発達障害グレーゾーンの人へオススメの仕事術、仕事探しのコツを徹底解説!

2020年02月12日

こんにちは、キズキビジネスカレッジの寺田淳平です。

近年、発達障害の検査を受けたものの、診断基準を満たさずに、傾向を示されるだけで終わる「グレーゾーン」の存在が知られてきています

この記事をお読みのあなたも、以下のようなお悩みをお持ちではないですか?

「仕事で困難を抱えているのに、発達障害の診断が得られずグレーゾーンである」
「発達障害の傾向はあるが、職場の同僚や上司など周囲の理解を得られない」

そこで本記事では、発達障害のグレーゾーンについてお悩みの方へ、「オススメの仕事術」から「仕事探しのコツ」までを解説いたします

この記事が、グレーゾーン特有の仕事上の悩みを持つ方への助けになれば幸いです。

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発達障害のグレーゾーンについて

発達障害のグレーゾーンとは、「発達障害と同じ症状や特性がいくつか認められるものの、診断基準を全て満たすほどではない層」を示す俗称です

つまり、「発達障害との確定診断をつけることができない状態」を、グレーゾーンと表現しています。

アメリカ精神医学会の定める『DSM 精神疾患の診断・統計マニュアル』の第5版において、発達障害の一種である「アスペルガー症候群」と「自閉症」が、「自閉スペクトラム症」という言葉にまとめられました。

それ以来、発達障害の症状には「ムラがある」という考えが浸透するようになりました。

そうした中で、症状はあるものの、発達障害の確定診断が下りないことを悩んでいる「グレーゾーン」の人たちが、注目を集めるようになったのです。

グレーゾーンの人たちは、発達障害の診断が下りている人とは異なる悩み・仕事上の困難を抱えています。

まずは、発達障害の種類と症状を確認してから、グレーゾーンの問題点を見ていきましょう。(参考:姫野桂『発達障害グレーゾーン』、アメリカ精神医学会『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』)


発達障害の種類と症状

発達障害の種類と症状

発達障害とは、「脳の機能の発達に偏りや遅れが生じることで、日常生活や社会生活に影響が出ている状態」のことです(参考:厚生労働省『発達障害|病名から知る|こころの病気を知る』、宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHS、LD 職場の発達障害』)

発達障害には主に3つの種類があります。

この3種類の発達障害には、それぞれ以下のような症状が見られます。

■ADHD(注意欠陥・多動性障害)の症状

■ASD(自閉スペクトラム症)の症状

■LD(学習障害)の症状

上記の発達障害の中で診断が難しく、グレーゾーンになりやすいと言われているのは、ASDの傾向です

ASDを診断する際には、こだわりの強さや興味関心の狭さといった症状を考慮に入れます。

しかし、グレーゾーンの人は、その点に多少の柔軟性を持つ人が多く、確定診断に至らないことが多いと考えられています。


発達障害におけるグレーゾーンの問題点

発達障害におけるグレーゾーンの問題点

発達障害のグレーゾーンにおける問題点として、主に以下の2点が挙げられます。

多くのグレーゾーンの人が、日常生活や仕事に困難を抱えています。

しかし、病院で検査を受診しても、その診断が下りなければ、必要な支援と配慮を得るための対象から外れるのです

国の機関を利用して福祉サービスを受ける際は、その条件として専門医による診断書や障害者手帳の提示を求められます。

ただ、その診断基準から外れ、医師から発達障害の診断が下りないと、診断書や障害者手帳を受け取ることはできません。

よって、発達障害の症状は確かにあるのに、必要なサポートを受けられないということが、グレーゾーンの人たちに起こり得るのです(後述しますが、場合によっては受けられる可能性もあります)。

また、発達障害のグレーゾーンの人は、周囲の人から「甘えではないか」「怠慢ではないか」と見られることがあります。

医師から発達障害の診断書が下りないことで、自身が抱える症状を理解をしてもらえないのです

その結果、周囲の人に自身の症状を理解してもらえず、ストレスをため込むことが多くなると、抑うつ状態や不安障害といった「二次障害」を発症する人もいます。

グレーゾーンの人の仕事上の困難とは?

