気分障害の人が仕事を続けるコツ5選|仕事探しのポイントも解説します

2020年07月17日

こんにちは、ケアストレスカウンセラー有資格者の寺田淳平です。

気分障害をお持ちのあなたは、仕事を続けるのがつらくて、悩んではいませんか

「気分障害の特性の影響で調子が安定しない」
「仕事のモチベーションにムラが出やすい」
「気分障害が原因で仕事探しがうまくいかない」

気分障害の方は、上記のような仕事の悩みを抱えやすいかと思います。

そこで今回は、気分障害の人が仕事を長続きさせるためのコツを徹底解説いたします

3,500人規模の職場で人事を担当していた私の視点から、仕事探しのポイントや向いている仕事も合わせて紹介しますので、気分障害でお悩みの方はぜひ一度、読んでみてください。

この記事が、あなたの「次の一歩」につながれば幸いです。

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気分障害とは?

まず、気分障害の概要、種類、症状、治療方法などをお伝えします。

少し長いので、すでにご存知の方は次章「気分障害は、仕事を休めば治るのか?」までお進みください。


気分障害の概要

気分障害の概要

気分障害とは、一定期間にわたる持続的な気分(感情)の変調によって、日常生活に支障を来たす精神疾患の分類の一つです

「これといった理由もなく気分の浮き沈みが生じて、コントロールが難しくなる」という情緒的な不安定さが、気分障害の特徴ですが、それに関連して、食欲減退や不眠症といった身体症状が生じる場合もあります。

なお、「気分障害」という語は、WHO(世界保健機関)が公表している分類基準「ICD-10」と、アメリカ精神医学会の定める診断基準「DSM-IV」の両方において用いられてきました。

しかし、2013年に刊行された最新版の「DSM-V」では、気分障害という分類がなくなり、「うつ病」と「双極性障害」に切り離されることになりました。

そのため、現在では、医学的にはDSMに準拠した際には「気分障害」ではなく、「うつ病」「双極性障害」と表現・診断されることが一般的です

とは言え、現在も「気分障害」という表現が一般に広まっていることは事実ですので、このコラムでもあえて「気分障害」という切り口・言い方を織り交ぜながら続けます。

日本では、2017年厚生労働省の患者調査によると、こうした気分障害の患者数は全国で約127万6千人にのぼり、過去7年間の間に30万人程度の増加が見られます

参考:岡田尊司『うつと気分障害』、厚生労働省※PDF「患者調査」、加藤忠史『これだけは知っておきたい双極性障害 躁・うつに早めに気づき再発を防ぐ! ココロの健康シリーズ』、車地暁生※PDF「ICD-10『臨床記述と診断ガイドライン』および『研究用診断基準』の気分(感情)障害における有用性と問題点について

次に、ICD-10にて気分障害に分類されている代表的な精神疾患を見ていきましょう。

基本的には、「気分の変調がどのように現れているか」によって分類が変わります。


うつ病

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うつ病とは、特別な理由がなく、気分の落ち込みや憂うつ感といった「抑うつ(よくうつ)」状態が持続する精神疾患です

ICD-10では、以下のような症状が挙げられています。

うつ病には、上記以外に様々な症状が見られ、症状の組み合わせと持続期間によって病状の程度が変わってきます。


双極性障害

双極性障害

双極性障害とは、前述した「抑うつ」状態と、気分が高揚する「躁」状態を定期的に繰り返す精神障害のひとつです

躁状態での具体的な症状として、以下が挙げられます。

双極性障害は、かつては「躁うつ病」という名前で知られていたため、「うつ病」の一種と考えられていました。

医師でもうつ病との見分けがつきにくいケースが少なくないようであり、見極めには継続した通院が必要になります


持続性気分障害

持続性気分障害とは、うつ病や双極性障害ほどに症状の程度が重くはないものの、気分の浮き沈みが見られる場合を指します

持続性気分障害には、「気分変調症」と「気分循環症」の2種類があります。

基本的には、軽度の抑うつ症状が2年以上続く場合を「気分変調症」、双極性障害ほどではない軽度の抑うつ症状と躁うつ症状が2年以上続く場合を「気分循環症」と言います。


気分障害の治療法

気分障害の治療法

気分障害の治療法は、薬物療法と精神療法の2種類に分けられます

薬物療法とは、その名のとおり、症状の改善が期待できる「向精神薬」を服用する療法です。

精神療法では、医師やカウンセラーと会話をしながら、自身の考え方の癖や認知(思考)の歪みを修正していく「認知行動療法」などがメインとなります。

薬物療法と精神療法の比率は、疾患の内容や程度によって変わります。

例えば、双極性障害の治療では、一般的には薬物療法がベースとなり、躁とうつの波を小さくする「気分安定薬」を基本に、躁で衝動性が高まったときには「抗精神病薬」を併用するといった形を取ります。

いずれの気分障害においても、必要に応じて薬で症状を抑えながら、気分の浮き沈みをコントロールする仕方やストレス対処法を身につけていくというのが、一般的な治療の流れになります

気分障害は、仕事を休めば治るのか?

