「不登校の友達」を思いやるときの3つのお願い〜元不登校の私から〜

「不登校の友達」を思いやるときの3つのお願い〜元不登校の私から〜

こんにちは。不登校の人たちを完全個別指導でサポートするキズキ共育塾の木原彩です。

あなたには不登校の友達がいて、友達のために何かしたいと思っているのでしょう

私は中学3年生のときに、部活動での挫折体験と人間関係をきっかけに不登校になりました。

私自身、不登校のときに友達に支えられました。

不登校を経験した一人として、不登校の友達を思うあなたの気持ちは本当に嬉しいです。

この記事では、そんなあなたに向けて、「不登校の友達には、こう接してほしいな」と思うことを、私の経験も交えてお伝えします

不登校になった友達も、そしてあなたも、将来に希望を持てますように祈っています。

共同監修・不登校新聞社 代表理事 石井志昂氏からの
アドバイス

友人という存在には特別な力があります

「不登校の友人に何かできないか」と考えている人は、本当に心が優しい人です。
もし力になりたいと思っているなら、不登校かどうかに関係なく、話を聞いたり、遊んだりしてみてください。

友人という存在には、特別な力が宿されています。専門家や親にもない力で、不登校になった本人を支えてくれます。
その際、自分の考えを押し付けたり、友人が嫌だと思っていることを無理強いしないようにしましょう。

そのように、人として当たり前のルールを守っていれば、自分の心のままに接してもらえたら大丈夫です。
一つだけ、絶対にやめていただきたいのは、「学校復帰を強いること(学校に来なよ、などと言うこと)」です。
その言葉や行動は、誘った方にも誘われた方にも、心の傷を残します。

お願い①「不登校」にとらわれずに接してほしい

「不登校」にとらわれずに接してほしい

友達が不登校になっても、「不登校」ということだけに目を向けず、それまでどおりに接してほしいと思います。

不登校の人は、「学校に行けない自分はダメな人間だ」と思いがちです。

「これ以上傷つきたくない」と思って、友達に心を閉ざすこともあります。

それでも、本当のほんとは、「もっとよく生きたい。いまのままだとつらい」と思っています。

そんな友達は、「不登校の人」として扱われると、ますます自信をなくすことがあるのです。

あなたの友達が不登校であることは事実です。

ですが、「不登校の人」は、「不登校が全ての人」ではありません。

あなたが知っている「昔からの友達」なのです。

友達は、「不登校であるということを意識せずに、あなたと一緒にお話ししたり、遊んだり、そばにいたりしたい」と思っています。

そういう人間関係があると、友達の心は晴れていきます。

どうか、「不登校」という状態だけにとらわれずに、友達と接してください

私の経験:不登校とは関係なく将来の話をしてくれて、嬉しかった

不登校とは関係なく将来の話をしてくれて、嬉しかった

私はピアノを習っていました。

不登校だったある日、家を訪ねてくれた友達が、次のように言ってくれました。

「私、あやちゃんのピアノすごく好き。あやちゃんいつも優しいし、あやちゃんの弾くピアノって本当にあったかいって思うんだ。だから将来音楽で人を癒す仕事なんか向いてると思う」