それでは、発達障害のグレーゾーンの人が直面する仕事上の困難には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。


グレーゾーンの人が直面する困難の具体例

グレーゾーンの人が直面する困難の具体例

グレーゾーンの人が直面する困難として一番に考えられるのは、症状に対して特に配慮を受けられない「クローズ就労」を選択せざるを得ないことです

グレーゾーンの人は診断書が下りないため、障害者手帳を取得できません。

それゆえ、仕事や日常生活に影響する症状があるにも関わらず、障害者枠での採用や、勤め先に障害を提示して働く「オープン就労」を選択することができないのです。

発達障害の傾向を医学的に示せずに働くクローズ就労を選択することで、症状ゆえの失敗やミスを努力不足と誤解されやすくなります

例えば、ADHDの症状が見られる人が、書類整理や事務仕事でミスを頻発したときに、「あの人は能力が低い」といった評価をされるケースが考えられます。

こうした仕事上の困難を和らげるために、同僚とのコミュニケーションを通して、あなたの苦手なことを理解してもらう働きかけをすることが必要です。

オープン就労とクローズ就労の違いなどに興味のある方は、以下のコラムをご参照ください。

参考コラム:『オープン就労のメリット、デメリット、条件とは?人事の視点から解説


グレーゾーンに悩む同僚をお持ちの方へ

グレーゾーンに悩む同僚をお持ちの方へ

ここまでは、発達障害のグレーゾーンへ悩む人に向けてお話をしてきました。

ここでは、「職場で発達障害のグレーゾーンに悩む人がいる」という同僚の方へ向けて、少しお話をします。

前述したような理解のためのコミュニケーションにおいては、「苦手をある種の個性として受けとめる周囲の姿勢」が必要になります

多くの発達障害グレーゾーンの人は、苦手を受け入れようという姿勢があれば十分に働けます。

グレーゾーンと思われる人を同僚にお持ちの方は、「無理なくその人の苦手をフォローする仕組み」を作れないか考えてみてください

あなたの働きかけと周囲の姿勢の両輪が揃うことで、グレーゾーンの人でも無理なく仕事を回せるようになるはずです。

グレーゾーンの人にオススメの仕事術:傾向別に紹介します

ここからはグレーゾーンの人が実践できるオススメの仕事術を、発達障害の傾向別に紹介します。(参考:對馬 陽一郎『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に働くための本』、本田秀夫『自閉症スペクトラム』、小池敏英・奥住秀之『これでわかる学習障がい』)

グレーゾーンの人が働く上でまず大切なのは、「特性を理解する」ことです

発達障害のグレーゾーンと言っても、特性も程度も人によって異なります。

ですので、あなた自身には「何ができて、何ができないのか」「何が苦手なのか」を理解して、仕事に臨むことがオススメです

その上で、「私はこういうことが苦手なのでフォローしてもらいたい」と、周囲に発信する姿勢を持つとよいでしょう。

なお、以下に紹介する仕事術はあくまでも一例ですので、あなたの特性をよく把握した上で、無理なく実践をしてみてください。


ADHD傾向の人の仕事術3選

ADHD傾向の人の仕事術3選

ミスや忘れ物といった不注意性や、考えるよりも先に行動してしまう点に特徴のあるADHD傾向の強い人には、以下の3つの仕事術をオススメします。

①整理整頓する時間を取っておく
②リスト化を徹底する
③ダブルチェックをお願いする

ADHDの性質として、「整理整頓が苦手で、気がつくとすぐに机の上が散らかってしまう」傾向があります

これは、グレーゾーンの人も同様です。

この傾向は重要書類の紛失やミスに繋がるため、「あらかじめ整理整頓する時間を設けておく」といった仕事術が有効でしょう

また、作業をするときは、リスト化を徹底しましょう。

思考を整理した上で、筋道を立てて仕事ができるようになります。

③の「ダブルチェックをお願いする」というのは、「努力をしても発生する見落としやミスを何としても防ぎたい」という場面で、効果を発揮します。

ダブルチェックは、発達障害の人だけでなく、定型発達者(非発達障害者)も普段から取り入れることが多いため、自然に頼めるのではないでしょうか。

なお、ADHDの人の仕事探しについては、以前書いたコラムにまとめてあります。

グレーゾーンの方にも参考になる点があるかと思いますので、あわせてご参照ください。

参考コラム:『ADHDの就職活動、成功のための重要事項5選を徹底解説!


