ニートとは? フリーターや失業者との違いや現状、要因を解説
勉強にブランクのある人の学び直しをサポートする個別指導塾・キズキ共育塾です。
このコラムは、ニートについて知りたい人や、今現在ニートであるご本人に向けて書いています。
あなたは、「ニート」について、どんなことを知っていますか?
そもそものニートの定義や、類似している用語との違いについて、しっかり説明できる人は少ないのではないでしょうか?
このコラムでは、日本におけるニートの定義や失業者・フリーターとの違い、ひきこもりとの違い、ニートから「次の一歩」に進むための心得、支援機関などをわかりやすく解説していきます。
現在ニートであり、次のような具体的なお悩みを持っている人には、特にお役に立つと思います。
目次
ニートとは?
ニートとは、「Not in Education,Employment or Training」の頭文字を取ったイギリスの造語のことです。
直訳すると、「就学、就業、職業訓練のいずれもしていない人」になります。イギリスでは「支援が必要な人たち」という意味合いでつくられた言葉です。
ここでは、日本における「ニート」の公的な意味をお伝えします。
ニートに限らず、言葉の意味は公的な定義だけが「正解」ではありません。ですが、公的な定義は公的な支援などにも関わりますので、覚えておいて損はないでしょう。
厚生労働省ではニートについて次のように定義しています。
総務省が行っている労働力調査における、15~34歳で、非労働力人口のうち家事も通学もしていない人
(参考:厚生労働省ウェブサイト「よくあるご質問について」)
また、総務省統計局では、ニートに近い概念として、「若年無業者」と表記することもあります。(参考:総務省統計局「16A-Q10 ニートの人数」)
もう少しカンタンに言うと、次の条件を満たすのがニートです。(参考:総務省統計局「労働力調査に関するQ&A(回答)」)
- 15〜34歳
- その月の最後の1週間に少しも仕事をしていない
- (非正規雇用も含めて)仕事に就いていない
- 求職活動中ではない
- 学生ではない
- 有給・無給を問わず、家業の手伝いを行っていない
- 家事に専従する専業主ふや家事手伝いなどでもない
まとめると、ニートは「若年無業者」と言えるでしょう。
同省の定義でいうと、次のような人はニートに該当しません。
- 月末1週間のうちに、1時間でもアルバイトをした人
- 今現在無職だけど、求職活動をしている人
一方、上記定義の一つである「すぐに働けない状態」につき、働けない理由が「病気などの、本人ではどうしようもない事情である場合」も、ニートに含まれるのでしょうか。
厚生労働省に確認したところ、次のような回答がありました(表現は一部変更)。
(他の要件も当てはまれば、)働けない理由が病気などの場合も、厚生労働省の定義としてはニートに含む。
(しかし、ニートを一律に考えているわけではなく、)雇用対策などの政策立案においては、働けない理由によって対象などをわけて考えている。
(参考:厚生労働省の回答)
日本のニートの現状
ここからは厚生労働省や総務省統計局のデータを参考に、ニートの現状についてご紹介します。
ニートの社会復帰の可能性などにも触れているので、今後の参考にお役立てください。
全体のニート数は年々減少している
まずは日本全体のニート(若年無業者)の数の傾向を見ていきましょう。(参考:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果」)
(参考:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)平均結果」)
総務省統計局が2022年(令和4年)に実施した調査によると、2012年から2022年の10年で、ニート(若年無業者)の総数は約63万人から約57万人と、徐々に減少していることがわかります。
ただし、人口に占める割合は、2012年から変動こそあるものの、大きな変化はありません。
ニートが社会復帰できる可能性
ニートの社会復帰については、結論から述べると、どの世代でも可能です。
ただし、厚生労働省などのデータを見ると、若年者のニートの方が社会復帰を目指しやすい傾向にあるようです。
ニート期間と社会復帰の関係性
