通信制高校に通っているけど進路が未定…どうすればいい?〜大学?専門学校?「進学・進路を考える」ための完全ガイド〜

「通信制高校の卒業が近いのに、進路がまだ決まっていない…」
「通信制高校の卒業後は進学するべき?それとも働くべき?何を選べばいいかわからない」

通信制高校に通う中で、進路をどう決めるか悩んでいる人は少なくありません。

この記事では、通信制高校の生徒本人やその保護者に向けて、「進路が未定な状態」への向き合い方、通信制高校の特徴、選べる進路の種類、動き出すためのステップ、支援の受け方まで、丁寧に解説していきます。

自分のペースで考えて、動いて、相談もしっかりすることで、未来を今からつくることができます。

私たちキズキ共育塾は、不登校状態にある人や通信制高校生のための、完全1対1の個別指導塾です。

10,000人以上の卒業生を支えてきた独自の「キズキ式」学習サポートで、基礎の学び直しから受験対策、資格取得まで、あなたの「学びたい」を現実に変え、自信と次のステップへと導きます。下記のボタンから、お気軽にご連絡ください。

ゲーム依存、昼夜逆転、勉強の話、子どもにしてもいいの…? 疑問への答えが見つかるウェブメディア 不登校オンライン 不登校の親のためのオンラインコミュニティできました! 不登校の親専用 親コミュ オンラインコミュニティ

目次

第1章|通信制高校で「進路未定」は特別なことではない

まず知っておいてほしいのは、通信制高校では「進路が未定」という状況になることが珍しくないということです。

その理由は、通信制高校生を取り巻く状況にあるようです。

理由1:高校による進路指導・進路相談が少ないため

通信制高校では、生徒の登校頻度が低く、個別対応が中心となります。

関連して、進路ガイダンスや定期的な進路面談が全日制に比べて少なくなりやすい傾向があります。

理由2:全日制高校と比べて同級生との交流が少ないため

同級生との交流が少ないと、進路について話す・考える機会が少なくなります。

「周りが動いているから自分も考えよう」といった影響が起きづらく、進路を話題にするきっかけが少ないまま卒業時期を迎えるケースもあります。

理由3:心身の調子がよくないため

「心身の調子がよくないことに関連して通信制高校に進学・転校した場合、「卒業は目指せるけれど、卒業後の進路までは考えられない」という状況になることがあります。

第2章|進路が未定のとき、よくある不安とその背景

進路が未定な状態にあると、不安や焦りを抱えがちです。

「自分だけ取り残されているのではないか」
「このまま何も決まらなかったらどうしよう」

この章では、通信制高校の生徒が進路未定のときに抱えやすい不安を整理し、その背景にどんな心理や環境があるのかを考えていきます。

不安1:やりたいことがわからない

よく聞かれる悩みの一つが、「将来何がしたいのかわからない」というものです。

ただ、高校生の時点で「やりたいことが明確な人」は、そんなにいないのかもしれません。また、明確でなくてはいけないというものではありません。

その上で、全日制高校に通っている場合は、進路指導や同級生との交流などを通じて、「直近の進路」という意味での「やりたいこと」を明確にしやすい環境です。

通信制高校の生徒は、そういう機会が少ないために、「自分の興味」や「将来像」について深く考える時間を持てない人が多くいます。

ここがポイント

「やりたいことがない」=「自分には何もない」というわけではありません。単に「まだ出会っていない」「見つけていない」だけ。これはとてもよくあることです。

不安2:周りと比べて焦ってしまう

SNSやニュース、周囲の同年代の友人を見て、「みんなはもう決まっているのに、自分だけ…」と感じて焦る人は少なくありません。

通信制高校では進路決定のタイミングが人によって大きく異なりますが、それでも世間一般の「18歳=進学・就職が決まっているべき」という無意識の圧力を感じることがあります。

