ADHDのある人がプログラマーに向いている理由5選 向いていないケースやおすすめ仕事術などを解説 | キズキビジネスカレッジ  

ADHDのある人がプログラマーに向いている理由5選 向いていないケースやおすすめ仕事術などを解説

メンタルヘルスを専門とする精神保健福祉士の国家資格を持つ西村です。

あなたは、ADHDの特性についてお悩みを持つ中で、次のようなことをお考えではないでしょうか。

  • どういった仕事が向いているんだろうか
  • 「ADHDのある人はプログラマーに向いている」と聞くけど、本当かなあ…

この記事では、ADHDのある人がプログラマーに向いている理由やプログラマーに向いていない可能性があるケース、おすすめの仕事術、自分に合った仕事を探すためにできること、適職探しにおける、ADHDの特性の長所と短所、プログラマーとシステムエンジニアの概要、ADHDの概要について解説します。

先にお伝えしますと、この記事だけで「実際のあなた」にプログラマーが向いているのか、他の仕事が向いているのかを判断することはできません。

ご自身の特性や仕事の向き不向きなどの詳細については、後述する就労移行支援事業所などにぜひ相談してみてください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)でも、無料相談を行っています。また、プログラミング講座や、その他スキル講座をご用意しています)。

この記事を読むことで、あなたの「就職・転職」が、成功に近づくはずです。

なお、プログラマーに限らず、ADHDのある人に向いている可能性のある職業や仕事の探し方などを、下記コラムでご紹介しています。ご興味がありましたらご覧ください。

はじめに:ADHDのある人はプログラマーに向いているのか?

ADHDのある人はプログラマーに向いているのか?

「ADHDのある人はプログラマーに向いているのか?」という疑問について、結論からお伝えすると、ADHDの特性などが有効に作用して、プログラマーに向いているということはありえます。

しかし、ADHDの特性の現れ方は人によって異なります。そのため、ADHDのあるすべての人が、プログラマーに向いているとは限りません。

加えて、ADHDの特性以外の理由、例えば、ADHDの特性と無関係な部分の性格や勤め先の制度や理解度なども、ADHDのあるあなたがプログラマーに向いているかどうかを左右します。

そのため、「ADHDだから」という理由「だけ」で、プログラマーを目指すのはオススメしません。

「実際のあなた向きの仕事・職場」については、就労移行支援事業所などの「専門家」に相談することがオススメです。

次章以下で、より詳しく解説していきます。

ADHDのある人がプログラマーに向いている理由5選

ADHDの特性が「プログラマーに向いている」と思われるケース

ADHDのある人がプログラマーに向いていると思われる理由・ケースには、以下の5つが挙げられます。

理由①プログラミングに興味がある

大前提として、プログラミング・プログラマー職に興味のある人は、プログラマーに向いている可能性があります。

「それは当たり前じゃないの?」と思うかもしれませんね。

ですが、これには、ADHDの特性の一つである「興味のあることには驚異的な集中力を見せる」が関係します。

この特性が強い場合、ADHDでない人と比べて、プログラマーとして楽しみながら、成果を出しながら働き続けられる可能性があるのです。

あなたがまだプログラミングに触れたことがないようであれば、プログラミングに関する本や動画などを見てみて、興味が持てそうかを検討してみることをオススメします。

理由②過集中をうまく利用できれば、コードを速く多く書ける

過集中をうまく利用できれば、コードを速く多く書ける

この理由は、前項の補足的な内容でもあります。

過集中とは、興味のあるものに対し、驚異的な集中力を発揮することです。(参考:日本学生支援機構「合理的配慮ハンドブック」)

