引きこもりを経験したあなたを必要とする仕事がココにあります
キズキ共育塾で講師をしている松田裕也(まつだ・ゆうや、仮名)です。
僕は東京都内の某理系国立大学に現役合格、卒業後に就職してすぐに会社を辞めて、そのあと3年間も引きこもりました。
引きこもり当時の話をすると、周囲からは「引きこもりのプロ」と呼ばれることもあります。
ドラクエで言えば、職業「引きこもり」、レベルは40を超えていました(笑)
今はダーマの神殿で転職をして、職業は「社会人」です。
でも、レベルはまだ5くらいでしょうか…。ようやくホイミやメラを覚えたくらいです。
しかし、レベルが40から5までダウンした代わりに、自己肯定感を得ることができました。
現在キズキ共育塾では正社員として週5日働き、やりがいも感じています。
今回は、そんな元引きこもりの僕から、引きこもりの(または引きこもりから一歩踏み出したばかりの)あなたに向けて、
「どのように社会復帰したの?」
「どうやって仕事を見つけたの?」
「仕事はつらくない?」
といった、あるあるな疑問について、実体験に沿って答えていきます。
「引きこもり経験者には仕事はないんでしょ…」
「求人サイトで“引きこもり”で検索しても仕事が見つからない…」
「自立したいけど、一歩踏み出す勇気がなかなかでない…」
僕もそんな気持ちを持ちながら、必死に仕事を探していました。
引きこもり経験を活かせる仕事は、あります。
僕の体験が、少しでもあなたに勇気を与えることができたら幸いです。
引きこもりはつらいよ
突然ですが、引きこもりってつらいですよね。
ごはんを食べているときも、「働いていないのに、食べるばかりでごめんなさい…」
家にいるときも、「家族の足音が気になってストレス…」
たまーに外出すれば、「おいてけぼり感ハンパない…」
何か買うにしても、「親からお金もらうと、情けない…」
僕はこんなことを思っていましたし、キズキ共育塾の引きこもり経験者にも、共感してくれる人は多いです。
引きこもりをしていて申しわけないから、炊事、洗濯、風呂掃除を担当するのは当たり前。
家事の合間にはワイドショーを観て社会のことを考えたり(自分と直接関係がない話題を観て、現実逃避していただけなんですけどね)。
親に悪いから寝る時間を無理して合わせようとしても、夜眠れない。
世間からは「楽そうだな」と思われがちな引きこもり生活は、意外と大変でした。
あなたも、つらい思いをしていませんか?
あなたが引きこもりになった理由、いまの状況、家庭環境などは様々だと思いますが、僕から、「引きこもりのあなた」に行ってほしい2つのことをお伝えしたいと思います。
①他者との関わりを持ってほしい
社会復帰の初めの一歩を踏み出すためには、他者と関わり、自分を客観的に知る必要があります。
なぜならば、自分だけで自分のことを考えていても、(特にひきこもりをしていると)悪い方にばかり考えがちで、結局一歩踏み出せなくなることもよくあるからです。
勉強を例にすると、自分ひとりで考えてわからなかった問題も、先生と対話しながら授業をすればすんなりわかることがあるように、他者との関わりはとても重要です。
僕は、3年間の引きこもりの中で、最初の2年間は誰にも相談せずに、自力でなんとかしようと思っていました。
それでも状況は何も変わらなくて、ようやく他人に助けを求め始めました。社会復帰に向けた第一歩です。
もちろん、誰かと話をするためには、パワーが必要です。
まずは、無理のない範囲でカウンセリングや医者に行くことをおススメします。
しかし、カウンセラーや精神科医の中には、残念ながら引きこもりに理解が乏しい人たちもいますし、理解があっても相性が合わないこともあります。
自分に合わないカウンセラーや精神科医に出会ってしまったら、別の人を探しましょう。
実際、僕は何回もカウンセラーを変えました。
カウンセラーに話をしてもわかってくれない、ウンウンと共感されているけど、結局僕のことを何もわかってくれない。
つまり、なんの解決にもならなかったことが多かったんですよね。
イライラばかりたまっちゃうから、そんなときはすぐにカウンセラーを変えていました。
でも、最後に出会ったカウンセラーは、少し話しただけで、僕のことをすぐに全部わかってくれました。
その上で、「僕の状況」を言語化できるような的確な質問をしてくれたおかげで、前向きにがんばろうと思えたんです。
約1か月、カウンセラーと対話を重ねることで、とりあえずアルバイトしてみようと決心できました。
得意だった勉強を生かそうと、塾講師の仕事を探していたら、「何度でもやり直せる社会をつくる」というミッションを掲げている「キズキ共育塾」に出会ったんです。
「かつての受験勉強の経験と、自分の引きこもりという挫折経験を生かせる仕事だ!」と思い、自然と体が動いていました。
面接ではとても緊張しましたが、採用となりました。
「これまではカウンセラーさんから支援される側だったけど、これからは生徒さんを支援する側になる」と、気が引き締まりました。
引きこもってから3年、社会復帰の二歩目に進んだのです。
②自分のペースで少しずつできることを増やしてほしい
社会復帰してからは、「その生活」を継続することも大事です。
僕からのアドバイスとして、自分のペースで少しずつできることを増やしてほしいと思います。
僕自身、社会経験が乏しかったため、キズキ共育塾の講師としてうまくいかないことも最初は多くありました。
やっぱり、引きこもりだったから、体力が持たないんですよね。
最初は週に1コマでも疲れちゃったんです。
人とのコミュニケーションも苦手で、塾にいても他の講師や教務の人に話しかけられるのがイヤで、いつもフロアの隅っこに座っていました。
