不登校からの高校進学について、タイプ別・高校と受験方式の選び方

不登校からの高校進学について、タイプ別・高校と受験方式の選び方

こんにちは、キズキ共育塾の内田青子です。

今日は、中学不登校からの高校進学についてのお話です

中学で不登校のあなたは、高校進学に様々な不安を抱えていることでしょう。

  • 「不登校で欠席ばかり。内申書が悪くて高校に行けないんじゃないか」
  • 「高校進学したいけれど、同じように不登校になるかもしれない」
  • 「全日制に行きたいけど、不登校でも行けるのかな」

ですが安心してください。

中学不登校から進学できる高校はたくさんあります。

今日は、不登校から進学できる高校・入試形式、「不登校のタイプ別 高校の選び方」、中学不登校から高校に進学した事例などをご紹介します

苦しい思いを抱えるあなたの気持ちが少しでも軽くなれば幸いです。

なおこの記事は、主には「中学で不登校のご本人」向けに書いていますが、親御さんが読んでも参考になると思います。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

近年、高校の形式は大きく変わりました。
小中学校では「学校に子どもを合わせる」のがまだ主流ですが、高校からは「子どもに合う学校を見つける」のが当たり前になっています。
保護者さまの小中学校時代や高校生時代と比較すると、まるで「別の国」かと思うほど、高校は変化しています。
時代の流れによって変化することは、よいことです。ぜひ正しい知識を得て、お子さんに合う高校を探してみてください。

目次

不登校からの高校受験に影響があるのは、「内申書」と「学力」

不登校からの高校受験に影響があるのは、「内申書」と「学力」

一般的に、高校受験で大切なのは、「内申書」と「学力」です。

以下、不登校からの高校受験に関連して、両者について説明します。

①内申書

内申書は調査書とも呼ばれることもありますが、このコラムでは内申書で統一します。

内申書とは、主には生徒の「出席日数」と「定期テストなどの成績(内申点)」について、中学校が記述した文書です。

受験時には、高校に提出されたり、入試の合否判断に利用されたりすることがよくあります

例えば2020年の東京都立の全日制高校では、「学力試験」と「内申点」が7:3で審査されます(体育・芸術に関する科目は6:4)。(参考:東京都教育委委員会※PDF「(2) 学力検査に基づく入試(第一次募集・分割前期募集)」)

また、特に公立高校では、一般的に「欠席日数の多い生徒は審議の対象とする」としています。

「審議の対象とする」とは、「合格の確率が下がる」ということです

しかし、内申書をあまり重視しない高校、内申書を見ない受験方式、中学3年生のときの内申書しか見ない高校もたくさんあります。

欠席日数や内申点が気になる人は、学校の先生などの詳しい人に相談して、次のようなことを確認しましょう。

  • 自分の内申点の状況
  • 今の内申点で進学できそうな高校・受験方式
  • 内申書をあまり見ない高校・受験方式
  • これから内申点を上げる方法

②学力

高校受験では、学力も大切です。

不登校で授業を受けられず勉強が進んでいない人は、注意が必要でしょう

ただし学力も、学習塾や家庭教師、スタディサプリのような動画授業、学校の補習授業など、「今の自分の学力」を確認したり、これから受験に向けて身につけたりする方法はたくさんあります。

また、後で紹介するように、学力をほぼ見ない高校や、学力試験のない受験方式もあります

高校には、全日制・通信制・定時制の3種類があります

高校は、大きく分けて全日制・通信制・定時制の3種類があります。

この章では、各高校の特徴を、カンタンにご紹介します。

①全日制高校

①全日制高校

全日制高校とは、一般に「高校」と言われてイメージする高校です

中学校と同じく、朝から夕方まで授業があり週5〜6日通い、集団で授業を受けます。

特に「不登校からの全日制高校進学」については、コラム「大丈夫です。中学不登校からの全日制高校進学〜6つのポイントを検討しましょう〜」に詳細を書いていますので、そちらをご覧ください。