コードとは、PCやスマホなどで様々なアプリなどを動かしているコンピュータープログラムを表現する文字列のことです。

複雑なプログラムほど、たくさんのコードを書く必要があります。

「適度な休憩を挟む」などをして過集中をうまく利用できれば、「より短時間に、より多くのコード」を書くことができます。

ただし、「うまく利用できれば」とは言いつつも、過集中の後には疲れが生じます。

タイマーなどを利用して時間の区切りをつけるなど「適度な休憩を挟む」ことが大切です。

理由③人間関係の難しさやストレスが少ない

ADHDのある人は、対人関係に難しさやストレスを感じる傾向にあります。

プログラマーは、他職種と比べた一般論として、「PCと向き合う時間が多く、対人関係が少ない職種」であるため、対人関係のストレスなども少ないと言えるでしょう。

ただし、対人関係は「全くない」というわけではありません。

理由④作業のやり直しができる

作業のやり直しができる

ADHDのある人は、その特性のために、ケアレスミスが発生しやすいことがあります。

一方、プログラミングは、コードを作り、動かし、改善やミス・不具合の修正を行う…という作業です。

つまり、プログラマーは、「ミスとやり直しが前提の職種」と言えます。

ミスが許されないタイプの職種よりも、向いている可能性が高いと言えるでしょう。

ただし、一般論としてミスの対策は大切です。

理由⑤スキルが身につけば、プログラマーとして別の会社に転職できる

プログラマーとして働くと、プログラミングのスキルが身についていきます。

極論ではありますが、「プログラミングという仕事そのもの」は、どの会社で働いても業務内容は同じです。

その上で、プログラミングのスキルがある人は、限られています。

「プログラマーの仕事は好きだけど、(ADHDの特性に関連して)今の職場の人間関係やルールが合わない」という悩みが生じたときに、「自分により合う他の会社に転職して、プログラマーとして働き続ける」ことが、他の職種よりもしやすいと言えるでしょう。

ただし、「スキルを身につける」ためには、真面目に働くことと、新しい知識や技術の勉強を続けていくことが大切です。

ADHDのある人がプログラマーに向いていない可能性があるケース3選

ADHDのある人がプログラマーに向いていない可能性があるケース3選

続いて、ADHDの特性がプログラマーに向いていないと思われるケースをお伝えします。

前項の「向いている可能性」の裏返しと言えるものもあります。

ケース①プログラミングに興味を持てない

そもそも論になるのですが、「プログラミングに興味がない」場合、プログラマーに向いているとは言えないでしょう。

「興味のないことにも取り組むのが仕事だ」と思うかもしれませんし、実際にそうして働いている人もいるでしょう。

ですが、ADHDの特性の「興味がないことに集中することが難しい」ことが関係し、無理に取り組むこと非常に苦痛を感じることもあるのです。

ADHDの特性がプログラマーに向いている部分があるとしても、プログラミングに興味がなければ、プログラマーとして働く(働き続ける)ことは難しいと言えるでしょう。

このケースの人は、自分がより興味を持てる職種を見つけることが大切です。

ケース②職場にプログラミング以外の部分に困難がある

「プログラマーそのもの」には向いていても、「その会社・職場の一員としてのプログラマー」としては向いていないことがあります。

これはプログラマーに限った話ではありませんが、例えば、次のような場合です。

  • コミュニケーションが必要なチーム作業が多い
  • 業務外のコミュニケーションが多い
  • プログラミング以外の業務が多い(事務作業/会議準備/営業同行なども業務に含む、スケジュール管理や顧客対応を自分で行う必要があるなど)
  • 業務はプログラミングがメインだが、多数のプロジェクトを並行する(加えて、スケジュール管理者が不在など)
  • 全体的に、会社からのサポートが薄い(ADHDに関係しない部分も含む)
  • SEなど、プログラマー以外への職種変更の可能性が高い(※次項で解説)