この焦りは、本人も保護者も抱えやすいものです。

ここがポイント

他人と比較しても、進路の正解は見つかりません。あなたにとっての“ちょうどいい進み方”を見つけることが一番大切です。

不安3:情報が足りず、選べない

進路が決まらない理由として、「そもそもどのような進路があるのか知らない」という問題があります。

繰り返す通り、通信制高校では進路指導や進路説明会のような機会が少ない学校もあり、「知らないから選べない」状態に陥りがちです。

ここがポイント

情報不足は、選択の幅を狭めます。どんな進路があるのかを気軽に調べてみることから始めてみましょう。

不安4:自信が持てない

「内申点や成績に不安がある」
「(受験や就職の)面接でうまく話せる自信がない」
「バイトもしたことがないから社会に出られる気がしない」

——そういった自己評価の低さが、進路選びの妨げになることもあります。

特に不登校や体調不良、家庭の事情などで「つまづいた経験」は、「どうせ自分なんて…」という思考につながることがあります。

しかし、それはあくまでも「過去の一部」であり、未来を決めるものではありません。

ここがポイント

自信がないときは、いきなり「進路を決める」必要はありません。「ちょっと調べてみる」「誰かに話してみる」など、小さな行動が自信につながっていきます。

この章のまとめ

  • ○ 進路未定の不安は、「決め方がわからない」「比較」「情報不足」「自信のなさ」から来ている
  • ○ 不安を「感じるな」と言うよりも、「なぜ感じているのか」を理解することが大切
  • ○ 多くの不安は、「少しずつ動き出すこと」で乗り越えていける

第3章|進路を見つけるための5つのステップ

「何から始めたらいいのかわからない」そんなあなたへ。ここでは、進路を考えるために実際にできることを5つのステップでご紹介します。

ステップ1|一人で抱えずに相談する

「相談って言っても、誰に?」
「何をどう話せばいいか分からない」

そう感じる人も多いですが、進路を考える上で「話すこと」には大きな意味があります。次のような相手に、ぜひ相談してみてください。

相談相手の候補:

  • ・担任や進路指導の先生
  • ・家族や親戚、兄弟姉妹
  • ・通信制高校生を対象とする塾(キズキ共育塾など)
  • ・通信制高校生の進路相談を受け付けているNPO・キャリアカウンセラー
  • ・地域の若者サポートステーション

ステップ2以降も、相談先と一緒に進める・考えることで、スムーズに進みます。

相談のコツ:

「相談したいこと」が完璧にまとまっていなくてもOKです。「決まってないこと」「不安なこと」をそのまま話すだけでも、気持ちが整理されていきます。自分一人では気づけなかった選択肢が見えてくることもあります。

ステップ2|自分の「今」を客観的に把握する

自分の状況を整理しましょう。

  • 卒業見込みの時期(何月卒業予定か、単位は足りているか)
  • 単位の取得状況(卒業に必要な単位数と、現在の取得数)
  • 出席日数やスクーリングの参加率
  • 学力や生活リズムの安定度
  • 体調やメンタルの調子

これらの情報が整理できると、「今すぐ動けそうか」「まず整えるべきことがあるか」が見えてきます。

ポイント:

成績や体調ががよくなくても、「もう無理だ」と思う必要はありません。今から整えていけば卒業直後に間に合う可能性もありますし、卒業後に勉強したりしばらく休養したりして進路に進むことはできます。

ステップ3|自分の「興味・関心」に目を向ける

「将来何をしたいかわからない」という人は、「なんとなく好きなこと」「少しだけ得意なこと」に注目してみてください。

  • 勉強は苦手だけど、美術の時間だけは楽しかった
  • 人前で話すのは苦手だけど、家族や友達と話すのは好き
  • ゲーム実況を見るのが日課
  • スポーツはしないけど、ルールや戦術を調べるのが好き

「進路に直結しそうなもの」でなくても構いません。自分の感情が動くものを探してみることで、将来のヒントが見えてきます。

ヒント:

気になるテーマをスマホのメモに書き出したり、ノートに貼ったりしてみましょう。「好きの周辺」を探るだけでも、自分の軸が少しずつ見えてきます。

ステップ4|進路の選択肢を広く知る

進路と聞くと、「大学進学」か「就職」の2択のように感じがちですが、実際にはもっと多様な道があります(各進路については、次の章で解説します)。

  • 大学(・短大)進学
  • 就職
  • 専門学校進学
  • 高卒認定→進学
  • 準備期間(ギャップイヤー。留学など)

注意ポイント:

「とにかく進学」「とりあえず就職」といった消極的な選択は、後悔やミスマッチを招くことがあります。自分の性格や目的に合った選択肢を知り、比較検討する時間を持ちましょう。

