がいます。
お子さんの学校
- 担任
- 学年主任
- スクールカウンセラー
学校には、必要に応じてお子さんの状況を随時伝えるようにしてください。
公的な相談窓口
- 児童相談所、児童相談センター
- 引きこもり地域支援センター
- 発達障害支援センター
公的な相談窓口は、自治体によって名称が異なりますので、お住まいの自治体のウェブサイトで確認することをオススメします。
窓口がわからない場合は、代表電話に連絡して確認してみましょう。
民間の支援団体
- フリースクール
- 全国にある「不登校の親の会」
- 不登校の小学生に勉強を教える塾
フリースクールは、お子さんにとって学校の代わりの居場所になるはずです。
親の会では、親同士での悩み相談や情報交換などができます。
不登校の小学生に勉強を教えることに実績のある塾もあります(私たちキズキ共育塾もその一つです)。
医療機関
- 小児科
- 児童精神科
病気・障害は、お子さん自身にも自覚のないことがあります。
心構え③親は親で生活を楽しむ
「子どものことに、かかりっきりにならないようにしましょう」という言い方もできます。
「まだ小学生の子どもが苦しんでいるときに、楽しむことなんてできない」と思われるかもしれません。
ですが、親が自分の人生を充実させることには、次のような効果があるのです。
効果(1)親子が社会から孤立することを防ぐ
親が「生活」を楽しむことで、「親子とも外とのつながりがなくなって、家庭ごと地域から(世間・社会から)孤立する」状態を防げます。
親が働きに出ている場合でも、子どものことで心にずっと不安を抱えていると、社会との心理的な距離が開いていくのです。
地域や社会から孤立すると、家族という密閉した空間の中で、親の心・視点は子どもに向かう一方で、親子の不安はますます増幅していきます。
親の過度な不安や心配が子どもの心を圧迫していく…といった悪循環にも陥りかねません。
「親が生活を楽しむ」ことで、視野も適切に広くなり、社会からの孤立を防ぐことにもつながります。
効果(2)親が大人のロールモデルになる
親の充実した生活は、大人のロールモデルを子どもに与えることになります。
充実している親の姿を見ることで、子どもは「今は不登校で苦しいけど、大人になったらこんなふうに生活したいな」と考えるようになります。
子どもに「外の世界は楽しいよ」「大人になるっていいものだよ」と示すことが、不登校の「次の一歩」につながるのです。
補足
「親の生活を充実させる」とは、「お子さんのことは放置してもよい」という意味ではありません。
小学生のお子さんには、適切にコミュニケーションをとり、きちんと世話をすることも、もちろん大切です。
実際の「あなたとお子さん」の距離感や、次章以降で紹介する行動などについても、全て共通して、前述の専門家を適宜利用することで、「具体的にどうするべきか」がわかると思います。
不登校の小学生が「次の一歩」へ進むための、親にできる6つの対応
ただし前述のとおり、お子さんのことを親だけ、家庭だけで抱え込む必要はありません。
お子さんのことは、適切に専門家を利用し、親自身の生活も充実させながら、対応していきましょう。
対応①無理に登校させない
まず、無理に学校に行かせないことが大切です。
「無理やりにでも学校に行かせれば、そのまま登校を継続できる」といったことは稀なケースであり、実際は逆効果になる少なくありません。本人が学校に行けない、行きたくない状態のときは、無理やり学校に行かせないようにしてください。
より直接的に、「休んでもいい」と言葉にして伝える方法も有効です。
対応②親子で過ごす時間をつくる
親子で過ごす時間をつくるのも大切なポイントです。
特に親と離れる不安が不登校の要因になっている場合は、親子の時間をつくり、お子さんに安心感を持ってもらうことが重要です。次項とも共通しますが、「安心できる関係・時間・場所」は、他のことにチャレンジする支えになります。
対応③家庭を安心できる居場所にする
家庭を、お子さんが安心して過ごせる場所になるように意識しましょう。
不登校の子どもにとって、生活の中心は家となります。
家庭という「安心できる場所」があることで、それを支えにして、登校再開などの「不登校の次の一歩」に進めるようになります。
お子さんの家での過ごし方の詳細は、次章で紹介します。
また、家庭に加えて、塾・習い事・フリースクールなど、「安心できる居場所」をつくる・増やすこともオススメです。
対応④自信を持てる機会をつくる
日常生活、お子さんの好きなこと、習い事などを通じて、小さな成功体験を積み重ねて自信を持てるような機会をつくりましょう。