気分障害は、仕事を休めば治るのか?

気分障害の人のよくある質問・疑問に、「仕事を休めば気分障害は治るのか?」というものがあります。

何をもって「治る」とするのかは、専門家によっても意見が異なりますが、「薬の服用や通院をせずに日常生活を送ることができる状態」を指すのであれば、仕事を休むことによって、ある程度「治る」ことはあります

特に、気分障害の要因として職場への不適応やストレスなどの「適応障害」の面が強かった場合には、仕事を休むことが比較的快復に結びつきやすいかと思います。

しかし、仕事を休んだからと言って、必ず治るわけではありません

基本的には、浮き沈みに適応したり、ストレス対処法を身に付けたりしていく中で、気分をコントロールできるようにならなければ、先述したような意味で「治る」のは難しいと考えられます。

また、環境の変化が原因で再発する可能性もあるため、症状を受け入れながら焦らずに治療していくことが大切になります。

気分障害の人の仕事上の困難3点

それでは、気分障害の人には、どのような仕事上の困難があるのでしょうか?

ここでは、代表的なものを3点ご紹介します。参考:五十嵐良雄『うつ病・躁うつ病で「休職」「復職」した人の気持ちがわかる本


困難①調子の波が激しい

困難①調子の波が激しい

1つ目は、「調子の波が激しい」というものです

気分障害の基本となる症状は気分の浮き沈みや揺れ動きにあるため、好調なときとそうでないときとで、調子に差が出やすいと言われています。

中でも、双極性障害では、躁状態のときには休み知らずに仕事ができる反面、うつ状態に転じたときにはその反動で身動きを取るのも苦しくなるなど、浮き沈みが激しいとされています。

また、気分障害の自覚が薄い人の場合は、どのタイミングで気分が変調するのかが特に把握しづらいため、昨日は元気だったのに、翌日はいきなり絶不調になるということも珍しくありません

このように、調子の波の激しさに翻弄されることで、仕事がしづらいという困難があるようです。


困難②疲れやすい

2つ目の困難は、「疲れやすい」というものです

特にうつ病の方は、症状自体に「易疲労性(いひろうせい、通常よりも疲れやすいこと)」が挙げられています。

抑うつ状態では行動意欲が減退することが多いため、モチベーションが下がっている状態で仕事を続けることが、さらなる疲労につながると考えられます

また、こうした「疲れやすい」という傾向を周囲に理解してもらえないことから、中には同僚から「甘えているだけだ」と勘違いされることを仕事上の困難に挙げる人もいます。


困難③仕事のパフォーマンスが安定しづらい

困難③仕事のパフォーマンスが安定しづらい

3つ目は、「仕事のパフォーマンスが安定しづらい」です

これまでに述べてきたように、気分障害の人は調子の波があるだけでなく、疲れもたまりやすいため、一定以上の安定したパフォーマンスを発揮し続けることが、どうしても難しい面があります。

また、不調の波も突発的にやってくることが多く、なかなかスケジュールどおりに仕事が進まないという人もいるでしょう。

気分障害の人が仕事を続けるためのコツ5選

ここからは、具体的に、気分障害の人が仕事を続けるためのコツを解説していきます。

前提として大切なのは、医師の診断にきちんと従い、自己判断で治療を中断しないことです

自分では「調子が戻ってきた」と思えるようになったとしても、薬の服用やその他の治療を中断してはいけません。

服薬や治療が症状の悪化・再発を予防している場合もあります。

医師の診断に従うことを大前提に、以下に紹介する仕事のコツを試すようにしてください。参考:貝谷久宣『よくわかる双極性障害(躁うつ病)』、野村総一郎『新版 双極性障害のことがよくわかる本』)


コツ①特性を受け入れる

コツ①特性を受け入れる

1点目は、「特性を受け入れる」です

気分障害による感情の変化は、それ自体が病気の症状です。

「「気分障害じゃない場合」には、感情の変化には何かしらの理由を伴うものでしょうが、気分障害の場合は「考えても理由が思い当たらない」ことも多いのです

また、先述したように、気分障害は「休めばすぐに治る」というものではなく、心のゆれ動きに徐々に慣れていったり、気分の波を小さくしていったりすることが必要になります。