若年層ニートの方が社会復帰しやすい理由については、労働政策研究・研修機構の「大都市の若者の就業行動と意識の変容-「第5回 若者のワークスタイル調査」から-」のデータでわかります。具体的に見ていきましょう。(参考:労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容 -「第5回 若者のワークスタイル調査」から-」)
(参考:労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容 -「第5回 若者のワークスタイル調査」から-」)
このデータは、対象がニートではなくフリーターではあるものの、「フリーターの継続期間」と「その後、正社員になった割合」を示しています。データを見ると、以下のことがわかります。
- 1年以内の方の合計:約68.8%
- 1~2年の方の合計:約61.2%
- 2~3年の方の合計:約56.6%
- 3~4年の方の合計:約61.1%
- 4~5年の方の合計:約37.9%
- 5年以上の方の合計:約32.3%
上記のデータを見ての通り、フリーター期間が短いほど正社員になりやすく、4年以上と長引くほど難しくなる傾向にあるようです。
「この調査はフリーターが対象だから、ニートとは関係がないのでは?」と考えるかもしれませんね。
しかし、社会経済生産性本部による調査では、フリーターとニートには深い関わりがあることを、次のように記載しています(※()内は筆者補足)。
(ニートについては)失業者やフリーターと分離して考えるべきでもない。なぜなら、失業、フリーター、ニート」の境界線は固定的ではなく、相互に行き来している可能性が高いからである。その過程で活動しなくなったニート状態の若者のなかに、複合的な困難を抱えた者が多いことが推測される。つまりもっとも不利な条件をもった脆弱な若者が労働市場で最も不利な立場に置かれ、結果としてニートの状態に陥っている可能性がある。
(参考:財団法人社会経済生産性本部「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書」)
つまり、フリーターからニートへ移る、ニートからフリーター(を経て正規雇用)に移るなど、「状態」は双方向に変わりうるとしているのです。
そういった背景から、フリーターのデータであっても「ニートとは全く関係のない話」とは言い切れません。
「社会復帰」とは労働のこととは限らず、また、人は必ず正規雇用を目指さなければならないものでもありません。
ですが、そういう方向で考えているのなら、このこそフリーター継続期間と正社員になったデータは参考になるでしょう。
フリーターとニートはそれぞれ厳密には定義が異なりますが、どちらもその期間が短い方が「次のステップ」につながりやすいのです。
しかし、ニート期間がある・長いという理由で社会復帰ができないということは決してありません。
一例・一般論ではありますが、数年以上もの間ブランクができた理由が、自身や家族の病気・介護に関するものだったりすると、ニートへの認識が変化します。
また、どのように社会復帰を目指すべきかの相談や、就職活動時に何をどう伝えればよいのかを相談できるところはたくさんあります。
就業を目指すニートが直面する社会復帰の難しさ
ニートのなかでも若年層の方が社会復帰しやすい背景から、若年層ではない無業者は社会復帰の難しさに直面するケースが少なくないと言われています。
これは年齢が上がるにつれ就職・転職が難しくなるなかで、さらに現在無職である現状が、就職や転職を目指すうえでネックになりやすいことが理由です。
上記で紹介したデータを見ても、ニート期間が長引いたまま歳を重ねると、その分だけ就職・転職が難しくなっていることがわかります。
また、転職年齢の上限とされている「35歳の壁」という言葉があります。
35歳を過ぎると転職のハードルが上がるという意味の言葉です。ですが、2020年の総務省「労働力調査」によると、転職者数のうち35歳以上は186万人で全体の約6割を占めています。
そのため、近年では「35歳を境に転職が難しくなる」という通説は変化しつつあると言えるでしょう。(参考:総務省統計局「労働力調査」)
こうした社会情勢の変化もあり、無職からの就職は「不可能」では全くありません。
サポート団体などを利用しつつ、また体調にも注意しつつ、社会復帰を目指していきましょう。
ニートと失業者・フリーター・ひきこもりとの違い