自信や自己肯定感を少しずつ回復していくことで、さまざまなことに挑戦できるようになります。不登校になった子どもは、自分を責めたり、自信をなくしていたりするケースがあります。
自信がない状態では、「次の一歩」にも踏み出しづらいのです。
対応⑤生活リズムが崩れないようにする
お子さんの生活リズムにも気を配りましょう。
不登校状態だと、登校時間の制約がなくなるので生活リズムが乱れがちです。
朝起きて夜眠るようにする、食事はきちんと取るようにするなどして、生活リズムを保てるようサポートしてください。生活リズムが乱れていると、登校再開も、学校以外の場所への参加も難しくなりますし、健康のためにもよくありません。
対応⑥「今の学校」への登校再開にこだわらない
今の学校(クラス)への登校再開にこだわらないことも大切です。
「今の学校への登校を再開してほしい」と考える親御さんは多いのですが、不登校の「次の一歩」はそれだけではありません。友人関係・クラスの雰囲気・担任の先生など、今の学校(クラス)の環境が不登校の要因になっている場合もあります。
また、不登校になった理由とは関係なくても、「ずっと行っていなかったところにまた行くのは気まずいな…」と思うことで、なかなか「次の一歩」に踏み出せないこともあるでしょう。
今の学校やクラスにこだわらず、転校や、フリースクールなど学校以外の場所も選択肢に入れてみてください。
場合によっては引越しなども必要となるかもしれません。
しかし、環境が変わることで状況が変わる場合もあるのです。
不登校の小学生が「次の一歩」に進むための6ステップ
家での過ごし方(過ごさせ方)や学校以外の選択肢について、参考にしてください。
ステップ①ゆっくり休む
まずは、お子さんをゆっくり休ませましょう。
不登校になった直後は、心身ともに疲れ切っており、エネルギーが不足している状態です。
心身のエネルギーが回復するまでは、登校や勉強の再開はいったん忘れて、何もせずゆっくり休ませてください。
「これまでよくがんばったね」「休んでもいいよ」などと言葉にして伝えることも効果的です。
ステップ②自分の好きなことをする
何かに取り組める余裕ができたら、趣味や遊びなど、お子さんの好きなことからさせてみてください。
一例ですが、お子さんが「暇だなー」などと言い出したときには、余裕ができつつあります。学校を休んでいるのに好きなことをさせることに抵抗がある親御さんもいるかもしれません。
しかし、好きなことは、エネルギーや自信の回復にもつながります。
ステップ③(本人が嫌がらなければ)勉強を再開する
エネルギーや自信が回復してきていれば、勉強を再開させてもよいでしょう。
勉強の遅れが登校再開の壁になる場合もあり、逆に言うと不登校でも勉強を続けることで登校再開がスムーズに進みやすくなります。
ただし、勉強を強制することは逆効果になります。
本人が嫌がらないこと、勉強に取り組める余裕があることが前提です。
勉強再開については、次章で詳しく紹介します。
ステップ④塾や習い事に通う
これは、次のステップ⑤とはどちらが先でも並行しても構いません。
外出する余裕が出てきたら、塾や習い事など学校以外の場所に通ってみるのもよいでしょう。
学校には行けなくても、好きなところや興味のあるところには行ける場合もあります。そうした場所での交流や行動はさらなる自信につながり、「次の一歩」にもつながります。
ステップ⑤適応指導教室やフリースクールに通う
塾や習い事は学校が終わってから開始となるところが多いので、日中通う場所として適応指導教室やフリースクールを利用するのもよいかもしれません。
塾や習い事と同じく、そこが気に入ったなら、自信や自己肯定感につながります。
昼に通うところは、生活リズムのペースメーカーにもなるでしょう。
塾や習い事との違いとして、適応指導教室・フリースクールは、利用者が「不登校であること」が前提となっていることです。
「自分以外にも同じような悩みを持つ人、同じような状況の人がいる」と知り、コミュニケーションを行うことは、自己肯定感につながります。
適応指導教室は、元の学校(クラス)への登校再開も目的としています。
元の学校(クラス)に拒否感があるなら、向いていないかもしれません。
ステップ⑥学校について考える
自己肯定感・生活リズム・勉強などが整ってきたら、学校についてどうするかを具体的に考えてみてください。
お子さんの状況について学校と随時のやりとりをしていると、登校再開や転校などを行動に移しやすいと思います。
ただし、「その学校」や「小学校という仕組みそのもの」がどうしても自分に合わないお子さんもいます。
今の学校についても、転校先の学校についても、「登校できなければ、お子さんはもうダメだ」ということでは決してないということは、覚えておくと気が楽になると思います。
