「常識」という呪い

「常識」という呪い

2017年5月30日 火曜日 投稿

こんにちは、キズキ共育塾スタッフの村田綾香です。私は以前、高校で教師として国語を教えていました。そのときのことも含めて、学び直しを応援するコラムを書いています。


学校へ行きたくない自分は、ダメな人間か?

キズキ共育塾のコラムを目にしているあなたは、「学校へ行くことの必要性」について疑問に思った経験があるのではないでしょうか。

あるいは、「学校へいくことが苦痛な自分は、ダメなやつなんじゃないか…」と責めてしまったことはありませんか?

もし、まさしく今がその状態だという方がいたら、それ以上自分を責めないでください。

今回は、私が「学校」で教える立場にあった中で、「学校」について考えてきたことをもとにお話します。

私が接してきた不登校の生徒さんの話をまとめると、学校へ通うことを苦痛に感じる自分を「ダメだ」と感じてしまう思考回路は、概ね以下のようなものでした。

・学校へ行って勉強をすることが、「常識」で「安全」だと思っている。
・「常識」に従えないことは、社会からはみ出す危険なことだ。
・つまり、通学が苦痛な自分は、社会での居場所がないので、「ダメなやつ」だ。


「常識」は安全?…いいえ、過信は禁物です

ではそもそも、「学校へ行って勉強すること」は、「常識」なんでしょうか?

確かに私たちが生きる現代の日本では、多くの人が学校へ通っています。

しかし、“みんな”がすることを「常識」として安易に受け入れてしまうことは、危ないことかもしれません。

何故なら、“みんな”とは実態のない魔物だからです。

「“みんな”と同じだから安心」と思うことは、「常識」という呪いにかかっていると言えるでしょう。

さらに言えば、「常識」が常に「安全」であるとは限りません。

例えばこんな話があります。

青信号で横断歩道を渡ることを「常識」で「安全」だと思い込んでいる人がいるとします。

実際、赤信号で横断歩道を渡ることは禁止されていますし、青信号で渡ることは極めて一般的なふるまいです。

けれど本来、青信号とは「進んでもよい」という意味です。

「横断しても安全だ」という意味はありません。

「自分で安全を確かめる」ことが大前提となっています。

それを忘れて「青信号なんだから安全で当り前」という意識で横断歩道を闊歩している人には、恐ろしい未来が待ち受けているかもしれません。

青信号を横断中に右左折車が突っ込んでくることや、信号無視の暴走車が飛び込んでくることは十分にありえるのです。

「学校へ行くこと」も、この「青信号」のようなもので、何も考えずに進めば大事故に遭うかもしれません。

疑問があれば立ち止まって左右を確認することも必要なのです。

その上で安全が確認できれば再びエンジンをかければいい。

どうしても気が進まなければ、経路を変更してもいい。

「この信号がある横断歩道は安全に渡れるのか」
「この信号がある道は本当に進むべき道なのか」
を検討することはないがしろにされがちですが、最も大事なことなのです。


ときには一度ゆっくり休んで考えることも必要です

次に、私が以前担任をした女の子の話をします(以下、Aさんとします)。

Aさんは、授業中に上の空であることが多く、休み時間も一人で考えごとをしているような子でした。

Aさんは、用事があればクラスメイトと話したり、行事でグループ活動をしたりといったコミュニケーションは取りますが、それ以上にとけ込もうという様子はありませんでした。

そして曇った表情でいることも次第に多くなったので声をかけたところ、「学校になぜ通うのかわからない」という答えが返ってきました。

Aさんが言うには、学校には話していて楽しいと思える友人がおらず、勉強も必要だとは思うが特別好きでもないので、通う意味をあまり感じなくて悩んでいるということでした。

ただし、特別にやりたいこともなく中退するのは怖いので、とりあえず毎日通学しているという状況でした。

続けてAさんと話をしていると、Aさんは休日にはお芝居やミュージカルなどを観に行く習慣があることがわかりました。

また、小さいころからクラシックバレエを習い続けていることも知りました。

私は大学で文学を専門分野として学んでいたので、周囲には演劇をやっている友人も多くおり、演劇関連のことは多少知っていました。

そこで、その友人たちの話も含めて、舞台と、舞台に関連する進路について、Aさんとたくさん話しました。

舞台に関わっていたければ、大学の文学部に進学して演劇を学ぶ道もある。
あるいは芸術系の大学で舞台芸術や演出を学ぶ道もある。
いっそ、自分が演じる側にまわる選択肢もある。

