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広汎性発達障害の人に向いてる仕事 就職・転職するときのポイントやサポート機関をまとめて解説

こんにちは、精神保健福祉士の西村です。

あなたは、広汎性発達障害(現:ASD)と診断されたり、自分が広汎性発達障害(現:ASD)なのではないかと思っていたりする中で、下記のような悩みをお持ちなのではないでしょうか。

  • 広汎性発達障害(現:ASD)由来と思われる特性のために、仕事がなかなか続かない
  • 自分に向いてる仕事がわからない

広汎性発達障害(現:ASD)の人にあまり向いてないといわれる仕事・業務があることは事実です。ですが、特性を把握することで、向いてる仕事を見つけていくことは、もちろん可能です。

本記事では「広汎性発達障害(現:ASD)の特性・症状」や「広汎性発達障害(現:ASD)の人に向いてる仕事」をご紹介します。また、「向いてる仕事に就職、転職するコツ」「サポート機関」「支援制度」なども併せてご紹介します。

きっと、あなたが自分に向いてる仕事に向けて一歩踏み出すための参考になると思います。ご一読いただければ幸いです。

「広汎性発達障害(現:ASD)と仕事」の3つの前提

「広汎性発達障害(現:ASD)と仕事」の3つの前提

具体的な向いてる仕事やサポート団体などを紹介する前に、「広汎性発達障害(現:ASD)と仕事」について、大切な3つの前提を紹介します。

前提①医学的には、「広汎性発達障害」は「ASD」に変更されている

「広汎性発達障害(PDD)」という名称が指していた障害は、現在は、精神疾患の診断基準である『DSM-5』において「自閉スペクトラム症、自閉スペクトラム障害(ASD)」に統合されています。

ですが今でも、「医学的に正式な場面」以外では、広汎性発達障害という名称が使われることがあります。また、かつて広汎性発達障害(PDD)と診断された人が、現在のASDという名称をご存知ないこともあります。

それらを受けて、この記事では、内容的には「現行のASD」のものを紹介しつつ、表記としては「広汎性発達障害(現:ASD)」といたします。(参考:厚生労働省「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」)

ASDの概要は、後の章で解説します。

前提②利用できるサポート団体などは、たくさんある

広汎性発達障害(現:ASD)の人が、仕事や生活の悩みを相談できるサポート団体などは、たくさんあります(後で紹介します)。

広汎性発達障害(現:ASD)の特性のために、コミュニケーションや相談が苦手な人もいらっしゃるでしょう。ですが、そうしたサポート団体は、広汎性発達障害(現:ASD)について理解が深いです。

特性を理解された上で相談ができますので、ぜひ、積極的に利用してみてください。そうすることで、仕事(探し)も生活も、より充実していくはずです。

前提③「実際のあなた」に向いてる仕事は、多様に考えられる

記事中でご紹介する「向いてる仕事」は、あくまでも一般論であり、例です。「実際のあなた」の特性や、「実際の職場」の環境などによっては、向いてる仕事は他にもあると考えられます。

この記事の内容は「広汎性発達障害(現:ASD)の自分にも向いてる仕事がある」という安心材料にしてください。その上で、「実際のあなたに向いてる仕事は、後述するサポート団体などと話をすることで、具体的に見つかっていくはずです。

広汎性発達障害(現:ASD)の人に向いてる仕事

広汎性発達障害(現:ASD)の人に向いてる仕事

この章では、広汎性発達障害(現:ASD)の人に向いてる可能性がある仕事の特徴と具体例を紹介します。

向いてる仕事①人と接することが少ない

広汎性発達障害(現:ASD)の特性によって、「他者と頻繁にコミュニケーションを取ることが負担になる」という人がいます。

そういう場合は、「人と接する機会が少ない」「機械相手に仕事ができる」といった職業が、選択肢として挙げられるでしょう。

向いてる仕事②興味・関心がある

広汎性発達障害(現:ASD)の特性について、一般的に言われていることのひとつとして「興味・関心のある分野については、強い集中力を発揮する」というものがあります。

ですので、そういった特性のあるならば、自分自身の興味・関心のある分野で集中力を活かして働くことが可能です。

向いてる仕事の具体例

①②を受けて、向いてることがある仕事の具体例としては、次のようなものが考えられます。

広汎性発達障害(現:ASD)の人に向いてることがある仕事の例
  • 経理事務
  • 会計士
  • 法務
  • 専門事務
  • 設備点検
  • トラック運転手
  • プログラマー
  • ソフトウェアなどのテスター
  • デバッガー
  • ゲームクリエーター
  • 校正・校閲
  • テクニカルライター(専門的な技術に関する文章を書くライター)
  • 研究者
  • 数学者
  • 設計技術者
  • 工学系デザイナー
  • CADオペレーター
  • フリーランスのデザイナーやライター
  • アニメーター
  • カメラマン
  • 駅員
  • 動物の調教師
  • その他、ルーティンワーク(定型的な業務)が可能な仕事(ライン作業、軽作業、清掃員など)

