オープン就労とは? メリットやデメリット、条件を人事の視点から徹底解説 | キズキビジネスカレッジ  

オープン就労とは? メリットやデメリット、条件を人事の視点から徹底解説

就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の寺田淳平です。

障害や病気(病歴)のある人の就職活動に関連して、「オープン就労」と「クローズ就労」の違いをご存知ですか?

障害や病気がある人が就職・転職を考える際には、オープン就労とクローズ就労それぞれのメリットとデメリットについて知っておくと、より「自分に合った就労」が見えてきます。

あなた自身、障害などを抱えての就職・転職について、どのように進めたらよいか迷っているのではないでしょうか?

そこで本コラムでは、オープン就労のメリットとデメリット、条件、クローズ就労との違いをまとめました。

3,500人規模の職場で人事を担当していた私の視点から、就労形態にまつわる細かな点も解説しましたので、オープン就労とクローズ就労の違いを知りたい人はぜひ読んでみてください。

オープン就労とは?:自分の障害をオープンにして就労すること

オープン就労とは

オープン就労とは、あなたの病気や障害などを相手先に開示した上で就職活動・就労をすることです。障害者枠(企業や役所などが、障害者に限定して行う求人)での就労がメインになりますが、後述するように、オープン就労で一般枠(障害者に限定しない、通常の求人)での就労というケースもあります。

ちなみに、一般枠とは、「障害者に限定しない、通常の求人」のことです。特に「障害者枠」と明記されていない求人は、一般枠と考えてよいでしょう。

では、オープン就労のメリットとデメリット、条件などを見ていきましょう。

オープン就労の4つのメリット

オープン就労のメリットは、4つ挙げられます。

原則として、障害者枠で就労した場合を想定していますが、一般枠でも得られるメリットも含まれます。

メリット①業務内容や配属先への配慮を受けられる

業務内容や配属先への配慮を受けられる

1点目のメリットは、「業務内容や配属先への配慮を受けられる」という点です。

障害があると特定業務が苦手だったり、相性が悪かったりということが多々あります。

オープン就労であれば、障害に応じた不得手に配慮した業務や職場環境への配属となるのです。

例えば、聴覚過敏のせいで騒がしい職場や聞き取りが苦手という人であれば、その旨を申告することで静かなオフィスに配属されたり、電話応対を業務から除外できたりします。

ASD(自閉症スペクトラム)やADHD(注意欠陥・多動性障害)などの発達障害者の人であれば、過集中によって疲れすぎないように休憩の時間を設けることができたり、残務がなくなるような配慮を受けたりできます。

こうした業務内容や配属先への配慮は職場定着に関わるため、大きなメリットと言えるでしょう。

メリット②障害を開示できることによる安心感がある

メリットの2点目は、「障害を開示できることによる安心感がある」ことです。

後で解説するクローズ就労の場合、障害を隠さなければならないという秘密を持つことになるので、人によっては精神不安が生じます。

オープン就労であれば、あなたの状態を理解してもらった上で働けるため、安心感があります。

もし体調が悪化して業務がつらくなっても、障害を開示してあることで状況を伝えやすくなります。

メリット③支援機関と就職先が連携したサポートを受けられる

「支援機関と就職先が連携したサポートを受けられる」というのも大きな利点です。

例えば、障害者の就労に関する福祉サービスに、「就労移行支援事業」というものがあります。

就労移行支援事業では、就職までのサポートを行うとともに、就職後の定期面談を含む職場定着支援を行っています。

こうしたサポートの有無によって、職場定着率が大きく変わってきます。

オープン就労の場合、支援者と職場で連携したサポート(定期的な面談など)が受けられるのです。

以下のチャートを見ると、支援機関によるサポートによって職場定着率が約20%もあがっていることがわかります(出典:障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」

職場定着率

支援機関によるサポートが受けられるのは、オープン就労の大きなメリットと言えるでしょう。

クローズ就労の場合も、就職後に「支援者とあなた」の間での話し合いはできますが、そこに「就職先」を加えることは難しいことを覚えておきましょう。

メリット④その日の調子に合わせて勤務形態を変更しやすい

最後のメリットは、「その日の調子に合わせて勤務形態を変更しやすい」という点です。

障害のある人は、その日の天候や気温によって、体調が変動しやすい傾向があります。

いわゆる「気象病」というものです。

特にうつ病や双極性障害などの精神疾患のある人は自律神経が乱れがちなため、台風の前後などの気圧の変化に弱く、日によっては出勤するのもつらい場合があります。(参考:NHK解説委員室「気象病とは何か」)

オープン就労であれば、そういうときに体調に合わせてその日を短時間勤務にしたり、早退したりと、融通を利かせることができます。

勤務形態を変更しやすいという利点は、長く働きつづける上で重要になってくるでしょう。

オープン就労の3つのデメリット(注意点)

それでは、オープン就労のデメリット(注意点)とは何なのでしょうか?