そして、大学進学のためには必ずしも今の高校を卒業する必要はなく、高卒認定試験という方法や、通信制高校に編入する方法もあることなどを説明しました。

また、今のAさんには高校を一度休学してゆっくり考えることも必要かもしれないとも伝えました。

その後Aさんは、まず休学を選択しました。

休学中も定期的に連絡を取っていましたが、Aさんはますます舞台に魅入られたようでした。

そしてバレエの経験を活かして創作ダンスの舞台に立つ機会も得たようで、以前よりもはつらつとした様子がうかがえました。

結局Aさんは、「アルバイトをしながら舞台観覧に通う資金を稼ぎ、かつ自分のダンスも磨いていくこと」を中心に思案し、今の高校から通信制高校へ編入する道を選び、最終的には芸術系の大学で舞台芸術を学ぶことを目指し始めました。

当初は「特別にやりたいことはない」と言っていたAさんでしたが、このときにはもうすっかり「自分の世界」を持っている人の顔をしていました。

Aさんのように、「(今の)学校に通う」という「常識」から外れることは危険で怖いと思っている人は多くいます。

しかし、「常識」を盲目的に信じて進む方がむしろ危険なこともあるということがわかります。

Aさんも、(今の)学校に通い続けていたら、舞台の道に進むという選択肢は浮かばず、心身ともに消耗しきっていたかもしれません。

Aさんは、(今の)学校を離れるという選択をしたことで、生き生きとした自分を取り戻せたのではないでしょうか。

つまり、「(今の)学校へ行くこと」という「常識」ルートばかりが正しいわけではなく、「迂回」ルート、「独自」ルートが正しい場合もあるのです。


ルート選択で大事なことは、「自分で判断できているか」

とは言え、「常識」ルートには、その「常識」の中での進行方向やゴールなどが設定されていることがほとんどです。

その「常識」を検討して自分の中で違和感がなければ、「常識」ルートはいろんな設定を自分で行う必要のない「省エネ」ルートとして進んでいくことができます。

一方、「迂回」ルート、「独自」ルートを進むためには、進行方向もゴールも、手探りで独自に考えなくてはなりません。

進む道には行き止まりもあるかもしれないし、悪路もあるかもしれない。場合によっては、最終的に「常識」ルートに合流する可能性すらあります。

ですから、「常識」「迂回」「独自」ルートは、どれが正しいということは一概には言えません。

大事なのは、どのルートを選択するか、“みんな”という魔物に流されず自分で判断できているかどうか?ということです。

省エネルートを進むもよし、無駄ルートを進むもよし。
あるいは近道の悪路を見つけるのもまた一興です。

「常識」という呪いから、解き放たれませんか?


「自分の考え」で進んでいけば、居場所は見つかります。ただし、無理はしなくても大丈夫

これまで読んできた人には、
「“みんな”と同じだから安心」
「“みんな”と違う自分はダメだ」
のどちらも、「常識」という呪いにかかっているということがわかっていただけると思います。

実態のない“みんな”によりかかるのではなく、確かに存在する自分の考えで足元を固めることで、あなたの存在はきちんと社会に刻まれていきます。

その上で、“みんな”ではなく各々独立した周囲の人と関係を築いていくことが、「社会での居場所」に繋がっていくのではないでしょうか。

Aさんが演劇の世界という居場所を見つけられたのも、なんとなくよりかかっていた学校を離れ、自分の考えを持って演劇の世界の人たちと真摯に向き合ったからでしょう。

もちろん、自分の考えを編んでいくことも、その上で周囲と関わっていくことも、容易ではありません。

その「最初の一歩」のハードルを果てしなく高く感じる人もいるでしょう。

そんなときは、無理に踏み出さなくても大丈夫です。

まだインプットの期間と考えて、本を読んだり、音楽を聴いたり、映画を見たり、インターネットを周遊したり…たくさんの先人の知恵を蓄積して、いつか時が満ちたらアウトプットしていけるとよいのではないでしょうか。

省エネで生きられる人ばかりではありません。

低いハードルを幾つも速く超えていく人もいれば、長い助走の末に高いハードルを飛べる人だっています。

どちらが優れているということはないのです。

というよりも、何が優れているかは、見る角度によって変わります。

自分で考えて、自分を認めていけるような、「常識」に拠らない選択をしてみませんか?

進みたいと思ったときが、チャンスです。

「もう△△才だから××は無理かも…」のような「常識」という呪いから、脱出しましょう!


※紹介した生徒さんの事例は、記事の趣旨を損なわない範囲で、個人の特定ができないように一部事実を変更しています。
※文中の写真は、全てイメージです


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