アスペルガー症候群で忘れっぽい人ができる仕事術|ADHDとの違いも解説

2020年06月01日

こんにちは、ケアストレスカウンセラー有資格者の寺田淳平です。

アスペルガー症候群(ASD)のあなたは、「忘れっぽい」傾向があることに悩んではいませんか

「忘れっぽいのはアスペルガー症候群のせいだろうか?」
「忘れっぽい傾向をカバーするにはどうすればいい?」

上記のように、物忘れの多さが、アスペルガー症候群に由来するものか、そもそもわからないという方も多いと思います。

そこで今回は、アスペルガー症候群の「忘れっぽい」傾向に焦点を絞り、具体的な症状から仕事術までを徹底解説いたします

同じ発達障害の一種であるADHDとの違いも紹介しますので、アスペルガー症候群でお困りの方はぜひ一度読んでみてください。

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アスペルガー症候群の「忘れっぽい」の特徴

アスペルガー症候群(ASD)とは、発達障害の一種です。

コミュニケーションや興味・関心に特異性があるものの、言語や知性の発達においては遅れは見られません

具体的には、以下の4つの点に症状が見られることで知られています。

このうち、特に③の症状に伴って、アスペルガー症候群の人は「忘れっぽい」という特徴を持つ人がいます。

この章では、そうしたアスペルガー症候群の「忘れっぽい」特徴について、詳しく見ていきましょう。

参考:バロン=コーエン『自閉症スペクトラム入門―脳・心理から教育・治療までの最新知識』、岡田尊司『アスペルガー症候群』、司馬理英子『大人の発達障害 アスペルガー症候群・ADHD シーン別解決ブック