②通信制高校

通信制高校とは、基本的には学校に通学せず、学校から送られてくる紙・映像・ネットなどの教材を利用して、自分で勉強を進める高校のことです

年に何日か、「スクーリング」と呼ばれる、学校に行って受ける授業があります。

学校によって、スクーリングの日数や、行事・部活などの有無・頻度は大きく異なります。

通信制高校は、一般的には、全日制高校と比べて受験の際に内申点があまり重視されず、学力試験も簡単なことが多いです

通信制高校の詳細は、コラム「通信制高校とは?特徴・メリット・選び方・オススメの高校などをご紹介」をご覧ください。

③定時制高校

③定時制高校

定時制高校とは、全日制高校のように毎日通学する高校ですが、全日制高校よりも遅い時間帯に授業を行う高校のことです

昔は昼以降にしか授業を受けられない高校が多かったのですが、最近では、朝から授業を受けることができる高校も増えています。

全日制高校と同じく、集団で授業を受け、学校行事や部活動のある定時制高校もあります。

昼に働いて夜に授業を受ける、「社会人の高校生」もいます。

定時制高校は、一般的には、全日制高校と比べて受験の際に内申点があまり重視されず、学力試験も簡単なことが多いです

定時制高校の詳細は、コラム「定時制高校ってどんなところ?定時制出身の私が紹介する、定時制のリアル」をご覧ください。

参考:高校以外の選択肢

中学卒業後の進路は、高校だけとは限りません

あなたは「高校に進学したい」と思っているのでしょうから、このコラムではあえて詳細は書きません。

ですが、「高校以外にも、進路はある」「高校以外にも、将来に通じる道がある」と知っておくと、安心したり、何かの役に立ったりするかもしれませんので、以下に例を少し紹介します。

「中卒で進学できるタイプの専門学校(高等課程を持つ専門学校、専修学校高等課程)」では、主には「職業人となるための教育」を受けることができます。

「高等専門学校(いわゆる高専)」では、「実践的・創造的技術者となるための教育」を受けることができます。

専修学校高等課程と高専の詳細は、コラム「高校中退から専門学校への進学方法を紹介!〜高等専修学校・高専も解説〜」をご覧ください。

また、「高校卒業認定試験(高卒認定、高認)」に合格すると、高校を卒業しなくても大学などの受験資格を得ることができます。

高卒認定についての詳細は、コラム「【すぐ読める】高卒認定試験とは?意外と簡単!取得のメリット・合格のポイントをご紹介」をご覧ください。

ただし、「高校に進学せず、最初から高卒認定を目指す」というルートは、所属がないことで孤独感が強くなることなどから、一般的にはあまりオススメしません。

まずは自分に合った高校を探し、高卒認定は高校進学後の更なる選択肢として覚えておきましょう。

他に、海外留学や就職などは、向いている人もいるとは思いますが、一般的には「高校進学」よりも難しい進路です。

不登校のタイプ別 高校選びのポイント

不登校と一口にいっても、様々な不登校があります。

ここからは、不登校のタイプ別に、高校選びのポイントをご紹介していきます

全てに共通するアドバイスは、以下のとおりです。

  • 自分の内申点や学力について、中学校の先生に確認した上で、今後の対策や高校探しを含めた進路相談をしましょう
  • 中学の先生と話すときには、必要に応じて親御さんにも加わってもらったり、親御さんだけ話してもらったりしましょう
  • 中学校の先生以外にも、相談できるところを探しましょう
  • 「全日制高校から通信制・定時制高校への転校」はよくある話ですが、「通信制・定時制高校から全日制高校への転校」は現実的に難しいことを覚えておきましょう

中学校の先生以外の相談先とは、公的な窓口や、不登校からの高校進学に詳しい塾・支援団体などのことです(私たちキズキ共育塾もその一つです)。

インターネットで「不登校 高校進学 相談 お住まいの市区町村名」などと検索すると、お近くの相談先が見つかると思います。

中学不登校からの高校進学をサポートする人はたくさんいますので、あなただけ、家族だけでお悩みを抱えず、積極的にいろんな人を頼ってください

タイプ①現在中学1・2年生で不登校

タイプ①現在中学1・2年生で不登校

受験と内申書の関係は、大きくは次の3つに別れます。

  • 1年生から3年生までの内申書が審査される
  • 3年生のときの内申書だけが審査される
  • 内申書を(あまり)重視しない

現在中学1・2年生の人は、次のようにお考えください。

  • 内申書を重視しない高校・受験方式を探す
  • 3年生での出席日数(内申点)を上げながら、3年生のときの内申書だけを審査する高校を探す
  • 3年生での出席日数(内申点)を上げながら、1・2年生時の不登校について内申書で「説明」できそうなら、内申書を審査する高校も視野に入れる

