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安田祐輔 連載コラム〜挫折を物語に変えるということ〜

執筆キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年7月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【著書など(一部)】
暗闇でも走る(講談社)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』 現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営株式会社キズキ

ビジョンである「何度でもやり直せる社会をつくる」、ミッションである「事業を通じた社会的包摂」のため、不登校や中退、引きこもりや生活困窮、うつや発達障害など、様々な困難に直面した方たちに向けた様々な事業を展開する。カンパニーサイトはこちら

僕が経営するキズキ共育塾(不登校・ひきこもり・中退者向けの学習塾)には、不登校の中学生、高校を中退したばかりの子、ひきこもり経験者など、様々な困難を抱えた若者たちが、高校受験・高認受験・大学受験などを目指して通ってくれている。

状況は様々だけれども、彼らに共通しているのは、「大きな挫折を経験している」ということだ。

生徒の悩みに耳を傾ける安田

「もう2×歳になってしまった。周りは働いているのに…」
「二度と、普通に生きられないかと思うと怖い」

キズキ共育塾には、毎日のようにそんな若者たちがやってくる。

そんな彼らに対して僕が伝えるのは、「意外に遠回りも悪くないよ」、ということだ。

僕も、親の相次ぐ離婚、暴走族経験、うつ病etc、いろいろなことを経験してきたけれども、だからこそ今の事業ができた。

そんな経験のおかげで、家族に問題を抱えている若者の気持ちもわかるし、保護者の相談にも乗れる。

不良時代の写真はプレゼン時の掴みとしては最高だし、うつ病を経験したことで「ひきこもり」の若者の相談に乗れることも多い。

10代のころの挫折は、20代後半になって、一本の線で繋がったように思う。

僕の周りの優秀な人たち、それも高い年収を得て、有名な会社で働いている人たちの中で、何か「物足りなさ」を感じている人は多い。

「自分が本当にやりたいことは何なのかわからない」という話をよく聞く。

能力をつけて誰もが羨む地位や収入を手に入れたとしても、それだけだと「空虚さ」のようなものを抱えてしまうらしい。

けれども、何かしらの原体験のある僕らは、ラッキーだ。

やりたいことを行うためのハードルの高さに苦しむことがあっても、「やりたいことが見えない」悩みは少ない。

生きる上で直面する多くの選択の中で、「自分がどの物語を選ぶべきなのか」、その判断基準に迷うことも少ない。

僕の好きな言葉に、マッキンタイアという政治哲学者の言葉がある。
「『私はどうすればよいか?』という問いに答えられるのは、それに先立つ『私はどの物語のなかに自分の役を見つけられるか?』という問いに答えられる場合だけだ」(マッキンタイア『美徳なき時代』)

小さくても首尾一貫した自分なりの物語を歩むことの方が、幸福や自己肯定感には繋がるのかもしれないと僕は思う。(2015年10月12日掲載)

キズキ共育塾は挫折した方々が学び直すための個別指導塾です。
現在講師大募集中ですので、ご関心のある方はぜひ講師アルバイトの募集要項をご覧ください。

※2018年4月、安田の自伝本『暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由』が講談社から出版となりました。詳細は講談社公式サイトをご覧ください。

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