そんな僕でしたが、教室運営スタッフの鈴木が積極的に話しかけてくれたり、同僚講師の深山が場を和ませてくれたりと、周りの助けもあって、仕事を続けることができました。
「生徒さんを支援する側」になり、次第に受け持ち授業も増えていきましたが、その中では失敗もたくさんありました。
今でも反省していることがあります。
ある、とってもおとなしい生徒さんを担当したときです。
ホワイトボードマーカーで板書をしようとしたら、インクが切れてしまっていて、それにテンパってしまい、生徒さんの前であわててしまったんです。
残念ながら、その生徒さんからは「講師を交代してほしい」と告げられてしまいました…。
「インク切れにあわてるなんて、この先生は授業に慣れていないのでは?そんな人に教わるのは不安だ」という理由です。
失敗そのものに対しても、生徒さんを不安がらせてしまったことに対しても落ち込みました。
そんなときに、同僚講師の深山が助言をくれました。
そんなアクシデントのときも、生徒さんに微笑みながら、 「インク、出ないねー(笑)」 「そだねー(笑)」なんて、 会話していたらよかったのかもね。と。
この仕事に、「こういうときは、こうすればよい」という万能薬はないのですが、とっさに機転が利かなかった自分を反省したアクシデントでした。
また、講師交代に伴って教務の方にもお手数をかけたので、
「怒られるのかなあ」
「どなられたらやだなあ」
なんて思ってしまい、憂鬱だったのを覚えています。
そんな僕を、教室運営スタッフの市川は、否定せず、逆に励ましてくれました。
伝え方がとても上手な方で、仕事でのメールのやりとりの中でも、講師をやる気にさせてくれる気遣いを感じていました。
伝え方など考えたことがなかった私にとって、
「社会人ってすごいなあ」
「自分もこういう人になりたいなあ」
と思うようになったんです。
いま「向上していこうと思う自分」がいる
周りから刺激を受けるうちに、いつの間にか、周りにいる人からたくさん学ぼうとしている自分がいました。
いまでは、15人の生徒さんを担当するまでになりました。
それでもまだまだ、足りないところだらけです。
だからこそ、周りの先生や教務の方から学ぶことが、たくさんあります。
「責任感の強さ」
「仕事のはやさ」
「安心感を与える雰囲気」
「伝え方」
「授業のひきだしの豊富さ」
「いるだけで、いやされる雰囲気」…
どれもこれも、自分には足りないもので、一つひとつ、生徒さんも含めて周りのみんなのよいところを学ぶ毎日です。
主体性のなかった自分が「積極的に学びたい」と思えるようになった理由は、キズキ共育塾の講師やスタッフが、成長の遅い自分を見守ってくれたからです。
そして、僕の成長を考えて、徐々に仕事を増やしてくれたからです。
そうしたアルバイト生活を続けるうちに、僕はキズキ共育塾で正社員になりました。
「引きこもりだったからこそできる仕事」があるはずだ
あるとき、代表の安田祐輔から、「引きこもり当事者として講演をしないか」という話がありました。 聴衆は100人を超える規模です。
職業「引きこもり」、レベル40当時の僕だったら、即答で断っていましたね(笑)
でも、そのときは「ちょっとやってみようかな」って思ったんです。
結局、あと一歩踏み込めなくて、先輩講師の半村にお願いしてしまったんですけどね(笑)
でも「ちょっとやってみようかな」と思えた自分が、うれしかったです。
「引きこもりだったから…」と、自分はなんにもできないと思い込んでいただけだったのかなと、いまは感じます。
仕事に限らず、「引きこもりだった自分にはできないなあ」と思うようなことでも、意外とできちゃうものなんですね。
逆にいまは「引きこもりを経験したからこそ、できる仕事があるはずだ」と思います。
キズキ共育塾の講師もその一つです。
引きこもりを経験した講師は、引きこもりの生徒さんの気持ちを真に迫って理解することができます(「自分のときはこうだった」という押し付けになってはいけませんが)。
キズキ共育塾では、引きこもりの経験はマイナスにはならず、プラスになります。
あなたも、キズキ共育塾で働きませんか?
引きこもり当時は、自分のことを「どうしようもないやつだ」と思っていましたが、一歩踏み出したら希望がありました。
少しずつ、自己肯定感を感じる自分が確かにいます。
このコラムを読んでいるあなたも、「引きこもりの自分はもうダメだ」とお悩みではありませんか?
そんなことはありません。
キズキ共育塾では、私も含め、自分の引きこもり経験を活かして生徒さんを指導している講師も多くいます(講師全体のうち、引きこもりや不登校などを経験した人は約30%です)。
あなたも、
外出できるようになったら、
アルバイトを始めたいと思ったら、
自分の引きこもり経験を活かしたいと思ったら、
まずはお気軽に採用説明会にお越しください。心からお待ちしています。
文中の写真は、全てイメージです。
2018年5月4日掲載。
監修キズキ代表 安田祐輔
やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」も運営。
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年7月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【著書など(一部)】
『暗闇でも走る(講談社)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
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