そのため、特性を受け入れて焦らずに治療していく姿勢が大切です

気分の浮き沈みに対して「どうして自分は情緒が安定しないのだろう」と考えるのではなく、「症状が出たときにどうすればいいのか」「何をすれば緩和できるのか」と考えるようにしましょう。


コツ②日頃から職場に相談する

2点目は、「日頃から職場に相談する」です

気分障害の場合には、仕事上の困難の項目で挙げたように、パフォーマンスが安定しないことから、業務に穴をあけることが少なくありません。

「自分は調子を崩しやすい」など、日頃から職場に相談しておくことで、調子の悪いときにフォローを得やすくなるはずです

また、自分の特性を話すことが不安を緩和したり、ストレス発散につながったりすることもあります。

特性を理解してもらえるよう、できるだけ職場に相談するようにしましょう。


コツ③スケジュールに余裕を持たせる

コツ③スケジュールに余裕を持たせる

3点目は、「スケジュールに余裕を持たせる」です

気分障害の場合、調子を崩すタイミングが自分でも掴めないという人が多いかと思います。

そうした人は、不調をあらかじめ計算に入れて、仕事のスケジュールに余裕を持たせることがオススメです

「ここなら間に合わせられるかな」と思った日よりも、締め切りを数日後ろに設定してみましょう。

こうした心掛けが、あなたの心の余裕につながります。


コツ④できるだけ残業を避ける

4点目は、「できるだけ残業を避ける」です

気分障害では、気分の波と勤務時間・仕事量が同調することが少なくありません。

そのため、「疲れきることがないように、程々にしておく」「ほどほどで仕事を切り上げる」といった姿勢が大切です

特に双極性障害の人は、繁忙期などでやむを得ず、遅くまで仕事をしたことがきっかけで、躁状態に転じるというケースもありますので、できるだけ残業を避けた方がよいでしょう。

とはいえ、躁状態になったときはハイになり、自身で気づくことも難しい場合があるため、無理をしてでも仕事を進める人もいるはずです。

そういうときは、前述のように、「あまりに残業が続いているようだったら声を掛けてください」と、周囲の人にあらかじめ伝え、頼るようにしてください


コツ⑤定期的な休みを入れる

コツ⑤定期的な休みを入れる

最後のコツは、「定期的な休みを入れる」です

気分障害の人の中には、「いつ調子が崩れるかわからないから、できるだけ有給休暇を使わず残しておく」という人が割といます。

有給休暇の残数に余裕を持つことは、精神的な安定につながる面もあります。

しかし、(いわゆる「公休」以外に)全く休みを取らなかったり、「もう少しがんばれる」と思って無理をしたりするのは好ましくありません。

気分の波をできるだけ一定にするためには、調子が崩れる前の段階で、小まめに休みを取ることが有効です

限りのある有給休暇を利用することを不安に思うという人もいるかもしれませんが、できるだけ定期的に休みを入れることをオススメします。

気分障害の人に向いている仕事、働き方とは?

気分障害の人に向いている仕事、働き方とは?

それでは、気分障害の人に向いている仕事や働き方には、どのようなものがあるのでしょうか?