先ほども軽く触れましたが、ニートに類似した意味を持つ言葉として「失業者」「フリーター」「ひきこもり」があります。
ここでは、具体的な違いと特徴について説明します。
失業者との違い
失業者は、現状就業はしていないけれど、就業意欲があり求職活動を行っている人のことを指します。総務省統計局では、失業者についてこのように定義しています。(参考:総務省統計局「労働力調査 用語の解説」)
- 仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)
- 仕事があればすぐ就くことができる
- 調査週間中に,仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)
ニートと異なるのは、失業者は「仕事が決まったらすぐに働くことができ、求職活動をしている」という部分です。
フリーターとの違い
フリーターは、現在アルバイト・パートタイムで働いている人のことを指します。総務省統計局では、フリーターについてこのように定義しています。(参考:総務省統計局「16A-Q09 フリーターの人数」)
- 年齢は15~34歳と限定
- 現在就業している者については勤め先における呼称が「アルバイト」又は「パート」である雇用者で、男性については継続就業年数が1~5年未満の者、女性については未婚で仕事を主にしている者
- 現在無業の者については家事も通学もしておらず「アルバイト・パート」の仕事を希望する者
ただしその中でも、「既婚女性で、アルバイト等の仕事を行っている人」は定義対象外になります。
加えて、現在就業しておらず、これからアルバイト等の仕事を探している人のことをフリーターと指すこともあります。
ニートと異なるのは、フリーターは「働いている」「仕事を探している」という部分です。
ひきこもりとの違い
ひきこもりとは、厚生労働省によると、以下のような状態とされています。
様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい) を指す現象概念である。
(参考:厚生労働省「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」)
ここでいう「社会的参加」には、学校や仕事のほか、家庭外での交友関係なども含まれます。
外出していたとしても、それが他者と関わらない形の外出であり、またその状態になってから6か月以上が経っているならば、ひきこもり状態と定義されます。
例えば、近所のコンビニへの買い物のために外出ができていても、「ひきこもり」と見なされることがあるのです。
上記の定義からは、下記の姿が見えてきます。
- 通学や仕事、交友などを避けている状態であること
- 多くの時間を家庭で過ごしていること
- 期間の目安はおよそ6ヶ月以上
ニートの定義には、「外出の有無」や「社会との関わり」は関係ありません。
その上で、社会との関わりを持たないニートの方の場合は、ニートかつひきこもりでもあるということになります。
各相違点のまとめ
各相違点をまとめると、以下のとおりです。
- 年齢に関係なく、社会的参加をしていない状態が6か月以上継続しており、主に家の中だけで生活している場合は、「ひきこもり」
- 15歳以上35歳未満で、通学・就業・職業訓練や就職活動のいずれも行わないが、主に家の中だけで生活していない(社会的参加はしている)場合は、「ニート(だけどひきこもりではない)」
- 15歳以上35歳未満で、社会的参加していない状態が6か月以上継続し、通学・就業・職業訓練や就職活動・家事のいずれも行わずに、主に家の中で生活している場合は、「ニートかつひきこもり」
補足:35歳以上のニートは別の呼び方をすることも
なお、厚生労働省の定義では、15~34歳までの人をニートとしていますが、35歳以上だと一種の俗称として「中年ニート」または「中年無業者」と呼ばれることがあります。
これは厚生労働省でも「 「ニート」の定義は、15~34歳で、非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者。これと同定義で35歳~49歳までの無業者」と定義しています。(参考:厚生労働省「若年者等に対して段階に応じた職業キャリア支援を講ずること(施策目標Ⅵ-2-2)」)
ニートになる3つの要因
ニートの要因を紐解いていくと、自身の病気や気持ちの変化といったもの以外に、家族の介護などさまざまな理由があります。
