高次脳機能障害の人の就職・復職・転職のための3つのポイント〜支援機関などもまとめて紹介〜 | キズキビジネスカレッジ

高次脳機能障害の人の就職・復職・転職のための3つのポイント〜支援機関などもまとめて紹介〜

2021年11月11日

メンタルヘルスを専門とする精神保健福祉士の国家資格を持つ西村です。

この記事をお読みのあなたは、高次脳機能障害をお持ちで、その状態や診断そのもののために、「どうすれば(また)働けるのか」とお悩みなのではないでしょうか。

または、そうした方が身近にいらっしゃる方かもしれませんね。

高次脳機能障害を負われた方で、「働くこと」についてのお悩みを抱えられる方は少なくありません。

そして、そういった方のために、高次脳機能障害に対応した治療、対処法、支援などが用意されています。

この記事では、高次脳機能障害をお持ちの方が働くための情報をまとめてお伝えします。

この記事を読んでわかること

  • 高次脳機能障害の症状と対応法
  • 高次脳機能障害の人の復職・就職のポイント
  • 高次脳機能障害の人に向いている可能性がある就職先
  • 高次脳機能障害に向いていないと思われる就職先
  • 高次脳機能障害の人が頼れる支援機関・支援制度

高次脳機能障害の症状が現れると、仕事はもとより、生活上で様々な困難が発生することがあります。

ですが、この記事を読むことで、あなたの就職・転職は近づいてくるはずです。

医療機関とのつながりを保つことを大前提に、ご紹介するような対応を行ったり、支援機関や支援制度を積極的に利用したりしていただければ幸いです。

なお、この記事は長く、最初の方では高次脳機能障害の概要やリハビリなどについて紹介していますが、目次を見て興味のある部分からご覧になって構いません。

また、この記事は、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)と私自身の知見とともに、全体的に『高次脳機能障害のある人への復職・就職ガイドブック』を参考に執筆しています。

安田祐輔

監修:キズキ代表 安田祐輔 (やすだ・ゆうすけ)

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。

その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病の方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年2月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年2月現在4校)

【著書など】
暗闇でも走る(講談社)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』 現代ビジネス執筆記事一覧
西村和樹

執筆:西村和樹 (にしむら・かずき)

精神保健福祉士。
1992年生まれ。関西学院大学文学部卒業後に京都医健専門学校で学び、2019年に国家資格・精神保健福祉士資格を取得。2018年8月から、キズキ共育塾(不登校・中退・発達障害・社会人などのための個別指導塾)で講師として勤務。現在は主任講師として国語・数学・英語・小論文・面接の学習支援およびメンタル支援を担当。また、うつや発達障害の方々のための就労移行支援事業所キズキビジネスカレッジでも英語などを教える。2021年現在、TOEIC800点を所持。

サイト運営:キズキビジネスカレッジ(KBC)

高次脳機能障害・うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

目次

脳機能の「高次」「低次」

異なる脳内イメージを持つ複数人のイラスト

まず、脳の機能には、認識と行動において、低次のものと高次のものがあります。

大まかに言うと次のように、高次の方が、より高いレベルの認識と行動をつかさどっています。

低次の機能

  • 見たり、聞いたり、感じたりすること
  • 手足などを動かすこと

高次の機能

  • 見て、聞いて、感じた情報の統合や分析、その保存、それを使った思考やコミュニケーション、行動の計画や判断など

「高次脳機能障害」は、この高次の脳機能が障害されたもので、脳損傷や脳の機能不全に伴う全ての認識や行動の障害を指すものです。

高次脳機能障害の種類・症状と対応策

徐々に混線がほどけていく電球のイラスト

続いて、高次脳機能障害の種類・症状と、就職や生活における対応策をお伝えします。

ただし、高次脳機能障害の症状の現れ方や程度は個人差が大きいため、ご紹介する症状が全ての人に共通するわけではありません。

「あなた個人の症状」については、主治医としっかり話すことを継続してください。

また、復職・転職・就職を考える際には、高次脳機能障害の症状だけでなく、それ以外のご自身の特性・性質も知っていくことで、よりよい働き方を目指すことができるでしょう。


