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メガバンクからソーシャルビジネスの世界へ転職。人々の精神的な豊かさを追求したい


伊藤優
東京大学教養学部卒業
経営管理部部長

雙葉学園から東京大学に進学し開発学を学ぶ。しかしフランスへの留学、トーゴでのインターンシップ経験を通して、国際協力という指針を失う。東大卒業後はメガバンクに就職。端から見れば理想的なエリート街道まっしぐら。しかし、精神的な充足感を感じることができずに過ごしていた。精神的な豊かさを追求したいと思い、キズキへの転職を決断する。

国際協力に憧れを抱く


幼稚園、小学生の頃は、一言で言えば「コミュ障」と言われるタイプでした。

人に慣れるのに時間がかかるので、中学受験塾に通い始めても、最初の1年は誰とも一言も話さなかったのを覚えています。

一方で、正義感のある一面もありました。

「だから、あなたも生き抜いて」という本を読み、どん底の状況にいる人々に希望を与えている著者に感銘を受け、「私も人を助けられる人間になりたい」と憧れを抱いていたのです。

そんな小学生時代のある日。

ユニセフの「アフリカの子どもが1分に〇〇人死んでいく」というパンフレットを読み、幼いながらにショックを受けました。

その頃から「国際開発学を学んで、将来は世界中の貧しい人たちを助けたい!」と思うようになりました。

その後、中学受験を経て中高は雙葉学園に。大学受験も上手くいき、無事東京大学に進学。

念願が叶って、東京大学で憧れの開発学を学ぶことができました。

フランス留学で自信を失う


社会科学系のフランス屈指のエリート校パリ政治学院
フランス屈指のエリート校
パリ政治学院

国連で働きたいという気持ちがあったので、国連の公用語でもあるフランス語を高校・大学で学んでいました。

フランス語は得意で自信もあったので、大学の交換留学プログラムでフランスに行くことを決めたんです。

留学先のパリ政治学院という学校で、現地のフランス人や世界各国から集まった留学生たちと一緒に、主に国際関係論や社会科学全般を勉強していました。

そんな留学生活のある日、他の留学生たちのプレゼンテーションを見て愕然としました。

言語能力、コミュニケーション能力、思考の深さ全てにおいて、今までに見たことのないレベルの高さでした。

それに対して、先生が口頭で伝えてくる宿題内容を聞き取るのに精一杯な自分。

私と彼らには圧倒的な力の差があることに気づいたのです。

この日から「世界には優秀な人達がたくさんいるのに、自分程度の人間に一体何ができるのだろうか?」という考えが頭の中をぐるぐる回り始めました。

「世界を股にかけて働くかっこいい自分」という憧れのイメージは遠ざかり、自信を完全に失ったのです。

トーゴで国際協力という指針を失う


フランス留学で自信を失った私ですが、さらにアフリカにあるフランス語圏の国“トーゴ”での2つの経験を通して「国際協力」という指針も失うことになります。

エイズ患者の支援をする伊藤
エイズ患者の支援をする伊藤

まず、現地のNGOでインターンをしたときのこと。

開発学を学んでいるなら、机上で議論をしているだけでなく、やはり現場を見なくてはいけない。

そう思っていたところ、知り合いからトーゴでエイズ・HIV患者の支援をしているNGOを紹介していただき、そこでインターンシップをすることにしました。

しかし、いざエイズ患者の人々のサポートをしていると、彼らに本気で向き合えない自分に気がついてしまったんです。

私が関わったエイズ患者の中には、感染したことが原因で夫に逃げられ、孤独に生活している悲壮な人生を送っている方もいました。

とても可哀相な状況ではあったのですが、一方で、あまりにも自分と違う世界にいる彼女の境遇に対して心から共感することができず、「彼女を助けたい」というような情熱が湧いてくることもない自分に気がつきました。

相手の辛さを実感を伴って理解することができなかったのです。

そんな自分が人情味の無い冷たい人間に思え、「国際協力をする資格など私には無い」と絶望しました。

もう1つは、現地人の友人にキリスト教の教会に連れていってもらったときのこと。

教会というと「賛美歌が流れて厳かな雰囲気」というイメージを持っていた私は、現地の教会に着いて驚きました。

礼拝が始まる前のトーゴの教会
礼拝が始まる前のトーゴの教会

厳かさなど何もないアップテンポな曲調の賛美歌が流れ、それに合わせてバンドがギターをジャガジャガと弾く。

人々はファンキーに踊り、神父は絶叫。

どう見てもイメージしていた教会の雰囲気ではありません。

でも、集まっていた人々が皆イキイキとした表情をしていたのです。

私の友人はこう言っていました。
「私たちは確かに日本人と比べたらとても貧しい。でも神様が僕達を守ってくれるから何も不安は無いし、毎日家族や友達と一緒に暮らせることが何より幸せだよ。」