給料といった経済的側面や就職活動をする上での困難が主なデメリット(注意点)になってくるでしょう。

この章では、3つに分けて解説いたします。

デメリット①給与水準が比較的低い

デメリットの1点目は、「給与水準が比較的低い」ということです。(以下出典・参考:厚生労働省※PDF「平成30年度障害者雇用実態調査結果」、国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」

厚生労働省の調べによると、2018年度の障害者の月額平均給与は以下の通りとなっています。

  • 身体障害者:21万5千円
  • 知的障害者:11万7千円
  • 精神障害者:12万5千円
  • 発達障害者:12万7千円

国税庁の出した給与所得者全体の平均給与が約36万8千円(年441万円を月数で除算)であることを考えると、給与水準の低さは明らかです。

原因としては、雇用形態の違いと週所定労働時間が少ない点が挙げられます。

精神障害者を例にとって見てみましょう。

一般的に「無期契約の正社員」がもっとも給与を得られますが、厚生労働省の調査結果によると精神障害者の雇用形態別の割合は以下のようになっています。

  • 無期契約の正社員:25.0%
  • 有期契約の正社員:0.5%
  • 無期契約の正社員以外:46.2%
  • 有期契約の正社員以外:28.2%
  • 無回答:0.1%

無期有期問わず、正社員以外が圧倒的多数を占めています。

また、週所定労働時間も通常(30時間以上)未満が半数以上となっています。

給与水準

非障害者と比較して、雇用形態と週所定労働時間の違いから給与に差が出ていると考えられます。

デメリット②求人数が比較的少ない

オープン就労での就職活動をする人が直面するのが、「求人数が比較的少ない」というデメリットです。

たとえば、求人サイト「求人ボックス」で「正社員/東京都」という条件で検索すると、1,596,584件の求人情報がヒットします(2023年11月2日現在)。

それに対し、先ほどの条件に「障害者採用の求人」という条件を追加した場合には、求人情報の数は2,599件となります(2023年11月2日現在)。

一般枠に比べて、障害者枠の数はまだまだ少ないというのが現状です。

しかし、障害者雇用での求人数自体は年々増えてきています。

2021年3月に障害者雇用促進法が改正されたことで、それまで2.2%だった民間企業での障害者の法定雇用率が2.3%に、国・地方公共団体では2.5%から2.6%に引き上げられました。

ちなみに、民間企業の法定雇用率は、2024年4月からは2.5%、2026年7月からは2.7%へと段階的に引き上げられることが決まっています(参考:厚生労働省※PDF「令和5年度からの障害者雇用率の設定等について」)

うつ病や双極性障害といった疾患のある精神障害者も「障害者雇用義務」の対象です。

現状求人数が少ないとはいえ、今後に期待が持てるのでご安心ください。

デメリット③職種の選択肢が比較的少ない

職種の選択肢が比較的少ない

最後のデメリットは、「職種の選択肢が減ってしまう」というものです。

障害者枠での職種は、定型的な一般事務が多い傾向にあります。

反対に営業職や総合職など、機動力や柔軟性を求められる職種の求人は、一般事務と比較すると少ないということは、覚えておいた方がよいでしょう。

たとえば、障害者向けの転職サービス「dodaチャレンジ」には1,429件の公開求人が掲載されていますが、その大半が事務系職種であり、その割合は約71%です(2023年11月2日現在)。

また、求人数や職種が限られるということは、「仕事のキャリア」を積み上げていく際のデメリットにもつながります。

オープン就労の条件:障害者枠には障害者手帳が必要

オープン就労ですと、基本的に障害者枠に応募することになりますが、その場合は障害者手帳が必要になってきます。

それぞれの障害に応じた障害者手帳の種類は以下の通りです。

  • 身体障害者:身体障害者手帳
  • 知的障害者:療育手帳
  • 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳

