不登校が再発する3つの理由と、不登校の再発を防ぐ6つの対応

不登校が再発する3つの理由と、不登校の再発を防ぐ6つの対応

キズキ共育塾の濱野です。

お子さんの不登校が再発すると、とても不安になりますよね

「やっと学校に行けた」と安心したばかりだったのに、まさかの不登校再発。

「このままでは、ずっと学校に行けなくなるのではないか」「学校はまだしも、将来も大丈夫だろうか」などと心配になるでしょう

今回は、不登校が再発する原因と、その対策法をご紹介します。

お子さんのフォローはもちろん大切ですが、親御さん自身のケアも必要です

親子で自信を取り戻し、一歩前に進むことができるようお役に立てましたら幸いです。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
Amazon
KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

子どもが不登校になる6つの理由

お子さんが不登校を克服し、学校に行くようになったら、親御さんとしては安心ですよね。

しかし、子どもが再び学校に行こうとするときには、私たちの想像以上に大きなストレスや不安を抱えています

まず、そうしたストレスや不安にうまく対応できない場合に、不登校が再発することがあります。

次に、不登校中に、前回とは別の「不登校の理由・原因」が発生していることもあります。

もちろん、前回不登校になったときの理由・原因が、再発に関係する場合もあります。

この章では、「再発」かどうかに関わらず、子どもが不登校になる理由・原因について、キズキ共育塾の知見をもとに解説します(一部、四日市市教育センターの資料『子どもの心をみつめて―不登校の子どもへの指導の手引き―』も、参考にしています)

なお、不登校になる理由・原因の全てを紹介するわけではありません。

また、理由・原因は、複合していたり、厳密に区分できなかったりすることもあります。

そして、後で詳しくお伝えしますが、不登校(の再発)につき、理由・原因の追及や、その直接的な解決は、必要な場合とそうでない場合があります

不登校(再発)の理由・原因を知りたい、という親御さんは大勢いらっしゃるのでご紹介しますが、お子さんのため、そして親御さん自身のためにも、あまりその追及・解決に「だけ」注目しないように心がけていただければ幸いです。

理由①不安などの情緒混乱

理由①不安などの情緒混乱

強い不安を感じ、不登校になることがあります

不安については、具体的な「対象」がある場合もあれば、本人にも「対象」がよくわからないこともあります。

「不安の対象」がわかっていてもいなくても、うまく対処できないことで、不登校になるのです

この原因の場合、「学校に行く時間になると、腹痛・吐き気・頭痛などの体調不良を訴えることが多くなりますが、昼頃になると体調が回復する。病院に行っても、明確な診断は下りない」といった傾向があることもあります。

理由②学校生活でのストレス

前項の「不安」とも似ていますが、学校でのストレスの上手な解消法を見つけられないことが、不登校につながります

学校生活では、勉強、部活、人間関係、通学環境など、様々な場所でストレスが生じます。

特に、子どもがいわゆる「優等生タイプ」の場合、親や先生の期待に応えようとしてストレスをため込んで不登校になる、ということもあります。

学校生活のストレスの詳細は、コラム「学校のストレス・5つの原因。ストレス対策して楽しい学校生活を送ろう!」をご覧ください(本人向けの記事ですが、親御さんの参考にもなると思います)。

理由③学校生活上の影響

理由③学校生活上の影響

学校生活が原因で不登校にあるケースです

より具体的には、学業不振、先生を含む人間関係の悪化、部活動への不適応、いじめなどがあります。

最近では、SNSによるトラブルもあります

学業不振については、「今日の授業がわからなかったから、明日から不登校になる」というようなケースは、少ないように見受けます。

多いパターンとしては、「いつからか勉強についていけなくなり、ずっと我慢していたけれど、とうとう我慢できずに不登校になった」というように、「わからない」の積み重ねがあります。

人間関係の悪化と部活動への不適応については、例えば周囲に悪意がなくても、「気の合う友達がいない」「自分は一人で静かに過ごしたいのに、みんなで仲よくすることが善とされる」「練習の量や内容がどうしても自分に合わない」などは不登校につながります。

