長期入院後に不登校になった高校生のあなたに行ってほしい4つのこと

学校が苦手な人のための個別指導塾・キズキ共育塾スタッフの大川里美です。
普段は病院で相談員として働いており、妊婦、子ども、高齢者などの方々から、生活面、経済面、家族のことなど、様々な相談を受けています。
今回は、長期入院後に不登校になった高校生のあなたに知ってほしいことを書きます。
少しでもあなたが「今日も一日よかった」と感じてもらえたら嬉しいです。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス
苦しかった経験も宝物になります
長期入院を理由とした不登校や行きしぶり、または学校生活になじめないという声は昔からありましたが、注目はされていませんでした。
このコラムで執筆者がまとめた4つのポイントは、とても説得力があり、試してみる価値があるものです。
自身の病気のことを詳しく知るということは、とても勇気がいることです。
ただし、苦しかった分、学校の苦しさとの折り合いをつけたときに得た発見も大きく、今後のあなたの人生を守る宝物になるはずです。
目次
「退院した後の方がつらい」という声…
突然ですが、私は毎年「24時間テレビ」を見ています。
大学生のときにはボランティアで参加したこともあります。
あなたは見たことがありますか?
24時間テレビにはいつも感動をもらうのですが、それだけではありません。
出演者や特別ドラマの登場人物にはよく闘病中の子どもが出ており、病院で関わる子どもたちのことを思い出すのです。
私は病院で長期入院中や退院後の子どもたちや高校生とも関わっています。
ここ数十年の医療の発展により、小児がんや難病等に罹患しても、長期入院して治療すれば、(完治しない場合でも)退院して生活できるようになってきました。
病気が治ること、退院できることはとても嬉しいことです。
しかし、退院した子どもたちからは、次のような発言もよく聞くのです。
- 病気がよくなって退院した後の生活のほうがつらい。入院中、病院では守られていたけど、学校では病気のことをわかってくれない人もいる
- 入院中は髪の毛が抜けても帽子なしで過ごせたけど、外ではジロジロ見られるから帽子をかぶるようにしている
- まだ外来治療が続いていて、気持ち悪いし、学校も休むし、そうすると授業に遅れて、余計に学校に行きたくなくなる
大病や長期入院を経験すると、退院後も病気と向き合う生活が続きます。
あなたのように、学校に行けなくなって不登校になる子もいます。
この記事を読んでいるあなたは、もしかしたら幼少期から闘病しているかもしれません。
退院直後で通院中かもしれません。
学校に行けなくなった理由、病気の状況、環境などは様々だと思いますが、私から、「長期入院後に不登校になったあなた」に行ってほしい4つのことをお伝えしたいと思います。
あなたの闘病生活、または退院後の生活が、少しでもいい方向になれば幸いです。
①自身の病気のこと、身体のことを知ってみませんか

不登校であってもなくても、病気と長期で向き合うときにまず大切なことは、自身の病気のこと、身体のことを知ることです。
病気のことがわからず、自分の身体の変化に戸惑い、もやもやした気持ちが続いていませんか?
周りに何か言われたときに、応えられない自分がいませんか?
自分のことがわからないと、周りの言葉や目が気になることがあります。
幼少期や小学生・中学生のときから入院していた場合、病名や詳しいことは聞いていないかもしれません。
その場合は、この機会に親御さんや主治医に次のようなことを聞いてみてください。
- 病名は
- 将来どうなるのか
- 何でこの薬を飲み続けないといけないのか
- この薬の副作用は何か。軽減できる方法はあるのか
- 通院はいつまでで、どれぐらいの頻度で必要なのか
- 日常生活で気をつけないといけないことは
- 行動に制限はあるのか
親御さんは、わかる範囲で答えてくれると思います。親御さんのわからない部分は、主治医に聞いてみてください。
なぜ病気や身体のことを知ることが大切かというと、それは「あなた自身のこと」だからです。
退院後にしっかり生きていくためには、「あなた自身のこと」を知った上で、どのように生活していくかを考えるのが大切です。
病気のこと、自分のことを、知ってみてください。
②学校のことを、誰かに話してみませんか
学校のことを、あなたの病気のことを知っている信頼できる大人に話してみるのも大切です。
学校のこと――行きたくないなと思うこと、勉強のこと、友達のこと、どうしたいかなど、何でも大丈夫です。
親御さん、担任、主治医、看護師、病院の相談員、習い事の先生など、話しやすい相手に話してみてください。
特に高校は、卒業するためには単位が必要(=出席日数やテストの点数がある程度必要)です。相談すると、次のようなことをあなたと一緒に考えてくれると思います。
- 将来どうなりたいのか
- そのために高校は卒業した方がいいのか、しなくてもよいのか
- 卒業が必要だったら、そのためにどうしたらよいのか
「話しても、何も解決しないよう」と思うかもしれません。
でも、話すことであなた自身がどうしたいかが見えてくるかもしれません。
話すことで気持ちが楽になるかもしれません。
学校のこと、少し話してみませんか。
③日中どこでどのように過ごすかを考えてみませんか