そして、「音楽療法士」という仕事を教えてくれました。

「不登校」ということに触れずに、私の内面や将来について話してくれたことがとても嬉しく、気持ちが晴れたことを、いまでもハッキリと覚えています。

現在の私は音楽療法士ではありません。ですが、別の手段で「人のためになる仕事をしたい」と考えています。

「人のためになる仕事をしたい」と思うのは、私と「普通に」接してくれたこの友達の影響もあります。

この友達とはいまでも友達ですし、これからもずっと友達でいたいと願っています。

お願い②「学校以外にも居場所がある」と伝えてほしい

「学校以外にも居場所がある」と伝えてほしい

友達には、学校以外にも居場所があること、学校以外で楽しく過ごしてもいいことを伝えてほしいです。

不登校の友達は、次のように思い込んでいることがあるのです。

「学校以外に行くところなんてない」

「学校に行けない自分が、学校以外のところに行く資格なんてない」

学校に行けなくても、他のところに行ったり、他のところで楽しく過ごしたりしても、何の問題もありません。

学校に行けない友達は、「学校以外の、人と関わることができる場所」があることで、楽しい1日を過ごし、次の一歩に進めるようにもなります。

もしあなたが楽しそうなイベントや団体を知っているなら、友達に伝えたり、誘って一緒に行ってくれたりすると嬉しいです。

イベントの例としては、スポーツの体験会、芸術鑑賞会、音楽コンサートなどもありますし、友達同士で料理をつくったり出かけたりということもあります。

団体の例としては、趣味や習い事の教室・サークル、塾などがあります。

私の経験:ピアノ教室に行っていたから、孤独じゃなかった

ピアノ教室に行っていたから、孤独じゃなかった

先ほど述べたとおり、私はピアノを習っていました。

そこは、個人の先生が教えている教室でした。

小さいコンサートが年に数回あり、クリスマス会などのイベントもあり、それぞれ子どもたちの意見も取り入れられながら運営されていました。

先生はレッスンの合間に生徒たちにお菓子をふるまってくれ、ピアノのこと意外にも、日常のことや趣味の話をしてくれました。

それもあってか、生徒同士の仲がとてもよかったのです。

私は、不登校になってからもピアノ教室には通い続けることができました。

ピアノ教室で先生や友達と楽しく話し、ピアノのレッスンを続けることで、学校に行けなくても、私は孤独ではありませんでした

お願い③「学校に戻って来て」と言わないでほしい

「学校に戻って来て」と言わないでほしい

私自身の不登校経験や、不登校経験のある方と関わった経験から、次のことが言えます。

それは、「『学校に戻ってきて』という言葉で、ときに傷つく」ということです。

学校に行かなければ友達に会えなかったり、勉強が遅れたり、内申書が悪くなったりすることは、あなたの友達も頭ではわかっています。

でも、どうしても学校に行けないのです。

「学校に戻って来て」と言われると、次のように思ってしまうのです。

友達が心配してくれてる。嬉しいし、申しわけない。でも学校には行けない。友達に心配をかけて、それでも学校に行けない自分はダメな人間だ

不登校の友達を思いやるあなたは、優しい人でしょう。

あなたの心配や思いやりは、とても嬉しいです。

それでも、「学校に戻って来て」という言葉はとても怖いのです。

友達に対しては、「学校に来て」と言う代わりに、次のような言葉や行動で、あなたの優しさを伝えてほしいです。

  • 勉強が追いつけるようにノートを貸す
  • 「一人じゃないよ」と言う
  • 「一緒に遊びに行こうよ」と言う

私の経験:友達の手紙は嬉しかったけど、悩みも深くなった

友達の手紙は嬉しかったけど、悩みも深くなった

私が不登校になって3か月ほどが経った頃、15歳の誕生日に、数人のクラスメイトからお手紙が届きました。

お手紙には、私の誕生日を祝うメッセージとともに、「学校に来てほしい」と書かれていました。

「あやちゃんがいなくてみんな寂しがってます」という言葉もありました。

家族以外の人が自分の誕生日を覚えてくれていて、嬉しい気持ちはありました。

ただ、嬉しければ嬉しいほど、次のように、悩みも深くなったのです

学校に行って、誕生日を祝ってくれた友達にお礼を言いたい。
でも行けない。
私の方こそ寂しいから、学校に行って友達とまた一緒に話したい。
でも行けない。
私はどうしようもない…

繰り返すように、あなたの優しい気持ちは本当に嬉しいです。

ですが、どうか「学校に戻って来てほしい」とは言わないでほしいと思います。

まとめ〜あなたの気持ちは伝わっています〜

まとめ〜あなたの気持ちは伝わっています〜

これまでのことをまとめます。

不登校の友達と接するときには、以下のことを覚えていてほしいなと思います。

①「不登校」にとらわれずに接してほしい
「不登校の人」ではなく、「一人の友達」として接してくれると、友達の気持ちは晴れていきます。

②「学校以外にも居場所がある」と伝えてほしい
学校以外で楽しく過ごせると、不登校の友達は「次の一歩」に進みやすくなります。

③「学校に戻って来て」と言わないでほしい
不登校の友達は、「学校に来て」と言われると、学校にいけない自分をダメな人間だと思うことがあります。

あなたは、不登校の友達を思いやることができる優しい人です。

友達のためにいろいろと行動していると思います。

あなたの行動に対して、不登校の友達から何の反応もなかったり、拒絶されたりすることもあるでしょう。

ですが、友達を思いやるあなたの心は、届いています

いま届いていなくても、いつか不登校の友達が前に進み出したときにきっと気づきます。

どうか、友達のことを信じて接してください。

不登校のときに友達に救われた私からのお願いです。

とは言え、不登校の友達と接するのがあなただけである必要は、もちろんありません

私たちキズキ共育塾では、大勢の不登校の人たちが学んでいます。

講師の多くも、あなたの友達と同じように不登校の経験があります。

もしよければ、友達にキズキ共育塾のことを伝えてください。

友達が「次の一歩」に進めるよう、私たちも友達を支えます。

※文中の写真は、全てイメージです。

監修 / キズキ代表 安田祐輔

やすだ・ゆうすけ。発達障害(ASD/ADHD)によるいじめ、転校、一家離散などを経て、不登校・偏差値30から学び直して20歳で国際基督教大学(ICU)入学。卒業後は新卒で総合商社へ入社するも、発達障害の特性も関連して、うつ病になり退職。その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。経歴や年齢を問わず、「もう一度勉強したい人」のために、完全個別指導を行う。また、不登校の子どものための家庭教師「キズキ家学」、発達障害やうつ病の方々のための就労移行支援事業所「キズキビジネスカレッジ」も運営。

【新著紹介】

『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法』
(2022年9月、KADOKAWA)
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KADOKAWA公式

【略歴】

2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【メディア出演(一部)】

2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

共同監修 / 不登校新聞社代表理事 石井志昂

いしい・しこう。
1982年、東京都町田市出身。NPO法人全国不登校新聞社代表。
中学校受験を機に学校生活が合わなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から2022年まで編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた。

【著書など(不登校新聞社名義も含む)】

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること(ポプラ社)』『フリースクールを考えたら最初に読む本(主婦の友社)』『学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』『続 学校に行きたくない君へ(ポプラ社)』

【寄稿など(一部)】

AERAdot」「プレジデントオンライン」「東洋経済オンライン」「FRaU」など多数

サイト運営 / キズキ

「もう一度学び直したい方」の勉強とメンタルを完全個別指導でサポートする学習塾。多様な生徒さんに対応(不登校・中退・引きこもりの当事者・経験者、通信制高校生・定時制高校生、勉強にブランクがある方、社会人、主婦・主夫、発達特性がある方など)。授業内容は、小学生レベルから難関大学受験レベルまで、希望や学力などに応じて柔軟に設定可能。トップページはこちら。2023年7月現在、全国に10校とオンライン校(全国対応)がある。

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