オープン就労を検討中ならば、まず障害者手帳を取得しましょう。

障害者手帳の取得方法については、主治医、お住まいの市区町村の窓口、後述する就労移行支援施設で聞いてみましょう。

よろしければ、下記コラム・関連リンクもご覧ください。

関連リンク

クローズ就労とは?:自分の障害を言わずに就労すること

クローズ就労とは

クローズ就労とは、障害や病気(病歴)を就職先に開示せずに働くことをいいます。

基本的には一般枠(特に障害者向けではない求人)での就労になります。

まずは、クローズ就労のメリットとデメリットを、具体的に見ていきましょう(基本的には、オープン就労のメリット・デメリット(注意点)の裏返しとご理解ください)。

クローズ就労の3つのメリット

クローズ就労のメリットは、3つに分けることができます。

主なメリットとしては、障害者枠と比較して給与といった経済的条件や職種の選択肢が豊富になる点が挙げられます。

メリット①給与水準が高い傾向にある

給与水準が高い傾向にある

メリットの1点目は、「(障害者枠と比べると)給与水準が高い傾向にある」ということです。

オープン就労のメリットの項目でも述べたとおり、個々人の給与は、雇用形態や週所定労働時間によって変わるため一概には言えません。

ですが、全体的な傾向としては、障害者枠に比べて一般枠の方が正社員での登用が多く、それによって給与水準も高いです。

ただし、「一概に言えない」「あくまで傾向」のため、就職先や業種によっては、「ある一般枠の給与」よりも「別の職種の障害者枠の給与」の方が高いという場合もあります。

傾向は傾向として認識しつつ、実際の就職活動では各応募先の待遇をしっかり確認しましょう。

メリット②求人数や求人職種が多い

2つ目のメリットは、「求人数や求人職種が多い」という点です。

法定雇用率の引き上げに伴い、障害者枠の求人が増えているとはいえ、一般枠での求人数の方がまだ多いのが現実です。

求人数は、多い方が探しやすかったり、自分の考える条件に合うところを見つけやすかったりというメリットになります。

また、職種の選択肢も一般枠の方が多いです。

オープン就労=障害者枠の場合は、募集職種に事務職や一般職が多いことは先述のとおりですが、クローズ就労(一般枠)であれば、事務職・一般職に加えて、総合職や専門職など、多様な職種が選択肢にあがってきます。

その分、柔軟性を求められたり、休暇を取りづらかったりする職種なども候補にあがってくる点には注意しましょう。

メリット③キャリアアップしやすい

キャリアアップしやすい

求人数や求人職種が多いということは、多様なキャリアを積みやすい(多様なキャリアを選択しやすい)ということでもあります。

一つの業務で専門的に知見を深めたり、同じ部署の中で多様な業務を担当したり、他の部署に異動したりすることは、一般枠での採用(特に総合職)では「普通の話」であり、それぞれの部署でキャリアを積むことができます。

キャリアを積むことができれば、その会社での昇給・昇進につながりますし、将来的な転職や独立を検討する際にも役立つでしょう。

また、「自分はキャリアを積み上げている」という実感は自己肯定感につながり、自己肯定感は生きやすさにつながります。

ただし、その反面として、後述するように配属先・担当業務や勤務地への配慮が受けられないことも、一般枠での就労では「普通の話」であることには注意が必要です(もちろん、配慮を行う企業もありますが)。

クローズ就労の3つのデメリット(注意点)

それでは、クローズ就労のデメリット(注意点)とは何でしょうか?

この章では、3つに分けて解説いたします。

なかでも2番目の「障害を隠すことからくる不安感」は仕事に集中したい場合には特にネックになってくるデメリットですので、クローズ就労を検討中の人はぜひご一読ください。

デメリット①障害への配慮を受けられない

障害への配慮を受けられない

デメリットの1点目は、「障害への配慮を受けられない」です。

障害を非開示にしているため当然ですが、クローズ就労だと、業務も非障害者と同じものを担当することになります。

細かな事務作業の苦手なADHDの人や感覚過敏のあるASD傾向の人も、通常業務の範囲として、苦手な分野の仕事も実施する必要があるということです。

また、体調が芳しくない日に休みを取るのは障害がない人も同じですが、その回数が多いことで有給休暇を使い切ったり、重要な仕事の日に体調が悪くなることで周囲の印象が悪くなったりすることもあるかもしれません。

クローズ就労を考えている人は、「配慮を受けられない」ことがどのように影響してくるのかを、症状に照らして具体的に考えてみてください。

デメリット②障害を隠すことからくる不安感がある

特に注意したいデメリットが、この「障害を隠すことからくる不安感がある」です。

クローズ就労を行いたい場合は、自身の障害などを仕事の場では隠しておきたいと思っていることがよくあります(障害を隠したいと思うことの是非については、今回は省略します)。

