安田祐輔~連載コラム~

プロフィール
安田祐輔(やすだ・ゆうすけ)*1983年神奈川県生まれ。国際基督教大学(ICU)教養学部国際関係学科卒。大学卒業後、総合商社勤務を経てキズキを立ち上げ、現在同代表を務める。中退・不登校経験者向けの受験塾、大手専門学校約6校での学習センター運営に加え、高校・専門学校を中心とした教職員研修、新宿区での就労支援事業、ベトナムでの海外インターンシップ事業など様々なアプローチで若者の後押しをしている。

「頑張る」ために必要なこと

弊社のメイン事業の一つは、「不登校・高校中退・ひきこもりなどの経験者」を対象とした大学受験塾の運営だ。

不登校や高校中退、ひきこもりを経験しながらも、「もう一度やり直したい」「大学に行きたい」と願う若者たちが、私たちのもとに通っている。

今は必死に頑張っている彼らであっても、相談に来た当初は「人よりも遅れてしまった」「もうやり直せないかもしれない」と悩んでいたことがほとんどだ。

高校中退率は全国平均で2%であり、一部の教育困難校を除けば、ほとんど高校を中退する者はいない。

だから、一度学校を辞めると、それまでの学校のコミュニティから離れてしまうため、友人関係からも孤立してしまうことが多い。

安田と生徒
生徒の悩みを聞く安田

そんな若者がキズキ共育塾に相談に来たとき、僕は自分の話をしたり、弊塾で働く講師たちの話をしたりする。

例えば僕は2年遅れで大学に入って休学もして、3年遅れで卒業した。

例えばある大学生講師は、高校中退してずっと引きこもって、4年遅れで大学に入学し、誰もが知っている大手企業に入社する。

考えてみれば当たり前だが、10代の挫折で人生が決まるわけがない。

そんな話をすると、相談に来た若者はうつむいていた顔を、少しだけ上にあげる。

******

不登校・高校中退・ひきこもりに限らず、どん底の状況にある人々を支援しようとするとき、そもそも「頑張る」気力が失われていることが多い。

「頑張ればなんとかなる」と多くの人は言うかもしれないが、そもそも困難な状況にある人々は「頑張れない」ことに悩んでいるのだ。

だから支援の第一歩は、「頑張る」ための手助けをすることだと僕は思っている。

では、「頑張る」ために必要なことは何か?

その答えの1つが、希望を見せることだと思うようになった。

「もうどうにもならない」という絶望を、「なんとかなるかもしれない」という希望に、思考の変化を促し続けることだ。

「もうどうにもならない」と思っている限り、人は頑張れない。

頑張った先の未来の姿が想像できるからこそ、頑張れる。

これは「不登校」「中退」「引きこもり」の若者だけに限ったことでなく、大きな挫折経験のない人であっても同じだと思う。

実現不可能に思える目標に対しては、誰でも頑張れない。

だから先ほどのエピソードのように、日々の現場での会話を通じて、少しずつ希望を提供すること、それが支援の第一歩だと考えている。

******

人は、たった一筋の「希望」を提供することで、驚くほど変化することがある。

そんな瞬間を、僕はこの4年間何度も見ることができた。

これからもそんな瞬間に、たくさん立ち会えたら嬉しい。(2015年11月23日掲載)

キズキ共育塾は挫折した若者が学び直すための個別指導塾です。
現在講師大募集中ですので、ご関心のある方はぜひ講師アルバイトの募集要項をご覧ください。

※2018年4月、安田の自伝本『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由』が講談社から出版となりました。詳細は講談社公式サイトをご覧ください。

その他の安田祐輔コラムを読む