
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
キズキ共育塾でインターンをしている丸山宏美です。
私は、小・中・高校時代に不登校でした。
この記事を読んでいるあなたも、不登校なのではないでしょうか。
不登校の期間が長ければ長いほど、友人関係で悩んでしまうことが多いと思います。
そんなときに友達からLINEが来ると、
「どのように返事をすればいいのかわからない」
「自分の返信内容で、相手の気分が悪くなったりするのではないか?」
などというお悩みを抱えてしまいがちです。
今回は、「不登校の自分に、友達などからLINEで連絡が来たとき」の対処法を、私の経験に基づいて紹介します。
コミュニケーションのお悩みが少しでも減ったなら幸いです。
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目次
人間誰にでも気分の状態がよかったり、逆に気分の状態が悪かったりするときがありますよね。
特に不登校だと、気分や状態に「波」が発生することはよくあります。
ここからは、「自分の状態がつらいとき」「自分の状態がいいとき」に分け、さらに、「仲のいい友達」「グループ」「あんまり知らない友達」からLINEが来たとき別に、対処法を紹介します。
友達からのLINEは、自分の「つらい状態」を楽にしてくれる場合もあります。
しかし、友達だからこその「すれ違い」や「誤解」もありえます。
自分の状態がつらいときに「すれ違い」や「誤解」があると、ケンカ腰の対応や、冷たい対応をしてしまうかもしれません。
そうなると、「やってしまった…」と再び落ち込んでしまいます。
かといって返信しないと、
「私から返信しないことを怒っていたりしないだろうか…」
「返信する前に会ってしまったらどう反応しようか…」
といった不安が大きくなり、再び学校へ行くのが怖くなる悪循環にもなりえます。
友達からのLINEには、まず
「ケンカ腰にならない」
「自分の気持ちを押しつけない」
ことに気をつけて、可能であれば返信してみましょう。
また、調子が悪いときには、何か約束を求められて断定的な返事や約束をしてしまうと、
「約束をしたから、絶対に○○しなきゃ…」
と意識しすぎてしまい、また自分の状態がつらくなる…といった悪循環になることもあるので、断定的な返事や約束はしない、というのも一つの手段です。
そして、私の経験上、相手が自分のことをわかってくれている「友達」なら、
「いま気分がよくないから、また今度連絡する」と返したり、
いったん既読・未読無視をしておいて、調子がよくなったときに
「ごめん!調子が悪くて返事ができなかった!」
などと返信するようにしても、基本的には大丈夫です。
グループLINEの場合、「事務的な連絡」や「自分とは関係のない話題」の場合、特に返信しなくても大丈夫です。
ですが、
「どうして学校に来ないの?」
「学校に来て」
などと、「あなたの不登校」についての連絡が立て続けに来たときはどうでしょうか。
一日に何度も、グループ内の別の人から同じような質問やお願いが届く…私の場合、自分から返事をすることが怖かったです。
自分の状態がつらいときならなおさらです。
「友達も心配しているし、本音を言うと学校へ行きたい」
「でも、自分が学校へ行くことで、本当に友達は喜んでくれるのだろうか」
「自分が学校へ行くことで、場の雰囲気が悪くなったりしないだろうか」
などと悩んでしまい、不安も大きくなったのです。
「自分への話しかけについても、(いったん)無視をする」でOKです。
無視すると、さらに質問などが続く悪循環になってしまうのでは…?と思うかもしれません。
ですが、ほとんどの場合、グループの話題はどんどん別の方向に進んでいきます。
話題や自分の気分が落ち着くのを待って、グループ全体や、個別に返信をしてみましょう。
話題が次に進んでいるようなら、あえて返信しなくても大丈夫です。
また、返信する場合も、友達からLINEが来た場合と同じく、「断定的な約束をしない」というのは、ここでも有効的な方法です。
私の場合、自分の状態が悪いとき、あんまり知らない友達や接点が少ないクラスメイトからLINEが来た場合、返信のハードルがすごく高かった記憶があります。
そんなクラスメイトからのLINEは、ほとんどの場合、「どうして学校に来ないの?」という内容だったからです。
そうした質問に私が返信すると、さらに
「それは、単なるわがままだよ」
「このまま学校に来ないと、友達が減っていくよ?」
などといった、当時の私にとっては「あまり知らない人からの、怖い話」が送られてくるのです。
「あんまり知らないクラスメイトでも、私のことを心配してくれている」
といううれしい気持ちもある一方、
「言っていることは正しいのかもしれないけど、今の私は一歩前へ進むことができない」
などいう不安や焦りも大きくなり、学校へ行くことがもっと怖くなるといった悪循環になってしまいました。
そうなると、「せっかく心配してくれている相手」にも、自分の思いを上手に伝えられません。
あまり知らない友達からのLINEも、いったん無視しても大丈夫です。
まずは、自分の気持ちを落ち着かせることを最優先し、落ち着いたら返信してみましょう。
特に不登校で人との交流が減っていると、自分の状態がいいときには、
「話を聞いてもらいたい」
「自分にかまってほしい」
となるときがあります。
私の場合、自分の状態がいいと、ハイテンションになりすぎて、仲のいい友達に迷惑をかけてしまうことが多かったです。
友達とのLINEでは、
「既読がつく前に、何度も同じ内容を送ってしまう」
「要点をまとめずに、断片的にLINEを送ってしまう」
「返事を待たずに、一方的にLINEを送ってしまう」
ことが多々ありました。
あなたも、状態がいいとき、同じような経験をしたことはありませんか?