朝起きて、日中活動して、夜は寝る。
これは単純なことではありますが、人間が生きていく上でとても大切なことです(一般的に、高校生年齢の方には昼夜逆転生活はお勧めできません)。
通院が続いていたり、不登校状態だったりすると、生活は不規則になりがちです。また逆に、不規則な生活を送っていることから不登校になることもあります。
規則正しい生活を送るためには、「定期的に外出する場所」や「定期的なスケジュール」があると役立ちます。
不登校状態(高校に行きたくない気分)なのであれば、「体に無理のない範囲」という前提で、次のような候補があります。
- 図書館に行く
- フリースクールや塾に行く
- 居場所を提供するボランティア団体に行く
- 習い事を始める
- 趣味の団体に入る
- 親御さんと一緒に家事をしてみる
- 家が自営業なら仕事を手伝う
私たちキズキ共育塾も、学校に行きたくない方々をサポートしています。PCを利用して通信で授業を受けることも可能です。
キズキ共育塾には、不登校や・ひきこもり・長期入院などを経験した講師が大勢います。
勉強以外にも一人ひとりの悩みや気持ちに寄り添った支援を行っていますので、選択肢の一つとしてご検討ください。
日中どこで過ごすか、考えてみませんか。
④闘病している仲間に会ってみませんか

あなたの周りには闘病している高校生はいないかもしれません。
しかし厚生労働省の発表によると、平成25年度の1年間に長期入院した高校生は、全国で1,124人います。
小学生から高校生までの合計では、約6,300人が入院しています。
今、あなたと同じように苦しんでいる学生がいます。
学生生活を終えた「少し先輩」にも、病気を抱えながら生活している人がいます。
病気に関する悩みを抱えながら、家庭の事情、環境などの悩みも抱えながら少しずつ前に進んでいる人たちはたくさんいるということです。
家から一歩外に出てみて、学校以外の人――特にあなたと同じように病気や入院を経験した人と会ってみると、「生き方」や「悩みの解決方法」を知る機会になります。
闘病している仲間を見つけたい場合、病院の主治医に相談してみてください。
あなたと同じように闘病している仲間のグループを紹介してくれると思います。
闘病仲間に会ってみませんか。
あなたがいてくれるだけで充分です

病気になって、長期入院して退院する。
この期間は、あなたにとって、とても長くて苦しい時期だったと思います。
あなたがたくさんの困難を乗り越えたからこそ、今があります。
退院した後も病気と向き合っての生活は大変かもしれません。
学校に行きたくないかもしれません。
高校は、行けなくても、行かなくても大丈夫です。
勉強することも、友達をつくったりすることも、いつからでもやり直すことができます。
私にとって、あなたが今そこにいてくれることが、何よりも大切で嬉しいことです。
あなたが「今日も一日よかったな」と少しで思えたら、それで充分です。
焦らずに、無理せずに、一歩ずつ前に進んで行きましょう。
そのためには、次のようなことをオススメします。
- 自分の病気を身体のことを知ってみる
- 学校のことを誰かに話してみる
- 日中どこでどのように過ごすのか考えてみる
- 闘病仲間に会ってみる
その上で、もしあなたが「高校を卒業したいな」「学校以外でも勉強したいな」「話す相手がほしいな」と思ったなら、お気軽にキズキ共育塾にご相談ください。
キズキ共育塾には、不登校やひきこもりや病気(長期入院)を経験した講師・スタッフも大勢います。きっとあなたの力になれると思います。
※文中の写真は、全てイメージです。
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