つまり、「仕事そのものへの努力」に加えて、「障害などを隠すための努力」も必要になるということです。

「もし障害があることがバレたら…」という精神不安は、少なからず仕事のパフォーマンスに影響してきます。

仕事で目いっぱいがんばりたいという人にはネックになってくるポイントと言えるでしょう。

体調が悪いのに障害を明かすことができずに無理をすると、場合によってはうつや不安障害などの二次障害を発症する可能性もあります。

なお、クローズ就労の場合、積極的に障害をオープンにする必要はありません。

もっと言うと、面接の場で「障害・病歴の有無」を尋ねられたとして、本当のことを言う必要もありません(「ありません」と答えたとして、それを公的に処罰する法律はありません)。

ただし、「本当のことを言わなかった」ということが良心の呵責に繋がることはありますし、公的な処罰がないとはいえ、虚偽申告の発覚は採用中止や解雇にはつながる可能性が否めません(必ずそうなるわけではありません)。

クローズ就労にどのように臨むかについては、後述の就労移行支援サービスにも相談して、方針や対策をしっかりと考えましょう。

デメリット③支援機関と職場の連携したサポートを得られない

支援機関と職場の連携したサポートを得られない

最後のデメリットは、「支援機関と職場の連携したサポートを得られない」というものです。

オープン就労のメリットを語る際にも掲げましたが、支援機関のサポートは職場定着に大いに関わってきます。

採用された後でも、人によっては体調を崩したり、有効な仕事術を見つけられずに悩んでしまう人が少なくありません。

クローズ就労の場合、「支援機関とあなた」の間のサポートは可能ですが、「支援機関と職場」が連携したサポートができなくなります。

支援機関と職場が連携したサポートがある場合、三者での定期面談をおこなったり、カウンセリングを通じてアドバイスをもらえるなどの利点があります。

クローズ就労の場合は、こうした助力を仰げないという点がデメリットになるでしょう。

一般枠でのオープン就労について

一般枠でのオープン就労

障害のある人の中には、障害者枠ではなく一般枠でのオープン就労をしている人がいます。

つまり、一般枠での募集に対し、自分の障害などをオープンにした上で応募する、ということです。

障害者枠に比べるとそれほどメジャーな方法ではありませんが、給与や職種を勘案した結果、一般枠での応募を検討することがあるようです。

この章では、一般枠でのオープン就労を考える上で大切な「合理的配慮の提供」と「不当な差別の禁止」について解説していきます。(以下出典・参考:厚生労働省※PDF「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A」、厚生労働省「障害者雇用促進法の概要」、内閣府「障害者差別解消法リーフレット」、 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」

合理的配慮の提供

障害者の就労に関連し、「合理的配慮」という言葉があります。

合理的配慮とは、障害者と非障害者との機会の均等や待遇の確保、障害者の有する能力や権利の発揮の支障となっている事情を改善するために必要とされる措置のことです。

合理的配慮の内容は、労働者の障害の内容や職場環境に応じて異なります。

例えば、以下のような例が合理的配慮として挙げられます。

  • 車椅子を使用している人にあわせて、机の高さを調節する
  • 知的障害のある人に、わかりやすい文書や絵図を用いた説明を行う
  • 精神障害のある人に、静かで一人になれる休憩スペースを提供する

こうした合理的配慮を考える際に論点となってくるのが、障害者差別解消法と障害者雇用促進法における合理的配慮の文言の違いです。

合理的配慮の提供は、障害者差別解消法(一般枠でのオープン就労)では事業者の「努力義務」となっていますが、障害者雇用促進法(障害者枠での就労)では「法的義務」となっています。

つまり、同じ人・同じ障害であっても、採用枠(応募枠)によって、採用側の合理的配慮が「法的義務」になるか「努力義務」になるかが異なるという曖昧さがあるのです。

とはいえ、障害者の権利擁護の流れは年々強まっていますので、努力義務であっても障害をきちんと説明した上で配慮を求めれば、応じる企業が多いと思われます。

ちなみに、2024年6月からは合理的配慮の提供が「義務化」されます(参考:厚生労働省『リーフレット「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」』)

一般枠でのオープン就労を検討中の人は、企業や支援者に「合理的配慮」について相談してみましょう。

不当な差別の禁止

障害者の就労については、「不当な差別の禁止」という決まりもあります。

不当な差別の禁止とは、カンタンにいうと、「障害のある人に対して、障害を理由に権利や利益を侵害する行為を禁止する規定」です。

障害者差別解消法第6条第1項の規定に基づく「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」には、「不当な差別」は具体的に以下のように規定されています。

法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。
なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。

出典:厚生労働省「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」

ただし、当然のことながら「正当な理由」があるときには不当な差別的取り扱いにはらないため、非障害者と異なる扱いになってもやむを得ないと考えられます(差別にならない正当な例は、今回は誤解を避けるためにあえて掲載いたしません。気になる場合は、就労移行支援施設などに確認してみましょう)。