ただし、3年生の内申点を上げたい場合でも、「3年生になったら、無理にでも学校に行こう」という意味ではありません。

無理をして心身の調子を崩さないようにしましょう

また、1〜3年生の内申書を見る高校でも、「絶対に不合格になる」というわけではありません。

詳細は、次の「補足」をご覧ください。

補足:中学1・2年時の不登校に関する内申書の特記事項

1〜3年生の内申書を審査する高校・入試方式でも、状況によっては合格することももちろんあります。

高校で出席に改善が見られそうな場合、中学校の先生がそのことを内申書に「特記事項」として記入する場合があるのです

例えば、「1・2年生のときは休みがちだったが、3年生のときは問題なく出席できた」などです。

高校が、その特記事項について「理解」した場合、内申書の審査は通過となります

ただし、「特記事項」にそうしたことを書くか、書いたとしてどう審査されるか、学力審査がどうかなどは、中学・高校の判断とあなたの状況によります。

また、都立高校などでは、「自己申告書」を提出して欠席した事情を説明することができます(「自己申告書」の有無については、都道府県によって異なります)。

あなたの場合はどうなりそうか、中学校の先生などに確認してみましょう

タイプ②現在中学3年生で不登校

タイプ②現在中学3年生で不登校

中学3年生で不登校の方は、次のようにお考えください。

  • 内申書を重視しない高校・受験方式を探す
  • これから内申点を上げられそうなら、内申書を審査する高校も視野に入れる

受験時に内申書を重視しない高校や受験方式は、探してみると結構あります。

ただ、「各都道府県や高校の基準」は様々ですし、あなたの状況にもよりますので、誤解を招かないよう「この高校ならOK」という具体名はあえて出しません。

その上で、内申点を重視しないと公表している高校・受験方式や、事実上重視していないと言っていい高校もあります。

まず例えば、「オープン入試」という入試を行う一部の私立高校では、内申書を全く考慮せず、学力試験(と、学校によっては面接など)だけで審査が行われます

「オープン入試」という表現を使っていないこともありますので、学校や塾の先生に聞いたり高校のウェブサイトを見たりして、「内申点を審査するかどうか」を確認しましょう。

「全く考慮しない」とまでは言わなくても、「それほど重視しない」私立高校もあります(これも、中学校や塾などに確認するとわかると思います)。

次に、一般的には、通信制高校と定時制高校は内申書を重視しません

例えば、定時制の都立高校である「チャレンジスクール」は、内申書を全く考慮せず、学力試験もなく、「面接、作文、志願申告書」で審査が行われます。(参考:東京都教育委員会「学力検査を実施しない高校があるそうですが、どのようにして入試が行われるのですか。」)

チャレンジスクールとは、小・中学校時代に不登校経験を持つ生徒や長期欠席等が原因で高校を中途退学した者等を主に受け入れる高校です。(参考:東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」)

授業の時間帯は午前・午後・夜間の3部に分かれていて、自分の生活スタイルに合わせて選べます。

以上のように、内申書を重視しない・審査しない高校や受験方式はたくさんあります。

詳しい人にも相談しつつ、自分の状況や性格に合いそうな高校を探してみましょう

また、次項補足のように、不登校のままでも内申点を上げられるようでしたら、内申点を審査する高校も視野に入れることができます。

補足:不登校から出席日数や内申点を上げる方法

不登校だと内申点は低くなるのですが、不登校や欠席が多い状態で内申点を上げる方法もいくつかありますので、ご紹介します

ただ、中学校や先生の方針にもよりますので、「この方法で必ず上がる」というわけではありません。

ご紹介する方法は、「出席日数が少なくても、内申点を上げる方法はある」という安心材料にしていただいた上で、あなたのための具体的な方法については、在籍している中学校の先生に確認してみましょう