友達も、ずーっとスマホを見ているわけではありません。
「何度も同じ内容を送らない」
「断片的にではなく、要点をまとめる」
「一方的に送らずに、友達からの返事を待つ」
ことを意識するようにしましょう。
上記の3つを少し意識するだけでも、友人関係を保ったり、いい方向に変えたりすることができます。
もし、「一方的に送り続けちゃったな…」などと思ったら、
「さっきは、しつこくLINEをしてごめんね!」
などと送信して、それから気をつけるようにしましょう。
自分の状態がいいときにグループLINEをするときも、ちょっと注意が必要です。
なぜなら、調子のいいときには自分の話がしたくなり、
「トーク中に、突然話題を変える」
「突然、突拍子もないことを話してしまう」
「トークに割り込んで自分の話をする」
などを行ってしまうかもしれないからです。
話題を変えたりトーク中に割り込んだりすることは、「絶対に悪いこと」ではありません。
ですが、みんなが楽しそうにしている会話を、無理やり自分の方向に変えようとするのは、「いいこと」とは言えないでしょう。
必要以上に空気を読もうとしなくてもいいのですが、「そのときの話題」に合ったことを落ち着いて書きましょう。
そして、
「今は自分が興味のない話題だな」
と思ったときには、無理やり加わろうとせず、話は仲のよい友達などと個別で行うようにしましょう。
自分と接点が少ないクラスメイトなどからLINEが来た場合には、何に注意する必要があるでしょうか。
自分の調子がいいときには、
「新しい友人関係を作るキッカケになるかもしれない」
と張り切り過ぎて、一方的にLINEを送り続けたりするかもしれません。
まずは、「相手に聞かれたこと」や「相手からの連絡事項」の内容をよく見て返信しましょう。
また、私の場合は
「あまり自分には興味がない話だけど、せっかくの機会だし、話を聞こう!」
と、無理に話を合わせたりして、結局うまく行かずに落ち込んでしまう、ということもありました。
「張り切りすぎない」
「無理に相手と話を合わせようとしない」
ことを意識してやりとりしましょう。
以上に気をつけると、自分も相手も負担にならず、少しずつ自然にコミュニケーションができるようになると思います。
さて、いろいろな対処法を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
どの場合でも、基本的には、
「まずは自分の気持ちを落ち着かせて、一方的なコミュニケーションにならないように注意する」
という点は共通しています。
もしかしたら、
「あのやりとり、失敗しちゃったな…」
と思うこともあるかもしれませんが、変に落ち込まず、
「次からは気をつけよう」
と意識すると、次からはきっとうまくいくと思います。
そして、「不登校じゃない人」も、いつもLINEのコミュニケーションが上手にできているわけではありません。
「自分だけが、うまくLINEができていない…」などと、変な自己嫌悪にも陥らないようにしましょう。
焦らずに、少しずつゆっくりと、進んでいけるよう、祈っています。
さて、私たちキズキ共育塾には、不登校を経験した生徒さん・スタッフ・講師がたくさんいます。
授業では、勉強だけではなく、雑談などを通じてコミュニケーションの練習もできますので、
・自分の中に抱えている「不安」をどうにかしたい、
・一歩前へ進むための後押しがほしい
などとお考えでしたら、お気軽にご相談ください。
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