ステップ5|情報収集を始めてみる

「あの進路が気になるけど、よく分からない…」

そんなときは、まず軽い気持ちで情報を集めてみましょう。次のような方法があります。

  • 学校や企業のホームページを見る
  • パンフレットや資料請求をしてみる
  • オープンキャンパスや体験授業に参加する
  • SNSやYouTubeで「通信制高校 進路」「専門学校 体験談」などで検索する
  • 地元の進路相談会に行ってみる

ポイント:

情報収集の目的は、「比べて選ぶこと」ではなく、「知ってみること」。まだ決めなくてもいいので、「気になるものに触れてみる」だけで十分です。

この章のまとめ

  • ○ 「何から始めればいいか分からない」ときこそ、5つのステップが道しるべになる
  • ○ すべてを一気にやらなくてOK。自分のペースで1つずつ取り組んでみよう
  • ○ 「自分のことを知ること」から、「情報を知り、誰かと話すこと」へと進んでいく

第4章|通信制高校卒業後に選ばれている進路

通信制高校を卒業したあとに選べる進路はたくさんあります。この章では、通信制高校の卒業後に選ばれている主な進路を、特徴とあわせて紹介します。

…とはいえ、全日制高校卒業後の進路と同じではあります。「通信制高校だから」と変に考えすぎないようにしましょう。

それぞれの道に「向いている人」「注意点」「選び方のコツ」があるので、進路選びの参考にしてみてください。

大学・短大進学

学びを深めたい人、将来の(特に就職の)選択肢を広げたい人に向いています。通信制高校からの大学進学は、もちろん可能です。

一般入試(学力試験による入試)はもちろんのこと、総合型選抜入試や学校推薦型選抜も利用できます。

一般入試の場合、高校の形式がなんであるかは、合否の審査とは全く関係ありません。

特に小論文や面接がある受験方式の場合は、「通信制高校を選択した理由」を前向きに、またその大学・学部に関連して語ることができると、高い評価を得られることもあります。

なお、高校で大学受験のサポートが手厚くない場合は、塾などを利用することをおすすめします。

ポイント:

  • ・大学の学部、受験方式、学校の特徴はさまざまにあるため、自分の興味がある学部を探すことが大切
  • ・「卒業直後の進学」ではなく、「浪人して進学」という選択肢もある

注意点:

  • ・総合方選抜などの場合、志望理由書や面接対策が重要
  • ・体調や学習習慣が整っているかを事前に確認
  • ・学費や奨学金制度の確認も早めにしておくと安心

専門学校進学

自分の「好き」や「得意」を活かしたい人におすすめ。IT・医療・美容・保育・福祉・デザインなど、専門的な技術や知識を学べるのが専門学校です。

通信制高校出身者も多く進学しており、手厚いサポート体制のある学校も少なくありません。

ポイント:

  • ・実践的な学びで、卒業後すぐに仕事に就きやすい
  • ・体験授業やオープンキャンパスで雰囲気を確認しやすい
  • ・勉強に苦手意識があっても、興味分野に特化できることで学びやすい

注意点:

  • ・就職実績や卒業後のサポート体制を事前にチェック
  • ・学費や設備、資格取得の支援制度も比較対象に

高卒認定試験→進学

高卒認定は、大学や専門学校への進学資格を得るための国家試験です。通信制高校に在籍しながら並行して取得を目指すことも可能です。

高校卒業に必要な単位が不足している人や、卒業が難しい状況の人に有効な選択肢です。

ポイント:

  • ・16歳になる年度以上であれば、受験資格を得られる
  • ・参考書や映像講座など、独学向けの教材が充実
  • ・学習塾や支援団体と併用することで、継続しやすくなる

注意点:

  • ・自分でスケジュール管理・学習管理をする必要あり
  • ・高卒資格が必要な求人には応募できないこともある
  • ・高卒資格ではなく“大学などの受験資格”が得られる点に注意

就職・アルバイトからのキャリア形成

卒業後に就職を目指す人も少なくありません。高卒向けの正規雇用を目指すこともできますし、まずはアルバイトなどから社会経験を積み、後にキャリアアップを目指すこともできます。

ポイント:

  • ・ハローワークや若者支援機関を通じた求人も活用できる
  • ・すぐに就職せず、職業訓練校を利用する方法もある
  • ・「若年者対象」の未経験可求人が増えている
  • ・働きながら資格取得や進学準備を進める人も

注意点:

  • ・ブラック企業に当たらないよう、サポート付きで探すのが安全
  • ・働きながら悩んだときに相談できる先を確保しておくと安心
  • ・現実として、就職先の選択肢は、高卒よりも大卒・短大卒・専門卒の方が多い

準備期間(ギャップイヤー)。留学・ボランティアなど

進学も就職も、焦って決めることが正解とは限りません。いったん休養したり、海外や地域でのボランティアに参加したりと、自分を見つめ直す時間も大切です。

ポイント:

  • ・ギャップイヤーは、将来の軸を見つけるための有意義な時間
  • ・留学やボランティア経験が、自己理解や将来的な進学・就職時の面接の材料になることもある
  • ・国内でも「社会体験プログラム」や「地域留学」など選択肢あり

注意点:

  • ・どんな時間にしたいかを考えておく
  • ・家族や周囲の理解も必要になることがある
  • ・準備期間が終わったあと、次に進むサポートを受けられる体制を確保しておく

この章のまとめ

  • ○ 「通信制高校の卒業後には、多様な進路がある
  • ○ 「どの道にも向き・不向きがあるため、情報収集と自己分析が重要
  • ○ 「「決めなければ」ではなく、「比べて選ぶ」姿勢が大切

第5章|焦りを手放すための3つの考え方

「何も決まらないまま卒業してしまいそう…」と焦る気持ちを抱えていませんか?

そんなときは、自分の気持ちや状況を見つめ直す視点をもつことで、落ち着いて考えることができます。

ここでは“焦らない”ための考え方のヒントをご紹介します。

視点①:進路に“正解”はない

進路に限らず、「人生の正解」はひとつではありません。
  • 「大学に行くべき」
  • 「就職するべき」
  • 「資格を取るべき」

…そのような“べき論”に縛られると、自分に合っていない道を無理に選ぶことにもなりかねません。

もちろん、「ちょっと試しにやってみる」のもOKですし、「合っていない道を選んだ後にやり直すこと」も可能です。

ただ、ある人にとってはよい選択でも、自分にとってはそうとは限らないということを理解しておくと、「不本意な苦労」を避けやすくなります。

「人と同じでなくてもいい」「今の自分にとってしっくりくる選択肢を探していい」という柔軟さを持つことが、遠回りに見えて実はいちばんの近道になることがあります。

ポイント

進路選びは、“試してみてから考える”でも大丈夫です。途中で進路変更したり、やり直したりしている人は、世の中にたくさんいます。

視点②:選び直しはいつでもできる

「今、間違った選択をしたら、取り返しがつかないのではないか」

進路に迷っているとき、そんな不安が頭をよぎることがあります。

でも実際には、人生には“選び直し”がいくらでも可能です。

  • 一度進学してから別の分野に進み直す
  • 就職したあとに資格を取って別の職種へ転職する人
  • 社会人になってから大学に通い直す人

——そうした選択も、十分にあり得ます。

特に通信制高校に通っている人は、「自分に合う環境を探してきた」「既に一つの選び直しをしてきた」経験があるとも言えます。その力は、きっとこの先も活きていきます。

ポイント

一度の進路選びで“人生が決まる”わけではありません。「今の自分に合っているか」を基準に選んで大丈夫です。

視点③:“進路未定”は、可能性の証でもある

「まだ決まっていない」という状態は、不安でもあるけれど、それは同時に「まだ何にでもなれる」状態でもあります。

すでに道が決まっている人は、その道に向かって準備を始める段階かもしれません。

でも、まだ決まっていない人には、「これから考える自由」が残されています。

“未定”であることをネガティブに捉えるのではなく、「自分の意思で選べるチャンスがある」と前向きに捉えてみてください。

ポイント

決まっていない=ダメではなく、むしろ「自分で選ぶスタート地点」に立っている状態です。

この章のまとめ

  • ○ 進路に「正解」はない。他人の道と自分の道は違っていていい
  • ○ 一度選んだ道でも、後からやり直したり方向転換することは十分できる
  • ○ 進路未定という状態は、“可能性を持っている”という前向きな状態でもある

第6章|卒業後すぐに動けないときの選択肢

「無事に卒業はできた(できそう)。でも、進学も就職もまだ決まっていない」
「とにかくしばらくは何もする気になれない…」

高校卒業後に、すぐに次の進路に歩める人ばかりではありませんし、それが悪いことでもありません。

この章では、「卒業後すぐに進路を決められない」「今は休みたい」という人に向けて、準備期間としての選択肢や、心と生活の整え方について紹介します。

なぜすぐに動けないのか?