また、「内申点のために」と無理をすることもオススメしませんし、あなたの生活は「内申点を上げるため」にあるわけではありません。

内申点を重視しない高校・入試方式もありますので、無理をしないようにしましょう。


■「教室」ではなく、保健室やフリースクールに登校する

出席日数やテストの成績は、内申点を上げることにつながります

そして、教室や学校に登校できなくても、保健室やフリースクールなどへの登校を、「学校の出席日数」とみなす学校もあります。

また、定期テストを保健室で受けられる場合もあります。

あなたの学校で可能そうか確認してみましょう。


■登校したときは、真面目に授業を受け、提出物はきちんと出す

「授業を真面目に受ける」や「提出物をしっかり出す」ことも、内申点を上げることに役立ちます

「制服をきちんと着る」「休み時間などの生活態度もよくしておく」なども同様です。

提出物は、学校に出席できない場合でも、友達や親御さんを通じて提出することもできます。


■賞を取る、部活動に入る

作文や絵のコンクールでの受賞や、部活動での様子も、内申書に書かれます

好きなことや得意なことがあれば、それを活かせる賞・部活を探してみましょう。


■その他

不登校で内申点を上げる方法について、より詳細を知りたい方は、コラム「不登校からの高校受験〜調査書・内申点、欠席日数、高校の選び方などを解説〜」をご覧ください。

タイプ③小中学校で不登校ずっと不登校(または不登校と登校を繰り返している)

タイプ③小中学校で不登校ずっと不登校(または不登校と登校を繰り返している)

小中学校でずっと不登校だったり、不登校と登校を繰り返していたりしても、高校に進学できないということはありません

「これまで」と「これから」は違います。

次のようにお考えください。

  • 現在の学力や内申書で入学できそうな高校・受験方式を探す
  • 勉強が不安なら、塾などを利用する
  • 体力が少なかったり生活が乱れていたりするなら、医者などを頼る
  • 勉強や生活が上向いてきたら、候補を増やす

まずは、「現在のあなた」の学力や内申書で進学できそうな高校・受験方式を探しましょう。

勉強から離れている場合や勉強が苦手な場合には、基礎学力の定着・高校受験・進学後のために、学び直せる塾などを探すことをオススメします。

ずっと家にいて体力が少ないなどの場合は、特に入学直後は「毎日の通学」や「毎日の授業」、そして「学校生活そのもの」に大きな疲れを覚える可能性があります。

受験や入学の前から、少しずつ体力をつけたり昼夜逆転しているなら改めたりするようにしましょう。

学力が向上したり、生活が整ったりしていくうちに、高校の選択肢が増えることもあります。

その上で、特に全日制にこだわりがないようであれば、定時制・通信制も積極的に視野に入れることをオススメします

先ほども述べましたが、通信制高校であれば、毎日通学する必要はありません

自分のペースで勉強を行いつつ、学校によっては、慣れてきたらスクーリング日を徐々に増やしていくこともできます。

また、定時制高校は、授業は昼から受けることができます

ともに、不登校を繰り返してきた人にも続けやすい・通いやすい高校だと思います。

ただ、学校にもよりますが、通信制・定時制高校は卒業後の進路に向けたサポートが少ないところもあります。

そんなときは、大学受験や就活に向けた勉強・対応について、塾や就職エージェントなども頼るようにしましょう

タイプ④不登校で、勉強は得意・好き

タイプ④不登校で、勉強は得意・好き

不登校で勉強が得意・好きな人は、次のようにお考えください。

  • 自分の内申点で進学できそうな、卒業生の進学先に大学が多い高校を探す
  • これから内申点を増やせそうなら、候補を増やす

先ほども紹介したとおり、私立高校の一部は内申点をしないオープン入試を行っているところもありますので、その中から勉強に力を入れている高校を探しましょう

これから内申点を増やせそうなら、候補は様々に広がっていくと思います。

ただ、特に「進学校」と呼ばれるところは全日制が多いですし、授業のスピードが早かったり生活指導が厳しかったりするところもあります。

毎日通学して朝から授業を受けることや集団生活などに不安があるようであれば、通信制高校や定時制高校で高卒資格を目指しつつ、受験勉強は塾・家庭教師で補う、という方法もあります。