人によってさまざまな理由があることから、状況によって誰しもなりうるものとも考えられます。
ニートになることは「そうせざるを得ない理由」がある場合が多く、ニートになったからといって自責の念を持つ必要はありません。
厚生労働省は2007年に、若者自立塾・地域若者サポートステーションといった支援機関を訪れ、支援を受けている方または支援を受けようとしている方へ、現状や実態をアンケート調査しました。(参考:厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書」)
やや古い調査ではありますが、現在にも通用する有効な資料として、主に参考にしていきます。
ここではニートになる要因について説明しますが、いずれもあくまで一般論です。適切な改善策を知るための項目として読み進めてみてください。
要因①学校または会社に馴染めない
1つ目は「学校または会社に馴染めない」ことです。
アンケートの結果によると、全体の約37.1%が不登校を経験しており、ニートになる前に学校でいじめられた経験を持つ人が約55%もいることがわかりました。
また、同世代の水準からみて、進学率は特に低いと言えない数値になる一方、高校、大学・短大、専門学校の各段階での中退者は、あわせると3割を超え、在学中の1ヶ月以上の長期欠席経験者も高校で約16.6%、大学・短大で約25.8%と、低くない数値が出ています。
さらに、「人と話すのが不得意」と回答した人が全体の約64.4%と、対面コミュニケーションに苦手意識を持っているために、学校や会社という集団の場所になじみにくさを感じ、ニートになっているという背景がわかりました。
同省が就労に必要な生活行動への苦手意識を尋ねてみると、入社までの面接や入社後の職場の人間関係全体に苦手意識があると回答しています。
苦手と答えた割合
- 面接に通る:約75.1%
- 面接で質問に答える:約64.8%
- 職場で友達をつくる:約64.6%
- 上司から信頼される:約64.1%
ニートになる要因の一つには、対面コミュニケーションへの苦手意識があるようです。
要因②働かなくても不自由なく暮らすことができる
2つ目は「働かなくても不自由なく暮らすことができる」ことです。
こちらで解説した理由とは異なり、働かなくても問題なく暮らせる場合でも、ニートになることはあるようです。
同省のデータでも、「ニートの状態にある若者の出身家庭は非常に幅広く、あらゆる経済状況の出身者がいると考えられる。」としています。
「あなたの家の暮らし向き」は以下のように回答されていて、全体の約14%が「暮らし向きに(やや)余裕がある」としています。
出身家庭の経済状況に関する回答
- ふつう:約47.1%
- やや苦しい:約28.0%
- やや余裕がある:約10.8%
- 非常に苦しい:約8.9%
- 余裕がある:約3.3%
このデータからわかるように、ニートになる要因は、無理に働く必要がない環境下にある人も少なくないようです。
要因③家庭環境の問題
3つ目は「家庭環境の問題」です。
家庭環境の問題と一口に言ってもさまざまな理由があります。
たとえば、家族との関係性に問題があり、家庭で少しずつ養われるはずの「人間関係の構築」がうまくできず、社会での人間関係に悩みニートになる場合があります。
しかし、冒頭でもお話ししたように、家族の入院や介護によって外で働くことが難しく、ニートのような状態でいるほうが、家族の面倒を見やすいからといった理由も少なくありません。
筆者も、両親や祖母の通院の送迎・入院手続き・介護経験などに携わっていたため、その数年間はフルタイムで働くことが難しく、ニートのような状態でした。
やや話は逸れてますが、イラストエッセイストの犬山紙子さんも、お母様の介護をしていたものの、仕事を辞めてお金を稼いでいない現状に引け目を感じ、その当時はニートと名乗っていたそうです。(参考:プレジデントオンライン:「母の介護をしていたのにニートと名乗っていた」犬山紙子さんが振り返る”20代の介護生活”」)
このように、家庭環境のなかにも複雑な問題が交錯し、「ニートでいることがベストだ」と判断した人や、現状による引け目から「ニートと言わざるを得なかった」など、さまざまな理由によって、ニートになる(選ぶ)人も少なくありません。
ニートから次の一歩に進むための3つの心得