高校卒業後すぐに進学・就職できない背景には、さまざまな事情があります。

  • 体調やメンタルの安定がまだ不十分
  • 「やりたいこと」が見つからないまま卒業した
  • 生活リズムが乱れていて、朝起きるのがつらい
  • 卒業できた安心感で、いったん気が抜けた
  • 保護者も含め、まだ進路に関する意見がまとまっていない

どれも責められるようなことではありません。「卒業」という大きな節目を迎えたばかりの今こそ、少し立ち止まってもいいのです。

「高校卒業直後の進路が決まっていないのは、悪いことではない」と認識して、自分を責めないようにしてください。

準備期間としての選択肢

「まだ動き出せない」状態の人が取れる実践的な選択肢には、次のようなものがあります。

■大学受験に向けた勉強をする

  • ・進路未定な人に対応する学習塾はもちろんあります
  • ・勉強を続けるうちに、大学・短大・専門学校などの志望校が見つかることがあります
  • ・逆に、就職など他の選択肢が向いているとわかることもあります

■アルバイトをしながら、生活リズムを整える

  • ・週2〜3日など、無理のない範囲で始められます
  • ・接客、軽作業、品出しなど短時間からできる仕事を選ぶ方法があります
  • ・「自分でお金を得る」体験が、次の自信につながることもあります

■通信制高校の卒業時期を延ばす(※制度上可能な場合)

  • ・在籍を続けることで、進路を考える時間が延びます
  • ・「進路をすぐ決めなきゃ」というあせりを避けられます
  • ・学校や制度上の制約があるため、事前相談が必須です

■就職に向けて、地域の若者支援機関(サポステなど)を利用する

  • ・面談、職場体験、進路相談などが無料で受けられます
  • ・同じように悩んでいる人が集まる場所で、安心して通えることができます
  • ・活動に参加することで、自分のリズムがつかめてくることもあります

■家でゆっくり過ごしながら「探す時間」とする

  • ・焦らず、自分と向き合う時間を確保しましょう
  • ・興味のあることを調べたり、軽く資料請求をしてみましょう
  • ・生活リズムを整えることを第一目標にしてみましょう

ポイント

「何もしない」ことが不安なら、「自分を整える」ことを“何か”にしてみましょう。「動けない=後退」ではなく、「整える=前進」です。

「進路未定」のことを周囲に理解してもらうには?

進路未定の状態が続いていると、家族や親戚などから「そろそろどうするの?」「何か始めたら?」といった言葉をかけられることもあります。

もちろん、心配から出てくる言葉ではありますが、本人にとってはプレッシャーになることもあります。

「そんなときは、次のように“具体的な期限”を添えて説明すると、周囲も安心しやすくなります。

  • 「今はまず生活リズムを整えたい」
  • 「夏ごろには進路について考える予定」
  • 「○月までは情報収集をして、そこから相談したい」

また、保護者の方にとっても、「焦らせないこと」が子どもにとって大きな支えになるということを、ぜひ共有していけたらと思います。

この章のまとめ

  • ○ 「卒業後すぐに進路を決められないことは、決して珍しいことではない
  • ○ 「焦って動くより、「自分を整える時間」として過ごす方が良い場合もある
  • ○ 「周囲には、“今何を目指しているか”を伝えることで理解を得やすくなる

