人を支援するとは?

僕が「人を支援すること」について考えるようになったのは、イスラエル・パレスチナの若者たちを招いた会議がきっかけだった。

その会議は成田空港でイスラエル人とパレスチナ人が泣きながら別れを惜しむほど、成果は出たのだけれども、会議最後の一週間、東京滞在は大変だった。

大変だった、というのは「イスラエル人とパレスチナ人がケンカしたから」ではない。

安田代表とパレスチナの若者たち
2009年 パレスチナの若者たちと

彼らが六本木で毎晩遊びまわっていたからだ。

「団体を支援してくださった方々のことを考えてほしい」と僕は彼らに伝えたが、「東京に来たのに何故遊ぶ時間をくれないんだ」と彼らは逆に怒っていた(一応補足しておくと、今でも彼らとの交流は続いていて、当時のことは笑い話になっている)。

僕は、バングラデシュのローカルNGOでインターンとして働いた経験がある。

その中で、娼婦街で活動するそのNGOは、彼女ら自身への支援を放棄したことがあった。

貧困から村から売られてきた女性であっても、若くて綺麗な間は農村では手にすることのできない「お金」と「自由」を手に入れることができた。

だからNGOが彼女たちに工場などでの仕事(劣悪な労働環境で、低賃金)を斡旋しても、仕事が続かなかったのだ。

そこで、僕が働いていたNGOは娼婦たちの支援をあきらめ、その子どもたちの支援にフォーカスすることにした。

一年ぐらい前、児童養護施設で学習支援のボランティアをしている方がボソッと、「みんな、勉強したくてしょうがないのかと思っていた」と僕に話してくれたことがあった。

「実際にボランティアで行ってみたものの、そもそも勉強に興味がない子たちがほとんどだった」と。

学習習慣がない子が多い以上、勉強に対するモチベーションが低いのはしょうがない。

だから「モチベーションをどう高めるか」が、困難な状況にある子たちの学習支援では重要な課題となる。

でも、そこまで想像力を働かせるのはなかなか難しい。

「ドン底の状態にある誰かを助けたい」と願うとき、僕らはその対象者に一定の振る舞いを要求しがちだ。

そしてその期待が裏切られたとき、「怠け者」「支援なんて必要としていない」などのレッテルを貼ってしまうこともある。

そこには、「彼らも僕らと同じ人間だ」という当たり前の視線が、抜け落ちてしまっている。

例えば、僕だって海外に呼ばれたら、たまには夜遊びはしたい。

給料がよければ、誇りが持てない仕事であっても、辞められないかもしれない。

「毎朝カフェで勉強しよう」とよく計画を立てるが、実行できたことはほとんどない。

支援の対象者だって、それは同じだ。

むしろ一度困難な状況に陥ってしまうと、「やる気」そのものを削がれてしまうから、なおさら難しくなる(これは過去の僕も同じだった)。

どんな困難な状況にあっても徹底的に努力できる人なんて世の中にほとんどおらず(少なくとも僕はできない)、だからこそ、人の助けが必要なときがあり、行政の助けが必要なときがある。

それらの経験から僕は、支援の対象者だけに清く正しい行動を求めるべきではない、と思うようになった。

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監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

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(2022年9月、KADOKAWA)
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【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2025年11月現在16校+オンライン校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2025年9月現在9校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / キズキ共育塾 相談員 半村進(はんむら・すすむ)

1982年1月、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。

支援実績: 講師・相談員として12年以上、累計2,000名以上の相談に対応
専門領域: 不登校、ひきこもり、発達障害・グレーゾーン、通信制高校生、高校中退、社会人の学び直し
担当分野: 学習・メンタル・進路選択・学校生活の生きづらさや将来への不安などに関する相談

【経歴・背景】
小学校時代から転校を繰り返し、運動の苦手さ、アトピー性皮膚炎、独特の体形などを理由に、いじめや学校への行きづらさを経験する。大学進学後も、病気やメンタルの不調により約5年半のひきこもり生活を送る。
30歳のとき、「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを約6年間指導。その後、自身の当事者経験と指導経験を活かし、同塾の相談員に就任。現在は、さまざまな背景のある生徒やその保護者へ向けた専門的な相談・支援を行っている。

【半村進からのメッセージ 〜支援において大切にしていること〜】
ご相談をお受けしたときは、その方の環境・状況・体力などに応じて、今の状態から状況を少しずつ変えていくために試せる方法を、できるだけ具体的にお伝えすることを大切にしています。
また、真面目に考えることは大切なことです。ただ、私の目から見ると、「真面目に考えること」と「深刻に考えること」が結びついている方も少なくありません。
私は、真面目に考えた内容を、できるだけ深刻ではない雰囲気でお伝えするようにしています。その方が、ご相談者さまの頭にも入りやすく、お伝えした方法を試すためのエネルギーも湧きやすいと思うからです。一人で抱え込まず、ぜひお気軽にご相談ください。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校オンライン / 通信制高校ナビ

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2025年6月現在、全国に17校とオンライン校(全国対応)がある。

代表挨拶
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