ニート状態にある人は、次のように悩んで立ち止まることもあるでしょう。
- 働きたい気持ちはあるけれど、やりたいことが見つけられない
- 働くために具体的に何をしたらいいのかわからない
だからといって、何もやらないと新たにやりたいことに出会う可能性がどんどん下がり、悪循環に陥るかもしれませんね。
ニートから次の一歩に進むために大事なことは、「嫌ではないことから始めること」です。
就労や就学のためには、家から出て、仕事を探したり、知らない人たちとイチから関係性をつくったりなど、慣れないことや大変なことがたくさん出てくるかもしれません。
そんなときは、「何でもいいから」と嫌なことでも無理をしたりして、余計な負担を増やすべきではないのです。
まずは、行動することをあきらめず、嫌じゃないことからはじめましょう。
次に、慣れない事態と直面したときに心が折れてあきらめないように、事前の対策をいくつかまとめました。
心得①相談できる相手をつくりながら行動する
1つ目は「相談できる相手をつくりながら行動する」ことです。
弱音を吐けたり、相談できたりする安心・安全な相手・場所を持ちましょう。
具体的には、次のようにさまざまな方法があります。
- 支援機関とつながり、相談役になってもらうこと
- ホットラインなど相談ダイヤルに電話をかけてみること
- サポートの場やネット上などで仲間をつくって相談し合うこと
- 家族や友達に事前に力になってほしいと伝えること
「ここなら自分の弱いところや失敗談を話せる、相談できる」と思えるような安心・安全だと思える環境を見つけたりつくったりしながら行動しましょう。
例えば、「地域若者サポートステーション」は、働くことに踏み出したい15歳~49歳までの人を支援する、厚生労働省委託の支援機関です。
また、私たち「キズキ共育塾」では、ブランクのある状態からの学び直し(大学受験など)の無料相談を行っています。
他にもさまざまな相談機関やサポート団体があります。こちらでも解説しているため、ぜひ利用してみてください。
アドバイスがほしいときだけではなく、ただ話を聞いてもらいたいときや、自分の気持ちの整理ができなくて悩んでいるときなどにも、気軽に電話してみることをオススメします。
なお、サポート団体相手には「頼る」という形で大丈夫です。しかし、仲間や友達相手には、就職や進学の後にも困ったときに助け合えるような、「お互いに頼り合う」という関係性になると、よりよいと思います。
心得②いろんな選択肢を事前に用意しておく
2つ目は「いろんな選択肢を事前に用意しておく」ことです。
何事もそうですが、ある挑戦に失敗して弱っているときに「次の打ち手」を考えるというのは、気力が必要ですよね。
また、そんなときに考え込んだり重大な決断をしたりするのは、「悪い方向」に思いが向かったりすることもあるため、あまりオススメできません。
例えば、就職したいと思っていた会社に採用されなかったときでも、他の選択肢(応募先)があれば、気持ちを次に切り替えやすくなります。
複数社の候補リストをつくっておくなどして、選択肢を「一つだけ」にしないようにしましょう。
なお、就職したいところを探すときには、職種、商材、給料ベースだけで考えずに、どんな社内環境や働き方をしたいかなど、幅広い軸で考えることもオススメします。
心得③自分に自信をつける活動をする
3つ目は「自分に自信をつける活動をする」ことです。
ニート状態そのものについても、就職活動がうまくいかなかったりしたときにも、「自分には価値がない」「自分はもうダメだ」などと自分を責める人がいます。
しかし、ニートであっても就職活動がうまくいかなくても、変に自分を責める必要はありません。
ですが、人からそう言われても、すぐに気持ちを切り替えることは難しいかもしれませんね。
そんなときは、ニートだからこそある自由な時間を活かして、自分の自信につながることをやってみましょう。
例えば、次のような方法があります。
- 趣味などの好きなことに打ち込む
- 勉強や資格取得などのスキルアップのための活動をする
- 自分のコンプレックスと向き合う
好きなことに打ち込んだり、勉強や資格取得に取り組んだりすると、自分に自信をつけることができます。
ニートの次に進学を目指す場合、勉強はそのための直接的な手段でもあります。その上、就職を目指す場合、資格取得は有利な条件にもなります。