第7章|支援を活用して、安心して考える

「どうしていいか分からないけれど、誰にも相談できない」
「相談って、どこに行けばいいの?」

進路に悩んだとき、多くの人が感じる“ひとりぼっち感”。

でも実際には、通信制高校に通う人や、卒業後に進路未定で悩んでいる人を支える支援機関やサービスはたくさんあります。

それを知っているかどうかで、進路の考え方や行動のしやすさが大きく変わってきます。支援を受けながら、自分のタイミングで考えられる環境を見つけましょう。

進路に悩んだときの相談先

以下は、通信制高校生やその保護者が実際に利用しやすい主な相談先です(他にもありますので、ぜひ探してみてください)。

■学校の先生(担任・進路指導)

  • ・卒業に必要な条件や単位の確認
  • ・推薦や進学先の情報提供
  • ・個人面談で「今の状況」を整理してもらえることも多いです

■キャリア支援センター・サポステ(地域若者サポートステーション)

  • ・働きたいけど自信がない人、何から始めたらいいか分からない人向け
  • ・就職相談、職場体験、履歴書の書き方講座などが無料で受けられます
  • ・同年代が集まっていることが多く、居場所として活用する人も

■支援塾・個別指導塾

  • ・学び直し、受験勉強、進路相談など、目的や状況に応じて、さまざまなタイプの塾があります
  • ・勉強だけでなく、進路相談、生活リズムの相談もOK
  • ・通塾を通じて「安心して考える習慣」が身につく人も多いです

■NPO・民間支援団体

  • ・引きこもり支援、自立支援、社会参加支援などの特化団体
  • ・地域に根ざした相談窓口があることも
  • ・オンライン相談対応も増加中

支援機関を選ぶときのポイント

どこに相談するか迷ったときは、次の観点で比較してみましょう。

  • 支援期間の対象が、自分と近いか(例:通信制高校生向け、進路未定者向け)
  • 保護者が同伴または個別に相談できるか
  • 初回相談や体験が無料かどうか
  • “今すぐ動けない”人への配慮があるか

相談したいことが明確じゃなくても大丈夫

相談は、「相談したいことが明確な人」だけが利用するものではありません。

むしろ、「どうしたらいいか分からない」「動けないから相談したい」という人のためにあるものです。

どのような状況であれ、積極的に相談してみることをおすすめします。

保護者の関わり方と支援の活用

進路が未定であることに不安を抱くのは、本人だけではありません。

保護者の方も、「どう接すればいいのか分からない」「どこに相談すればいいのか分からない」と悩むことが多いものです。

そんなとき、保護者自身が情報を得たり、支援機関に直接相談することも有効です。

たとえばこんな使い方:

  • ・本人が動けない状態のときに、親だけで説明会や見学に行ってみる
  • ・子どもが拒否感を持たないよう、「一緒に行ってみる?」「話だけ聞いてみる?」と促す
  • ・保護者説明会や無料相談を通じて、家庭でできる対応のヒントを得る

支援は、親子が「第三者を挟んで一緒に考える」関係性をつくる手段にもなります。

この章のまとめ

  • ○ 支援機関や相談先は多数ある。自分に合う場を選べばいい
  • ○ 動けないときこそ、誰かの力を借りて「一緒に考える」ことで前進できる
  • ○ 保護者も一緒に活用することで、家庭の不安も軽減される

第8章|子どもが「進路未定」でも焦らないために――保護者にできること

通信制高校に通うお子さんの卒業が近づくなか、進路が決まっていないと不安を感じる保護者の方は少なくありません。以下のようなお声は、よくお聞きします。

  • もう卒業が近いのに、本人が何も話してこない…
  • 本人がのんびりしているように見えて、親のほうが焦る
  • 周囲の子は進路が決まっているのに、うちの子は何もしていない
  • 本当は進学してほしいけど、うまく言い出せない
  • サポートしたいけれど、どう関わればいいのかわからない