これらの職場は、一般にADHDのある人が苦手とされる「対人コミュニケーション」「マルチタスク」を多く求められます。

「どのような職場か」については、次のような方法で確認していきましょう。

  • 面接の際に確認する
  • ウェブサイトなどで職場の評価を見る
  • 転職エージェント、ハローワーク、就労移行支援などを通じて確認する

特にマルチタスクの対策は、コラム「マルチタスクが苦手なADHDのある人に伝える、3つの前提と8つの対策例」に記していますので、ご興味がありましたらご覧ください。

ケース③将来的に、システムエンジニア(SE)になる可能性がある

先述のとおり、プログラマー(PG)として経験を積むと、システムエンジニア(SE)という職種への転向を求められることがあります。

また、プログラミングとあまり関係のない部署への異動もあるでしょう。

SEや他部署は、プログラマーと比べて、対人コミュニケーションが多く求められがちです。

また、他部署の場合は、その仕事に興味を持てるかがわかりません。

ADHDの特性に伴って対人関係や興味の範囲に困難があるなら、「SEや他部署への変更が求められる職場」の場合は、向いていないかもしれません。

ただし、「SEや他部署になっても、周りのサポートが手厚い職場」などであれば、問題ないケースもあるでしょう。

実際に、プログラミングに興味があったKBC卒業生のFさんは、SEとして充実した毎日を送っています(参考:KBC利用者体験談「チームに支えられたからあきらめなかった。KBCで見つけた本当の自分と、働きやすい職場」)。

また、スキルを身につけていけば、「不向きな異動がありそうになったら、プログラマーとして別の会社に転職する」という方法も考えられます(退職の意向を会社に伝えると、異動がなくなる可能性もあります)。

ADHDのある人におすすめの仕事術5選

ADHDのある人におすすめの仕事術5選

プログラマーかどうかに関わらず、ADHDの特性によって業務遂行に困難が生じる可能性はあります。

その際には、「ADHDの弱みを補う仕組みづくりをする」ことが重要になってきます。

ミスをカバーする準備ができていれば、安心して仕事に取り組めますよね。

具体的には、次のような例が考えられます。

  • 整理整頓する時間をあらかじめ決めておく
  • リスト化を徹底する
  • 自分だけのマニュアルをつくる
  • メモ帳とペンを常に持ち歩く
  • ゲーム要素を取り込んでみる

詳細は、下記コラムに書いています。ご興味がありましたらご覧ください。

ADHDのある人が自分に合った仕事を探すためにできること4点

ADHDのある人が自分に合った仕事を探すためにできること4点

ADHDのある人が自分に合った職業を探すために大切なことは、職探しをするときには、悩みを一人で抱え込まないことです。

ADHDのある人が利用できる支援やサポート団体は、たくさんあります(無料で利用できるものもたくさんあります)。

具体的には、次のような方法があります。

  • 医師やカウンセラーに相談してみる
  • 専門の支援機関に手伝ってもらう
  • 就労移行支援事業所に通所する
  • 障害者枠を検討してみる

ぜひ、そうした方法や支援団体の利用を試してみてください。

このコラムでは、特に就労移行支援事業所のみをこちらの章でご紹介します。

他の方法の詳細は、下記コラムに書いています。ご興味がありましたらご覧ください。

ADHDのある人の就職活動を支える、就労移行支援事業所とは?

就労移行支援事業所では、病気や障害と向き合いながら一般企業への就職を目指す人向けに、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを提供しています。(参考:厚生労働省※PDF「就労移行支援事業」)

就労移行支援事業の対象となるのは、以下の条件を満たす人です。

  • 原則18歳から65歳未満であること
  • 一般企業への就職または仕事での独立を希望していること
  • 精神障害、発達障害、身体障害、知的障害や難病を抱えていること

上記を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。

具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、あなたの障害特性に合わせた「個別支援計画」に基づいて、次のような幅広いサポートを行います。

  • 職業相談
  • メンタル面の相談
  • 基本的なタスク処理の訓練
  • 専門スキルの習得
  • 就職活動(履歴書・エントリーシート作成、面接など)のサポート
  • インターン先や就職先の紹介

相談は無料ですので、支援内容に興味を抱いた事業所に一度、詳細をお問い合わせください(私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)。