いじめについては、コラム「いじめが原因の不登校への対応法-『お子さまの味方』になりましょう」をご覧ください。

理由④無気力・疲れやすい・だるい

無気力・疲れ・だるさなどによって不登校になることもあります

この原因の場合、「学校やクラスに対する嫌悪感や不安はなく、学校へ行くよう強く促せば登校することもあるけれど、長続きはしない」というパターンもあります。

本人に理由を聞いても、「よくわからない」などと答えることもあるでしょう。

そして、周りからは「めんどくさがってる」「なんとなく行こうとしない」と見えたりしたとしても、その遠因に「失敗の積み重ね」や「ちょっとしたきっかけ」があることもあります

背景に、「がんばっても成績が伸びず、次第に無気力になった」「人間関係で空回りし続けて、だんだん無気力になった」「一回休んだことで、学校に行く気力がなくなった」などの可能性があるのです。

理由⑤意図的な拒否

理由⑤意図的な拒否

学校に行く意義を認めず、自分の好きな方向を選んで登校しないケースです

「学校よりも優先させたいことがある」という言い方もできます。

例えば、「学校の授業は自分のペースより遅いから、自分で勉強したい」「学校に行かず、ギターの腕を上げて、将来的にはミュージシャンになりたい」などがあるでしょう。

子どもは「自分のしていることは、学校に行くよりも意義がある」と考えているため、親が「学校に行きなさい!」というと、余計に反発することもあります。

「未成年の未熟な判断」と断じるのは簡単ですが、実際に「今所属している学校(の方針・環境など)」がお子さんに向いているとは限らないのが難しいところです。

理由⑥非行・遊び

遊ぶためだったり、非行グループに入ったりして不登校になるケースです

無断欠席、遅刻、早退を繰り返し、登校しなくなります。

周りには「遊んでいる」と見えるため、他の原因と比べて、親御さんが周囲や支援機関への相談をよりためらうこともあります。

ただし、「本当にそれを楽しんで不登校になっている」とは限りません。

「実は他の原因で不登校になっているけれど、それにどう対応していいかわからず、遊んでいる」ということもあります

例えば周りからは「ゲームに夢中で不登校になった」ように見えても、「本当にゲームに夢中の場合」と、「他の理由で学校に行きたくないけれど、どうしたらいいかわからないし、家にいても勉強に集中できないし、他にやることもないので仕方なくゲームをしている場合」がある、ということです。

厳密な統計はありませんが、キズキ共育塾の実感としては、後者の方が多い印象があります。

また、非行グループが関連するときには、「本人では逆らえない」といったケースもあるでしょう

特に不登校とゲームについては、コラム「不登校の子がゲームとうまく付き合う5つの方法|親御さんの注意点を徹底解説」をご覧ください。

不登校が再発する3つの理由

続いて、特に「再発」の場合の不登校について、その理由・原因をご紹介します。

こちらも、全ての理由・原因を網羅しているわけではありませんし、その追及・解決が絶対に必要とも限りません

ただしお子さんの現状を把握する上では役に立つと思いますので、ご覧いただければ幸いです。

理由①ストレスとうまくつき合えない

理由①ストレスとうまくつき合えない

他のクラスメイトと同じ環境で過ごしていても、ストレスとうまくつき合えないと、不登校が再発することがあります

「先生にちょっと怒られた」「友達にちょっときついことを言われた」など、誰もが経験するようなことにも、多大なストレスを感じたり、ストレスにうまく対応できなかったりすることで学校に行けなくなるのです。