①注意障害

「注意」とは、下記4つの機能を言います。

(1)(2)に比べ、(3)(4)は高度な機能です。

また、「注意」には容量があり、一度に明瞭に意識できる刺激の量は決まっています。

次のような状態は、注意障害による可能性があります。

状態の例

  • ぼーっとしている
  • 何かを始めても、すぐにやめる
  • 他のことに気をとられる
  • 店で目的のものが見つけられない

対策としては、次のようなことが考えられます。

就職や生活での対策例

  • 衝立(ついたて)で遮断する
  • 静かな環境をつくる
  • 時間で区切って休憩する
  • 作業は一工程ずつ行う

②記憶障害

さまざまなことを頭に思い浮かべる女性のイラスト

「記憶」とは、次の3段階からなる機能です。

情報を記憶するためには、まずその情報に注意を向けている必要があります。

それができた上で、記憶障害では、符合化・貯蔵・検索のいずれかまたは複数のことができなくなり、次のような状態につながります。

状態の例

  • 同じことを何回も聞く
  • 日付・場所・よく会う人の顔がわからない
  • 職場に行っていないのに、毎日通勤しているかのように人に話す
  • どこに行こうとしていたか忘れる
  • 道順が覚えられない
補足:展望記憶が関係する「困難」

展望記憶とは、「適切なタイミングで検索を行い、未来や将来の予定に関する記憶の働き」のことです。展望記憶が難しい場合には、「約束そのものは覚えていても、約束の時間になったときにちょうどよいタイミングで行動することを思い出せず、約束を守れない」などの困難があり得ます。

補足:作業記憶が関係する「困難」

作業記憶とは、「話したり考えたりしているときに一時的に情報をとどめておき、それを操作するための作業場のようなもの」のことです。作業記憶がうまく働かないと、「会話しているうちにテーマから逸れる、どこまで話したかわからなくなる」などの困難があり得ます。また、「読書、推理、計算などが以前のようにできなくなる」場合もあります。

こうした記憶障害について、就職や生活での対策には、次の2つがあります。

■対策(1)自分が覚えやすい様式で覚える

記憶は、思い出す情報の様式によって、次の3つにわけられます。

これらの様式による覚えやすさの違いがわかれば、記憶障害に対処するときに役立ちます。

■対策(2)整理と繰り返しを心がける

日用品や情報を少なくシンプルに整理し、日課や活動の手順を一定にして毎日繰り返すことで、日々の活動を身体で覚えていくことができます。

この対処法は、注意機能を働かせやすくすると同時に、保たれていることの多い手続き的な情報の記憶を利用するものです。


③遂行機能障害

「遂行機能」は、目的を持った一連の行動を適切に行うための機能です。

遂行機能の概要

  • 活動の目的を明確に意図する
  • 目的を達成するための一連の行為の計画を立てる
  • 目的を意識しつつ、一連の行為を開始・維持・返還・中止する

遂行機能に障害がある場合、次のようなことが難しくなります。

より具体的には、次のような状態につながり得ます。

対応として考えられることは、次のようなものです。

対応の例

  • 調理は、まずは簡単なものからやってみる
  • 外出は、まずは近くの慣れたところからやってみる
  • 行動する前に計画を立てて書き、支援者とそれを確認し、計画書を見ながら実行する
  • 終わったら支援者と一緒に振りかえる