就労移行支援事業所の詳細は、下記コラムをご覧ください。

適職探しにおける、ADHDの特性の長所と短所

プログラマーに限らず、ADHDの特性には、「適職探しを進めるために考えるべき長所と短所」があります。

自分に向いた仕事を探す際には、ADHDを単なる「障害」ととらえるのではなく、「特性」として受けとめることが大切です。

その上で、「自分はADHDの特性の中がどのように現れているのか(現れやすいのか)」を見極める必要があります。

そうした見極めや就職活動全体については、上記の就労移行支援事業所など、ADHDに理解のある就労支援機関を積極的に利用することをオススメします。

特徴をそれぞれ長所と短所にわけて理解することができれば、あなたに合った仕事・働き方・就職先などを探すポイントが見えてきます。

就職活動・転職・適職さがしなどにおける「ADHDの特性の長所と短所」の詳細は、下記コラムをご覧ください。

改めて、プログラマーとシステムエンジニアとは?

この章では、プログラマーと、関連職種であるシステムエンジニアの概要をご紹介します(一般論ですので、会社によっては定義や業務が異なることもあります)。

①プログラマー(PG)

プログラマーは、主に、PCを利用して次のような業務を行います。

  • 仕様書(プログラムの設計書)に沿ったコード作成(プログラミング)
  • プログラミングのテスト作業

PCのシステムやソフトウェアを作る実働部隊のようなイメージです。

②システムエンジニア(SE)

一方で、システムエンジニアは、主に、次のような業務を行います。

  • 顧客へのヒアリング(要望の聞き取り)
  • 要望に沿った仕様書(プログラムの設計書)の作成
  • プログラマーのマネジメント(業務管理)

つまり、「自分が直接プログラムを書く」というよりは、「プログラミングを理解した上で、顧客とプログラマーの間に立って、調整や管理を行う」わけです。

③プログラマーとシステムエンジニアの関係

プログラマーとしての経験を積んでいくと、異動や昇進として、システムエンジニアになることを求められることがあります。

プログラマーとシステムエンジニアの、どちらが「よい」「悪い」ということはありません。

ですが、特性や性格・能力などによって向き不向きはあるでしょう。

後でも述べますが、ADHDの特性で「人間関係」に困難があるようでしたら、「プログラマーには向いていても、システムエンジニアには向いていない」という可能性はあります。

改めて、ADHDとは?

改めて、ADHDとは?

改めて、ADHDの概要を紹介します。既にご存知かもしれませんし、これまでに紹介した内容と重複する部分もありますが、全体的な理解が深まると思いますので、よければご覧ください。(参考:『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、田中康雄『大人のAD/HD』、岩波明『大人のADHD:もっとも身近な発達障害』)

①ADHDの概要

①ADHDの概要

ADHDとは、「注意欠如・多動性障害(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)」を意味する発達障害の一種です。

ADHDには多くの特性がありますが、その中でも下記の2点がよく見られるものとして挙げられます。

  • 不注意…忘れ物やケアレスミスが多く、確認作業を苦手とする
  • 多動・衝動性…気が散りやすく、貧乏ゆすりなど常に身体を動かしていないと落ちつかない

その他にもよく挙がる特性の現れ方として、「マルチタスクやスケジュール管理が苦手」といったものがあります。

②ADHDの診断は医師だけが可能

②ADHDの診断は医師だけが可能

「自分が(ある人が)発達障害(ADHD)かどうか」の診断は医師による問診や心理士が実施する心理検査を中心に行われます。逆に言うと、医師以外には「発達障害かどうか」の診断・判断はできません。

あなたが(ある人が)「発達障害かどうか」をハッキリさせたいのであれば病院を受診してみることをオススメします。

「診断を受けるのが不安」と思う人は、発達障害者のサポートを行う団体(各都道府県にある発達障害者支援センターなど)に「病院に行くべきかどうか」「診断をつけるメリットやデメリット」などを相談することができます。

③ADHDの医学的な診断基準

下記は、2013年にアメリカ精神医学会がまとめた『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』に挙げられているADHDの診断基準です。