この章では、そんな気持ちを受け止めながら、焦らずに見守るための視点と、保護者にできるサポート方法をお伝えします。

無理に急がせず、「今どんなことを考えているの?」と聞く

進路の話題を出すとき、「もう決めたの?」「そろそろ動かないとダメじゃない?」といった問いかけは、お子さんにプレッシャーを与えてしまうことも。

代わりに、「今どんなことを考えてる?」「何か気になってることある?」など、本人の気持ちを引き出す言葉を選ぶことで、対話の糸口が生まれます。

本人が動けなくても、親だけで情報収集してOK

本人がまだ動けない状態のとき、保護者だけで説明会や支援機関を訪ねるのも立派な準備です。

「行ってみたら、こんな資料があったよ」など、さりげなく情報を渡すことで、子どもが安心して考えるきっかけになります。

ただし、それが押しつけにならないように注意しましょう。

自立=1人で決めることではない。相談しながら進めてよい

「高校卒業後はもう成人。本人の進路は本人が決めるべき」と思うあまり、「あえて放任する」と考える方もいます。

しかし、「一緒に考えようか」という姿勢は、お子さんの自立を妨げるのではなく、むしろ自立のプロセスを支えることにつながります。

親自身も不安な気持ちを誰かに相談していい

親自身が「どう接すればいいかわからない」と悩むこともあるでしょう。そんなときは、支援機関や学校に、保護者としての相談をするのも大切な一歩です。

第9章|よくある誤解Q&A|通信制高校の「進路未定」って本当にまずいの?

通信制高校や「進路未定」という言葉に対して、まだまだ誤解されがちなポイントがあります。このコーナーでは、よくある質問に答える形で、正しい情報をお伝えします。

Q&A よくある誤解

Q1. 通信制高校からでも、大学や専門学校に進学できますか?

できます。通信制高校でも、卒業要件を満たしていれば全日制と同じ「高卒資格」が得られます。総合型選抜入試や推薦入試も活用できます。

Q2. 進路未定のまま就職すると、将来が不利になりますか?

必ずしも不利にはなりません。卒業後の空白期間があっても、その理由が説明できれば、多くの学校・企業で理解されます。

「大学受験のための浪人」「資格取得のための勉強」「体調がよくなかったので療養」など、履歴書上は空白となる準備期間を経てから進学・就職する人は通信制に限らず多くいます。

Q3. 通信制高校出身だと、就職に不利ですか?

通信制高校の卒業後に大学・短大・専門学校などを卒業する場合は、不利になりません。通常、大卒・短大卒・専門卒の就職試験で高校について聞かれることはほぼないからです。

高校卒業の直後に就職する場合も、不利とは限りません。「通信制高校を選んだ理由、通信制高校で学んだこと」を上手にアピールできると、有利になることもあります。

まとめ|「進路が未定」から始められる未来もある

進路が未定という状態は、未来が閉ざされているのではなく、まだ自由に選べる状態です。今できることから、少しずつ始めてみましょう。

通信制高校に通っていて、卒業が近づいているのに進路が決まっていない。

その状況に不安を抱えるのは、決してあなただけではありません。

しかし、進路がまだ決まっていない今、あなたは「これからを自分で選べる自由」を持っています。

決めることより、自分の意思で決めようとしていることに、もっと価値があります。
どんな一歩でも構いません。

大学にパンフレットを請求してみる、就職説明会に申し込んでみる、LINEで誰かに相談してみる——

あなたの歩幅で、あなたのペースで、これからの未来をつくっていけますように。
もし、つまずいたり、迷ったときは、またこの記事を読み返してみてください。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2025年11月現在16校+オンライン校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2025年9月現在9校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / キズキ相談担当 半村進

はんむら・すすむ。1982年、茨城県生まれ。東京大学文学部卒。
小学校時代から転校を繰り返し、運動ができないこと、アトピー性皮膚炎、独特の体形などから、いじめの対象になったり、学校に行きづらくなっていたことも。大学に入学してようやく安心できるかと思ったが、病気やメンタルの不調もあり、5年半ほど引きこもり生活を送る。30歳で「初めてのアルバイト」としてキズキ共育塾の講師となり、英語・世界史・国語などを担当。現在はキズキの社員として、不登校・引きこもり・中退・発達障害・社会人などの学び直し・進路・生活改善などについて、総計1,000名以上からの相談を実施。

【執筆記事・インタビューなど(一部)】

日本経済新聞 / 朝日新聞EduA / テレビ東京 / 不登校オンライン / 通信制高校ナビ

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2025年6月現在、全国に17校とオンライン校(全国対応)がある。

Share
学習スタイル診断 つづけられて、効果がでる!自分にピッタリの学習スタイル診断してみませんか? いますぐ診断する
2025年12月の体験授業キャンペーンのお知らせ 体験授業2回5,500円〜 メンターサポートつき 申し込み期間12月末まで