KBCで「自分のこと」と「就職活動」に理解を深め、エントリー1社目で就職決定。8か月経った現在も充実して働く | キズキビジネスカレッジ

KBCで「自分のこと」と「就職活動」に理解を深め、エントリー1社目で就職決定。8か月経った現在も充実して働く

Iさん(インタビュー時25歳。画像は全てイメージです。イニシャル無関係)
特性:ADHDとASD
KBC通所期間:約5か月(就職後も、KBCによる就労定着支援を受けています)

大学卒業後にフリーランスで動画編集の仕事を行っていたIさん。特性に伴う苦労が増えてきたことから診察に向かい、ADHDとASDの診断を受けました。KBC(新宿御苑校)で「自分のこと」や「就職活動」への理解を深めて、エントリーした1社目で就職が決定。クローズ就労・一般枠・正社員として、子ども向けに英会話を教える会社の英会話講師として働いています。現在は働き始めて8か月になりました。

高校生のときには「自分は周りと違う」と思っていた

高校生のときには「自分は周りと違う」と思っていた

高校時代までを思い返すと、勉強面では、興味のある教科の成績は普通以上でした(クラスで1番になったことも)。その一方で、興味を持てない科目は普通以下でした(クラスでビリだったことも)。

特に興味があったのは英語です。これは、洋楽が好きだったことと、英語教師だった祖父から英語のことをいろいろ聞いていたことが影響しています。

苦手科目については、後から思えば「しっかり聞いてしっかり考えれば、理解できていたはずのこと」ができていませんでした。この原因は、「発達障害の特性に伴って、集中力を保てなかったこと」かなと思います。

生活面では、いわゆる「のび太」みたいな子どもでしたね。忘れ物は日常茶飯事で、人の話を聞くこともすごく苦手。言われたこともうまくできず大人に叱られてばかり。他の子と同じペースでの身支度ができず、遅刻も多かったです。

高校時代にはファーストフード店でアルバイトもしたのですが、集中力を保つこと、同時並行で業務を行うことが苦手で、失敗続きでした。

そうしたことが影響して、高校生のときには、「自分は周りと違うな」とは思っていました。いろいろ調べて、「ADHD」という言葉も認識していました。検査を受けたくはあったのですが、「いますぐに検査するほどの必要性はない」と判断して、受けませんでした。

ただ、これもいまにして思えば、早めに検査を受けていれば、集中力などへの対策も早くに見つかって、「できること」が増えていたり、もっと楽に過ごせていたりしたのかもしれないなと思います。

大学卒業後、フリーランスとして動画編集を行う

大学卒業後、フリーランスとして動画編集を行う

高校卒業後は、現役で大学に進学。興味のある英語を使う学部でしたので、特性がよい方向に働いて、授業内容の理解に苦しむことはほとんどありませんでした。先に言いますと、卒業もストレートです。

1年生のときに、フィットネスジムでアルバイトを始めました。高校生の頃から筋トレに熱中していたので、その経験を活かした仕事をしてみたいと思ったんです。

さらに、オンラインで筋トレ関連の動画コンテンツを発信するようになって、動画編集スキルが身についていきました。

そして、私の動画を見たある会社から連絡があって、その会社のインターンとしての動画編集も開始。新卒時には就職活動をせず、その会社の動画編集をフリーランスの形で引き続き行うようになりました。時間や内容としては、フルタイムの会社員くらい働いていましたね。

特性による不便さを感じるようになり、検査を受ける。診断はASDとADHD

特性による不便さを感じるようになり、検査を受ける。診断はASDとADHD

動画編集の仕事は楽しかったのですが、うまく集中できなかったり、会社とミスコミュニケーションが起きたりなど、自分の「特性」によるであろう不便さを感じるようになっていきました。

仕事がひと段落したタイミングで「次のキャリア」を考えるうちに、一歩進む前に自分の「特性」をはっきり理解した方がよいと思い、診断を受けました。

結果として、ASDとADHDと判明。ASDはマイルドな方で、ADHDは注意欠陥の特性が強いとわかりました。

診断を見て、「やっぱり」と思いました。そして、ホッとすると同時に、無力感も少し抱きました。

ホッとしたのは、「自分の失敗は、自分が怠けているとは限らない」と知ることができたからです。

無力感を持ったのは、「障害がある」、つまり「できないこと、苦手なことが原因で、これからの日常生活や仕事に影響が出てくるだろう」と思ったからです。

診断を受けた頃は、発達障害の特性を和らげる薬に関する知識、また実生活における具体的な対策などを持ち合わせていなかったため、反射的に無力感を抱いたんだと思います。

ただ、いろいろ考えたりしてるうちに「発達障害かどうかに関わらず、人間は誰しも、大なり小なり『いろいろ』ある」と思い至りました。また、いろいろ調べるなかで「苦手なことも対策次第でカバーできるケースが少なくない」ことを知りました。そのおかげで無力感は次第と和らいでいきました。