自信をつけるとともに、「次の一歩」に進むための力にもなるということです。
コンプレックスと向き合うとは、例えば次のように、自分が思う欠点について、前向きに解決方法を考えていくことです。
- 苦手な「人付き合い」をどう改めようか。
- 人づきあいが苦手な自分のいいところはどこだろうか。
ニートの時期に自信をつける活動ができると、次の一歩に進みやすくなります。
ニートが就職を目指すときに有効な3つの方法
さまざまな理由によってニートになったあとは、健康状態や家族などの周囲の状況を見て、就職を目指すことになると思います。
とはいえ、ニート期間が長いとなにから始めれば良いのかわからず、二の足を踏むこともあるでしょう。
ここでは、ニートの方が就職を目指すときに有効な方法を3つ紹介します。
なお、より細かくステップを踏んで社会復帰を目指したいと考える方は、下記ページがオススメです。
ニートから社会復帰する方法については、ニート期間が長く社会復帰に不安がある人に向けて、下記のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
参考記事:キズキビジネスカレッジ(KBC)「ニートの社会復帰は可能! 傾向・理由・復帰に有効なステップを解説」
方法①無理のない程度に行動範囲を広げる
1つ目は「無理のない程度に行動範囲を広げる」ことです。
ニートから就職を目指すときは、自分のペースで構わないので、無理のない程度に行動範囲を広げましょう。
例を挙げるとするなら、ニート期間に疎遠になっていた友人に連絡を取ってみたり、会う約束をしてみたり、実際に会って出掛けたりするなどです。
また、もしニート期間中に自分の時間を作ることができず、趣味を楽しめなかったのなら、1日1時間でもいいので、趣味に時間を使ってみてください。
自分の時間を自分のペースで作れるようになれば、行動範囲が広がります。さらにそこから、徐々に自分らしく生きることに楽しみを見いだし、就職活動に対する意欲が高まります。
ほんのわずかでも「そろそろ外で働いてみようかな」という気持ちが湧いたときは、次のステップへと進みましょう。
方法②就職先の選択肢を広げる
2つ目は「就職先の選択肢を広げる」ことです。
ニートから就職を目指すときは、就職先の選択肢を絞りすぎず、広い視野を持って広げることが大切です。
給与や賞与など好条件の企業だけをピックアップしたり、通いやすさや勤務時間などにこだわりすぎたりすると、なかなか就職先が見つからないために、就職活動に対する意欲を下げる恐れがあります。
就職活動を始めるときは、自分のなかで譲れない条件や希望を3〜4つほどに絞り、優先順位の高いものに当てはまる求人から探すのがオススメです。
優先順位を付けておくと、万が一ある企業が不採用だったとしても、「実はまだ働いてみたい企業があったんだよな」と、応募先がまだまだあることをポジティブに捉えられ、前向きな気持ちで就職活動に取り組めます。
方法③ニートのうちに資格取得やスキルアップを目指す
3つ目は「ニートのうちに資格取得やスキルアップを目指す」ことです。
ニート期間中は、自身の体調不良や家族の状況などによって、自分のための時間を作ることが難しい場合があります。
自分のための時間を取れるようになったときは、資格取得やスキルアップなど、将来の自分に活かせる「武器」を用意しましょう。
資格取得やスキルアップは、一見すると難しそうに感じる人もいらっしゃいます。
最初から国家資格のように難しいものを目指すと、勉強の難しさに自信をなくすかもしれません。
そうではなく、好きなものをより高められるような資格を目指したり、スキルアップとなるような技術を磨いたりすると、意外とすんなり進むこともあります。
まずは、比較的取得しやすい資格から目指すと、自信にもつながるためおすすめです。
無料で簡単に取れる資格は、たくさんあります。例として、下記を紹介いたします。
1つ目は、一般社団法人日本フライドポテト協会による「フライドポテト・アンバサダー検定」です。ブロンズ・シルバー・ゴールドの順で受験でき、いずれも合格すれば有料で名刺を作成できるほか、親善大使として活動することができます。
2つ目は、日本唐揚協会による「唐揚検定」です。唐揚における基礎知識が学べるので、家族や知人との食事がより楽しめる資格になっています。
