高校不登校、中退、5年間のひきこもりを経験した山本幹太さんは、キズキ共育塾で学び直して青山学院大学法学部に合格しました。
大学は4年間で卒業し、ビズリーチに就職。キズキ共育塾を卒業して9年が経った2025年現在は、自ら起業して社長になっています。
ひきこもり時代には漢字どころかカタカナも書けなくなっていた山本さん。そんな状態からでも、学び直し、大学合格、そして社会での活躍へとつながっていきました。
山本さんの体験談は、「全ての人に可能性がある」ことの実例です。ぜひ、「次の一歩」を考えるきっかけとしてご覧ください。
このページは、全4回の第3回です。山本さんの「超楽しかった大学生活」、ひきこもり状態にある方に伝えたいこと、就職活動のこと、保護者の方へのメッセージをお伝えします。
- 5年間のひきこもり、カタカナも書けなくなった僕。それでも青学に合格し、今は起業して社長に——キズキの伴走があったから【卒業9年目のリアルストーリー(1/4)】
- 5年間のひきこもり、カタカナも書けなくなった僕。それでも青学に合格し、今は起業して社長に——キズキの伴走があったから【卒業9年目のリアルストーリー(2/4)】
- 5年間のひきこもり、カタカナも書けなくなった僕。それでも青学に合格し、今は起業して社長に——キズキの伴走があったから【卒業9年目のリアルストーリー(3/4)】
- 5年間のひきこもり、カタカナも書けなくなった僕。それでも青学に合格し、今は起業して社長に——キズキの伴走があったから【卒業9年目のリアルストーリー(4/4)】
目次
大学生活は、超楽しかった!思い描いていたキャンパスライフ。ひきこもり経験はプラスにしかならなかった
大学生活は、超楽しかったです!!!思い描いたキャンパスライフでしたね。あれ以上楽しい大学生活は思いつきません。
大人のよくあるトークのテーマに、「大学時代に戻りたい?」みたいなのがあります。僕の答えは、「あのときの実際の楽しさ以上はないので、戻りたくない」です。
大学生活の楽しさは、5年間のひきこもりがあったからこそ味わえたものです。
ひきこもり時代の5年間は、「あれをしたい。でも今はできない」が積み重なって、ストレスがすごかったんです。その「したい」が大学時代に毎日達成されていきました。実は、今もそれが続いています。
ひきこもりだったときのことを考えると、「家を出ることができた」だけでも幸せなんですよね。その上さらに「したい」を実行できる楽しさや幸せが加わり続けていきました。
ひきこもりの経験については、何もマイナスがないどころか、プラスにしかなりませんでした。これも、今でも続いています。
超楽しかった大学生活①友人関係では、ひきこもりの経験がプラスに
大学入学直後は、ワクワクばかりでした。でも、それはそれとして、人と目を合わせて話すことができませんでした。
そこで、「リハビリ」も兼ねたチャレンジとして、なるべく多くの人に、能動的に話しかけるようにしました。
その結果、友達は、ゼミでも授業でもサークルでもできて、常に周りに人がいました。ひきこもり時代とは対極的ですね。
また、大学入学時の年齢は、3浪に当たります。ちょっと引け目を感じていて、年齢もひきこもりの経歴も、周囲に話していませんでした。
ただ、入学して半年くらいで、思い切って年齢や経歴を打ち明けたら、全然バレてなかったんです。「現役合格だと思っていた」と言われました。
年齢や経歴は、友達関係でのマイナスは全くありませんでした。むしろ逆で、いい意味で面白がられましたね。
超楽しかった大学生活②ラーメンサークルを作った〜孤独なひきこもり状態から、ラーメンを通じて人の輪が広がった〜
大学では、「青学ラーメン同好会」というサークルを自分で作りました。
食べ歩きをするサークルではなく、ラーメン屋のプロモーションの手伝いとして、動画を作成してSNSで流したり、キャンペーンを作成したり、そういう活動を行うサークルです。
この活動も、ひきこもり経験と関係しています。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、「ラーメンは人をつなぐ」です。
入学後最初のオリエンテーションでたまたま隣の席になった人が、ラーメン好きだったんです。その人と一緒にラーメンを食べに行って、徐々にその輪が広がっていきました。
「ひきこもりで、孤独で、誰も友達がいない」というところから、ラーメンを中心にして人のつながりができたということです。ラーメンじゃなくてカレーでもよかったかもしれませんが(笑)。
日本全国の大学にあるラーメンサークルをまとめた、「全日本ラーメンサークル連合」というものも作りました。
超楽しかった大学生活③就職活動でも、ひきこもりの経験はプラスになった
就活のときにも、最初は「経歴で弾かれたりしないかな」とか思っていたんですが、ひきこもりの経歴は面白がられて、プラスに働きました。
「ひきこもりだったのに、なんで今はこんなに回復してるの?」と、興味を持ってくれるんです。ひきこもりのエピソードを話したことで採用になった企業も、複数ありました。実際に入社したビズリーチでも、最終面接ではひきこもりの話だけをしました。
また、当時の就職活動では、「民間企業は2浪目まではOK、3浪以降はNG」と聞いていたんですが、そんなこともありませんでした(ひきこもり経験者の就活については、後でもうちょっと詳しく話します)。
超楽しかった大学生活④ひきこもり中の「やりたいことリスト」を、知らないうちに300個達成していた
僕は、ひきこもりのときに、ひらがなだらけの「やりたいことリスト」をノートに書いていました。
ひきこもりを脱却してからそのノートは書かなくなって、放置していました。何を書いたかも忘れていました。