広汎性発達障害(現:ASD)の人が向いてる仕事に就職・転職するときのポイント2点

広汎性発達障害(現:ASD)の人が向いてる仕事に就職・転職するときのポイント2点

この章では、広汎性発達障害(現:ASD)の人が就職・転職をするときの2つのポイントを解説します。(参考:星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち〈職場編〉』、木津谷岳『これからの発達障害者「雇用」』

ポイント①特性を理解する

ポイントの1つ目は、「自分の特性を理解する」です。

就職・転職活動をする前に、「何が得意で、何が苦手か」「何に興味があるか」に着目して、サポート団体も利用しながら、特性への自己理解を深めることが大切です。

広汎性発達障害(現:ASD)に限らず、発達障害の人は、特性による向き・不向きや、得意・不得意が顕著に現れると言われています。

特性を理解した上で、あなたの特性に合う業務や就職先を、後述するサポート団体と一緒に探してみましょう。

特性を活かせそうな仕事が見つかれば、楽しみながら継続して働くことができるでしょう。

ポイント②長く働き続けられるかどうかを指標にする

広汎性発達障害(現:ASD)の人に限った話ではないのですが、仕事探しの際には「長く働き続けられるかどうか(=『不本意な』短期離職につながらないかどうか)で判断する」という指標が大切です。

長く働き続ける上では、障害への配慮が行き届いた職場を見つけることが重要です。

2018年4月の障害者雇用促進法の改正以来、広汎性発達障害(現:ASD)を含む精神障害者が雇用義務の対象となり、法定雇用率も民間企業の場合で2.0%から2.2%と上昇傾向にあります。

しかし、雇用枠は増えているものの、発達障害の人の就労には「職場定着」という課題が残ると言われています。

障害者職業総合センターの「障害者の就業状況等に関する調査研究」によれば、就職から1年以内に離職する発達障害者の割合は、「約30%」にのぼります。(出典:障害者職業総合支援センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」

障害に理解のある職場は、一般的には次の2つの特徴があります。

  1. 障害に関する研修制度が充実している
  2. 福利厚生制度が整備されている

上記のポイントを押さえた勤め先を選べば、オープン就労・クローズ就労(※)の違いを問わず、当事者の苦労に寄り添った働き方を実現できる可能性が高いです。

補足

特性を職場に開示することを、俗に「オープン就労」と言います。逆に、開示しないことを、「クローズ就労」と言います。それぞれの詳細は、下記のコラムをご覧ください。

オープン就労とは? メリットやデメリット、条件を人事の視点から徹底解説

クローズ就労とは? メリットやデメリット、就職先の選び方を徹底解説

広汎性発達障害(現:ASD)の人が向いてる仕事を探す際にオススメのサポート機関6選

広汎性発達障害(現:ASD)の人が向いてる仕事を探す際にオススメのサポート機関6選

広汎性発達障害(現:ASD)の人が向いてる仕事を探すために利用できる、オススメのサポート機関を6つお伝えします。

オススメのサポート機関6選

  1. 就労移行支援事業所
  2. ハローワーク
  3. 転職エージェント(障害のある人に特化したところもある)
  4. 発達障害者支援センター
  5. 障害者就業・生活支援センター
  6. 精神保健福祉センター

それぞれ、広汎性発達障害(現:ASD)の特性に理解があった上で、サポートを受けることができます(転職エージェントの一部は、発達障害に詳しくないこともあります)。

就労移行支援事業所は次で解説します。それ以外の詳細は、下記コラムをご覧ください。

就労移行支援事業所とは?

