「不登校の定義」の再考を通じて考えたいこと

2018年8月6日 月曜日 投稿

「不登校の定義」の再考を通じて考えたいこと

キズキ共育塾の木原彩です。

この記事をお読みのあなたは、身近に不登校の人がいるのでしょうか。
不登校の人を支援する方、不登校について勉強している人でしょうか。
または、不登校のご本人でしょうか。

私自身も、中3のときと、大学生のときに不登校になりました。

ですが、当時は「不登校の定義」を知らなかったため、自分が不登校なのかさえわからず、モヤモヤした気持ちを抱いていました。

今回は、「不登校の定義」を再考したいと思います。

当事者・支援者だけでなく、これまで不登校が身近でなかった方にも
「不登校ってなんだろう?」
「不登校とはどんなものなのか」
「不登校の人の気持ちとは」
などと考えるきっかけになれば幸いです。


「不登校の定義」とは?「私って不登校なのかな…?」

「不登校の定義」とは?「私って不登校なのかな…?」

ではまず、どんな状況のことを不登校と定義するのでしょうか?

文部科学省では、「不登校児童生徒」を、
「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」
と定義しています(文部科学省「不登校の現状に関する認識」から)

私の場合、中学生のときも大学生のときも、「病気や経済的な理由」以外の理由で「年間30日以上欠席」していたので、「公的に不登校だった」ということになります。

また同省は、「不登校」のことを、
「児童や生徒本人に起因するもの」ではなく、
「取り巻く環境によってどの児童生徒にも起こりうる可能性があるもの」
と考えています。

そして、「不登校」という状態が続き、児童や家庭に十分な支援が届かないことで、児童の自己肯定感の低下や本人の進路決定がうまくできない可能性も伝えています(文部科学省「不登校児童生徒への支援に関する最終報告」(平成28年7月)から)

このため、不登校状態にある児童・生徒には、継続した支援を十分に行うことが重要です。


不登校のデータから読み取れること、考えられること

次に、不登校の児童・生徒はどれくらいの人数いるのでしょうか?

下のグラフと表は、小学生、中学生、高校生のそれぞれの不登校数です(文部科学省「平成28年度『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(以下、「同資料」)を元にグラフ・表化)

不登校者数のグラフ 不登校者数の表

データからは、「中学生で不登校になる人数」が多いことがわかります。

平成28年度には、103,235名の中学生が不登校です。

私が大学で受講した「不登校支援について」の授業では、「不登校の生徒数は、小学生から年齢が大きくなるにつれて増加し、中学生でピークを迎える」と学びました。

これには、不登校のきっかけの1つである、「いじめ以外の対人関係での悩み」が関係しているとのことです。

小学校高学年から中学生と思春期に入るにつれて、対人関係での悩み、また人との関わりの中で気づいた自己の悩みなどが生じるようになり、不登校になる可能性を高めているのです。

なお、平成28年度は、高校生の不登校者数は中学生に比べると半数以下の48,565人なのですが、高校生には中退という選択肢があり、中退者数は47,249人です。

不登校と中退では重複している人もおり、また中退の理由には病気や経済的理由も含むのですが、単純に合計すると、95,814人が「(今の)高校に行かない」という選択をしていることがわかります。

次に、小学生・中学生・高校生ごとの、児童・生徒総数に対する不登校者の割合を示します(同資料を元にグラフ・表化)

不登校割合のグラフ 不登校割合の表

平成28年度では、全小学生の0.47%、全中学生の3.01%、全高校生の1.46%が不登校だと報告されています。

特に中学生の「100人に3人」という割合は、「不登校は誰しもがなる可能性があるもの」と言ってよいのではないでしょうか。

なお、高校中退者は全高校生の1.4%です。

先ほどと同じく、不登校者と中退者の割合を単純に足すと、2.86%が「(今の)高校に行かない」という選択をしていることがわかります。

また、文部科学省には「大学生の不登校」に関するデータはないのですが、全大学生の2.68%が不登校であるという研究もあります(「大学生の不登校者数の推定と実態把握」/2010年/井出草平氏、水田一郎氏、谷口由利子氏/日本教育社会学会大会発表要旨集録(62)76-77)


不登校になる要因は様々

文部科学省は、「不登校になった要因」も公開しています。

同資料によると、小学生・中学生・高校生に共通して、 本人に係る要因としては
「『不安』の傾向がある」
「『無気力の傾向がある」
「『学校における人間関係』に課題を抱えている」が上位3件です。

学校、家庭に係る要因としては、
「家庭に係る状況」
「いじめを除く友人関係をめぐる問題」
「学業の不信」が上位3件です(小・中・高で各要因の順序は一部入れ替わりあり)。

「児童・生徒は様々な理由で不登校になる」ということをご理解いただければと思います。

また、「登校の再開」に着目した場合、学校側からの取組としては、「家庭への働きかけ」や「スクールカウンセラー等の活用」が有効であると報告されています(文部科学省「平成18年度・25年度『児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査』から)

必ずしも「同じ学校への登校の再開」を目指す必要はないと思うのですが、同じ学校への登校を再開したい場合、児童・生徒・保護者側からも一考に値する報告だと思います。


今苦しんでいるあなたへ――一人で悩まず助けを求めてください

「今苦しんでいる人へ」 どうか一人で悩まず周囲に助けを求めてください

ここまでの話をまとめます。

不登校は、公的には、
「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景より、投稿しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」
と定義されます。

そして、不登校は様々な要因で起き、誰しもがなりえます。

平成28年度では、中学生では約3%、高校生は約1.5%が不登校です。

また、不登校から立ち直るためには、適切な支援が必要です(これは私の不登校体験からも実感しています)。

これらを踏まえて、現在不登校のご本人や親御さんにお伝えしたいことは、
「家庭だけで悩まずに、助けを求めてほしい」
「不登校は誰しもなりうる可能性があるもので、どうか自分やお子さんを責めないでほしい」
ということです。

また、「病気や経済的理由」による長期欠席や、29日未満の欠席は、公的には「不登校」の定義に当てはまりません。

ですが、「つらい思い」は公的な定義の「不登校」と変わらないと思いますので、やはり積極的に支援を求めてほしいと思います。

不登校について相談できる場所としては、
学校内外のカウンセラー、
病院の主治医、
「不登校の親の会」、
児童相談所、
児童家庭支援センター等があります。
(キズキ共育塾もその1つであり、無料相談を行っています)

不登校の当事者・関係者であるあなたの気持ちが前向きになれるよう、心から祈っています。

支援者の方、支援をしたいと思っているあなたは、キズキ共育塾の講師になってみませんか


※文中の写真は、全てイメージです。


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