学校に通わないことで勉強や社会性から離れる可能性はあり、それに伴う苦労が発生する可能性は否定しません。
ですが、学校の代替手段はたくさんあります。
代替手段の例
- 勉強→塾
- 社会性→習い事教室やフリースクール
そして、小学校の年齢の先には、選択肢も可能性もたくさん広がっています。
「学校に行ってほしい」という気持ちは痛いほどわかります。
しかし、思い詰めず、専門家をりようして、ご自身の生活も充実させることで、さまざまな方向性が見えてきます。
不登校の小学生の、勉強再開までの5ステップ
この章では、特に「不登校からの勉強再開」についてお伝えします。
塾などに通っていない場合、不登校は勉強の遅れにつながります。
できる範囲でケアしていきましょう。
ただし何度も繰り返すとおり、親御さんだけでなんとかしようとする必要はありません。
小学生の学習内容とはいえ、親御さんは勉強の専門家ではありません。
不登校の小学生の勉強再開に実績のある塾などもたくさんありますので、そういうところもぜひ利用してみてください(私たちキズキ共育塾もその一つです)。
ステップ①無理に勉強させない
登校再開と同様に、無理に勉強させようにしましょう。
前述のとおり、特に不登校になったばかりのときは、勉強に取り組めない状態であることも多いのです。
まずは何もせずゆっくりさせたり、好きなことを通じてエネルギーの回復や自信の回復を優先させたりして、将来的に勉強に取り組めるような準備を整えてください。お子さんが「暇だな」「勉強しようかな」と言い出したり、外出する元気が出たりしたようでしたら、次のステップに進みましょう。
ステップ②少しずつ、ゆっくりと再開する
勉強を再開できるようになっても、焦らず、少しずつゆっくり行うようにしてください。
久しぶりに勉強するとなると、それまで以上に体力と気力が必要です。
体を慣らす意味でも、最初は1日5分〜10分などを目安に、少しずつゆっくり進めるようにしましょう。ステップ③好きな教科から始める
勉強を再開するときは、お子さんの好きな教科や得意な教科から始めることがオススメです。
そうすると、お子さんも楽しく取り組むことができます。
好きな教科から始めて、30分〜1時間などまとまった時間の学習ができるようになったら、他の教科も短い時間から始めていくとよいでしょう。ステップ④本人に合ったやり方を選ぶ
教科書や問題集など学校の教材にこだわらずに、お子さんにあった勉強のやり方を探しましょう。
小学生向けの教材は、たくさんあります。
教科書よりも市販の教材の方がわかりやすい場合もありますし、現在は動画やタブレット端末で学習できるコンテンツを使った方が勉強がはかどることもあるでしょう。塾や家庭教師を利用する場合も、その方針や内容はさまざまです。
本人が無理なく楽しんで取り組めるやり方を選びましょう。
勉強を再開しやすいですし、また継続もしやすくなります。
ステップ⑤できたことをほめる
本人が達成感を感じられるように、できたところを意識的にほめるようにしましょう。
学校外で勉強するときは、学校に通っているとき以上にモチベーションの維持が難しいのです。
できたところを褒めることで、モチベーションを維持しやすくなるはずです。
「間違いばかりで褒めにくい…」と悩むときは、勉強をしたことや、しようとしたことそのものなどの、行動や意思を褒めましょう。事例:不登校の小学生が通学を再開するまで
小学生で不登校になった子どもは、実際にどのように生活し、どのように「次の一歩」に進むのでしょうか。
キズキ共育塾が、不登校経験のある、現在小学校高学年のお子さんの親御さんにインタビューを行いました。
あなたのお子さんの参考になれば幸いです。(個人の特定を防ぐため、一部事実と異なる部分があります)
「息子は、小さいころから大人しいです。
2歳年下の弟の面倒を見たりする、優しい面もあります。
しかし優しすぎるのか、嫌と言えない性格でもあり、学校で嫌なことがあっても我慢してしまっていました。」
「不登校のきっかけは、ほんの些細なことでした。
学校でスポーツ大会があり、サッカーに出場した息子がシュートを外したんです。
それを友達から責められたこと、自分のせいで負けてしまったと過度に落ち込んでしまったことから、不登校になりました。
『責められた』といっても詰問やいじめではなく、小学生同士ならよくあるレベルの言い方だったようですし、話題としてはその日で終わっています。
ですが息子は感受性が強く、一連の流れが心に強く残り、学校に行けなくなりました。
毎朝学校に行こうとして起き上がるのですが、踏ん切りがつかずに結局登校できない日々が続きました。
