1. 採用トップ
  2. コラム
  3. 挫折を物語に変えるということ

安田祐輔~連載コラム~

プロフィール
安田祐輔(やすだ・ゆうすけ)*1983年神奈川県生まれ。国際基督教大学(ICU)教養学部国際関係学科卒。大学卒業後、総合商社勤務を経てキズキを立ち上げ、現在同代表を務める。中退・不登校経験者向けの受験塾、大手専門学校約6校での学習センター運営に加え、高校・専門学校を中心とした教職員研修、新宿区での就労支援事業、ベトナムでの海外インターンシップ事業など様々なアプローチで若者の後押しをしている。

挫折を物語に変えるということ

僕が経営するキズキ共育塾(不登校・ひきこもり・中退者向けの学習塾)には、不登校の中学生、高校を中退したばかりの子、ひきこもり経験者など、様々な困難を抱えた若者たちが、高校受験・高認受験・大学受験などを目指して通ってくれている。

状況は様々だけれども、彼らに共通しているのは、「大きな挫折を経験している」ということだ。

生徒の悩みに耳を傾ける安田

「もう2×歳になってしまった。周りは働いているのに…」
「二度と、普通に生きられないかと思うと怖い」

キズキ共育塾には、毎日のようにそんな若者たちがやってくる。

そんな彼らに対して僕が伝えるのは、「意外に遠回りも悪くないよ」、ということだ。

僕も、親の相次ぐ離婚、暴走族経験、うつ病etc、いろいろなことを経験してきたけれども、だからこそ今の事業ができた。

そんな経験のおかげで、家族に問題を抱えている若者の気持ちもわかるし、保護者の相談にも乗れる。

不良時代の写真はプレゼン時の掴みとしては最高だし、うつ病を経験したことで「ひきこもり」の若者の相談に乗れることも多い。

10代のころの挫折は、20代後半になって、一本の線で繋がったように思う。

僕の周りの優秀な人たち、それも高い年収を得て、有名な会社で働いている人たちの中で、何か「物足りなさ」を感じている人は多い。

「自分が本当にやりたいことは何なのかわからない」という話をよく聞く。

能力をつけて誰もが羨む地位や収入を手に入れたとしても、それだけだと「空虚さ」のようなものを抱えてしまうらしい。

けれども、何かしらの原体験のある僕らは、ラッキーだ。

やりたいことを行うためのハードルの高さに苦しむことがあっても、「やりたいことが見えない」悩みは少ない。

生きる上で直面する多くの選択の中で、「自分がどの物語を選ぶべきなのか」、その判断基準に迷うことも少ない。

僕の好きな言葉に、マッキンタイアという政治哲学者の言葉がある。
「『私はどうすればよいか?』という問いに答えられるのは、それに先立つ『私はどの物語のなかに自分の役を見つけられるか?』という問いに答えられる場合だけだ」(マッキンタイア『美徳なき時代』)

小さくても首尾一貫した自分なりの物語を歩むことの方が、幸福や自己肯定感には繋がるのかもしれないと僕は思う。(2015年10月12日掲載)

キズキ共育塾は挫折した若者が学び直すための個別指導塾です。
現在講師大募集中ですので、ご関心のある方はぜひ講師アルバイトの募集要項をご覧ください。

※2018年4月、安田の自伝本『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由』が講談社から出版となりました。詳細は講談社公式サイトをご覧ください。

その他の安田祐輔コラムを読む