で、就活のときに、自己分析のためにそのノートを引っ張り出して読み返したところ、300個くらいの「やりたいこと」が書かれていました。
そして、大学時代にそれを全部達成していたんです。それを見ながら行動していたわけじゃないのに。
ひきこもりのときにやりたかったことが、心の中に残っていたんだなと思います。
今ひきこもりの状態にある人へ伝えたい4つのこと
今つらい状況にいる方へ、僕が伝えたいことは大きく4つです。
①全ての人に可能性がある
②ワクワクを大切に
③今を楽しめれば過去は肯定できる
④経験は武器になる
以下、詳しくお伝えします。
今ひきこもりの状態にある人へ①全ての人に可能性はある
ちょっとクサいことを言うかもしれませんが、今ひきこもり状態にある方やその親御さんに伝えたいことは、「全ての人に可能性はある」です。僕がその実例です。
ひきこもり中の僕は、大袈裟ではなく、「死の直前」という状況だった時期もあります。日本語も、ひらがな以外書けなくなっていました。そこから学び直して、大学に合格して、社会復帰できました。
今ひきこもっている人に「将来、いいことあるよ」と伝えても、響かないかもしれません。
でも、おごるわけじゃなくて、「僕を見てくれ」と思います。そして僕以外にも、同じような人は大勢います。
あなたも、今の状況から、絶対に脱却できます。今どれだけ絶望していても、可能性はあります。
今ひきこもりの状態にある人へ②ワクワクを大切にしてほしい
ワクワクを大切にしてほしいです。ワクワクは最大の原動力になります。
ひきこもっているときって、自己否定しかしないと思います。「他の人はああなのに」「ああしなきゃこうしなきゃ」という自己否定に、押しつぶされそうになっていると思います。
自己否定ではなくて、想像しうる最大のワクワクを考え続けてほしいです。実現可能性は考えなくていいです。時間はあると思いますので、「月に行く」とか「好きなアイドルに会う」とか、ワクワクすることを考え続けてください。
ワクワク以外は考えなくていいです。脱却の方法さえも考えなくていいです。脱却の方法は、ワクワクを考えているうちに見つかっていきます。
ひきこもりの状態にある人へ③今が楽しければ、過去は全て肯定される
過去の「事実」は変えられません。でも、今は変えられますし、過去の「意味」も変えられます。
今が楽しければ、過去のことは全て肯定されるんです。
僕も、今楽しくない生活を送っていたら、「あのとき高校をやめてひきこもったから…」と、過去をネガティブに捉えていると思います。
でも今が楽しいので、「あのとき、高校をやめてひきこもったから、今がある!」と、過去をポジティブに捉えることができています。
過去をどう意味づけするかは、今次第です。
また、ひきこもった後に楽しい生活を送っていたら、「なんでひきこもりだったのに、今はそんなに楽しそうなの」など人から興味を持たれます。僕自身、ひきこもりのエピソードを持っていたから人と仲よくなれたことも多いです。
ひきこもりの状態にある人へ④将来の就職でも、ひきこもりの経験は武器になります
先ほど、僕自身の就活でひきこもり経験が役に立ったと伝えましたが、これは僕に限った話ではありません。
ひきこもりの経験は、武器になります。僕は、新卒で入社したビズリーチで、新卒採用の仕事をやっていました。採用する側の気持ちがわかります。
「ひきこもりのとき」と「就活できている今」の差分・ギャップがあるので、いい意味で興味を持ってもらえるんです。
レジリエンス力(※)があるということの証明にもなります(※精神的な回復力。困難やストレスに直面しても、それに耐え、しなやかに適応して回復する力)。
また、「ひきこもりから大学受験に合格しても、人よりも年齢が高くなっていたら、不利になるのでは?」と不安な方もいると思います。
いろんな会社の新卒採用担当と話をしましたが、年齢は、基本的には問題になりません。僕自身、新卒採用で面接する立場として、応募者の年齢を気にしたことがありませんでした。励ますために言っているのではなく、本当にそうだったんです。
実際、僕の同期にも、僕と同じかそれ以上遅れている人も珍しくありませんでした。後輩にも、8年遅れている人がいました。
4年以上遅れたら無理というのは、「日系大手企業の、さらにほんの一部」だけです。
保護者の方は、焦らず、でも情報は提供し続けてほしい
お子さんの不登校やひきこもりは、とても心配だと思います。よく言われることですが、僕の実感からも、「焦ってはいけない。辛抱強く待ってほしい」です。
「半年以内で、1年以内で社会復帰させよう」としても、その人のペースがあります。
とは言いつつも、「待っているだけ」では状況が変わらない可能性もあります。なので、お子さんへの情報の提供は続けてほしいです。
僕の母親は、「ワクワクのきっかけとなったブログ」以外にも、100個、200個と、ひきこもりに関連した話や、外出につながりそうないろんな話題を提供し続けてくれていました。
人が何かをするときには、「焦りや絶望の動機」と「ワクワクの動機」があります。焦りと絶望は、ひきこもりの本人がすでに持っています。本人は、自己否定を続けています。
だからこそ、親御さんには、ワクワクの――親ではなく、子ども本人のワクワクの――種になりそうなことを与えて、興味を持ったワクワクを実行できる方法も一緒に考えてほしいです。
このページは、全4回の第3回です。
- 5年間のひきこもり、カタカナも書けなくなった僕。それでも青学に合格し、今は起業して社長に——キズキの伴走があったから【卒業9年目のリアルストーリー(1/4)】
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