『学校に行けない自分』についても責めるようになり、家でも笑顔が減っていきました。」
「『学校に行こうが行けまいが、私はあなた(子ども)が大切だ』というスタンスを貫いたことです。
心からの本音ですが、 思うだけでなく、言葉でも態度でも息子に伝えるようにしていました。
学校に行けないと、勉強をする機会が減る、友達と遊べないなどのマイナス面はもちろんありますし、将来がどうなるのか心配になったのも事実です。
しかし、学校に行けなくなったからこそできることも増えました。
例えば、家族でゆっくりと一緒に時間を過ごしたり、息子の趣味である電車を見に旅行に出かけたり、ということです。
そうこうするうちに、不登校になる前と同じほどではありませんが、息子は次第に元気になっていきました。」
「少しずつ元気になってきた息子は、『学校には行けないけど、家にずっといても退屈だな…』と言うようになりました。
そこで、フリースクールに行きはじめたんです。
フリースクールのスタッフの皆さんは、息子の感受性を理解して接してくれましたし、私と夫には専門的な知見からのアドバイスもくださいました。
一方で、『不登校であること』を必要以上に意識せずに息子と接してくれていたように思います。
また、息子には同じ鉄道好きの友達もできました。
フリースクールで過ごす中で、息子が自己肯定感を育んでいることが、日常生活の中で見て取れるようになりました。
そして、不登校になって半年経ったころ、息子が『勉強したい』と話しました。
そこで、息子と同じように不登校を経験した方に家庭教師をしてもらい、息子は先生と勉強以外にも趣味の話をしたりして、楽しく過ごすようになりました。
この段階で、息子は笑顔と元気を取り戻し、また自己肯定感もある程度定着したように思います。
『学校に行けるかどうかとは関係なく、息子が大事だ』というスタンスで行動を続けてきたから、出会いにも恵まれ、息子の笑顔も戻ってきたのかなと思います。」
「息子は再び元気になってきたのですが、引き続き学校には行けない状態でした。
どうしても一歩踏み出せないというか…。
私と夫は、『今後も不登校が続くなら、成長に合わせて別のフリースクールも探してみようか』などと話していました。
そんなとき、夫の仕事の都合で私たち家族は引っ越すこととなり、息子も転校となりました。
息子は新しい学校も怖がって、しばらく不登校を続けていました。
しかし担任の先生がお手紙を書いてくださったり、家庭訪問をしてくださったりしたことによって、息子は登校に前向きになりました。
フリースクールや家庭教師の先生のおかげで身についた自己肯定感も、新たな環境で通学を再開するエネルギーになっていたように思います。
そして実際に通学し始めると、息子に居場所ができるように、担任の先生は休み時間に息子やクラスメイトと一緒に遊んでくださったりしていました。
息子は次第に学校に居場所ができ、今は学校に通えています。
いろんな出会いと経験のおかげで、息子は自分を過度に責めることも減りました。」
インタビューから見える、大事なこと
いかがでしたでしょうか。
インタビューからは、「適切に専門家を利用すること」の重要性が伝わってくると思います。
お子さんのために、そして親であるあなた自身のためにも、覚えておいていただければ幸いです。
キズキ共育塾の講師が、小学生時に不登校になった原因
この章では、「小学生が不登校になる原因」について、学校が苦手なお子さんのための個別指導塾・キズキ共育塾の講師たちの実体験を紹介します。「小学生は、さまざまな原因で不登校になる」という実例としてご覧ください。(講師名は仮名の場合もあります)
太田研斗講師の体験談
小学校2年生の春、担任の先生とあまりなじめなかったことや、ゲームにハマりすぎて生活習慣が崩れたこと、それによって勉強もしなくなっていたことなどが理由で、「毎日の登校」ができなくなりました。
担任の先生からは、できないことを追求され、怒られてばっかりで、恐怖も感じていた覚えがあります。
算数ができなくて何度も追試を受けたり、給食で苦手なメニューが出たときに昼休みの時間に一人で残って食べていたりと、自己肯定感がぐっと下がった時期でした。
「学校に行かなきゃいけない」「友達に会いたい」という気持ちはあり、がんばって週に3日くらい登校していました。
K.M講師の体験談
クラス替えのない小さな小学校で、小学校4年生の終わりから5年生まで、ほとんど教室に行くことができませんでした。両親の目を気にして家を出るものの、用務員室でお世話になっていました。きっかけは、ある女の子との性格が合わずその子に嫌われたこと、身体的特徴がからかいやすかったことからくるいじめと、それによる担任の先生の対応が不公平に近かったことです。