まだ「子ども」であるお子さんがストレスに弱いことは「絶対に悪い」ことではないのですが、結果としては不登校の再発につながりえます

お子さんはとても繊細であるのかもしれませんし、HSP(HSC、とても敏感・繊細であり、豊かな感受性を持った気質)などの特性を持っているのかもしれません。

HSP(HSC)については、コラム「HSCって何?〜正しく理解し、お子さんの生きづらさを解消しましょう〜」をご覧ください。

理由②体力的に弱い・生活リズムが学校と合わない

前項と似ていますが、「一般的には問題ない」ような生活が合わず、不登校を再発することがあります

例えば、登下校や授業だけで大きく疲れる、学校の時間と自分の生活サイクルが合わない、などがあるでしょう。

不登校中には昼夜逆転生活や体力低下を招きやすいことも、この原因が発生しやすい理由です。

理由③登校再開時に、先生やクラスメイトから言われたことに傷つく

理由③登校再開時に、先生やクラスメイトから言われたことに傷つく

久しぶりに登校したときのクラスメイトの言葉に傷ついて、不登校を再発することもあります

同級生も精神的にまだ成長段階であるため、久しぶりに登校した人に好奇の目を向けたり、(そんなつもりはなくても)傷つくような言葉をかけたりすることもあるのです。

例えば、「なんで休んでたの?」「休みのとき、何してたの?」「学校に来て大丈夫なの?」などあるでしょう。

特にお子さんが「学校に行けなかったのは自分が悪い」と思っている場合には、クラスメイトの言葉によってはさらに劣等感を抱くことになります。

その他の理由

上記以外にも、不登校が再発する原因はいくつかあります。

気になる方は、コラム「子どもが不登校を繰り返すのはなぜ?原因と解決策をご紹介します」をご覧ください。

不登校(の再開)について、「理由・原因の解決」が必要なケースと必要ではないケース

不登校(の再開)について、「理由・原因の解決」が必要なケースと必要ではないケース

これまで、不登校(再発)の理由・原因を紹介してきました。

前述のとおり、こうした理由や原因は、「次の一歩」に進むためには、必ず解決しなくてはならないものではありません

逆に、理由・原因が直接的に解決しても、不登校の解決にはつながらないこともあります。

これは、「不登校になった理由(不登校を再発した理由)」と、「不登校が続いている理由」が違うことがあるためです

例えば、「先生の言葉に傷ついて不登校になった」ケースを考えてみましょう。

この場合、理由・原因の直接的な解決とは、「先生からの謝罪と、その受け入れ」でしょう

そうした「解決」が登校再開に繋がることは、もちろんあります。

しかし、先生からの謝罪を受け入れた場合でも、不登校中に昼夜逆転になっていたり勉強習慣がなくなっていたりすると、登校を再開できなかったり、再開できても不登校を再発することがあるのです。

逆に、先生からの謝罪がなかった場合でも、「先生が別の学校に異動する」「別のところで自己肯定感を養い、先生のことが気にならなくなる」「転校する」などによって、登校再開などの「次の一歩」に進めることも珍しくありません。

不登校の理由・原因を追及・解決したいお気持ちはよくわかりますが、過去よりも現在と将来に目を向けることが大切です

ただし、理由・原因によっては、直接的な解決・対応が必要なケースもあります。

例えば、「勉強についていけなくなったことで、不登校になった」なら、自分に合った勉強を身につける必要はあるでしょう。

他にも、いじめ、病気、発達障害などが関係する場合も、少なくとも「対応」は必要です。

どの理由・原因なら解決・対応すべきか、またどのように解決すべきかといったことは、後述する支援団体などを頼ることでわかると思います

不登校の再発を防ぐために親ができる6つの対応

不登校が再発しないよう、親にできることは何があるでしょうか?

ここからは、私の知人のお子さんの経験や、キズキ共育塾の話をもとに、不登校の再発防止策と解決策をご紹介します。

なお、後述するとおり、不登校を再発するお子さんのことは、親御さんだけ、ご家庭だけで抱え込む必要はありません

適切に周囲や専門家を頼ることで、お子さんにとっても親御さんにとっても「よりよい次の一歩」が見つかります。

この章でご紹介する方法も、「親だけでなんとかしなければ」と思いつめないでください。

参考としてご覧いただきつつ、「あなたのお子さん」への具体的な対応は、支援者とともに探すことで、よりよい方法が見つかります。

また、「親が子どもにかかりっきりになって対応する」必要もありません

親は親で生活を楽しみ、その姿を子どもに見せることも、家庭内での不安の増幅を防ぐとともに、「充実した大人のロールモデル」として役立ちます。

なお、この記事では、主には「今在籍している学校への登校再開」を目的とした方法をご紹介しますが、「今在籍している学校への登校再開」は、必ずしも目指さなくてはならないものではありません