タイプ⑤不登校で、勉強から離れている

タイプ⑤不登校で勉強から離れている

不登校の間ほとんど勉強できておらず、学力に不安がある場合は、次のようにお考えください。

  • 内申書を重視しない高校のうち、「今の学力で入れそうな高校」または「学力審査がない高校」を探す
  • これから内申点や学力を伸ばしていけるなら、候補を増やす

ただ、学力試験が簡単な高校や、学力審査がない高校でも、対策が全く必要ないわけではありません。

学力試験がある場合は、ある程度の点数を取ることが必要です。

また、学力試験がなく、「作文」と「面接」で審査される高校でも、練習や対策は必要になるでしょう。

勉強から離れている人の学び直しを支援する塾や家庭教師などを利用することで、勉強も、作文や面接の対策も、少しずつできるようになっていきます

学校の先生に補習をお願いすることもできるかもしれません。

そして学力が伸びていったり、登校を再開したりして内申点も伸ばせそうでしたら、選択肢はより広がっていくと思います。

「今勉強が苦手」でも、これからに向けて、少しずつ進んでいきましょう。

タイプ⑥学校生活を送ることに不安がある

タイプ⑥学校生活を送ることに不安がある

受験に合格できそうでも、学校生活に不安を覚える人もいるでしょう。

例えば、次のようなことです。

  • ひきこもり気味で、通学できるか不安
  • 朝起きられないから、学校のスケジュールに生活が合うか不安
  • 気持ちや体調が不安定で、毎日通えるか不安
  • 人の中に入るのが怖い

繰り返すとおり、「今」や「これまで」と「これから」は違うものですので、変に不安にならなくても大丈夫です

その上で、次のような方法を試してみてください。

  • 心身の調子や生活改善については、医者やカウンセラーを頼る
  • 学力については、塾・家庭教師を利用したり、学校に補習を頼んだりする
  • コミュニケーションについては、フリースクールや習い事教室などを利用する
  • 内申点・学力・雰囲気などから自分に合いそうな高校を探して、思い切って受験・進学する

「毎日の通学」や「朝からの授業」に不安があるようでしたら、通信制高校や定時制高校も、積極的に視野に入れてみましょう

その上で、やはりその高校が自分に合わなかった場合は、転校や、高卒認定試験を通じて、「次の一歩」に進むこともできます。

不登校かどうかに関係ない、高校選びのポイント

不登校から進学できる高校や、高校選びのポイントをご紹介してきました。

しかし、「自分が不登校だから」ということにばかり注目していると、それ以外のポイントを見逃すこともあります。

ここからは、不登校かどうかに関わらず、高校選びの注意点を3つご紹介します

もしかしたら、「なんだ、そんなことか」と思うかもしれませんが、実は結構重要なポイントですので、リラックスしてお読みください。

ポイント①校風や通学環境を確認しよう

ポイント①校風や通学環境を確認しよう

「不登校から進学できる高校」を探すことは大切ですが、「不登校から進学できる」という理由だけで高校を選ばないようにしましょう

校風、先生や生徒の雰囲気、通学環境なども考えた方が、高校生活を楽しく過ごせる可能性が上がります。

例えばですが、次のようなことも、高校選びの際には考えておきましょう。

  • 生徒や先生の雰囲気が自分に合いそうか
  • 教育方針・授業のスピード・生活指導などが自分に合いそうか
  • 大学・専門学校・就職など、高校卒業後の進路をある程度考えているなら、卒業生の進路がそれに近いか
  • 部活や学校行事の熱心さははどうか
  • 通学距離が長いか短いか(家から近いか遠いか)
  • 通学環境の雰囲気(賑やか、静か、明るい、暗いなど)がどうか
  • 高校帰りに塾にも通うつもりなら、高校・塾・家の3つの交通事情はどうか