自分の特性を活かせる仕事を探す中でKBCを見つけて入所。特に「自己理解講座」が役立った

自分の特性を活かせる仕事を探す中でKBCを見つけて入所。特に「自己理解講座」が役立った

診断を受けた後、最初は、自分一人で就職活動をしようと思っていました。そこで、特性を活かせる仕事はなんだろう…と調べるうちに、KBCのことや、就労移行支援という仕組みそのものを知ったんです。

自分のスキルや考え方がKBCの方向性と合っていたように思えましたし、プログラムにも興味を持ったので、面談と体験利用を経て、正式利用を決めました。

様々な講座を受けた中で、特に「自己理解講座」では、いろいろな成果がありました。思っていた以上に科学的な知見を用いた情報で構成されていて、講師の説明もわかりやすくて、利用者への心配りも感じました。

成果の一つは、自分についても他人についても、「怒り」への理解が深まったことです。
他人が怒っている理由を想像するための、具体的な方法を手に入れることができました。現在の生活でも、相手の怒りの原因を想像しやすくなり、対応を考えたり、自分の気持ちを落ち着かせたりする助けになっています。

成果のもう一つは、精神面も含めた体調管理を学べたことです。
特にストレスについて、「ストレスとは何か」「ストレスはどこから来るのか」「ストレスを排出する具体的な方法」などを知ることができました。こちらも、実際の疲労管理に役立っています。

これらを学ぶことができたからこそ、就職から8か月が経った現在も働けているのかなと思います。

他の利用者さんについて言えば、体験利用のときから、「気さくに話しかけてくれつつ、お互いへの配慮もある方々」ばかりで、とても快適に過ごせました。

KBC以外には、ハローワークで適性検査を受けました。「福祉や教育に向いている」という結果が出て、自分でも「人の面倒を見ることが好き」だと認識していたので、当てはまっていると思いましたね。ちょっとカッコいい言い方をすると、「人のためになる仕事」に就きたいと考えていました。

クローズ・一般・正規雇用で、最初に受けた会社で内定

クローズ・一般・正規雇用で、最初に受けた会社で内定

KBCで様々な講座を受けつつ、就職活動も開始しました。まずはどんな業種や職種があるのかを自分なりに調べて、自分の興味・特性に合いそうな会社を絞り込んでいったんです。

結果から言うと、「ここだ」と思って最初に応募した会社で、正規雇用の採用が決まります(就職後半年は試用期間として契約社員)。メイン事業として「子ども向けの英会話教室」を運営する会社の、「子どもたちに英会話を英語のみで教える、先生の仕事」です。

当時の求人職種は、主に「教育職」「事務職」に分かれていました。つまり、「教育職」と「事務職」を兼任する必要がないということです。

教えることを中心に働くなら、自分の特性を活かせて輝けるかもしれないと思って応募しました。実際に、いまは充実して働いています。

働き方は、クローズ就労・一般枠です(結果としては1社しか受けていませんが、いろいろと考えて、就活全体を「クローズ・一般」で進めるつもりでした)。

KBCで履歴書・ES対策と面接対策も実施。「本質的なこと」を理解した

KBCで履歴書・ES対策と面接対策も実施。「本質的なこと」を理解した

就職活動にあたって、KBCの履歴書・エントリーシート(ES)対策と、面接対策はすごく役立ちました。

大学新卒時に就活を行っていないということもあり、「こうするんだ」と新鮮な印象を受けながら学びました。

特に履歴書・ESでは、「まずは自分なりに書いたもの」をスタッフの米倉さんに見てもらって、「この視点が抜けてる」「ここはもっとアピールできる」などのアドバイスを受けて、ブラッシュアップしていくことができました。

履歴書・ESと面接に共通して、「本質的なこと」を学べたと思います。それは、「相手にとって魅力的な人材に映るための、2つの方法」です(何が「本質」なのかは、人によって違うかもしれませんが)。

  • 方法(1)「相手の理念」と「自分の価値観」のマッチングのアピール
  • 方法(2)相手が求めるスキルなどを持っていることのアピール

上記を土台にして、講座などを通じて面接のケーススタディを行うことで、またアピールの仕方や一般的なマナーなどのテクニック的なことも学ぶことで、様々なパターンの質問への対応を考えることができました。

充実して働く現在。子どもたちとのコミュニケーションが楽しい

充実して働く現在。子どもたちとのコミュニケーションが楽しい

現在の私は、充実して働いています。

就職当初は、「子どもたちを相手に教えるためのスキル」を獲得するためにはいろんなことを勉強しなくてはいけないな…と圧倒されていました。現在は、勉強の成果もありつつ、仕事や職場への慣れもありつつ、就職当初に労力が必要だったことがあまり苦労なくできるようになったかなと思います。