いずれも、大変失礼ながら、「就職」などのためには直接的な利用ができない資格かもしれません。しかし、「ちょっと面白い資格」として楽しみながら知識が身につきますし、インターネットを通じて取得できます。
「仕事で役立つ資格」の勉強の練習をしたい方、「いろんな資格をどんどん取得したい!」といった方にとっては、このようなものから始めることでモチベーションを保ちながら取り組めるでしょう。
また、英検、漢検、数学検定などに低い級からチャレンジしていくという方法もあります。
ニートから次の一歩に進むために利用できる支援機関7選
ニートから次の一歩へ進むときには、あなた一人でがんばることも大事かもしれません。ですが、あなた一人でがんばらなくてはいけないということではありません。
自立とは、「一人でがんばること」という意味だけではなく、「頼れる人をたくさん増やすこと」でもあるのです。
私たちの住む日本では、ニートの社会復帰に対する様々な支援・サービスが受けられます。
これからの自分にとってどんな活動が望ましいのかを相談できるほか、適切なアドバイスを受けながら適した職種を見つけられるので、社会復帰に対して不安や悩みを抱える方は、この章を参考にしながら利用してみましょう。
支援機関①ハローワーク(公共職業安定所)
1つ目は「ハローワーク(公共職業安定所)」です。(参考:ハローワーク「ハローワークインターネットサービス」)
ハローワークは、正式名称を職業安定所という、日本の支援機関の一つです。具体的な支援としては、求人紹介や失業保険にまつわる各種手続きのほか、仕事にまつわる相談などに対応しています。
ハローワークでは、求人紹介だけではなく、相談や職業訓練校の紹介なども行っています。
多くの人を就職まで導いたノウハウがある場所ですので、まずはお住まいの地域のハローワークに相談をしてみることがオススメです。
地方都市での就職を検討する方や中小企業に就職したい方は、積極的に利用しましょう。
ただし、現実として、「具体的な求人探し」では、ハローワーク「のみ」を利用することはオススメしません。なぜなら、ハローワークに求人を出していないところも多いからです。
こちらで解説する就職エージェントなどを併用することをオススメします。
支援機関②地域若者サポートステーション
2つ目は地域若者サポートステーションです。(参考:地域若者サポートステーション「サポステ[地域若者サポートステーション]」)
地域若者サポートステーションは、働くことに不安を抱える15〜49歳までの方を対象とした就職支援機関です。全国に設置されていて、就職にまつわる相談のほか、職場体験などを受けられます。
専門家が悩みや就職に対する希望を細かくヒアリングしながら就職までを支援する体制が整備されているので、社会復帰に対して不安のあるニートにとっては有効なサービスです。
支援機関③ジョブカフェ
3つ目は「ジョブカフェ」です。(参考:厚生労働省「ジョブカフェにおける支援」)
ジョブカフェは、都道府県が主体となり、若者の就職を支援する支援機関です。就職までの不安に対するカウンセリングのほか、職場体験、セミナーなどといった就労支援を無料で受けられます。
2023年現在で46都道府県に設置されていて、ハローワークと併設しているケースも多いようです。ニートからの社会復帰を目指す方は、ジョブカフェの利用も視野に入れると良いでしょう。
支援機関④民間の就職エージェント
4つ目は民間の就職エージェントです。
就職エージェントは、民間の就職支援サービスの一つで、専任のアドバイザーが就き、仕事探しから就職までをトータルサポートします。
中には面接対策や書類添削といった細かなサービスを受けられるものもあるので、ニート期間が長くなった方でも手厚いサポートを受けながら社会復帰を目指せます。
支援機関⑤ニート支援を行っているNPO法人などの団体
5つ目はニート支援を行っているNPO法人などの団体です。
国内にはいくつも関連NPO法人があるため、ここでは、一例として認定NPO法人ニュースタート事務局を紹介します。
認定NPO法人ニュースタート事務局は、ニートや引きこもりの方の再出発を支援する専門団体です。
寮の開設や、仕事体験の場としてデイサービスセンターや喫茶店の開設のほか、就労とその継続にも支援範囲を拡げ、「働き・仲間・役立ち」の考え方で若者たちの就労を支える活動を行っています。
支援機関⑥職業訓練校
6つ目は職業訓練校です。(参考:厚生労働省東京労働局「ハロートレーニング(職業訓練)について」)