また、オープン就労で一般枠に応募して落選した場合、障害を理由としているかが争点になりますが、これについて厚生労働省は以下のようなアンサーを提示しています(参考:厚生労働省「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&A【第二版】」)

募集及び採用時において、合理的配慮を提供し、障害者と障害者でない者に均等な機会を与えた上で採用選考を行い、事業主が応募者の能力や適性を判断した結果に基づき障害者である応募者を採用しなかったとしても、法で禁止する障害者差別に当たるわけではありません。

出典:厚生労働省「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関する Q&A【第二版】」

まとめると、一般枠でのオープン就労の場合は「努力義務としての」合理的配慮を受けながら、非障害者と差別されることなく同じ土俵で勝負することになります。

オープン就労に向いている人とは:クローズ就労がつらい人へ

オープン就労に向いている人とは

就職活動をはじめたくても、オープン就労とクローズ就労のどちらが自分に向いているかがわからないという悩みを抱えている人は大勢います。

また、現在クローズ就労をしている人の中には、オープン就労に切り替えたくてもどちらがよいかがわからず迷うこともあるでしょう。

オープンとクローズで迷う場合は、「職場定着をして長く働きつづけられるのはどちらか」という視点で検討してみてください。

障害や病状が安定していてクローズ就労でも問題なさそうなものの、「長く働きつづける」ことを考えると不安が残るという場合は、オープン就労から始めてみることをおすすめします。

また、ご自身ではクローズ就労で大丈夫だと思っていても、主治医や専門の支援機関の目からは懸念事項があることもありますので、第三者に相談してみることも大切です。

そして、日頃からご自身の障害の特性理解に努めることで、オープン就労とクローズ就労の違いを問わずに、長く無理なく働きつづけることができるようになります。

体調が悪化したときのサインや対処法、予防策を自分なりに実践して、リカバリーできるようになった後であれば、キャリアアップの意味でクローズ就労の一般枠に挑戦してみるのもよいかもしれません。

オープン就労Q&A

最後に就労形態にまつわるよくある質問を、Q&Aのかたちでまとめておきます。

障害者手帳はどこで取得できますか?

お住まいの市区町村の窓口に申請することで取得できます。

申請から交付認定まで多少の時間がかかるため、余裕を持って手続きを進めるとよいでしょう。

申請の際には「指定医」による診断書が必要になります。

診断書が発行されるまでには、初診から数か月を要する場合が多いのでご注意ください。

なお、ご本人による申請手続きが難しい場合は、代理人に手続きを代行してもらうことが可能です。

また、主治医や就労移行支援事業所に尋ねることも可能です。

関連リンク

オープンとクローズ、どちらの就労形態があっているかを相談したい

障害のある人の就労形態について相談したい場合には、国の法律によって設置されている就労移行支援事業所がオススメです。

就労移行支援事業とは、障害者総合支援法にもとづいて行われる障害のある人向けの就労支援サービスです。

就労形態だけでなく、障害者手帳の申請や、あなたに合った就職先など、様々なご相談に対応しています。

一般的な職業訓練、履歴書の書き方、面接の受け方、仕事に必要な専門スキルの指導など、最低0円から様々なサービスを受けることができます。ご興味があれば、無料相談を申し込んでみるとよいでしょう。

就労移行支援事業による詳しい支援内容については、下記コラムにまとめています。よろしければ一緒にご参照ください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、うつ病や発達障害などの人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、通える範囲にお住まいであれば、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

まとめ:オープン就労を正しく理解して雇用枠を決めましょう

まとめ

オープン就労のメリット、デメリット、条件をクローズ就労との比較から解説してきましたが、イメージはできましたか?

一口にオープン就労といっても、その人の障害の内容や程度によって問題点は変わってきます。

正しい知識を持った上で、ご自身の障害と照らして雇用枠を考えることが大切です。

主治医や専門の支援機関の助力も得ながら、あなたにあった就労形態を見つけてください。

この記事がオープン就労とクローズ就労のどちらにすべきか迷っているあなたの助けになれば幸いです。

よくある質問

オープン就労のメリットは何ですか?

一般論として、次の4点が挙げられます。「業務内容や配属先への配慮を受けられる」「障害を開示できることによる安心感がある」「支援機関と就職先が連携したサポートを受けられる」「その日の調子に合わせて勤務形態を変更しやすい」。詳細はこちらをご覧ください。

オープン就労の注意点(デメリット)は何ですか?

一般論として、次の3点が考えられます。「給与水準が比較的低い」「求人数が比較的少ない」「職種の選択肢が比較的少ない」。詳細はこちらをご覧ください。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

執筆寺田淳平

てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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