「就労移行支援事業所」は、広汎性発達障害(現:ASD)をはじめ、病気や障害がある人に、就労に向けた支援を行っています(私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)。

就労移行支援事業所では、次のような幅広い支援を受けられます(具体的な支援内容は事業所によって異なります)。

  • 仕事で活かせる知識・技能の習得
  • 仕事や私生活で活かせるメンタル面のサポート
  • 「どのような仕事や働き方が向いているのか」のアドバイス
  • 転職先候補の業務や雰囲気を体験できる「職場体験実習(インターン)」の紹介
  • 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
  • 面接対策
  • 転職後の職場定着支援

利用の可否は、お住まいの自治体が、下記などに基づいて判断します。

  • 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがある
  • 18歳以上で満65歳未満である
  • 離職中である(例外あり)
  • ※上記を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。

就労移行支援事業所の詳細は、下記参考記事をご覧ください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、うつ病や発達障害などの人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、通える範囲にお住まいであれば、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

広汎性発達障害(現:ASD)の人が利用できる支援制度2選

広汎性発達障害(現:ASD)の人が利用できる支援制度2選

広汎性発達障害(現:ASD)の人が利用できる可能性がある支援制度を2つお伝えします。「向いてる仕事探し」に直接的には関係しないかもしれませんが、こうした支援を利用できると、仕事探しにも精神的な余裕を持ってのぞめるかもしれません。

※個人の特性によって、必ず利用できるわけではありません。
※他にも支援制度はありますので、(サポート団体を通じて)役所の窓口などに確認してみましょう。

支援制度①自立支援医療制度

自立支援医療制度とは、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。(参考:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」

通常、医療保険による医療費の自己負担額は3割ですが、自立支援医療制度を利用すれば、原則1割まで軽減することが可能です。

つまり、通院や薬の処方のための費用負担が、「通常の3分の1に抑えられる」ということです。

ただし、世帯の総所得額によっては、自己負担上限額が定められていたり、対象外となったりすることもあります。

助成制度の内実・条件・名称は、自治体によって多少異なることもあるため、利用を希望する場合は、お住まいの自治体窓口や病院にてご確認ください。

また、市区町村に設置されている「障害者就業・生活支援センター」などの支援機関にて、前もって相談するのも良いでしょう。(以上参考、東京都福祉保健局「自立支援医療(更生医療)」、東京都福祉保健局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」

支援制度②障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)

精神障害者福祉保健手帳とは、広汎性発達障害(現:ASD)を含む一定程度の精神障害の状態にあると認定された人に交付される、障害者手帳の一種です。

精神障害者福祉保健手帳をお持ちの人は「障害者総合支援法」の対象となり、「医療費の助成を受けられる」「税金の控除の対象になる」「公共料金が割引される」「障害者雇用枠に応募できる」などの様々な支援や福祉サービスを受けることができます。

精神障害者保健福祉手帳についてより詳しくは、下記参考記事をご覧ください。

この手帳の認定は永続するわけではなく、2年ごとに更新が必要です。

精神障害者福祉保健手帳は、取得・所持したことを就職先に報告する義務はありません。また、手帳が不要となった場合には、返却することも可能です。(以上参考:厚生労働省「障害者手帳について」

改めて、広汎性発達障害(現:ASD)とは?

改めて、広汎性発達障害(現:ASD)とは?

ここまでは、広汎性発達障害(現:ASD)の大人の困難と仕事術を解説してきました。この章では改めて、広汎性発達障害(PDD)とASDの概要を紹介します。

すでにご存知かもしれませんが、これまでに紹介してきた内容の理解も深まると思いますので、よければご一読ください。

①広汎性発達障害(PDD)の定義・診断基準

広汎性発達障害(PDD: Pervasive Developmental Disorders)とは、先天的な脳の機能の偏りにより、社会性・コミュニケーションの困難や、独自の強い「こだわり」といった症状が生じる発達障害の総称でした。

広汎性発達障害(PDD)に限らず、こうした障害の具体的な内容・分類・診断などの基準には、次の2つがあります。

  1. 世界保健機関(WHO)の「疾病、傷害及び死因の統計分類(通称ICD)」
  2. アメリカ精神医学会の診断基準であり、国際的にも広く利用されている『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(通称DSM)

以前は、広汎性発達障害(PDD)の特徴などは、ICD-10(2013年版)とDSM-IV-TR(2000年刊行)とで、異なる分類がされてきました。

しかし、後述するように、2013年の『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』改訂によって、広汎性発達障害(PDD)に含まれていた各障害は「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)」にまとめられることとなりました。

②かつての広汎性発達障害(PDD)に含まれていた障害と症状

精神科医の間で広く使われている診断基準である「DSM」の第4版新訂版『DSM-IV-TR』によると、かつての広汎性発達障害(PDD)には、以下の障害・症状が含まれていました。

現在は、2013年の『DSM-5』の刊行に伴い、下記のうちレット症候群を除いて、自閉症スペクトラム障害(ASD)に統合されているのですが、参考としてご紹介します。