ASD傾向の人の仕事術3選

ASD傾向の人の仕事術3選

あいまいな説明や口頭での指示を受けるのが苦手なASD傾向の強い人には、以下の3つの仕事術がオススメです。

①具体的な計画や指示を仰ぐ
②文字や絵図を用いた説明を求める
③日誌をつける

ASD傾向のある人は、ニュアンスや加減を理解するのが困難なため、抽象的な指示を出されると混乱しやすい場合があります

そのため、「適宜」や「適当に」といった指示を受けることがないように、できる限り具体的な指示をもらえるように働きかけましょう

さらに、ASDの人の中には、耳から受ける指示よりも、文字や絵図といった視覚的な指示の方が頭に入りやすいという人がいます。

このような場合も、説明の方法を理解しやすいものに変えてもらうよう、周囲に働きかけるとよいでしょう。

③の「日誌をつける」は、「自身の体調や疲労を顧みず、過度に集中する」といったASDの傾向への対処法です。

自分の状態をしっかりと把握するために、定期的に日誌をつけて確認する習慣をつけましょう。

なお、ASDの人の仕事術についてはこちらのコラムで解説していますので、よかったらご参照ください。

参考コラム:『ASDで仕事が続かない人必見!ASDの人ができる仕事の工夫と適性


LD傾向の人の仕事術2選

LD傾向の人の仕事術2選

「聞く・話す・書く・読む・計算する・推論する」といった学習能力に困難を抱えるLD傾向の人は、以下の点を意識して仕事をしてみましょう。

①症状に合わせて情報を理解するための手段を変える
②電子機器を利用する(ICレコーダーなど)

①はASD傾向の人の仕事術に似ていますが、口頭での説明よりメールや印刷物の方がわかりやすいという場合には、情報を理解するための手段を変えるだけで、仕事がスムーズに進むようになります

また、症状をカバーするために、電子機器を利用するのもオススメです。

「文章を理解することを困難に感じる」「会議の場で議論を聞き取ることができない」という症状をお持ちの場合は、ICレコーダーなどを使って、音声記録を取るとよいでしょう

また、計算能力に困難を感じるLDのグレーゾーンであれば、小型の電卓を常に携帯するなど、工夫次第で症状をカバーすることは可能です。

あなたのLDの症状にあわせて、情報理解の手段を変えてみてください。

グレーゾーンの人の仕事探しのコツ3選

ここでは、発達障害グレーゾーンの人のために、仕事探しのコツを3つご紹介いたします。(参考:木津谷岳『これからの発達障害者「雇用」』、ダイヤモンド・オンライン『発達障害の人に向く職業、向かない職業は何か』)