「貧しい人々は辛い思いをしている。彼らの生活を向上させてあげたい」そういった思いがあり、それまで開発学を学んできました。

しかし、彼らは私がイメージしていた「可哀想な人たち」ではなかったのです。

私たち先進国は「1日1ドル以下で生活している人」という基準をつくり、対象者を支援しています。

しかし、それはあくまで先進国の私たちの価値観に基づいて、恣意的につくった基準にすぎません。

トーゴの人々の貧しいながらも幸せに満ちた生活を見ると、自分の価値観を押し付けて、彼らの生活を変えようとすることに大きな矛盾を感じたのです。

フランスやトーゴでの経験から私の持っていた価値観が根幹から揺らぎ、自分が社会に対して何をすべきかまったくわからなくなったのです。

とりあえずメガバンクに就職するも、精神的に追い込まれる


留学・インターンから日本に帰ってくるとすぐに就活の時期に入りました。

国際協力という目標を失い、「何のために働くのか」が全くわからず、呆然とした気分でした。

しかし、就活の時期は待ってくれないので、とりあえず就活を開始。

結果的に日本のメガバンクへの就職が決まりました。

雙葉学園から東京大学に進学。卒業後はメガバンクに就職と、端から見れば何不自由ない理想的なエリートコースなのかもしれません。

しかし、自分の価値観が揺らいでいる中で就職先を決めてしまったので、仕事に熱意を持っている周りの社員との温度差を感じ続ける日々でした。

自分が本当に人生をかけてやりたいことが何なのか分からず、その状態で仕事をしていくことが精神的に辛くなっていきました。

ついには「経済的にも社会的にも何も不便がないのに、なんで自分はこんなに不幸せなのだろう?」とまで思いつめてしまったのです。

精神的な豊かさを追求したいと思い、キズキへの転職を決断する


トーゴでエイズ患者の境遇に共感を抱くことができなかった自分。
銀行の仕事に熱意を持てず、精神的に苦しむ自分。

「では自分が共感と情熱を持って取り組めることは何か?」
悶々と悩み続けた結果、出した答えは
「人々の精神的な豊かさを追求したい」
というものでした。

そんな時に、大学時代の先輩がキズキのことを教えてくれました。

代表の安田さんがマザーハウスカレッジで講演することを知ったので、すぐに職場の京都から東京へ夜行バスで向かいました。

実際に安田さんの話しを聴いてみて、「まさにこれだ!」と思いましたね。

特に心に残っていることが2つあります。

まず、他の社会的事業と比べて、キズキにはビジネスの感覚があると思いました。

私がインターンをしていたNGOでは、「如何に寄付を募るか」という観点を学びました。

しかし、それだけでは社会的インパクトを出す上で限界があると感じていたのです。

なので「徹底的に数字を追って、利益にもこだわる」という安田さんの言葉に魅力を感じました。

もう1つは、社会課題に対する本気の姿勢です。

「キズキのビジョンを達成するまでに時間がない。焦っている。」安田さんはこう言ったのです。

「いつの日かこの社会問題を解決する」というような、曖昧な気持ちではなく、安田さんは社会問題を解決する具体的な時点をイメージしていたのです。

「こんな真剣に社会課題に取り組んでいる人は今までに見たことがない。」そう思いました。

この講演を聴いて、キズキがまさに私が求めていたものだと確信を持ちました。

その場ですぐに「職員は募集していないのですか?」と安田さんに質問してしまいました。笑

そんな経緯でキズキに転職をすることを決めたのです。

新卒でメガバンクに就職してから2年3か月後のことでした。

支援に本気なキズキ講師たちを知り、衝撃を受けた


入社してすぐの夏にキズキの講師やスタッフの皆さんで支援研修合宿をしました。

2日連続で研修施設に缶詰になって支援について学び、議論をする場です。

朝から夕方までの研修を終えて、ご飯を食べて、温泉、そして飲み会。

それまで私は、飲み会というものを“仕事のことを忘れて他愛もないことを話すもの”だと思っていました。

しかし、キズキの講師陣は違いました。飲み会中もその後も、朝までずーっと
「どうやったらよりよい支援ができるのか」
「こんな生徒にはどうやって接すればいいのか」
と議論をしているのです。自発的にです。

「講師の方たちはここまで生徒のことを親身になって考えているのか」と強い衝撃を受けましたね。

経理・財務・人事・労務などの組織の仕組みづくりを担当しているので、「この講師の方たちが働きやすい環境をつくっていかねば」と身の引き締まる思いをしました。

「組織のこと=自分のこと」と考えているから成長できる


ベンチャー組織のすごいところは、社員一人ひとりが、組織のことを“自分ごと”として捉えていることだと感じています。

新卒でキズキに入社した、私と同年代の仁枝さんが特にそうです。

大企業の一社員だったら「それは他の部署の担当で、おれとは関係ない」と済ませてしまいそうなことでも、仁枝さんは、本気で考え抜き、その結果に一喜一憂します。

彼と一緒に働いていると、そのレベルのマインドを持って働いたことがなかった私との大きな実力の差を感じ、焦りを覚えます。

「組織のこと=自分のこと」そう思って日々働いているから、仁枝さんは大きな成長を果たせたのだと思います。

私もそのマインドを持ってこれから働きたいです。

「キズキがあるから希望を持てる」そんな存在にキズキを成長させたい


「人生のどこかの局面で精神的に困難なことがあったら、まずキズキを思い浮かべる。」
「キズキがあるから希望を持てる」

5年後、10年後には多くの方がこう思ってくれるように、キズキを成長させたいと思っています。

規模が大きくなっていっても、キズキで働く皆さんが楽しく、快適に働けるような仕組みづくりをしていきたいです。

2015年からキズキは海外事業をスタートさせました。

私は、大学時代に開発援助という指針を失ってから、思考停止して、世界の人々に目を向けることができませんでした。

今度は、開発援助という経済的な成長の支援ではなく、精神的な面で世界の人々に手を差し伸べることができればいいなと考えています。

メッセージ


私は、メガバンクで働いている時は経済的・社会的に不自由がありませんでした。

しかし、自分の仕事を通じての価値が何なのか分からず、精神的な充足感を得ることができませんでした。

今は自分にとっての“働く意味”が明確に見つかり、価値のある人生を送れていると実感しています。

キズキが万人に合っている組織だとは思いません。

ただ、もし私のようにキズキが自分に合っていると感じた方は、講師や職員、インターンなど色々な関わり方があるので、ぜひ来てみてください。