キズキ共育塾の講師が、小学校不登校の「次の一歩」に進んだ体験談
この章では、小学生時に不登校を経験したキズキ共育塾の講師たちが、どのように「次の一歩」に進んだか、その実体験を紹介します。「不登校のお子さんは、将来に進んでいける」ことの実例として、お子さんの参考になれば幸いです。(講師名は仮名の場合もあります)
太田研斗講師の体験談
小学校2年生の春から夏休み開始時くらいまで、週3日登校でした。夏休みでリフレッシュできたことと、次の3点の流れがあって、秋ごろには週5日登校ができるようになりました。
①不登校からの「次の一歩」は、ちゃんと宿題をやるようにしたことでした。
学校に行ったとしても授業がわからないことがつらかったので、出されたものはしっかりやるようにしたんです。すると、それまで続かなかった集中力が持続したり、テストの点数もよくなって結果的にモチベーションも上がったりしました。
②ゲームは大好きで年中やっていましたが、親から時間の制限を受けることはありませんでした。ただ、「家に帰ったら、ゲームする前に宿題をやる」「友達と遊んでもいいけど、家に帰ったらご飯食べて宿題をやる、そのあとにゲーム」という約束はしました。宿題→自由時間というルーティンができたのが大きかったと思います。長期休みの宿題も、休み明けの前日にがんばってやるということもなくなりました。
③その後生活習慣も整い、早寝早起きができるようになりました。
毎日6時に起きて夜9時には眠くなって寝るという規則正しい生活リズムをつくることができて、中学校に入るまでそのリズムを続けられました。
K.M講師の体験談
小学校不登校の次の一歩は、親の転勤に伴う転校です。
転勤が決まった当初、親は単身での移動も考えていたようですが、私にも「どうしたい」と尋ねてくれたので転校を選択しました。
結果として、多くのクラスのあるマンモス校だったことや、もともとは友達を作るのが好きな性格も伴い、6年生という時期でしたが、たくさんの友人や素敵な先生方に出会うことができました。塾にも通うことで、学力も以前に比べて飛躍的に上がりました。
いまとなっては、転校という選択は、状況の打破だけでなく将来の可能性を広げてくれた、とてもいい選択であり出会いだったと思います。
キズキ共育塾の講師の、小学校不登校時に嬉しかった周囲の対応
この章では、小学生時に不登校を経験したキズキ共育塾の講師たちの、「不登校時の、嬉しかった周囲の対応」を紹介します。お子さんへの接し方の参考になれば幸いです。(講師名は仮名の場合もあります)
また、私たちキズキ共育塾の無料相談では、「実際のあなたとお子さん」のための、より具体的なアドバイスが可能です。ぜひご相談ください。
太田研斗講師の体験談
小学校2年生の春から夏休み開始時くらいまでの、週3日登校だったときの話です。
親(家族)からの、嬉しかった対応
家での過ごし方についてとやかく言われなかったのが嬉しかったですね。(たまに学校に無理やり車で連れていかれて降ろされる→泣き叫ぶ→保健室などで落ち着いてから3、4時間目くらいから授業に参加ということもありましたが…。教室に入ってからはケロッとしていました)
同居していた祖母・祖父に、どこかお出かけに連れてもらったりもしていました。学校を休むことに罪悪感も覚えていた自分が、心にゆとりを持てる時間でした。
友達からの、嬉しかった対応
遅れてクラスに行っても、みんながまるでさっきまでいたかのように優しく受け入れてくれたことが嬉しかったです。田舎の1クラス学級だったこともあり、保育園時代からの付き合いということで、先生よりも自分のことを理解してくれていました。学校が終わったら一緒に遊んだり、そういったことがストレス発散の場になっていました。
学校からの、嬉しかった対応
授業時間内に途中参加するということはあまりさせずに、3時間目と4時間目の間、給食の時間から、というように、自然にクラスに戻れるように計らってくれたことがうれしかったです。自分が落ち着くまで、別の教室などでそっとしてくれたこともありがたかったです。
松本歩美講師の体験談
校長先生からの、嬉しかった対応
小5の春、転入した先の学校でクラスの数名の男子からいじめを受けました。最初は「ちょっかい」程度のものだったのが、だんだん「○○小(前にいた学校)の野球チームはヘボいよな」「お前は○○小に帰れ!」などと言われたり叩かれたりするようになりました(前にいた学校は、実はすぐ隣の学区の学校で、互いに知り合いの子どもがいる環境でした)。助けてくれる子はおらず、教室内で孤立していました。