転校も考えられますし、学校には通わずに勉強や社会性を身につける方法もあります。

不登校を再発していてもいなくても、どのような「次の一歩」がお子さんに向いているのかについても、後述する専門家などに相談することで見つかると思います。

以下、「専門家を頼る」「子どもにかかりっきりにならない」「今在籍している学校にこだわりすぎない」を大前提として、ご覧ください

対応①兆候の早期発見

対応①兆候の早期発見

不登校の再発を防ぐためには、初めて不登校になったときと同じように、兆候の早期発見が大切です

不登校(の再発)は、多くの場合、何らかの前兆を伴います。

小さなサインを見逃さず、気がついたときは、すぐに対応することが大切です。

例えば、次のようなものがあります。

  • 頭痛や腹痛などでの欠席が多くなる
  • 休日の翌日や特定の曜日に欠席が多くなる
  • 部活を休みがちになる
  • 前の晩には学校へ行く準備をするが、翌朝になると起きてこない
  • 学校に行く時間になると体調が悪くなるが、親が欠席連絡をすると元気になる
  • 朝、登校の準備に時間がかかる
  • 自分の部屋に閉じこもりになり、家族との会話が少なくなる

対応②無理やり登校させない

不登校再発の原因は、親が無理やり学校に行かせたことである場合もあります

心身の調子が回復していなかったり、前回の不登校の「原因」が解決していなかったり、不登校中に新たな「原因」が発生していたりすると、無理やりに登校を再開させても、うまくいかないことがあるのです。

子どもを登校させたい気持ちはわかりますが、子どもの気持ちや状態を尊重して、「まだ登校できないな」と思うときは、家で休ませたり、対応・解決すべき原因があるときはそれに取り組んだりしましょう

登校を無理強いされることによる不安やストレスは、親が思っている以上に大きいものです。

不登校を再発させないためには、親の気持ちよりも、子どもの気持ちを大切にしましょう。

学校に行かない理由を問いたださず、子どもの興味がある話をしたり、そっとしてほしい場合は見守ったり、子どもがリラックスできる環境をつくることが大切です。

対応③最初から全出席はしなくてもよいと考える

対応③最初から全出席はしなくてもよいと考える

前項とも関係しますが、登校再開のときには、最初から「全曜日で全授業を受けて、部活にも参加する」ことはしなくてもOKと考えましょう

それまで不登校生活を送っていた子どもは、気力・体力ともに、最初から「フルタイムの学校生活」になじめないこともあるのです。

「フルタイムでがんばろう」と張り切っていると、学校生活についていけず不登校を再発し、「やっぱり自分は(子どもは)ダメだった…」など、親子で不必要に落ち込む可能性もあります。