困っていることややりたいことはすべて書き出してみて、どれからとりかかるか、順序を支援者と決めていきましょう。

手順・計画・課題のリストを見える化してみることで、行動しやすくなるはずです。


④神経疲労

神経疲労とは、身体ではなく、脳が疲れやすくなっていることを言います。

「脳が、損傷した細胞を補うために、人一倍努力すること」で引き起こされると考えられています。

脳が疲れると、他の全ての高次脳機能にも影響を与えます。

イライラしやすくなり、表情も怒っているように見える場合があります。

そういった疲れを引き起こさないための対策としては、次のようなものがあります。

就職や生活での対策例

  • 活動のレベルを能力にあったものにする
  • 適度に運動を行う
  • 定期的に短い休憩を取る

⑤社会的行動障害

話し合う男女のイラスト

高次脳機能の損傷は、次のように、社会的な行動にも影響があります。

また、高次脳機能障害や身体障害と環境との相互作用によって、自信の喪失、意欲の低下、ひきこもりなどの様々な「困難」が二次的に起きることもあります。

対処・対応として大切なのは、「行動障害の背景を、支援者とともに把握していくこと」です。

把握の例

  • 症状のきっかけとなる刺激を減らす
  • 必要なポイントでは支援を依頼する

支援者とともに、背景に応じた様々な工夫をすることによって、「困難」は地道に改善していきます(薬物療法を検討する場合もあります)。


⑥その他

これまでにご紹介した以外の、高次脳機能障害の症状を列挙します。

半側空間無視

  • 損傷した大脳半球と反対側の空間に注意が向かなくなる症状

失認

  • 感覚そのものに異常はないが、ある感覚を介して対象を認識することができない症状(例:物が見えているのにその形がわからない。形はわかるのにそれが何であるかがわからない。しかし、触れば、あるいは音を聞けばわかる、といったような状態)

失語

  • 「聞く・話す・書く・読む」といった言語の操作が様々なレベルで難しくなる。他の症状と同じく個人差が大きい。

失行

  • 麻痺や不随意運動があるわけではないのに、指示された動作などがうまくできない症状。

病識の低下

  • 高次脳機能障害の症状があっても、自身ではその症状に気づかず、自分に問題はなく、なんでも元どおりにできると感じている状態。

高次脳機能障害の特徴

脳を虫眼鏡で覗くスーツの男性2人のイラスト

続いて、高次脳機能障害の特徴についてお伝えします。

前章で紹介した「高次脳機能障害の症状・対処法」と関わる話が多いので、そちらを念頭に置きながらご覧ください。


①症状の組み合わせは人によって様々

前章で述べた症状は、「一人に一つだけ発生する」ということは少なく、いくつかの症状が組み合わさってあらわれることがほとんどです。


②複数の症状がお互いに関連する

注意機能はすべての高次脳機能につながっています。そのため、一つの症状が起きると、別の機能に影響を及ぼします。

  • 注意機能が低下すると、他の機能にも影響を与える
  • 神経疲労が起こると、脳が疲れて注意機能障害が起こる

③環境や時間によってできることが異なる

同じような作業でも、物理的環境・人的環境・時間などの違いによって、できるときとできないときがある場合があります。


④脳が疲れやすい

疲れると注意機能が落ちます。イライラしたり、めまいや頭痛などの自律神経症状が現れたりすることもあります。


⑤健康状態が脳に影響を与える

脳以外も含めて、睡眠、食事、水分、体力などの健康状態が、脳の疲労に影響します。


⑥「正常」との差は曖昧

高次脳機能障害の状態・影響などは、検査だけではわからないこともあります。発症前との違いについて情報を集め、医師と話し、判断していくことも大切です。

高次脳機能障害の対処法・リハビリ

人間の持つ高次脳機能そのものと、高次脳機能障害のリハビリには、下図のような階層性があります。(『高次脳機能障害のある人への復職・就職ガイドブック』から再作成)

高次脳機能障害のリハビリ階層

屋根の部分の下の層にある機能が認知の働きの基礎であって、その上にあるすべての機能に影響しているということを示しています。


高次脳機能障害の標準的リハビリテーションプログラム

高次脳機能障害のリハビリテーションプログラムには、一般的に、発症・受傷からの相対的な期間と目標によって次の三つがあります。(参考:国立障害者リハビリテーションセンター、高次脳機能障害情報・支援センター「リハビリテーションについて知りたい」)