仕事で一番楽しいのは、子どもたち(英会話教室の生徒たち)とのコミュニケーションですね。私が授業で教えた単語やフレーズを覚えて、実際に私との会話で使ってくれると格別に嬉しいですね。

子どもたちを押さえつけたくない、子どもたちに役立つことを伝えたいと思いながら、彼らと対等に、「友人」のようにコミュニケーションを行っています。一方で、子どもたちが意地悪なことをしたり、人への敬意を払っていなかったりしたら、注意したりすることもあります。

やはり自分は「教える仕事」が向いているのかもしれません。どんなに疲れて帰宅しても、その日に印象に残ったことを思い出して「この仕事ほんと面白いな〜」と余韻に浸る日もあるし、自分が子どもによい影響を与えられているか真剣に考える日もあるからです。

職場での特性対策

職場での特性対策

充実して働いているとは言え、特性による悩みや失敗がないわけではありません。それらには次のような対策を行っています。

私は、集中力のコントロールが苦手です。そのため、英会話の授業の開始・終了のタイミングがわからなくなることがありました。授業の時間割は細かく分けられていて、私も含めて担当の先生が毎日入れ替わるので、スケジュール管理はとても大切です。この対策として、Apple Watchのアラームで「この時間はこうする」というのがわかるようにしています。

また、自分の特性を自分なりに把握して、スマホのメモにまとめています。出勤前に毎日それを読んで、「これに気をつける」というのをリマインドしています。

他にも、業務中に発生したタスクなどを紙のノートに書いて、退勤前に抜け漏れの確認もしています。

こうした対策に加えて、集中力を保つための服薬などを行えていることも、充実して働けている大きな要因だと思います。

就職して半年ほど経って仕事にもひと通り慣れた頃、服薬をやめて様子を見る時期を設けたことがあります。すると、前述した対策(アラームやメモなど)を全て駆使して仕事に臨んだにも関わらず、それまでの半年では考えられないほどの頻度でミスが連発したんです。そこで、服薬の継続を決めました。

薬と聞くと様々な副作用を思い浮かべて抵抗感を持つ人も少なくないと思います。ただ私個人は、医師の適切な指導のもと服薬し、副作用に苦しむことなく日々を安定して過ごすことができています。対策としてこれからも服薬を続けていこうと思います。

就労定着支援で、ミスの振り返りや対策などを考えられる

就労定着支援で、ミスの振り返りや対策などを考えられる

KBCからは、就職した後の就労定着支援(定期面談)も受けています。日々の状況を振り返り、自分の思考を整理し、問題を解決する役に立っています。

面談では、毎回、心身の調子や、職場で起こった問題などについて話しています。

問題やミスがあったならそれを共有して、「何が悪いんだろうか」と一緒に考えて、原因と対策(改善方法)を考えることができます。

自分なりに考えた原因と対策のブラッシュアップもできるのですが、スタッフの米倉さんは、別の視点での原因・対策も示してくれます。自分が思いついた対策と教えてもらった対策、どっちも実践できて、とても有意義です。

「病気・障害」と「仕事」に悩んでいる方へ

「病気・障害」と「仕事」に悩んでいる方へ

この記事を読んでいる方は、僕と同じように、「病気や障害と、仕事」について、お悩みやご希望を持っているのではないかと思います。

「悩み」について言えば、僕自身に効果があったのは「特性も一つの個性だから、得意なことを伸ばしたり活かせばいいじゃん」という考え方です。また、僕を常に勇気づけてくれるのは、「苦手なことも対策次第でカバーできるケースがある」という事実です。

そして、(まだ診断を受けていない方は)診断が確定すると、「納得」できることもあります。私自身は、診断をもとに就職活動の方向を明確に定めたり、仕事の失敗に対して具体的な対策を立てたりするのに役立っています。ただこれは、全員に当てはまるかはわかりません。

いずれにしても、すごく大事なことは、医療機関や就労移行支援事業所など、周りからのサポートを柔軟に取り入れながら、自分主体で積極的に進んでいくことだと私は思います。

それぞれの方面におけるプロからサポートを受けることで、自分への理解が深まったり、社会で生きる上で役立つ本質的な学びを得られたり、それらの情報を整理しやすくなったりするはずです。そうすると就職活動に限らず人生の大事な局面で、最適な決断をくだしやすくなり、具体的な希望も見えてくると思います。

KBCは、そうしたサポートを行う団体の一つです。相談すると、きっとあなたの役に立つアドバイスが受けられると思います。少しでも気になったなら連絡してみることをオススメします。

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