職業訓練校は、仕事を探す方にとって必要なスキルや知識が学べる教育機関です。ハローワークや市区町村の自治体が主催していることも多く、様々なコースが利用できます。
例えば、ビジネス関連であれば秘書技能や会計・簿記が、医療・福祉関連であれば看護助手や介護職、医療事務などが挙げられます。また、建築・土木関連であれば、大工、設計、土木工事技術のほか、建築模型制作について学ぶこともできます。
ただし、コースによっては卒業までに3か月ほどかかるものもありますので、早めの社会復帰を臨む方は注意しましょう。
支援機関⑦就労移行支援事業所
7つ目は就労移行支援事業所です。
就労移行支援とは、「一般企業などへの就職を目指す、病気や障害のある方」向けに、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(通称:障害者総合支援法)」に基づいて行われる福祉サービスのことです。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
就労移行支援事業所は、(ニートのうち)病気や障害のある方が一般企業などへの就職を目指す際に、障害者総合支援法に基づいて受けられる福祉サービスです。
事業所では体調管理の方法や職場でのコミュニケーションにまつわる基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学べます。
ほかにも、実際の就職活動でのアドバイスや就職後の職場定着支援を含む総合的な就労支援なども受けられます。
なお、うつや発達障害による離職期間にできるだけ高度なビジネススキルを手に入れたい方は、キズキビジネスカレッジ(KBC)もオススメです。
キズキビジネスカレッジ(KBC)では、就労移行支援という障害福祉サービスの枠組みを利用し、就職はもちろん社会復帰を目指す方へ様々なサービスを提供しています。
就職活動での筆記試験や、面接での受け答え、書類作成の言葉遣いなど自分の基礎知識や学力に不足を感じたときは、この機会に就労移行支援事業所で学んでみるのも有効な手段の一つでしょう。
詳細については下記リンクをチェックしてみてください。
就労移行支援事業所の詳細については、下記コラムで解説しています。ぜひご覧ください。
参考記事:キズキビジネスカレッジ(KBC)「就労移行支援とは? 費用・条件・支援内容などをわかりやすく解説」
ニートからの「学び直し」も有効な手段
ニート状態にあると、「改めて学び直したいな」と考えることもあるのではないでしょうか。
自分の学力に不足を感じ、社会復帰に不安があるときは、この機会に学び直してみてはいかがでしょうか。
弊社が運営するキズキ共育塾では、不登校や引きこもり、中退の経験がある方や再受験を検討する方へ、小学生の内容から難関大学受験の内容まで、個別指導で教える教師が在籍しています。
マンツーマンによる勉強スタイルなので、人目を気にせず自分のペースで学び直しできます。
卒業生は2023年10月時点で4000人以上輩出しており、学び直しを経て実際に社会復帰する人もいらっしゃいます。
社会復帰への自信が持てず、何をすべきか見当もつかないといった方は、一度相談してみてくださいね。
まとめ〜ニートからの次の一歩、安心して進んでいきましょう〜
今回はニートの定義やフリーター・ひきこもりなどとの違い、ニートになる理由などを細かく説明しました。
ニートになる要因は本人の問題に限りません。環境によっては誰しもなり得るものであるため、ニートであることを責める必要は全くないのです。
ニートになった理由が自分の体調であれば、回復に向かい始めたタイミングで、周囲の状況によってニートにならざるを得なかったのなら、状況が落ち着いたタイミングで、そのとき初めて「これからどうしようか」をゆっくり考えれば問題はないのです。
ニートになったことに引け目を感じる必要はなく、「そうする必要があった」と胸を張って生きて良いのです。
自分の体調が回復したタイミング、または周囲の状況が落ち着いたタイミングで、どこか「ちょっと学んでみようかな、働いてみようかな」と意欲が湧いたときは、ぜひ本記事を参考にしながら、ゆっくりと前進してみてください。
あなたの人生がより素晴らしいものになることを、心より願っています。
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