一般的に、気分障害の人が仕事を考える上では、以下の点に着目するのが重要になってきます

「マイペースにできる仕事」は、自分で業務量を調整できるという点で、調子に波がある気分障害の方に向いています。

同様の理由で、フレックス制や裁量労働制など、「勤務形態が柔軟な働き方」も向いています。

また、「対人折衝の少ないバックオフィスの業務」であれば、人間関係によるストレスを軽減することができるでしょう。

これらを総合すると、以下のような仕事が具体的に向いていると言えると思います(「一例であり、全てではありません)。

ただし、フリーランスや在宅ワークの仕事では、双極性障害のように躁うつの症状が見られる場合、マイペースな点があだになって、仕事をしすぎて調子を崩す場合もあります。

そのため、先述した「できるだけ残業を避ける」というコツのように、家族や同居人に「声掛けをしてもらう」などの工夫が必要です。

気分障害の人の仕事探しのポイント3点

最後に、この章では、気分障害の人の仕事探しのポイントを紹介します。

仕事を長続きさせるコツと同様に、仕事探しのときにも一人で抱え込まず、周囲の人に相談することが大切です

ここで言う「周囲の人」とは、かかりつけの先生やご家族、支援機関の支援員などのことです。

特に双極性障害では、あなたが仕事探しに乗り気でも、自分で気づかないうちに躁うつ状態になっていて、休養が必要な場合があります。

そういったときに、周りの人の見立てや意見が役に立つケースがありますので、できるだけ周囲の人を頼るようにしてください。

その点に留意しながら、以下の仕事探しのポイントを意識するようにしましょう。


ポイント①就労支援機関を頼る

ポイント①就労支援機関を頼る

1つ目のポイントは、「就労支援機関を頼る」です

気分障害をお持ちの場合、障害を開示して働く「オープン就労」にすべきか、非開示で働く「クローズ就労」にすべきかなど、就職活動にあたって悩まれる方がいるかと思います。

また、障害者手帳を取得して、障害者雇用枠での就労を考えているという方もいるでしょう。

就労支援機関では、こうしたお悩みに応えた上で、就職活動の手助けをしています

中でも、障害者総合支援法に基づいて、福祉サービスを提供している「就労移行支援事業所」では、メンタル面のケアから仕事に必要な専門スキルの指導、就職先の紹介まで、最低0円からサービスを受けられるため、オススメです。

就労移行支援を受けるためには、「専門医による診断書」が必要になりますが、どのように病院を利用したらよいか、という時点から相談可能です。

就労移行支援、オープン就労、クローズ就労については、それぞれ下記のコラムで詳述していますので、ご興味がありましたらご覧ください。


ポイント②勤務形態が柔軟な職場を探す

2点目は、「勤務形態が柔軟な職場を探す」です

気分障害の人が、勤務形態が柔軟な働き方に向いているというのは、前述のとおりです。

これから仕事探しをされる方は、「事情によっては在宅勤務に切り替えられる」など、労働者側で勤務形態を調整できるような職場を探すようにしましょう

とはいえ、職種によっては、フレックス制や裁量労働制であるところを探すのが難しいところもあるかと思います。

そういった場合は、体調に合わせて勤務時間を減らすことのできる「短時間勤務制度」や、体調を大きく崩した際に長期の休暇が取れる「休職制度」といった福利厚生制度が整っているかどうかを確認するようにしましょう

福利厚生制度が整っている職場であれば、体調不良者や障害者に対する配慮も浸透している可能性が高いため、気分障害の人が働き続けやすい環境である可能性が高いはずです。


ポイント③繁閑の差が少ない仕事を選ぶ

ポイント③繁閑の差が少ない仕事を選ぶ

最後のポイントは、「繁閑の差が少ない仕事を選ぶ」ことです

先述したように、残業が続くと、気分障害が悪化したり再発したりする確率が上がります。

これは、仕事による負荷以上に、「生活リズムが乱れる」ことに大きな原因があると考えられます。

そのため、繁忙期と閑散期の差が激しいような仕事ですと、つられて生活リズムも変動しやすいため、調子の波が大きくなりやすいのです

他に、転勤や出張で移動や環境変化が多くなりがちな仕事も、生活リズムの乱れを招きやすいため、あまりオススメできません。

仕事探しの際には、できるだけ「繁閑の差が少ない仕事を探す」ようにしましょう。

まとめ:気分障害でも工夫次第で長く働き続けることはできます

まとめ:気分障害でも工夫次第で長く働き続けることはできます

気分障害の人の仕事上の困難から、仕事を長続きさせるコツ、就職活動の際のポイントまでを解説してきましたが、役立つ情報はあったでしょうか?

気分障害であっても、工夫次第で長く働き続けることは、充分可能です。

気分障害の方は、調子がなかなか安定しないだけでなく、原因を特定できないことから、行き詰まりを感じてしまうことが多いと思います。

大切なのは、原因探しをすることではなく、いかにして特性を受け入れて対処していくかです

あなた一人で抱え込まずに、医師や就労移行支援事業所のような専門家、周囲の人などに相談しながら、あなたなりの対処法を模索していってください。

このコラムが仕事に悩む気分障害の方の助けになったなら幸いです。

さて、私たちキズキビジネスカレッジは、うつや発達障害などの方のための、就労移行支援事業所です。

就労移行支援事業とは、一般企業での就職や、仕事で独立する事を目指す障害者の方の、本人に適した職場への就職・定着を目的として行われる、障害福祉サービスの1つです。

気分障害であることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。

キズキビジネスカレッジの特徴は、会計・ファイナンス、マーケティング、プログラミング、ビジネス英語などの高度で専門的なスキルを学べる講座やプログラムを用意していることです。

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