自閉症

対人関係の障害、コミュニケーションの障害、パターン化した興味や活動の3つの特徴を持つ障害

アスペルガー症候群

自閉症の特徴のうち、対人関係の障害とパターン化した興味や活動のみが現れる障害で、言語の発達と知的発達の遅れが見られないもの

小児期崩壊性障害

2年程度の正常発達の後に、対人関係の障害や「こだわり」といった自閉症状を呈する障害

特定不能の広汎性発達障害(PDD)

非定型の自閉症など、典型的な症状は現れないものの、関連する症状が複数見られるもの

レット症候群

乳幼児期に症状が現れる発達障害で、生後6か月くらいまでは正常に見えるが、それ以降に、体が柔らかい、四つ這いや歩行などの運動の遅れ、外界への反応が乏しい、視線が合いにくいなどの自閉症状が出るもの

③現在の「ASD」の概要

繰り返す通り、かつての「広汎性発達障害(PDD)」とされていた障害は、現在は「自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害(ASD:Autism Spectrum Disorder)」に変更されています。

ASDは、発達障害の1種です。

ASDには多くの特性がありますが、その中でも下記の2点がよく見られるものとして挙げられます。

  1. 社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥
  2. 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式

他に、感覚過敏(光や音や刺激への敏感さが目立つ)、発達性協調運動障害(不器用さが目立つ)などの特性がある人もいます。

なお、「スペクトラム」というのは、特性に様々なグラデーションがある、という意味です。一口に「ASD」と言っても、その特性の現れ方はひとりひとり異なります。

④ASDによる具体的な困難について

ASDの特性は、具体的には次のような形・傾向で現れることがあります(例であり、「ASDの人には必ずこのような傾向がある」「このような傾向があれば必ずASDである」というものではありません)。

  • 人と目線が合いにくい
  • 場の状況や上下関係に無頓着である
  • 名前を呼ばれても反応しない
  • 一方的に言葉をまくしたてる
  • 会話による意思疎通がうまくできず、コミュニケーションの齟齬が生じやすい
  • 他人の発言をそのまま繰り返す
  • 相手の身振りの意味、意見・気持ちなどを察しづらい
  • 自分の考えと別の可能性を想定しづらい(相手の立場に立って考えることが苦手)
  • 質問の意図や発言の狙いを理解しづらい
  • 比喩や冗談を理解しづらい
  • 表情から気持ちを察しづらい
  • 自分だけのルールにこだわる
  • 決まった順序や道順にこだわる
  • 予定が急変するとパニックになる(パターン化した行動をする方が落ちついた生活を送ることができる)

⑤ASDの診断は医師だけが可能

「自分が(ある人が)ASDかどうか」の診断は、医師による問診や心理士が実施する心理検査を中心に行われます。

逆に言うと、医師以外には「ASDかどうか」の診断・判断はできません。

あなたが(ある人が)「発達障害かどうか」をハッキリさせたいのであれば病院を受診してみることをオススメします。

「診断を受けるのが不安」と思う人は、発達障害者のサポートを行う団体(各都道府県にある発達障害者支援センターなど)に「病院に行くべきかどうか」「診断をつけるメリットや注意点は何か」などを相談することができます。

⑥ASDの医学的な診断基準

下記は、2013年にアメリカ精神医学会がまとめた『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(精神障害の診察基準などを記した書籍)に挙げられているASDの診断基準を抜粋・一部編集したものです。

次のような診断基準に当てはまればASDの可能性があります(あくまで可能性です。「どの程度なら『当てはまる』と言えるか、他の病気や障害の可能性はないかなども含めて、「ある人がASDかどうか」は、医師だけが判断できます)。

A.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥がある
  1. 相互の対人的-情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやり取りのできないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ
  2. 対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、まとまりのわるい言語的、非言語的コミュニケーションから、アイコンタクトと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ
  3. 人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、さまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他者と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ
B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上ある
  1. 情動的または反復的な身体の運動、ものの使用、または会(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同行動、反響言語、独特な言い回し)
  2. 同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)
  3. 強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限局したまたは固執した興味)
  4. 感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音または触感に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)

⑦いわゆる「大人のASD」とは

「大人のASD」という言葉を聞くことがあるかもしれません。「大人のASD」とは、医学的な定義がある言葉ではありません。次のような状態を指す俗語です。

  1. 学童期には目立った特性や困難が見られなかった、またはその診断等を受けることはなかったものの、成人してから仕事の場などでその特性が顕在化し、ASDの診断を受けることになった例
  2. 子どもの頃からASDの診断を受けていた人が大人になった状態

1に関連して、発達障害は生まれつきのものであり、「大人になって(大人になるにつれて)発達障害になった」ということではありません。その上で、大人になって受けた検査でASDであることが初めて判明したというケースは少なくないようです。

⑧ASDの「グレーゾーン」とは?