通常、医学的リハビリテーションプログラムから始めて、生活訓練プログラム、就労移行支援プログラム、と徐々に移行していきます。


(1)医学的リハビリテーションプログラム

ハートを持つ医師と患者の手

医学的リハビリテーションとは、病院や診療所などの医療機関で行う療法を言うます。

個々の認知障害の対処をめざす認知リハビリテーションに加えて、心理カウンセリング、薬物治療、外科的治療なども含まれます。

リハビリテーションの実施体制を作り、定期的にカンファレンス(会議)を開いて目標や方針を確認しながら評価・計画に基づいて実施します。


(2)生活訓練プログラム

生活訓練は、利用者が日常生活能力や社会活動能力を高め、日々の生活の安定と、より積極的な社会参加ができるようにすることを目的に行います。

訓練をとおして高次脳機能障害(と、それに伴う症状)に対する認識を高め、障害・症状を補う方法(代償手段)を獲得することが大きな課題です。

また、当事者に対する直接的な訓練のみならず、家族への働きかけも含めた環境調整も重要です。


(3)就労移行支援プログラム

ステップを上る手伝いをする男性とはしごを登る女性のイラスト

就労移行支援は、病気や障害をお持ちで、就職を希望する方を対象に、障害者支援施設が提供するサービスのひとつです。

こちらの概要は、後で改めてご紹介します。

高次脳機能障害の人の復職・就職のポイント3つ

電球が書かれた紙

高次脳機能障害の人が復職・就職をしていく際の大事なポイントを、3つにわけてお伝えします。


ポイント①医療機関とのつながりを保つ

まず何よりも大切なのは、医療機関につながり、しっかりと治療やリハビリを受けることです。

発症・受傷されたとき、急性期病院で手術や治療、早期のリハビリテーションを受け、その後、回復期病院で家庭復帰、社会復帰を目指すリハビリテーションを受ける場合が多いかと思います。

前述の「リハビリテーションの家」でも示したように、まず家の土台、あらゆる生活の基礎を固めていただくことが大切です。

病院や支援施設では、「アセスメント」ということを行っています。

アセスメントとは

日常生活の情報や行動観察、机上検査、医療情報などから、どのような高次脳機能障害があるのか、その他の身体機能・感覚機能に支障はないか、日常生活や社会生活の自立度などを把握するもの。さらに、支援者の状況や自宅や職場などの生活環境、当事者の状態や希望、健康状況、生活リズムなどの全体像も見ていきます。そして、それらのことをどのくらいの期間で、どの程度回復することが可能か推測するものです。

アセスメントのために(治療のために)、主治医や支援者にあなたの希望などを伝え、ともに治療や就職への道のりを歩いていくことが大切と言えるでしょう。

主治医や支援者と相性が悪い、信頼することができない、と感じられる場合には、治療やリハビリそのものをやめるのではなく、ご自身に合いそうな別の病院を探してみてください。


ポイント②症状を把握し、復職・就職のステップをつくる

急性期病院での治療を終えた後は、医療機関・支援機関・支援制度などを使いながら、症状との自分なりの向き合い方、対処法を探しつつ把握していくことになります。

復職や就職を目指す際には、主治医に相談し、必ず許可を得るようにしてください。

リハビリのステップとしては、下図のような階層構造を意識されるとよいでしょう。(『高次脳機能障害のある人への復職・就職ガイドブック』から再作成)

リハビリステップの構造階層

復職・就職という長期的な目標と、そこに至るための具体的で短期的な目標を立て、ステップを上がるようにひとつずつこなしていくことが、一番の近道となると思います。

症状を医師、支援者、家族などと共有し、生活リズムの管理、スケジュール・持ち物管理などに症状があらわれていないか確認しつつ、復職・就職の道のりを歩んでいきましょう。


ポイント③自分の症状、特性を就職先に説明して理解を得る

復職・就職となったとき、職場側が気になるポイントは「どういった症状があるのか」「どういった業務をまかせることができ、どういった業務は難しいのか」といった点になると思います。

ご自身の症状や特性を、自分ひとりで十分に伝わるように説明することは、どのような人であっても簡単なことではありません。

医師や就労支援機関を利用して、支援者とともに、そうしたことをどうまとめ、どう伝えるのかを考えましょう。

就労を支援する機関は、後で改めて紹介します。

高次脳機能障害の人が元の職場に復職する場合のポイント

大きな拡声器で伝えようとしているスーツの男性たちのイラスト

元の職場への復職を考えている方は、「高次脳機能障害の発症前と後の変化」をしっかりと把握して、上手に伝えることが大切です。

変化を把握し、説明できるようにすることで、職場と復職の打ち合わせをするときに、職場側との意思疎通がスムーズに進み、また、適切な配慮を得られる状態で仕事を再スタートできる可能性が高まります。