特徴①一つのことに夢中で、他のことを忘れる

特徴①一つのことに夢中で、他のことを忘れる

1点目は、「一つのことに夢中で、他のことを忘れる」です

アスペルガー症候群の人の中には、特定分野への強い「こだわり」を持つ人が多くいます。

「こだわり」のある分野に夢中になると、寝食も忘れて没頭する「過集中」になることも少なくありません

特に過集中の状態では、集中力を注いでいる対象以外のことは、頭から抜け落ちやすい傾向があります。

このように、一つのことに夢中で、他のことに構わなくなる傾向ゆえに、忘れっぽさが生じる場合があるのです。


特徴②忘れっぽさにムラがある

2点目は、「忘れっぽさにムラがある」です

先述した「こだわり」のある分野や興味のあることに対しては、アスペルガー症候群の人は驚くべき記憶力を発揮することがあります。

その反面、興味を抱けない分野については、記憶しておかなくてはならない情報であっても、忘れっぽいことが多いです

具体例としては、「仕事に関わる専門知識などはよく覚えているのに、同僚からの指示や業務手順などは忘れやすい」という状況が挙げられます。

このように「忘れっぽさにムラがある」というのも、アスペルガー症候群の人の特徴と言えるでしょう。


特徴③口頭で説明されると忘れっぽい

特徴③口頭で説明されると忘れっぽい

3点目は、「口頭で説明されると忘れっぽい」です

アスペルガー症候群(ASD)に限らず、LD(学習障害)などの発達障害を持つ人の中には、「口頭で説明を受けると理解しづらい」という人がいます。

これは脳の機能の偏りによる特質であり、耳からの情報だけを頼りに理解しようとしても、努力だけではカバーしきれないところがあるのです

口頭だと理解が不十分となることから、記憶も曖昧になり、忘れっぽさにつながるという人もいます。


特徴④同時並行で作業すると忘れっぽい

4点目は、「同時並行で作業すると忘れっぽい」です

仕事や依頼を抱え込みすぎて忘れることは、誰にでもあることです。

しかし、アスペルガー症候群の人は、一つのことに集中するのが得意な反面、「同時並行で進める」ことが苦手です

案件が複数にまたがると、片方の作業をしているうちに、もう片方のことを完全に忘れてしまうことが多いと言われています。

同時並行で作業をすると、特に忘れっぽいというのも、アスペルガー症候群に見られる特徴です。

ADHDとアスペルガー症候群の「忘れっぽい」

ADHDとアスペルガー症候群の「忘れっぽい」

ここまで、アスペルガー症候群(ASD)の「忘れっぽさ」の特徴について解説してきました。

同じ発達障害の一種であるADHD(注意欠陥・多動性障害)にも「忘れっぽい」傾向が見られる場合があります

アスペルガー症候群とADHDを両方持っている方も多く、またアスペルガー症候群とADHDで忘れっぽさの原因をきれいに分けることは難しいかもしれません。

ですが、特性と状況から、忘れっぽさにつながるパターンを考えることは可能です

聴覚の情報処理が苦手な場合は、口頭で指示されたことの理解に精一杯になり、指示内容の遂行を忘れる可能性があります。

不注意傾向や衝動性が強い場合には、注意の対象が別なことに向き、事前に準備したものやスケジュールを忘れることもあります。

こだわりが強い場合には、自分のやり方、手順にこだわることで自分の想像通りにやることが目的となり、本来の指示内容を忘れる可能性があります。

このように多くの場合は、特性と状況の相互作用によって忘れっぽさが生じていることが分かるのです。

アスペルガー症候群の人は、上記の特性別の忘れっぽさを念頭に置きながら、次章で紹介する仕事術を試してみてください。

「忘れっぽい」アスペルガー症候群の人の仕事術6選

ここからは具体的に、アスペルガー症候群(ASD)の人が「忘れっぽい」傾向をカバーするためにできる仕事術を見ていきましょう。

前提として大切なのは、すべてを自分一人で解決しようと抱え込まないことです

先述したように、発達障害は脳の機能の偏りに原因がありますので、あなたの努力だけでは解決できない部分があります。

逆に言うと、医者、同僚、家族、支援者など、周囲の人と力を合わせることで、解決は近づいてきます

また、人に限らず、仕事に役立てそうなグッズや道具に頼るのも有効でしょう。

ぜひ、一人で気負わずに、周りの協力を仰ぎながら、以下の仕事術を試してみてください。

参考:宮尾益知『コミックでわかる「職場」のアスペルガー症候群』、アズ直子『マンガでわかる 私って、アスペルガー?


仕事術①徹底的にリスト化する

仕事術①徹底的にリスト化する

1つ目は、「徹底的にリスト化する」です

特に、「あなたが関心を持つことができていない、けれど覚えておかなければならない作業」については、できるだけリスト化することをオススメします。

その上で、「何かに没頭した後は、ひとまずこのリストを読み返す」などのルールを定めておくとよいでしょう。

そうすることで、一度は忘れたとしても、思い出すことができます

また、アスペルガー症候群の人は、口頭での説明よりも、リストや手順表など、目で見て確認できる媒体の方が理解しやすい傾向にあります。

そういった意味でも「徹底的にリスト化する」というのは、忘れっぽいアスペルガー症候群の症状を持つ人にとって、有効な仕事術の一つです。


仕事術②図を用いて説明してもらう

2つ目は、「図を用いて説明してもらう」です

情報を図に置き換えて説明することを、専門用語で「視覚的構造化」と呼びます。

先述したように、アスペルガー症候群の人は、脳の構造的に「目で見てわかりやすい状態」の方が理解しやすい傾向にあります

そのため、専門機関での支援プログラムにおいても、いかにして視覚的構造化を行うかがカギとされています。

視覚的にわかりやすい形式の方が、コミュニケーションもうまく進み、記憶にも残りやすいのです

忘れっぽさに悩んでいるアスペルガー症候群の人は、指示を受けるときに、図に置き換えて説明してもらうように、周囲にお願いをしてみてください。

あわせて、あなた自身も「図を用いて整理できないか」を常に心がけてみるとよいでしょう

忘れっぽさが「口頭での説明による理解の曖昧さ」に由来している場合は、大きな効果を発揮するはずです。


仕事術③身近な人にリマインドしてもらう

仕事術③身近な人にリマインドしてもらう

3つ目は、「身近な人にリマインドしてもらう」です

一点集中型のアスペルガー症候群の人は、他のことに集中しすぎる特性自体が忘れっぽさにつながるため、忘れないように心がけていたとしても、自身のみで対応をするには限界があります。