ASDの傾向が確認されるものの、確定診断が下りるほどではないほどの状態・人のことを俗に「(ASDの)グレーゾーン」と言います

グレーゾーンの場合、確定診断がないことから利用できる公的なサービスが限定されることがあります(例:障害者手帳を取得できないため障害者手帳が必須なサービスを利用できない)。

ただし、グレーゾーンの人でも「発達障害者支援センター」のようなサポート団体への相談は可能です。

確定診断があってもなくても、またASDに関係してもしなくても「発達障害に関する悩み事」は専門的な知識を持つ人たちに相談した人が対策や解決策を見つけやすくなるでしょう。

⑨ASD以外の発達障害

発達障害はその特徴によって、いくつかのグループに分けられています。

ASD以外の主な発達障害には、ADHD(注意欠如・多動性障害)、SLD(限局性学習障害)などがあります。

ASDとADHDの主な違いは、対人関係でのコミュニケーション能力の差にあらわれます。

ASDの場合

他人の身振りの意味などを察することや、状況の推測・暗黙の了解を理解しにくいことが多いです。運動が苦手なことも多いです。

ADHDの場合

ASDの人と比べると、コミュニケーションに大きな齟齬が生じたり、会話のやり取りや身振りの意味の理解に不自由さが生じたりするということは少ないです。
一方で、書類の記入間違いや物忘れといったミスが多いです。

ASD・ADHD・SLDの複数が併存する人もいます。気になる人は、下記参考記事をご覧ください。

(参考:厚生労働省「発達障害の定義について(ICD-10、DSM-IV)」、厚生労働省「疾病、傷害及び死因の統計分類」厚生労働省「自閉症について」、厚生労働省「アスペルガー症候群について」、厚生労働省「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」、難病情報センター「レット症候群(指定難病156)」『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』、姫野桂『発達障害グレーゾーン』、本田秀夫『自閉症スペクトラムがよくわかる本』、広沢正孝『成人の高機能広汎性発達障害とアスペルガー症候群―社会に生きる彼らの精神行動特性』

まとめ:医療者や支援者と相談しながら、向いてる仕事を探してみましょう

まとめ:医療者や支援者と相談しながら、向いてる仕事を探してみましょう

広汎性発達障害(現:ASD)の人に向いてる仕事や就職・転職するコツなどについてお伝えしてきました。

自分が何に興味があるのか、何が得意で何が苦手かなどを把握していくうちに、向いてる仕事は具体的に見つかっていくと思います。ただ、広汎性発達障害(現:ASD)の人に限らず、「自分のことを理解する」というのは難しい作業です。

そこで、医療者や支援者といった人たちに相談をしながら、「あなたに向いてる仕事」を探していくことをオススメします

最後までお読みくださりありがとうございました。この記事の情報が、あなたのお役に立てば幸いです。

よくある質問(1)

広汎性発達障害(現:ASD)の自分に向いてる仕事を知りたいです。

一般論として、次のような仕事が考えられます。経理事務,法務,設備点検,プログラマー,デバッガー,校正・校閲,研究者,設計技術者,CADオペレーター,フリーランスのデザイナーやライター,カメラマン,動物の調教師。理由とともに、他にも紹介しますので、詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

広汎性発達障害(現:ASD)の自分が利用できるサポート団体を知りたいです。

例として、次の6つが挙げられます。(1)就労移行支援事業所、(2)ハローワーク、(3)転職エージェント、(4)発達障害者支援センター、(5)障害者就業・生活支援センター、(6)精神保健福祉センター。詳細はこちらをご覧ください。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

Amazon
翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

執筆西村二架

にしむら・にか。精神保健福祉士。
1992年生まれ。関西学院大学文学部卒業後に京都医健専門学校で学び、2019年に国家資格・精神保健福祉士資格を取得。2018年8月から、キズキ共育塾(不登校・中退・発達障害・社会人などのための個別指導塾)で講師として勤務。現在は主任講師として国語・数学・英語・小論文・面接の学習支援およびメンタル支援を担当。また、うつや発達障害の方々のための就労移行支援事業所キズキビジネスカレッジでも英語などを教える。2023年現在、TOEIC890点を所持。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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