よい伝え方の例

復職準備プログラムに週4日通っています。体力は大丈夫です。データ入力のスピードは落ちていますが、ミスはほとんどありません。

→業務スピードが落ちることに配慮や対策が必要ということがわかりやすい

よくない伝え方の例

働けるかどうかは会社に戻ってみないとわからないですが、何とかできると思っています。

→どのような配慮や対策が必要なのかわからない

また、復職であれば、発症以前に行って慣れている業務も多いかと思いますので、「新しく覚える」という脳への負荷は少なくて済むでしょう。

高次脳機能障害の人が新しく就職・転職する場合のポイント

面接官に自分のことを伝えるスーツの男性のイラスト

新規就職や転職を考えている方も、「高次脳機能障害の発症前後の変化を把握すること」が大切です。

発症前後の変化を把握することで、就職活動の際に、「○時間は働くことができます(○時間以上は難しいです)」「この業務ならできます(この業務は苦手と思われます)」などと明確に伝えることができます。

説明材料の例としては以下のようなものがあります。

体力・集中力の回復具合を客観的に説明する材料

  • 健康状態:通院頻度、生活リズムの安定、体調の自己管理など
  • 体力:日中の活動状況(家事、外出、就労プログラムへの通所頻度など)
  • 集中力:継続してどれくらいの時間、読書、パソコン作業、軽作業などを行えるか

発症前との変化を客観的に説明する材料

  • できる業務:軽作業、座位作業、データ入力、検品、ピッキングなど
  • 苦手になった業務:電話の応対、会議録の作成、顧客対応、複数業務の同時進行など
  • 工夫・対処の仕方:口頭指示を視覚化してもらう、メモを活用する、一回に一つの作業進行など

その上で、高次脳機能障害の人が就職・転職を考える場合には、一般的には次のような業務が向いていると考えられます。

向いている業務

  • 事務や軽作業などの業務

理由

  • 作業を一つずつ進行できる
  • 業務マニュアルがある
  • 臨機応変な対応があまり求められない

ただしもちろん個々人の適性がありますし、事務や軽作業の内容は職場によって様々ですので、ご自身に向いている就職先のことは、支援者への相談をオススメします。

高次脳機能障害の人に向いていないと思われる就職先

ノートパソコンの前で難しい顔をする男性のイラスト

続いて、高次脳機能障害の方に向いていないと思われる就職先を紹介します(こちらも個人差や職場差はもちろんあります)。

高次脳機能障害の症状として、「集中力が低下すること」「脳が疲れやすくなること」などがあります。

そのため、次のような就職先は向いていないと思われます。

就職活動を行う際は、支援者とともに、ご自身の状態を伝えるとともに、「どのような仕事なのか」をしっかり確認するようにしましょう。

高次脳機能障害の人が復職・就職のとき頼れる支援機関

相談する女性とそれを聞く女性

高次脳機能障害の人が復職・就職のとき頼れる支援機関について詳述します。(参考・引用:国立障害者リハビリテーションセンター、高次脳機能障害情報・支援センター「就労支援について知りたい」)

高次脳機能障害をお持ちであっても、それぞれの状況に応じて、長期的に安定して働くためのさまざまなサービスがあります。

「支援を利用しながら働いていく」ことは可能ですので、ぜひ、以下で紹介する支援機関の中から、ご自身に向いていそうな場所に連絡をしてみてください。

どの機関が向いているのかわからない場合は、医師や、お住まいの市区町村の障害福祉担当部署に聞いてみることをオススメします。


①公的な就労準備支援プログラム

各自治体が、障害者への就労支援や相談などを実施しています。

ここでは、東京都心身障害者福祉センターで行われている「高次脳機能障害者のための就労準備支援プログラム」について紹介いたします。(参考:東京都福祉保健局「高次脳機能障害者のための就労準備支援プログラム~自分らしい働き方の実現に向けて~ 」)