次のような診断基準に当てはまればADHDの可能性があります(あくまで可能性です。「どの程度なら『当てはまる』と言えるか、他の病気や障害の可能性はないかなども含めて、「ある人がADHDかどうか」は、医師だけが判断できます)。

不注意
  • (a)学業、仕事、または他の活動中に、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする
    (例:細部を見過ごしたり、見逃してしまう、作業が不正確である)
  • (b)課題または遊びの活動中に、しばしば注意を持続することが困難である
    (例:講義、会話、または長時間の読書に集中し続けることが難しい)
  • (c)直接話しかけられたときに、しばしば聞いていないように見える
    (例:明らかな注意を逸らすものがない状況でさえ、心がどこか他所にあるように見える)
  • (d)しばしば指示に従えず、学業、用事、職場での義務をやり遂げることができない
    (例:課題を始めるがすぐに集中できなくなる、また容易に脱線する)
  • (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である
    (例:一連の課題を遂行することが難しい、資料や持ち物を整理しておくことが難しい、作業が乱雑でまとまりない、時間の管理が苦手、締め切りを守れない)
  • (f)精神的努力の持続を要する課題(例:学業や宿題、成人では報告書の作成、書類に漏れなく記入すること、長い文書を見直すこと)に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う
  • (g)課題や活動に使うようなもの(例:学校教材、鉛筆、本、道具、財布、鍵、書類、眼鏡、携帯電話)をしばしばなくしてしまう
  • (h)しばしば外的な刺激(成年後期および成人では無関係な考えも含まれる)によってすぐ気が散ってしまう
  • (i)しばしば日々の活動(例:用事を足すこと、お使いをすること、青年後期および成人では、電話を折り返しかけること、お金の支払い、会合の約束を守ること)で忘れっぽい

上記の項目のうち、6つ以上の項目が少なくとも6か月以上続いている、症状のいくつかが2つ以上の環境(職場・家庭・学校など)で見られる、12歳以前から複数の症状が見られる。

多動性および衝動性
  • (a)しばしば手足をそわそわ動かしたりトントン叩いたりする、またはいすの上でもじもじする
  • (b)席についていることが求められる場面でしばしば席を離れる
    (例:教室、職場、その他の作業場所で、またはそこにとどまることを要求される他の場面で、自分の場所を離れる)
  • (c)不適切な状況でしばしば走り回ったり高い所へ登ったりする
    (注:成人では、落ち着かない感じのみに限られるかもしれない)
  • (d)静かに遊んだり余暇活動につくことがしばしばできない
  • (e)しばしば”じっとしていない”、またはまるで”エンジンで動かされているように”行動する
    (例:レストランや会議に長時間留まることができないかまたは不快に感じる;他の人には、落ち着かないとか、一緒にいることが困難と感じられるかもしれない)
  • (f)しばしばしゃべりすぎる
  • (g)しばしば質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう
    (例:他の人達の言葉の続きを言ってしまう;会話で自分の番を待つことが困難である)
  • (h)しばしば自分の順番を待つことが困難である
    (例:列に並んでいるとき)
  • (i)しばしば他人を妨害し、邪魔する
    (例:会話、ゲーム、または活動に干渉する;相手に聞かずにまたは許可を得ずに他人の物を使い始めるかもしれない;青年または成人では、他人のしていることに口出ししたり、横取りすることがあるかもしれない)

上記の項目のうち、6つ以上の項目が少なくとも6か月以上続いている、症状のいくつかが2つ以上の環境(職場・家庭・学校など)で見られる、12歳以前から複数の症状が見られる。

④ADHDの「治療」について

ADHDの特性に働きかける薬や対応などの治療は確立されてきています。

その例は下記コラムをご覧ください。

⑤ADHDは、生まれつきのもの

⑤ADHDは、生まれつきのもの

ADHD(発達障害)は、生まれつきのものです。ADHDの特徴は幼少期から見られます。

そのため「成長してからADHDになる(成長につれてADHDになる)」ということはありません。

また、以前は「ADHDは、子ども特有のもの」と考えられていましたが、現在の医学では、「ADHDの症状は、大人になっても継続するもの」であるとされています(ただし、多動・衝動性の特性は、一般的に成長するうちに薄れることも多く見られます)。