例えば、まずは週3日でもOK、午前中だけでもOK、保健室登校でもOK、部活は参加しなくてOK…など、親御さんからハードルを下げる提案をしてみましょう

ただし、言い方によっては、「親は自分に期待していない」と思われることもありますので、どのような表現で伝えるかについては配慮も必要です。

対応④子どもの話をよく聞く

子どもの話は、よく聞くようにしましょう

これまでに述べてきた「不登校の兆候」「無理やり登校させない」「全出席しなくてもOK」などについても、子どもの話をよく聞くことで、状態や対応が見えてきます。

もちろん、子どもを心配するあなたは「子どもの話を聞こう」と心がけているとは思いますが、「親の思い」と「子どもの思い」がすれ違うことはよくあります。

一つの事例として、私の知人のお話をご紹介します。


知人の娘さん(高校生、Aさん)は、学校生活上の理由で不登校になりました。

幸いにして不登校が長引くことはなく、学校に行けるようになったので、親はすっかり安心していました。

しかし、Aさんの不登校は、すぐに再発しました

元々親御さんとAさんは仲がよく、なんでも話せる関係でした。

Aさんが不登校になったときにも、親御さんは、話をよく聞いて親身に寄り添っていました。

ところが、学校に行けるようになったことで安心して、親御さんは、それまでのようにAさんの話をしっかり聞かなくなったのです

登校を再開したAさんは、親御さんに話しかける機会が以前よりも増えていました。

ですが親御さんは、「忙しいし、内容も取り留めがないし」と考えて真剣に対応せず、後まわしにすることが多くなったのです

そして、Aさんの不登校が再発しました。

親御さんは後になって知ったのですが、Aさんが不登校を再発した過程のひとつに、「親が話を聞いてくれなかったこと」がありました。

登校を再開したAさんは、やはり学校でのストレスが大きく、親御さんに話しかけることはSOSのサインだったのです

ただ、登校を再開して安心している親御さんに心配をかけたくないので、直接的な「悩み相談」はできません。

「気づいてほしい」と思いつつもたわいのない話ばかりしており、親御さんは、そんなAさんの気持ちに全く気がつかなかったのです

親御さんがAさんの話をじゅうぶん聞かなかったことで、Aさんのストレスが限界になり、不登校を再発に至りました。

親御さんの、「学校に行けるようになって安心してしまった」という言葉が、とても印象に残っています。

子どもは、登校を再開してからも不安・ストレス・負担を抱え続けているのです

登校を再開した後も、子どもの話をしっかり聞き、不安に思っていることを全部話してくれるよう、誘導していきましょう。

対応⑤学校と家庭以外の居場所を見つける

対応⑤学校と家庭以外の居場所を見つける

お子さんにとって、学校でも家庭でもない「楽しい居場所」を見つけましょう

子どもの悩みは、ほとんどが「学校」か「家庭」で生じます。

学校でも家庭でもない居場所で、楽しく過ごしたり、何かに取り組んだり、悩みを相談したりすることで、学校や不登校に関する「つらさ」を減らし、結果として不登校の再発を防ぐことにつながります

居場所の例としては、塾、フリースクール、習い事、趣味のサークル、ボランティア、(高校生年齢なら)アルバイト先などがあるでしょう。

学生年齢だからといって、また親だからといって、お子さんのことを学校と家庭に限定して考える必要はありません。

より「向いている居場所」を、お子さんと一緒に探してみてください。

対応⑥今在籍している学校にこだわらない

先ほど軽くお伝えしましたが、お子さんの「次の一歩」は、「今在籍している学校への登校再開」とは限りません

親として「今の学校に登校を再開してもらいたい」と思う気持ちはよくわかります。

ですが、その学校や、学校の仕組みが、お子さんに向いているとは限りません

「たまたま同じ地域に住んでいる人たちが通う公立の小中学校に合わない」「いいと思って進学した私立小中学校(・中高一貫校・高校)に、結果として合わない」ということは、現実にあり得ます。

お手数はかかるかもしれませんが、転校したり、学校以外の場所(フリースクールや塾など)で勉強と人間関係を学んだり、ということも可能です

特に高校生の場合は、全日制高校以外にも、通信制高校・定時制高校・高卒認定試験というルートもあります。

こちらについても、相談機関などを頼ることで、よりお子さんに向いた選択肢が見つかると思います。

転校・通信制高校・定時制高校・高卒認定試験にご興味がある方は、下記コラムをご覧ください。

不登校について相談できる支援団体

ここまで、不登校が再発する原因と、親ができる対策法をご紹介してきました。

不登校の原因は実に様々で、ここでご紹介したケースに当てはまらない場合もたくさんあります

解決策も、お子さんの個性やご家庭の事情によって違うので、親御さんひとりで問題を解決することはとても難しいのが現状です。

逆に言うと、専門家・支援機関・相談機関などの支援団体を適切に頼ることで、お子さんも親御さんも、よりよい「次の一歩」を見つけることができます

学校や公的・民間の支援団体など、不登校が再発した場合に相談するところはたくさんあります。

相談先との相性も大切なので、お子さんや親御さん自身に合ったところが見つかるよう、様々な場所で相談されることをオススメします

下記に支援団体・相談先の例を紹介しますので、ぜひ積極的に頼ってください。

相談先①学校

相談先①学校

まずは、お子さんの通う学校に相談してみましょう

担任の先生や、部活の顧問の先生などは、親御さんが知らない学校でのお子さんの姿をよく知っているので、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。

学校にスクールカウンセラーが在籍している場合は、スクールカウンセラーに相談することもオススメします

スクールカウンセラーは資格を有するカウンセリングの専門職であり、心の問題を多く取り扱っています。

カウンセリングに「ハードルが高い」印象があるという方もいらっしゃいますが、カウンセラーに相談して問題が解決できたという人はとても多いです。

相談先②公的団体

公的団体・公的機関・公的窓口も選択肢のひとつになります

相談先はたくさんあり、その専門性も様々ですので、数か所に相談することでいろいろな角度から問題の解決策が見つかることもあります。

主な相談先は、以下のようなものがあります。

  • 児童相談所、児童相談センター、児童家庭支援センター
  • ひきこもり地域支援センター
  • 発達障害者支援センター
  • 教育センター

地域によって名称が違う場合もありますし、「実際のお子さん」にどこが向いているのかは異なることもありますので、どこに相談すればよいか迷った場合は、お住まいの市区町村のウェブサイトや代表電話で確認してみましょう

