経営方針

キズキの経営方針についてご紹介します。


社会的な事業では、一般的に「寄付」「行政委託」「ビジネス」の3つの方法があると私たちは考えています。

「寄付」について

例えば貧困世帯の支援など、利益獲得が困難な事業を遂行する上では、寄付は有益な手法となりえますが、そのためには継続的に寄付を募る能力が必要となります。

キズキでは、2016年に株式会社・NPO法人の2法人体制になったことをきっかけとして、改めて「寄付」事業に力を入れています。

2017年4月からは、ひとり親世帯の若者2名に、寄付を原資とする奨学金の提供を始めました。また、学校外教育バウチャーという仕組みを、寄付を用いて実験的に行う準備も現在しています。

「行政委託」について

行政は市場の失敗を補完する上で歴史的に重要な役割を果たしていきましたが、教育・福祉分野の委託事業については、現状では以下のような課題があると感じています。

1:行政委託事業では、質の向上に向けた切磋琢磨よりも、行政が決めた枠組みに沿ってきちんと事業を行うことが最も重視されがちです。

2:現状、多くの行政委託事業では「行政が委託業者を選ぶ」というやり方が行われています。そのため、困難を抱える方々が「どの業者によるサービスを選ぶか」という選択権を持っていないケースがあります。キズキの事業で言えば、「普通の」生徒さんたちは塾を選べるのに、貧困などの困難を抱える方々は行政が指定した業者に通わざるをえないという状況が生まれているのです。

3:教育・福祉の行政委託事業では、間接費の設定が認められていない場合が多々あるなど、事業の継続性を考えると委託を受けるのが難しいことがあります。

キズキでは、これらの課題解決を行政に訴えかけながら、今後は徐々に行政委託事業に力を入れていきます。

「ビジネス」について

上記の「行政委託事業」の裏返しの表現になりますが、「質の向上に向けた切磋琢磨を行うこと」「利用者が最もよいサービスを選択できること」「持続可能な組織であること」が、社会課題解決において重要なことだとキズキは考えています。

また、少子高齢化などによって国の社会保障費が増大する中で、「できるだけコストをかけず」社会課題を解決できる仕組みも重要だと考えています。

これらを満たしているものが、「ビジネス」だと考えています。

ビジネスであれば、他者との競争の中で質の向上が生まれます。顧客は質が高いサービスを選ぶことができ、事業者は適切な対価をいただくことで組織として継続していくことができます。もちろん行政の補助が出るような事業も多々ありますが、基本的には行政がコストを払う必要はなくなります。

以上から、キズキでは、一定レベルの所得層の方々を対象とした事業はビジネスとしてきちんと対価をいただくべきだと考え、ビジネスを基軸に事業を展開していきます。

もちろん現実には、「売上」と「社会的価値」が必ずしもリンクしないビジネスがたくさんあります。いくら売上を上げても、一部の人が幸福になり多数の人が不幸になってしまうようなビジネスもあります。

キズキは、このような事態を回避するため、「より多くの困難を抱える人に質の高いサービスを届ける」ことと、「売上・利益といったビジネスの結果指標を直結させる」ことに徹底的にこだわります。

そのため、例えば学習教室事業(不登校・中退など、既存の学校教育から外れた方々が「何度でもやり直せる」ための塾、キズキ共育塾)では、生徒さん一人ひとりの半年以上の通塾継続率(退塾率)を重要な指標の一つと定義し、継続率向上に向けて徹底的にサービスを改善しています。

なぜなら、「一度学校をドロップアウトし、他の塾にも通えなかったような生徒さんが、キズキ教育塾には半年以上通い続けられた」ならば、彼らの社会復帰にとって重要な出来事となるからです。

そしてキズキ共育塾は月謝制のため、生徒さんに通塾を継続してもらうことが、売上を継続的にあげる上でも重要なのです。

また、生徒数の拡大こそが「より多くの困難を抱える人に質の高いサービスを届ける」ことにつながると考え、多くの生徒さんに授業を提供できる講師をより高く評価する設計としています。

今後他の事業に参入する場合も、その選択においては、「何度でもやり直せる社会をつくる」というミッション達成とビジネスとしての成果達成が直結されることが担保されることを不可欠の条件とすることをここに宣言します。

【2017年5月22日掲載】