東京都以外にお住まいの方は、お住まいの道府県のサポートを探してみてください。

東京都心身障害者福祉センターでは、「再び働くための準備」として、次のようなプログラムを行っています。

具体的なサポートの流れ

  • (1)働くことへの自信を回復する
  • (2)職業生活への準備性を整える
  • (3)自分らしい働き方を探す
  • (4)生活の再設計を検討する
  • (5)就労・復職に挑戦する

利用の対象者、利用期間、担当スタッフ、費用については、以下のとおりです。

利用の対象となる方

  • 障害者手帳の有無を問わず、高次脳機能障害のある方
  • 年齢が15歳から65歳未満の方
  • 単独で交通機関を利用して、認知面、身体面ともに安全に通所できる方
  • プログラムの内容を十分に理解し、利用の意思を持つ方

利用期間と利用日数

  • 利用期間は原則6か月
  • 体力や通所経路などを考慮し、利用時間や利用日数はご相談の上、決定

担当スタッフ

  • 作業療法士、言語聴覚士、福祉職、心理職、看護師などの専門職チーム

費用

  • プログラム利用にかかる費用は無料
  • 通所に必要な交通費、昼食代は自己負担
  • 工賃(給料)はなし

②障害者職業能力開発校

障害者職業能力開発校では、障害のある方が働く上で必要な基礎知識や技術を身につけるための職業訓練を行います。

全国19校の障害者職業能力開発校のほか、全都道府県で、企業・社会福祉法人・NPO法人・民間教育訓練機関など、地域の多様な能力開発施設を活用して、個々の障害者に対応した内容の訓練を委託実施しています。

詳しくは、それぞれの障害者職業能力開発校か、ハローワークにて相談することができます。


③地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害者手帳の有無を問わず、障害のある方を対象に、就職・復職に向けての相談、職業能力等の評価、就職前の支援、就職後の職場適応のための援助などのサービスを提供しています。

都道府県に1か所以上あり、こちら(地域障害者職業センター一覧)で全国の一覧が確認できます。


④障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、就業及びそれに伴う日常生活上の支援が必要な障害のある方に対し、センター窓口での相談や職場・家庭訪問などを実施する団体です。

就職に限らず、生活面も含めて就職に向けたサポートを受けたいという方に特にオススメです。

興味のある方は、お近くの事業所にご相談ください。(参考:厚生労働省 ※PDF「障害者就業・生活支援センター」)


⑤ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークでは、個々の障害の状況、適性、希望職種等に応じて、職業相談、職業紹介、職場適応のための助言を行っています。(参考:ハローワーク

職業紹介では、障害者に限定した求人も一般の求人も応募可能です。

その他、面接に同行するサービスや就職面接会も実施しています。

また、これまでに紹介した、地域障害者職業センターでの専門的な職業リハビリテーションや、障害者就業・生活支援センターでの生活面を含めた支援など、関係機関と連携して支援を行っています。


⑥就労移行支援事業所

就労移行支援とは、病気や障害のある方の就職を援助する福祉サービスです。

就労移行支援事業所では、体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができます。

さらには、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。

就労移行支援事業所の詳細は、コラム「就労移行支援とは?サービス内容から就労継続支援との違いまで解説」をご覧ください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)も就労移行支援事業所の一つです。

無料相談も行っていますので、少しでもご興味のある方は、お気軽にご連絡ください。

高次脳機能障害の人が頼れる支援制度

ハートを包む両手のイラスト

高次脳機能障害の人が利用することのできる支援制度としては、主に以下のものがあります。


①障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス

障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスには、主には次の2つがあります。

介護給付

  • 入浴や排泄、食事の支援、あるいは創作的活動や生産活動の機会を提供します

訓練等給付

  • 生活の自立や就職を目指します

また、市区町村が地域特性や利用者の状況を踏まえて、相談支援や地域活動支援などの地域生活支援事業を行っています。

詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にて、相談および利用申請をすることができます。

なお、「器質性精神障害」として位置づけられた高次脳機能障害は、精神障害者保健福祉手帳だけでなく、自立支援医療受給者証(精神通院医療)や医師の診断書(原則として主治医が記載し、国際疾病分類ICD-10コードを記載するなど精神障害者であることが確認できる内容であること)があれば、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの支給申請をすることができます。(以上参考:国立障害者リハビリテーションセンター「福祉サービスについて知りたい」、厚生労働省「障害者総合支援法」、「障害者自立支援法のサービス利用について(テキスト版)」、「障害者自立支援法のサービス利用について(PDF版:1.2MB)」)