このコラムでもご紹介してきたとおり、対策、相談先、特性を緩和する薬などもたくさんあります。苦労や困難が生じることもあるとは思いますが、必要以上に不安に感じる必要はありません。

⑥いわゆる「大人のADHD」とは

近年、「大人のADHD」という言葉が使われるようになってきました。

大人のADHDとは?
  • 幼少期からADHDの特性はあったものの、「大人になってからADHDだと気づいた状態」を指す俗語のことです。決して「大人になってからADHDになった」わけではありません。
    就職後に正確な処理・確認作業・管理業務を求められるようになったことで、困難に直面しADHDの特性があることに気付いたという人は少なくありません。

「大人のADHD」について詳しく知りたい人は下記コラムをご覧ください。

⑦いわゆる「グレーゾーン」とは

⑦いわゆる「グレーゾーン」とは

ADHDの傾向が確認されるものの、確定診断が下りるほどではないほどの状態・人のことを俗に「(ADHDの)グレーゾーン」と言います。

グレーゾーンの場合、確定診断がないことから利用できる公的なサービスが限定されることがあります(例:障害者手帳を取得できないため障害者手帳が必須なサービスを利用できない)。

ただし、グレーゾーンの人でも「発達障害者支援センター」のようなサポート団体への相談は可能です。

確定診断があってもなくても、またADHDに関係してもしなくても「発達障害に関する悩み事」は専門的な知識を持つ人たちに相談した人が対策や解決策を見つけやすくなるでしょう。

⑧ADHD以外の発達障害

発達障害はその特徴によって、いくつかのグループに分けられています。

ADHD以外の主な発達障害には、ASD(自閉症スペクトラム障害)、SLD(限局性学習障害)などがあります。

ADHD・ASD・SLDの複数が併存する人もいます。気になる人は下記コラムをご覧ください。

まとめ:支援者とともに、より自分に合った仕事や職場を探していきましょう

まとめ〜支援者とともに、より自分に合った仕事や職場を探していきましょう〜

これまで、ADHDとプログラマーの概要や、向いている可能性、向いていない可能性、仕事探しの方法などをご紹介してきました。

ADHDの特性がプログラマーに向いているとよく言われてはいますが、もっとも大切なのは、いま記事をお読みになっている「あなた」にとって、プログラマーは向いているのかということだと思います。

ご紹介したサポート団体などを利用することで、プログラマーに限らず、あなたに向いた職種や働き方が具体的にわかっていくと思います。

この記事が、あなたの就職・転職に役立ったなら幸いです。

よくある質問(1)

ADHDの特性がプログラマーに向いている理由を知りたいです。

一般論として、次の理由が考えられます(個人差はあります)。(1)過集中をうまく利用できればコードを速く多く書ける、(2)人間関係の難しさやストレスが少ない、(3)作業のやり直しができる、(4)スキルが身につけばプログラマーとして転職できる。詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

ADHDの特性がプログラマーに向いていないケースを知りたいです。

一般論として、次の3点が考えられます(個人差はあります)。(1)プログラミングに興味を持てない、(2)職場にプログラミング以外の困難がある、(3)将来的にSEになる可能性がある。詳細はこちらをご覧ください。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

執筆西村二架

にしむら・にか。精神保健福祉士。
1992年生まれ。関西学院大学文学部卒業後に京都医健専門学校で学び、2019年に国家資格・精神保健福祉士資格を取得。2018年8月から、キズキ共育塾(不登校・中退・発達障害・社会人などのための個別指導塾)で講師として勤務。現在は主任講師として国語・数学・英語・小論文・面接の学習支援およびメンタル支援を担当。また、うつや発達障害の方々のための就労移行支援事業所キズキビジネスカレッジでも英語などを教える。2023年現在、TOEIC890点を所持。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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