元ひきこもり芸人 髭男爵 山田ルイ53世氏インタビュー 第3回(1/2)

実は元ひきこもりである髭男爵 山田ルイ53世氏に、キズキ共育塾がインタビューを行いました。キズキ共育塾は、不登校・ひきこもり・中退などの挫折を経験した方々のための学習塾です。全4回でお届けします。(山田氏のご経験については、ご著書「ヒキコモリ漂流記」に詳しく書かれています。)
第3回目となる今回は、「世界をズラし、お笑いで勝負」です。

インタビュアー:株式会社キズキ代表取締役社長 安田祐輔(写真左)

芸人生活のいいところ、悪いところ

芸人をやっていると、辛い生活でも夢のエンジンがかかる

安田:大学は中退されたわけですが、芸人はずっと続けられているということには、何か理由があるんでしょうか。

山田氏:お笑いは――芸人全員が思ってるかはわからないですけど――、すごく優秀なセーフティネットだと思うんですよ。夢のエンジンがかかるというか、その辛い暮らしをしていることで気持ちが高揚することがあるんです。「下積んでるぜ、オレ〜」、「この暮らし、面白いやん」みたいな。苦労とか、地獄を見る、泥水をすするということが、プラスに転じる。

もちろん、実際はお金がなくてお腹がペコペコだから、ずっと高揚しているわけではないんです。でも、1日の中で1回、1か月に数回、「いやでも、こんだけ下積んでて、こんな生活してるオレ、芸人としてええやん」みたいな。

安田:僕も18歳のときから、大学で一発逆転しようと思い、2年間、1日14時間受験勉強していました。そのときは高揚感がありましたね。「オレの努力はすごいな」と。

山田氏:人間って、アドレナリンなのか、そういう気持ちが出るようになってるんですよね。

「若手」の年齢が上がってきているため、辞めどきがない(笑)

山田氏:逆に、芸人の悪い面として、売れなくても辞められない、というのはありますね。

昔だったら、ダウンタウンさん、とんねるずさん、ウッチャンナンチャンさんは、20代前半で冠番組を持っていた。ガーッと売れて、その後ずっと売れている。そして同年代には売れずに辞めていった人も多く、死屍累々なんですけど、それがお笑い芸人の本道だった。

ですが、最近は「若手」の年齢層がだんだん上がってきています。今年のように、40歳越えのハリウッドザコシショウさんと永野さんがブレイクしたとなると、みんな「まだいけるぞ!」と辞めどきがなくなってしまう(笑)。

安田:そういう方々は、売れていない芸人さんにとって、希望になるわけですね。

山田氏:僕らの世代では、30歳を越えて売れていなかったらアウトだったんですよ。僕たち髭男爵は29歳くらいからメシが食えるようになってきたんで、ギリギリセーフ!みたいに思いながら。今は30代前半の人も突破してきますからね。

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元ひきこもり芸人 髭男爵 山田ルイ53世氏インタビュー

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