相談先③不登校の「親の会」

相談先③不登校の「親の会」

不登校の子どもを持つ親同士が交流する「親の会」があります

具体的にどんなことを行っているかは会ごとに異なりますが、一般的には、悩み相談や情報交換が可能です。

有益な情報を得ることができるとともに、同じ悩みを持つ人々の集まりの中で「自分の子どもだけではない」という安心感を得ることもできます。

登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」のウェブサイトでは全国の親の会の情報をまとめていますので、ご興味がありましたらご覧ください。

相談先④民間の不登校支援団体

関わり方③細かいことはあまり注意しない

民間の支援団体やフリースクール、そして私たちキズキ共育塾のような不登校支援を行っている学習塾などもあります。

支援団体によって特色があり、心理面のサポートを重視しているところや、学習面に力を入れているところもあります。

これらの支援団体は、不登校の支援に関して経験豊富で、独自のノウハウを持っています

相談は無料で受けつけているところが多いので、気になる支援団体があれば、まず相談だけされるのもいいかと思います。

参考:学校休んだほうがいいよチェックリストのご紹介

2023年8月23日、不登校支援を行う3つの団体(キズキ不登校新聞Branch)と、精神科医の松本俊彦氏が、共同で「学校休んだほうがいいよチェックリスト」を作成・公開しました。LINEにて無料で利用可能です。

このリストを利用する対象は、「学校に行きたがらない子ども、学校が苦手な子ども、不登校子ども、その他気になる様子がある子どもがいる、保護者または教員(子ども本人以外の人)」です。

このリストを利用することで、お子さんが学校を休んだほうがよいのか(休ませるべきなのか)どうかの目安がわかります。その結果、お子さんを追い詰めず、うつ病や自殺のリスクを減らすこともできます。

公開から約1か月の時点で、約5万人からご利用いただいています。お子さんのためにも、保護者さまや教員のためにも、ぜひこのリストを活用していただければと思います。

私たちキズキでは、上記チェックリスト以外にも、「学校に行きたがらないお子さん」「学校が苦手なお子さん」「不登校のお子さん」について、勉強・進路・生活・親子関係・発達特性などの無料相談を行っています。チェックリストと合わせて、無料相談もぜひお気軽にご利用ください。

まとめ

まとめ

不登校の再発について、その理由や親にできることを解説いたしました。

お子さんの不登校(再発)については、親御さんだけ・ご家庭だけで抱え込まず、信頼できるところに相談することが大切です。

お子さんと、親御さんであるあなたが、よりよい次の一歩に進めますよう祈っています。

さて、私たちキズキ共育塾は、お悩みを抱える方々のための個別指導塾です。

生徒さんには、不登校中の方、不登校を再発した方など、不登校に関連したお悩みを持つ方も大勢いらっしゃいます。

無料相談も承っておりますので、ご相談いただければ、「あなたのお子さん」のための具体的なお話ができると思います。

キズキ共育塾の概要をご覧の上、少しでも気になるようでしたらお気軽にご相談ください(ご相談は無料です。また、親御さんだけでのご相談も承っています)。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

「登校再開」よりも、「お子さんの心の傷」に目を当てましょう

親御さんを不安にさせたいわけではありませんが、前提として、不登校は何度も再発する人が多いです。これは、学校に行っていた期間の心の傷が深いためです。

登校再開後の登校日数は、「将来、不登校が再発するかどうか」に関しては、なんの目安にもなりません。週1日の登校が3日になっても、「改善」に向かっているとは言えないのです。

親御さんには、「学校復帰」や「登校再開」をいったん頭から捨てて、お子さんの心の傷がどうしたら解決するかに目を当てていただければと思います。学校に行けなくても、将来は開けています。

ただ、親御さんがお子さんに悩みを聞いても、「学校に行きたい」「ない」などの答えが返ってきて、対応のしようがないこともあるでしょう。お子さんのことを親御さんだけで対応しようとせず、不登校の専門家や支援団体にぜひ相談してみてください。

Share