不登校・高校中退から早稲田大学への生還(石丸講師)

【名前】石丸香織
【大学】早稲田大学 第一文学部
【担当教科】英語、現代文、日本史、(算数)

キズキ共育塾・講師の石丸です。

私は、高校から不登校、鬱病を経験し、高校は中退しました。高校中退後、大検合格を経て大学に入学しました。

不登校に悩む方の参考になればと、私の経験をお伝えします。

小・中学時代

学校が大好きな普通の子どもでした。

中3のときに受験ストレスで心身症になりましたが、受験が終わると同時に治りました。

高校1年目

中学までと同じように楽しいはずと入学した高校ですが、なぜかうまくいきませんでした。

忙しい委員会に入り、クラスの人となかなか交流がないままで、気付けば仲のよい人がいない状態でした。

進学校で、周りの人は頭もよく勉強もしていたのですが、私はだんだん勉強しなくなり、ほとんどの科目でクラス最下位だったりビリから二番目だったりというような成績でした。

数学は赤点でした。

しばらくは仲のよい人がいない、つまらないという状態でしたが、だんだんとクラスで浮いている存在になっていきました。

あるとき、クラスの男子が「石丸の隣に座りたくない」と言っているのを聞いてしまい、その日から教室に入ることができなくなりました。

しばらくは保健室登校を続けていましたが、校門をくぐることができなくなり、最後には、高校の最寄り駅で降りようとするとパニック状態になるようになってしまいました。

体調を崩して1か月近く入院した後は、完全に学校に行けなくなってしまい、しばらく休学して留年することになりました。

外にもほとんど出られなくなってしまい、人と目を合わせることもできませんでした。

今まで学校が大好きで、自分は明るい普通の子どもだと思っていたので、いきなりそうなってしまった自分が信じられませんでした。

現実を受け止めることができず、インターネットでチャットを始め、そこで仲よくなった人たちに誘われネットゲームを始めました。

ゲームを楽しんでいたというよりも、現実で人と話せなかったのでチャットを通して会話することが楽しみでした。

不登校1年目の終わりごろから、担任の先生にカウンセリングに行くように言われて通っていました。

カウンセラーの人とも話をすることができず、病院の心療内科を勧められ、そこでは抗鬱剤や睡眠薬をもらっていました。

さらに、母が癌で入院してしまい、家にいつも一人で、学校にいけないことや母の病気などで自分を責めてしまい、毎日泣いていて、自殺未遂もしました。

かなり追いつめられていたと思います。

小・中の友達はみんなちゃんと学校に行っているので、自分がとても恥ずかしく思えて連絡を絶っていましたが、ネットゲームで知り合った人たちと電話したり、少しずつ現実で会うようになりました。

生身の人間とまた会話することができるようになり、不登校2年目のとき(学年は留年したので1年生ですが)に、がんばってもう一度高校に通ってみようと思いました。

高校2年目

通学再開の1日目、なんとか教室まで入り、席に座ることができました。

周りの人も親切に話しかけてくれたのですが、1年生のときに一緒だった人たちの視線がどうしても気になってしまい、2週間くらいするとまた保健室登校になりました。

保健室の先生と仲よくなり、いつも保健室で先生と話していました。

ネットで知り合った人たちと、保健室の先生、病院の先生とはちゃんと話せるようになりました。

しかし、どうしても教室に入ることができませんでした。

このままではまた留年してしまい、2回留年したら一体自分はどうなってしまうんだろうという恐怖で、いったん落ち着いていた鬱病がまたひどくなり、結局保健室にも通えなくなりました。

