元ひきこもり芸人 山田ルイ53世氏インタビュー【第2回】
受験で役立った、ひきこもるまでの勉強の蓄積と習慣
蓄積があったため、大検取得にはそこまで苦労しなかった
安田:ご著書では、大検受験(※)や大学受験の際に猛勉強をされたと書かれているのですが、その詳細は書かれていませんでした。ひきこもり環境の中で、どのように勉強されたんでしょうか。
(※大検…大学入学資格検定。高校卒業者と同等の資格が得られる国家試験。現在は廃止され、高等学校卒業程度認定試験(高認)に移行しています)
山田氏:大検については、参考書を使って家で勉強していました。もちろん必死に勉強したんですが、そこまで苦労せずに合格しましたね(笑)。
なぜかというと、中学が中高一貫の進学校だったので、不登校になる前の中学生のときに、高校1年生くらいまでのことは教わっていたんです。なので、高校の範囲をゼロから学び始めるということではなく、ひきこもるまでに勉強していた蓄積があったんです。
安田:センター試験用、大学受験用の勉強は、大検よりも難しいと思うのですが、それもスッと、うまくいった感じでしょうか。
山田氏:まず、受験する大学は「現地で受験しなくていい、センター試験だけで受験できる大学」という基準で愛媛大学を選びました。なので、二次試験用の勉強はしていません。と言って、別にセンター試験で満点を取っていたわけではないので、「結果としてなんとか足りた」ということでしょうか。
センター試験用の勉強では、進研ゼミや大学受験ラジオ講座を利用していました。ラジオ講座はテキストも売っていたので、それも使ったりして。
あとは、NHKラジオの基礎英語を聞いていました。当時はビジネス英会話みたいなのを放送していたんですよ。スラスラ理解できたわけではないんですが、それをやってる感じが「ええな」と。もともと英語が得意、好きということもあったんですが。
「こんな勉強法が有効!」みたいな話ができないのは申し訳ありません(笑)。
中学受験の際に、勉強の習慣が身についていた
安田:周りの人に勉強を教えてもらうことはなかったんですか。
山田氏:なかったですね。もともと中学受験のときに、地方の、田舎の、普通の住宅街で、進学塾に行かずに自分で勉強していた経験がありました。なので、勉強に対する慣れがあり、大検・大学受験のときも自分で勉強に取り組めたんです。
安田:キズキ共育塾の生徒にも、中高一貫校を中退した人は多くいます。そういう話は励みになりますね。
山田氏:中学受験に向けて取り組んでいたとき、一応地元の塾には通っていたのですが、ほんましょうもない塾やった(笑)。最終的には、僕が答えを教えないと先生がわからないというような、ハハハ。僕が天才だということではなく、その先生ができないということなんですが。
支援団体があるのはいいこと。ラッキー
安田:キズキ共育塾の生徒や相談に来る人は、3年くらい引きこもっていて、「このままじゃやばい」と思いつつ、「ああ今日も何もしなかった」みたいな人が多いんです。
山田氏:キズキに限らず、不登校や引きこもり、中退などの人を支援する団体があるのはいいですよね。「自分のときにそういう団体があったら」と考えたら。ネットなどで情報発信もしてるわけですし、ひきこもっている人たちにしたら、絶対マイナスではないですよね。僕のときはネットもありませんでしたから。親も随分困ったでしょうね。こういう環境があるということは、当時と比べればラッキーだと思います。
…これだけ褒めたんですから、不祥事なんか起こさないでくださいよ(笑)。
大学受験を目指した当時の価値観(モノサシ)やコンプレックス、勉強方法について語っていただきました。
次回、第3回のタイトルは「世界をズラし、お笑いで勝負」です。猛勉強して合格した愛媛大学も、山田氏は中退しています。その後お笑い芸人として活躍されるのですが、勉学の道ではなく芸人を目指すようになった理由やモチベーション、芸人生活の現実について語っていただきます。
生徒さんの多様なニーズに応えるため、講師アルバイトを積極募集中。
- キズキ共育塾(株式会社キズキ)サイト:https://kizuki.or.jp/
- キズキグループ採用情報サイト:https://kizuki.or.jp/company/
元ひきこもり芸人 山田ルイ53世氏インタビュー