これまでに述べてきた通り、特性理解と周囲を頼るという原則は同じです。

仕事探しの際には、それに加えて「支援機関を頼る」ことをオススメします。

グレーゾーンの人は、診断書が下りない結果、あらゆるサポートを受けられずに、「一人で何とかしなくては」と抱え込む傾向があります。

しかし、診断書がなくても、相談可能な機関はありますのでご安心ください


コツ①:苦手なことを紙に書き出してみる

苦手なことを紙に書き出してみる

仕事探しを始めるときには、まず「苦手なことを紙に書き出してみる」ことが大切です

発達障害の傾向がある人は、就職活動において、症状が前面に出てこないような仕事を選ぶ必要があります。

仕事選びにあたっては、以下のような例が挙げられます。

とはいえ、「何が苦手なのかわからない」という方もいるかもしれません。

その場合は、付き合いの長い友人やご家族に質問してみましょう。

また、就職した後で、症状が現れやすい業務・向いていない仕事を任されることもあるかもしれません。

そのときは、仕事の手順や工程の中で、どの部分が特に苦手なのかを細かく分けて考えましょう。

苦手なことを紙に書き出すことで、それをカバーしたり回避したりする方法を見つけやすくなります


コツ②:特性を活かせる仕事を選ぶ

特性を活かせる仕事を選ぶ

2番目のコツは「特性を活かせる仕事を選ぶ」ということです。

1番目のコツでは、「苦手なものを避ける」という方法をピックアップしましたが、「あなたの特性を活かす」という視点も大切です

例えば、以下のような考え方で仕事選びをすることができます。

上記のように、発達障害のグレーゾーンの人は、症状による困難を見出すのと同時に、得意なことや、「こだわり」を活かせる仕事がないかを考えてみるとよいでしょう。


コツ③:支援機関を頼る

支援機関に協力してもらう

最後のコツは「支援機関に協力してもらう」です。

グレーゾーンの人の悩みとして、公的機関の支援が受けられないことが挙げられます。

しかし、診断書が無くても相談を受けられる機関は存在します

まず、「発達障害者支援センター」は、確定診断が下りていなくても、発達障害の可能性があれば、利用ができる場合もあります(参考:『東京都発達障害者支援センター(TOSCA)』)

発達障害者支援センターとは、発達障害の症状に悩む子どもから大人までの当事者、およびに関係者までを幅広くケアしている福祉センターです。

実施主体は基本的に都道府県や指定都市であり、「発達障害に関する相談」に特化している点が最大の強みです。

また、「障害者就業・支援センター」も、生活と仕事の両面について相談可能な機関になります

こちらは障害者手帳の取得が必須ではありません。

そのため、診断が下りなくても、抱えている症状によって社会生活に支障が出ている場合は、相談が可能かもしれません。

まずは、利用の可否について、あなたの状況を踏まえて問い合わせしてみましょう。

その他にも、仕事に関係した相談ができる公共のサービス機関として以下が挙げられます。

発達障害の診断が下りなかったとしても、その悩みを相談できる機関はあります。

一人で悩みを抱え込むのではなく、その解決に向けて積極的に支援機関を利用しましょう

まとめ:特性や傾向を理解して仕事をすることが大切です

まとめ

発達障害のグレーゾーンの人に向けて、仕事術や仕事探しのコツを解説しましたが、取り入れられそうなものはあったでしょうか?

グレーゾーンにいる人は明確な診断をもらっていない分だけ、発達障害の人とはまた別の苦労を抱えやすい傾向にあります。

しかし、「ご自身の特性を理解して仕事を工夫すること」、そして「周囲の理解を得るためにコミュニケーションを取っていくこと」は、発達障害の診断が下りた人と同様に大切です

症状をハンデのように感じられることもあるかと思いますが、それもひとつの個性だと受けとめる姿勢を保ちながら仕事探しをしていきましょう。

このコラムが発達障害のグレーゾーンで悩んでいるあなたの助けになれば幸いです。


さて、キズキビジネスカレッジは、昨年から、障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業所として、発達障害やうつ病の方々のキャリアを支援しています。

しかしながら、法制度上、「会社を休職中の方」「大学を休学中の方」「アルバイトはできている方」「発達障害グレーゾーン等で確定診断がつかない方」等は、通常プログラムのための利用要件を満たさず(※)、通所いただくことがかないません。(※就労移行支援事業所の利用可否は、お住まいの自治体が判断します。上記の方々でも、自治体によっては利用可能な場合もございます)

そこで、キズキビジネスカレッジでは、法制度上の要件を満たさない方のために、通常プログラムとは異なる、様々な就労支援のサービスを行っております。

この度、その一環として「キズキビジネスカレッジ『キャリアゼミ』」を新たにスタートします

あなたの今後のキャリアプランにつき、きっとお役に立てると思います。

ぜひこの機会にご参加ください。

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