②障害者手帳の利用

障害者手帳を所持することで、各種税金や公共料金等の控除や減免、公営住宅入居の優遇、障害福祉サービス、障害者法定雇用率適用等のサービスを受けられます。

サービスの対象者や内容は、自治体により異なりますので、お住まいの市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせください。

なお、身体症状と精神症状を併せ持つ場合には、2種類以上の障害者手帳を申請することができます。

詳しくは以下の、それぞれの手帳の説明をご覧ください。

(1)精神障害者保健福祉手帳

高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約があると診断されれば「器質性精神障害」として、精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。申請時に必要な診断書を記載するのは、精神科医である必要はなく、リハビリテーション医・神経内科医・脳神経外科医等も可能です。

(2)身体障害者手帳

手足の麻痺や音声・言語障害があり、厚生労働省の定めた身体障害者程度等級表に該当する場合に、身体障害者手帳の申請対象となります。

(3)療育手帳

発症(受傷)が18歳未満で、自治体が指定する機関において知的障害と判定された場合に、療育手帳の申請対象となります。

障害者手帳の詳細は、コラム「障害者手帳のメリットとは?具体例、注意点、申請手順を徹底解説」をご覧ください。


③介護保険制度による介護サービス

介護保険制度による介護サービスは、ホームヘルプ、住宅改修、デイサービスや入所施設などを利用することができます。(参考:厚生労働省「介護サービス情報公開システム」)

利用できるのは、下記のような方です。


④その他

他にも、障害年金、生活保護、傷病手当金などの利用が可能なケースもあります。

ご自分がどのような支援を利用できるのかは、役所や、これまでに紹介した支援機関に相談することで具体的にわかっていくと思います。

まとめ〜支援者とともに症状に対処し、就職を実現していきましょう〜

複数人でハイタッチする画像

以上、高次脳機能障害をお持ちの方の就職について、様々な情報をまとめてご紹介いたしました。

どのような病気・障害でも同じですが、高次脳機能障害の人が復職・就職をされる際には、「まずしっかりと治療を受け」「自分の症状を把握し」「長期的な目標までの間に短期的な目標を立て」「短期目標をひとつずつクリアしていくこと」が大切になります。

そのためにも、主治医、支援者、ご家族の方々などと協力し、少しずつステップを進んでいっていただけたらと思います。

そうすることで、あなたの就職・復職・転職が、きっと近づいてきます。

この記事の情報が、少しでもお役に立てば幸いです。

さて、私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、高次脳機能障害・うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所です。

就労移行支援事業とは、病気・障害をお持ちで、一般企業での就職や仕事で独立する事を目指す方の、本人に適した職場への就職・定着を目的として行われる、障害福祉サービスの1つです。

高次脳機能障害の診断書をお持ちの場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。

キズキビジネスカレッジ(KBC)の特徴は、一人ひとりの適職のために、会計・ファイナンス、マーケティング、プログラミング、ビジネス英語などの高度で専門的なスキルを学べる講座やプログラムを用意していることです。

少しでも気になる方は、【キズキビジネスカレッジ(KBC)の概要】をご覧の上、お気軽にお問い合わせください(ご相談は無料です)。


よくある質問(1)

高次脳機能障害の自分が復職・就職のために抑えるべきポイントを知りたいです。

一般論として、次のようなポイントが挙げられます。(1)医療機関とのつながりを保つ、(2)症状を把握し、復職・就職のステップをつくる、(3)自分の症状、特性を就職先に説明して理解を得る。詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

高次脳機能障害の自分が復職・就職のために利用できる支援機関を知りたいです。

代表的な例として、次のような団体があります。(1)公的な就労準備支援プログラム、(2)障害者職業能力開発校、(3)地域障害者職業センター、(4)障害者就業・生活支援センター、(5)ハローワーク(公共職業安定所)。詳細はこちらをご覧ください。

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