「頑張る」ために必要なこと
2015年11月24日 火曜日 投稿
キズキグループのメイン事業の一つは、「高校中退・引きこもり経験者」を対象とした大学受験塾(キズキ共育塾)の運営だ。
高校中退や引きこもりを経験しながらも、「もう一度やり直したい」「大学に行きたい」と願う若者たちが、私たちのもとに通っている。
今は必死に頑張っている彼らであっても、相談に来た当初は
「人よりも遅れてしまった」
「もうやり直せないかもしれない」
と悩んでいたことがほとんどだ。
高校中退率は全国平均で2%であり、一部の困難校を除けば、高校を中退する者はほとんどいない。
だから、一度学校を辞めると、それまでの学校のコミュニティから離れてしまうため、友人関係からも孤立してしまうことが多い。

そんなとき、僕は自分の話をしたり、弊塾で働く講師たちの話をしたりする。
例えば僕は2年遅れで大学に入って休学もして、3年遅れで卒業した。
例えばある大学生講師は、高校中退してずっと引きこもって、4年遅れで大学に入学し、誰もが知っている大手企業に入社する。
考えてみれば当たり前だが、10代の挫折で人生が決まるわけがない。
そんな話をすると、相談に来た若者はうつむいていた顔を、少しだけ上にあげる。
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高校中退・引きこもりに限らず、どん底の状況にある人々を支援しようとするとき、そもそも「頑張る」気力が失われていることが多い。
「頑張ればなんとかなる」と多くの人は言うかもしれないが、そもそも困難な状況にある人々は「頑張れない」ことに悩んでいるのだ。
だから支援の第一歩は、「頑張る」ための手助けをすることだと僕は思っている。
では、「頑張る」ために必要なことは何か?その答えの1つが、希望を見せることだと思うようになった。
「もうどうにもならない」という絶望を、「なんとかなるかもしれない」という希望に、思考の変化を促し続けることだ。
「もうどうにもならない」と思っている限り、人は頑張れない。
頑張った先の未来の姿が想像できるからこそ、頑張れる。
これは「中退」「引きこもり」の若者だけに限ったことでなく、大きな挫折経験のない人であっても同じだと思う。実現不可能に思える目標に対しては、誰でも頑張れない。
だから先ほどのエピソードのように、日々の現場での会話を通じて、少しずつ希望を提供すること、それが支援の第一歩だと考えている。
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人は、たった一筋の「希望」を提供することで、驚くほど変化することがある。
そんな瞬間を、僕はこの4年間何度も見ることができた。
これからもそんな瞬間に、たくさん立ち会えたら嬉しい。
「いまは不登校だけど、進学したい…」
「通信制高校に通いながらも受験が不安…」
「勉強の仕方が分からない…」
そんなお悩みがありましたら、キズキ共育塾にお気軽にご相談ください。
※2018年4月、安田の自伝本『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由』が講談社から出版となりました。詳細は講談社公式サイトをご覧ください。
監修キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
【新著紹介】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(2022年9月、KADOKAWA)』
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KADOKAWA公式→
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年7月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【著書など(一部)】
『暗闇でも走る(講談社)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
共同監修キズキ相談担当 半村進

はんむら・すすむ。
1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。
【執筆記事・インタビューなど(一部)】
日本経済新聞 / 朝日新聞Edua / テレビ東京 / 不登校新聞 / クリスクぷらす
サイト運営キズキ共育塾
「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2022年7月現在、全国に9校とオンラインコースがある。
あなたもキズキ共育塾の講師になりませんか?採用情報はこちら→