フリースクールや通信制の学校なども探しましたが、親が反対したり、向こうからそれとなく断られたりと、うまくいきませんでした。

不登校2年目の終わりに、母が手術を終えて一時退院しました。

毎日ベッドから出られない私のために、母は朝ご飯を作って起こしにきてくれました。

みんなから気持ちが悪いと言われているのではないか、と思い込んでいた私に、「じゃあ運動して綺麗になろうよ」と言って、一緒に体操してくれました。

そんな母の励ましがあり、また次の1年がんばってみようと思うことができました。

高校3年目

高校3年目になり、このころは、鬱病はかなり回復していました。

理由もなく悲しくなったり、死にたくなったりということはなく、人ともだいぶ話せるようになりました。

もう2回も留年してるんだから、何も失うものはないと思い、通学再開の1日目はさっぱりした気持ちで登校しました。

クラスの人たちがとても温かく迎えてくれたこともあり、友人もでき、3年目はそれまでで一番長く通うことができました。

しかし、自分と同じ年齢の子たちは受験生という事実に、とてもあせり、絶望的な気持ちになることが多くなりました。

自分はこのまま1年間がんばれるかもわからない、もしがんばれたとしても卒業する頃は20歳に近い…と思うと、不安でいっぱいで、また保健室登校になってしまいました。

転機

その年の夏、転機が訪れました。

お医者さんからの帰り、近くの女子大で、大学生たちがにぎやかに集まっているところを偶然見たのです。

みんなとても楽しそうで、希望に満ちているように見えました。

そのとき私は、「自分も大学生になったら普通に戻れるかもしれない、ああいうふうに楽しくキラキラして過ごせるのかもしれない」、と思いました。

今まで真っ暗だった将来に、光が差した感じです。

それから色々と調べ、大学入学資格検定(大検。現在は高等学校卒業程度認定試験、高認に制度変更)の存在を知りました。

大学も調べて、自分が心の病気になったことから、心理学を学んでカウンセラーになりたいと思いました。

3年目の夏に、高校を中退しました。

大検

大検を取ろうと思ったのですが、高校時代ほとんど授業を受けていなかった私には、中学3年生までの学力しかありませんでした。

中学のときに通っていた塾にもう一度通い始めましたが、自分の状況を知っている人が多く、気まずくなってやめてしまいました。

地元で、「高校に行っていない子どもも歓迎」というアットホームな塾があったので、そこで大検向けの勉強をしました。

その年に大検全ての科目に合格し、無理だとは思ったのですが大学も受験してみました。

もちろんどこも受からなかったので、親に頼んでもう1年勉強させてもらうことにしました。

予備校時代

大学合格という目標ができてから、鬱病はだいぶよくなりました。

明確な目標ができたことで希望が持て、目標に向けて努力し、大検合格という結果を出せたことで、自分に自信がついたのだと思います。

自分が高校を中退したことや、鬱病で病院に通っていることをあまり否定的にとらえなくなり、人の目も気にしなくなっていきました。

大検合格からだんだんと野心が湧いてきて、どうせなら日本のトップ大学に合格しようと思いました。

高校中退というと、それだけで下に見られたり、心ないことを言われることがあり、いい大学に合格したらそういう人たちを見返せると思ったのです。

そのために大手の予備校に通うことにしました。高校時代、教室に大勢の人と一緒にいるということが難しかったので、不安は大きかったのですが、誰も自分を知らない人がいる環境なのだから大丈夫、と言い聞かせました。

予備校では毎日朝から晩まで勉強し、大学合格という同じ目標を持ったたくさんの友達ができました。

高校時代ずっと「普通」に憧れてきた自分には、夢のような生活でした。

大検の勉強はしても、高校の勉強はほとんど分からない状態だったので苦労しましたが、予備校の先生や、友達の存在に助けられました。

何よりも、大学合格という目標は、自分にとって夢への切符のようなものだったので、つらくなかったです。

結局トップの大学は冬に諦め、第一志望に切り替えた早稲田大学に合格することができました。

舞台

大学2年目から、ふとしたきっかけで劇団に入り、舞台に立ったり自主映画やPVに出たり、カットモデルをしたりしていました。

心の病気だったころは、人前に出ることも、人と話すことも目を合わせることもできなかったので、自分で自分に驚きました。

高校時代にネットで知り合った友人も舞台を観に来てくれ、私の変化に驚き、とても喜んでくれました。

現在

大学ではずっと舞台を続けていましたが、卒業してこれから就職します。

いまの私は、高校時代に切望していた、「普通」の生活をしていると思います。

メッセージ

なんらかの理由で、普通のレールを外れてしまったみなさん。まず、自分を責めないでほしいなと思います。

私は、心の病気なんて他人事だと思っていました。

特別な人がなると思っていたし、自分がなるなんて思いもしませんでした。

だから自分がなったとき、怖かったし、きっと自分がよくない人間なんだ、と思ってすごく責めました。

でも、今振り返ってみるとそれは違うと思います。

「病気」は「病気」で、どうすることもできないんです。

誰だってなる可能性があるんです。

なってしまったら、治せばいいんです。治ります。

あなたが悪いのではないんです。

心の病気に限らず、学校を辞めてしまった、学校に行っていないことに罪悪感を持っている方もいるかもしれません。

もうどうしようもないと、絶望感を持っている方もいるかもしれません。

いろんなバックグラウンドを持つ方がいると思いますが、絶望することなんてないんです。

人は目標を持ったら、心に希望が生まれます。

目標が見つからなかったら、小さいことから始めたっていいと思うんです。なんでもいいんです。

私は、自分が大検を受けて、大学合格したことで、自信と希望を持つことができました。

だから、もしこれから高認試験を受けたい、大学に行きたいという方がいたら、心からサポートさせていただきたいと思います。

特に目標はないけど、とりあえず自信をつけたい、目標を持ちたいという方、もしよければ大学受験を考えてみてください。

勉強は正しい方法でがんばれば、必ずできるようになります。

成績は裏切らないです。

受験には運もあるかもしれませんが、がんばったという経験は、絶対に自分に自信を与えてくれます。

無理はしなくて大丈夫です。お話だけでもしてみませんか?

お待ちしています。


※ゼロからの学び直しや受験勉強のやり直しは、ぜひキズキ共育塾にご相談ください。講師とスタッフがあなたの学びを温かくサポートします。ご相談は無料です。


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