「多いよ…」と思うかもしれませんが、一つひとつは結構カンタンなことです。

また、「絶対に全ての条件をクリアしなくてはいけない」というものでもありませんので、「これは譲れない」というポイントを押さえるようにしましょう

いずれも、高校が行う学校見学会などに参加すると、実際の様子が確認できたり、質問できたりします(次項で説明します)。

ポイント②実際に高校に足を運んでみよう

高校選びの際には、可能であれば、見学会や相談会に参加しましょう

実際に見学に行くと、ウェブサイトやパンフレットだけではわからない情報が得られます。

たとえば、学校の周辺環境や、実際の生徒・先生の雰囲気、通学環境、校舎や校庭の様子などは、見学に行くことでよくわかると思います

見学会に参加したくない場合は、親御さんに行ってもらったり、見学会ではない日に学校を外から眺めたり、という方法もあります。

現時点ですでに見学会・相談会が終わっているようでしたら、ウェブサイトやパンフレットをよく見て、また中学の先生・先輩・親の知人など、詳しそうな人がいるなら聞いてみましょう

ポイント③迷ったら、とりあえず進学してみよう

ポイント③迷ったら、「とりあえず進学してみる」

高校進学について、次のような不安を持っている方もいるでしょう。

  • 全日制に入って、みんなについていけるかな
  • 高校に入って、また不登校になるんじゃないかな

そんな方は、「ダメだったら、転校すればいい」という気持ちで、まずは進学してみることをオススメします

これは、「中学卒業後、何も所属がない」という状態よりも、「とりあえずでも、高校に所属している」方が安心感を持てるため、そして進学しないことには「高校が楽しい場所か、楽しくない場所か」はわからないためです。

一か月、半年、一年など、とりあえず進学・在籍してみて、やはり合っていなかったとしても、転校したり、高卒認定を取得したりして「次の一歩」に進めます。

高卒認定の場合は、休学して高校に籍を残しながらチャレンジすることもできます。

そして、高校が合わなかったときも、「やっぱり自分はダメだった…」と落ち込まないようにすることは覚えておいてください

大人だって、就職した会社が合わなくて転職することは珍しくありません。

就職に比べて選択の範囲が狭い高校が合わなくても、落ち込む必要はないのです。

ただ、「どうせなら楽しく高校生活を過ごしたい」と思う気持ちはあるでしょう。

そのためにも、ぜひ、学校の先生、親御さん、不登校からの高校受験に詳しい塾やサポート団体などに、積極的に相談してみて、より「あなたに合いそうな高校」を探してください

中学不登校から高校進学の事例

この章では、キズキ共育塾の生徒さんの事例から、中学不登校から高校に進学した人の話を紹介します。(個人の特定を避けるため、実際の話とは一部異なる部分があります)

①小中高一貫校での不登校から、都内の私立全日制高校(大学進学コース)に進学

広橋さくらさん(仮名)は、小中高一貫校に中学から入学して、人間関係と勉強ペースが合わず不登校になりました。

その後別の私立中学校に転校し、次第に、毎日ではないけれど通えるようになります。

広橋さんは、「最初の中学に馴染めなかった経緯、2つ目の中学でも最初は通えなかったこと、ギリギリの出席日数しかないこと、これからも毎日通学できそうではないこと」から、進学できる高校はないのではないかと不安になっていました。

ですが、そういう状態から進学できる高校がたくさんあると知って安心します。

そして、たくさんある「候補」の高校の中から、「国際的なことがしたい」「日本人だけじゃなくて、いろんな人と話したい」という希望を叶えられる高校を受験し、合格しました。