それゆえ、前にも述べたとおり、「一度は忘れても思い出せるようにすること」が大切です

そう考えたときに、「身近な人にリマインドしてもらう」という仕事術は、単純ではありますが、理にかなった方法と言えるでしょう。

日常的なことは家族や支援者に、業務のことは同僚にリマインドをお願いしましょう

忘れたまま放置となるよりは、「リマインドしてもらえると助かります」とお願いされた方が、周囲の人も安心してフォローできるはずです。

忘れっぽさに悩むアスペルガー症候群の人は、無理のない範囲で周囲の人に頼れるように相談してみましょう。


仕事術④手順をできるだけ簡略化する

4つ目は、「手順をできるだけ簡略化する」です

手順があまりにも複雑な場合は、誰もが忘れやすくなるものです。

加えてアスペルガー症候群の人は、それをリストや手順表に落とし込む必要があります。

そのため、手順が複雑だと、ぱっと目で見てわかる状態にするまでに、大きな労力を要する可能性があります。

情報をインプットする前に、手順を簡略化することができれば、忘れっぽさをカバーすることにつながります

ただし、手順の簡略化を進める際には、ひとりで悩むのではなく、できるだけ周囲の同僚に相談するようにしましょう。

あなたが省いても問題がないと思った作業が、他の人からすると必要な作業である場合もあります。

相談すること自体が難しいという人は、手順を図に落とし込んだ段階で、同僚に見てもらうのもよいでしょう

手順の簡略化は、忘れっぽさの克服だけでなく、作業効率のアップにつながり、職場全体に利益をもたらす場合もありますので、ぜひ一度、作業手順を見直してみてください。


仕事術⑤戸棚や物にラベルを貼る

仕事術⑤戸棚や物にラベルを貼る

5つ目は、「戸棚や物にラベルを貼る」です

アスペルガー症候群の人は、作業に集中しているときに無意識のうちに道具を使って、それが元々どこにあったのか、誰の物だったかがわからなくなることが多いと思います。

そうしたときに、戸棚や物にラベルを貼っておけば、作業に夢中になったとしても、思いだすことができます

自分のデスクの引き出しはともかく、職場の共用の棚などは難しいかもしれませんが、周囲の同僚に許可を取りながら、「ラベルを貼る」ことで、整理できないかどうかを試してみるとよいでしょう。


仕事術⑥入れ物を一つにまとめる

最後は、「入れ物を一つにまとめる」です

前述した「ラベルを貼る」と同様に、こちらも物や道具を忘れがちな人のための仕事術です。

アスペルガー症候群の人は、物を持ち運ぶときに別個に手に持って移動して散逸した結果、紛失しやすくなることもあります。

そのため、日用品や普段よく用いる文具などは、小型の袋やポーチに入れるなど、コンパクトな形で収納しておくことをオススメします

また、必要最低限に物をまとめることは、考えをシンプルにしたり、日頃の行動を思い返したりしながら、頭の中で整理することにもつながるでしょう。

アスペルガー症候群で忘れっぽい方は、ぜひ「入れ物をひとつにまとめる」ことを心掛けてみてください。

まとめ〜アスペルガー症候群の「忘れっぽい」は工夫次第で改善できます〜

まとめ〜アスペルガー症候群の「忘れっぽい」は工夫次第で改善できます〜

アスペルガー症候群(ASD)の「忘れっぽい」に焦点を絞り、その特徴から、ADHDとの違い、仕事術までを解説してきました。

役立つ情報はあったでしょうか?

繰り返しにはなりますが、発達障害は脳の機能の偏りに由来します、忘れっぽさそれ自体を克服しようとしても限界があります。

それよりは、忘れてもカバーできるような仕組みづくりを考えることが重要です

特に、物事を本当に「忘れた」場合には、あなたひとりの力で思い出すには限界があります。

そのため、周囲の人や身近な道具に頼るという姿勢を持つことがとても大切です

ぜひ、一人で抱え込まずに、周囲に協力を求めるようにしてください。

このコラムがアスペルガー症候群の「忘れっぽい」傾向に悩む人の助けになれば幸いです。

さて、私たちキズキビジネスカレッジは、うつや発達障害、アスペルガー症候群、ASDなどの方のための、就労移行支援事業所です

就労移行支援事業とは、一般企業での就職や、仕事で独立する事を目指す障害者の方の、本人に適した職場への就職・定着を目的として行われる、障害福祉サービスの1つです。

適応障害であることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。

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