そんなことが積もり積もって、学校に行くのが嫌になり、ある日学校を休みました。その日、私が親に何と言って休ませてもらったのかは覚えていません。母が学校に電話で欠席連絡を入れました。電話を切った直後、我が家の電話が鳴りました。電話の主は校長先生でした。
「いまから話をしよう。休み時間が終わったころ、校長室に来なさい。待っているから」と言われました。校長先生と一対一でお会いするのは、転入した当日以来初めてでした。ましてや、校長室に入るなどとんでもなく恐れ多いこと。
そして、緊張しながらも、校長先生に尋ねられるままにそれまであったことを話しました。最後に「そうか、大変だったね。これからは僕が見ているよ」と言ってくださいました。
その後もいじめはだらだらと続きました。私も、学校に行ける日と行けない日がありました。が、校長先生と顔を合わせると、必ず私の方に寄ってきてひとことふたこと、声をかけてくださいました。また、校長先生が、私をターゲットにしてきていた男子たちにも声をかけておられる姿もよく見かけるようになりました。
遠足や移動教室などへの参加は、当時の私には大変な苦痛でした。それでも、母に「今回も校長先生が一緒に行ってくださるよ」と言われると、なんだか勇気が出ました。
あるとき、いつものように手を出して来た子を、私は反射的に軽く押し返しました。強い力ではなかったはずだけれど、相手はひどく驚いた顔をしていました。実はその後、その男子は「校長先生、おれ、あいつにやり返されちゃったよ」とわざわざ校長室まで報告に行ったそうです。翌日校長先生にお会いしてその話を聞いたときに、(押し返したことを)叱られるかな、とドキドキしていましたが、ただひとこと「それでいいんだよ」と言われました。
それ以来、少しずつ男子たちの態度が変わり、何かちょっかいを出したりしてもその後「ごめん」とあやまってくれるようになりました。私の中で何かが「とけた」ような気がし、教室に行く恐怖感が少しずつ和らいでいきました。
校長先生は、私に具体的なアドバイスをくださったわけではありませんでした。いじめる側に何か話をしてくれていたのかもしれませんし、担任に何か話してくださっていたのかもしれませんが、私にはわかりません。ただ、校長先生の「待っているよ」「見ているよ」「一緒に行くよ」といった短い言葉とまなざしが、私を支えてくださっていたのだなと、いまになって思います。
参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介
2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ、不登校新聞、Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。
このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。
このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。
公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」はこちら(LINEアプリが開きます)
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」作成の趣旨・作成者インタビューなどはこちら
- 「学校休んだほうがいいよチェックリスト」のメディア掲載・放送一覧はこちら
私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。
まとめ:小学生の不登校のお子さんについては、専門家に相談しましょう
小学生のお子さんの不登校については、親だけでなんとかしようとせず、各種の専門家を利用することがとても重要です。
ぜひ、お子さんとあなたに合う専門家を探し、積極的に利用してください。
この記事が、お子さんと、親であるあなたが「次の一歩」を踏み出すきっかけになりましたら、幸いです。
私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える方々のための個別指導塾です。
生徒さんには、不登校の小学生や、小学生時代に不登校経験のある方も大勢いらっしゃいます。
相談は無料です。ご相談いただければ、「あなた」や「あなたのお子さん」のための具体的なお話ができると思います。
キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください。親御さんだけでのご相談も承っています。
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