広橋さんの詳細は、体験談「小中高一貫校で、人間関係と勉強ペースが合わず不登校に。「勉強と雑談」の両方ができるキズキで、自分も状況も変わった」をご覧ください。

②人間関係による中学不登校から、都内の私立全日制高校に進学

三嶋陽菜さん(仮名)は、中学2年のとき、人間関係がきっかけで不登校になりました。

その後登校を再開したのですが、勉強が理解できず再び不登校になります。

そこからは、中学への登校再開を目指さずに、現状から進学できる高校を探し始めます。

そして、遅れた勉強を取り戻すこと、内申点を審査しない高校を探すこと、受験勉強をすることの3つを行い、志望校に合格しました。

三嶋さんは、「高校1年生が終わろうとする今、中学時代の不登校の悪い影響はほとんどない」と言います。

三嶋さんの詳細は、体験談「中学で二度の不登校から高校進学。不登校が「特別」ではない環境で安心した」をご覧ください。

③定時制高校に進学し、部活動と生徒会で高校生活を充実

中学不登校だったある生徒さん(以下、A君)は、受験で内申点を重視しない定時制高校に進学しました。

A君は、その定時制高校で部活動と生徒会活動に積極的に関わり、楽しい高校生活を送っています

中学時代のA君はそうした活動に関心はなかったのですが、高校進学後にできたクラスの友人に誘われる形で、部活や生徒会に関わるようになったそうです。

A君は、今の生活について「高校生活がこんなふうに充実するなんて、(不登校の)中学生のときは想像もしてなかった」と言っていました。

また、A君の通っている高校は単位制(=学校が時間割を決めるのではなく、自分で時間割を決めることができる仕組み)の高校です。

高校卒業までの勉強スケジュールを、学校にも相談しながら自分で決められることも、通学意欲の維持につながっているという話もしていました。

A君以外にも、高校に通い出してから初めて中学までとの違いを実感して、楽しく過ごしている生徒さんは数多くいます

④通信制高校に進学し、自由な時間を充実

別の生徒さん(以下、Bさん)は、厳しい校風の私立の中高一貫校に入学したのですが、その厳しさについていけず、中学生時点で不登校になりました。

なんとか中学を卒業した時点で、あと3年も「今の生活」を続けることは考えられず、系列高校には進学しませんでした。

Aさんは、「厳しく拘束されない」という理由で、受験で内申点を重視しない通信制高校に進学しました

どの通信制高校にするかは、学校見学に行った際の先生の雰囲気に加えて、「スクーリング回数の少なさ」も重視して決めたとのことです。

Aさんは高校の課題で勉強をしながら、通信制高校ならではの自由な時間を活かして、好きな絵を描くために絵画教室に通ったりするなど、のびのびと過ごしていました。

そして、大学受験のための勉強は通信制高校の課題と独学だけでは足りなかったため、やはり自由な時間を利用してキズキ共育塾に通い始めました。

その後Aさんは、無事に志望する大学に合格しました。

通信制高校も定時制高校も、全日制高校に比べると学校・学生の数は少ないため、学生生活のイメージが掴みづらいかもしれません。

ですが、人によってどの高校が向いているのかはそれぞれですので、いろいろ調べたり見学に行ったり詳しい人に聞いたりして、あなたに合った高校がどれか、ぜひ考えてみてください。

まとめ〜自分に合う高校を探しましょう〜

まとめ〜自分に合う高校を探しましょう〜

ご紹介してきたとおり、中学不登校からの高校進学の方法はたくさんあります。

中学校の先生や詳しい人と相談して、不登校から進学できそうな高校や、これから高校の選択肢を増やせる行動がないか、ぜひ探してみてください。

あなたが、自分に合う高校を見つけて進学できますよう、心から祈っています。

さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える方々のための個別指導塾です。

生徒さんには、中学不登校から高校を目指す方や、実際に中学不登校から高校に合格した方も大勢いらっしゃいます

無料相談も承っておりますので、ご相談いただければ、「あなた」のための具体的なお話ができると思います。

キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください(親御さんだけでのご相談も承っていますので、あなただけでは相談しづらい…と思う場合は、親御さんにも声をかけてみてくださいね)。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

執筆 / 内田青子

うちだ・あおこ。1982年生まれ。上智大学文学部卒。大学卒業後、百貨店勤務などいくつかの仕事を経た後、2018年から発達障害・不登校・中退経験者などのための個別指導塾・キズキ共育塾で講師として国語(現代文・古文・漢文)と小論文を指導し、主任講師となる。並行して、聖徳大学通信教育部心理学科を卒業。現在、公認心理師の資格取得を目指して、発達障害や不登校支援についてさらに勉強中。

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

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